前回は、オンラインコースがパーソナリティベースのビジネスであり、人々はソリューションに投資するのと同じくらい、その作り手、人物に投資していることをお伝えしました。これは、見込み客が皆さんについて知り、好きになり、そして信頼するようになるよう、「パーソナリティ・バイアス」を生み出す必要があるということです。次に、似た者同士の大勢の中から自分自身を際立たせる、二つのアドバンテージについてお伝えしました。皆さんが本当に興味のあることを教えるときの「熱意のアドバンテージ」と、皆さんが既に持っているスキルを活用するときの「経験のアドバンテージ」です。
最後に、情熱ベースおよびスキルベースの「ブレインストーミングリスト」を用いて、これら二つのアドバンテージとして利用できるものをブレインストーミングしました。続いて、最も優れたアイディアを「アイディアスコアカード」に通し、その実行可能性を評価しました。前回のモジュールを終えた皆さんはなんと、実行可能なオンラインコースのアイディアをすでにお持ちです。今回は、調査段階のスタートとして、これをアイディアのリストに適用する方法をお伝えしましょう。
見込み客の行動や言動をチェックする
皆さんの中には、調査、リサーチなんてしたくないという方もいらっしゃることでしょう。さっさと商品を作って売りたいと思うのも、ごもっともです。調査という行為は見落とされ、信じられないほど過小評価されていて、全く魅力のあるものには思えません。ですが、僕を信じてください。これを行うことで後々、利益が何倍にもなって返ってきます。
僕らはOnline Course Creationというオンラインコースのなかでコピーストーキングというアイディアを紹介しています。まるで潜在顧客にストーカー行為を働くかのように、見込み客の行動や言動をチェックします。そのおかげで、僕たちは明確なペルソナを持つことができました。彼らは僕たちの頭の中で勝手に動き始めるくらいビビットな存在です。何を言えば喜ぶか、どんな言葉に反応するか、何が好きで何が嫌いで、敵は誰で、1日に何時間くらい子供と過ごし、よく見るHuluの番組名を僕たちは知っています。そこまでリサーチを突き詰めると、メッセージを作るのが非常に楽なんです。こうやってあなたにメッセージを届ける時も、僕たちはリサーチに基づいたペルソナに対して喋りかけるだけでいいから、スラスラと言葉が出てきます。
この調査段階の目標とは、将来の見込み客と購入者に関する情報を、できる限り多く集めることです。これは、ビジネスのあらゆる面で絶対に必要なことです。ターゲットとなる見込み客を選び、どのようなマーケティングを仕掛けるかといった大規模なことから、彼らへどう語りかけるか、どんな言葉を使うか、彼らとどのような感情的なつながりを持つかといった細かなことまで、様々な情報を集めてください。
調査段階は、極めて重要です。なぜなら、今回皆さんに集めて頂く情報は、本質的にビジネス全体を構築する基盤となるものだからです。今回皆さんにして頂く作業はすべて、皆さんのビジネスが存続する限りずっと参照されていくものです。今は、皆さんがどう思うかに基づいて推測をするときではありません。そうではなく、どういった見込み客がいるのか「調査」することです。準備は良いですか?あなたの頭の中にだけ存在する仮想の人物ではなく、あなたのオファーを必要としている実在の人物を探すのです。
それでは、ステップ1から始めましょう。調査段階の最初のステップは、「オーディエンス・イマージョン」と呼ばれるものです。これはプロダクトローンチフォーミュラのジェフウォーカーや、TribeのStu McLaren などが高額プログラムの中で紹介している概念です。ターゲットとしている人々について深く理解するため、彼らのコミュニティに深く入り込むことです。目標は、彼らを単に観察することではありません。観察しているだけなら、彼らはあなたと深く関わったり、つながりを持ったりすることはないでしょう。
必要なことは、彼らがどういった人物なのかを深く理解することです。彼らが好きなものや嫌いなものは何か、どんな問題を抱えているか、何を欲していて、何を必要としているか、どんな人生を送っているか、彼らが興奮するものは何か。親しい友人との間柄のように、彼らについて知り、理解することが必要です。これは、見込み客と話をする際に特に重要です。あなたが彼らについて、彼ら自身よりも多くのことを知っていると思わせることができれば、普通の人には決してできないような関係を築くことができるはずです。
そういえば、株式会社ルーシーが運営するバズ部のメディアでは、ペルソナという言葉を使って説明していましたね。僕がUdemyに公開しているいくつかのコースでもペルソナという単語を使っています。住んでいる場所だけでなく、学歴、職歴、年収、仕事上の悩み、家族構成まで書くべきと彼らは主張します。あなたは友人の仕事上の悩みを知っていますか?極論を言えば、友達以上に僕たちは見込み客について理解する必要があるのです。もはやストーカーです。そう、僕たちは顧客についてもっともっと知らなきゃいけないのです。
顧客を知ることで得られる二つの利点
顧客を知ることで、二つの大きな利点を得られます。一つには、本当の意味で彼らを助け、共感を得る商品を生むことができます。彼らの最大の問題が何であるかを理解し、世界中の誰よりも効果的にそれを解決できるでしょう。これは素晴らしいことです。あなたが他の誰にも増して効果的に、彼らの問題を解決することができるとしたら、彼らは誰に助けを求めるでしょうか?もちろん、あなたです。あなたは顧客にとってのGO TO PERSONになるべきなのです。
そしてもう一つには、信じられないくらいの利益を上げることができます。彼らがどういった人々で、何を必要としているかを本当に理解できていれば、あなたのマーケティングは彼らと深いレベルでつながります。これによりビジネスは成長し、信じられないほどの利益を生むでしょう。なぜなら、見込み客はあなたに理解されていると感じることで、あなたを信頼して好きになり、喜んであなたから学ぼうと思うからです。見込み客とあなたとのつながりは、競合他社とは一線を画すものになります。
調査に時間をかけると、見込み客はあなたの言葉を聞いてくれる可能性がより高くなり、まるで聞く耳を持たない平均的な人々に比べて、その可能性は100倍も高くなります。これが、他の誰にも勝る、独自のアドバンテージを得ることができる方法です。見込み客についてどのくらい知っておく必要があるかを考えるには、家族でも親友でも誰でも良いので、あなたが人生で出会った人々の中で、あなた自身よりもあなたについて知っている人のことを思い浮かべてください。あなたが言ったことやしたことに対して、その人だけがあなたの本当の気持ちを見抜いていた、といった経験がおありでしょう。あなた自身も、指摘されるまで自分の気持ちに気付かなかったかもしれません。
一つ例を挙げましょう。僕には、結婚してから6年になるパートナーがいます。今現在、僕は、彼女自身よりも彼女のことを良く知っているつもりです。彼女がそれに同意するかはさておき、僕はそう感じています。ほんの1、2週間前まで、彼女はサングラスを持っていませんでした。僕らが付き合い始めてからというもの、彼女は一つも持っていたことはありませんでした。僕らはトロピカルな国に住んでいて、ハイキングに出かけたりビーチに行ったりと、しょっちゅう屋外に出ていることを考えると、これはちょっとおかしなことだといつも思っていました。
先週末の晴れた日、僕らは2人の子供をベビーシッターに預けて野外イベントに出かけましたが、彼女はずっとしかめっ面をしていました。僕がなぜかと聞くと、彼女は、太陽が眩しすぎて目を細めているんだと答えました。その後会場を歩き回っていると、ようやく売店で売っているサングラスが見つかりました。僕は、ほっとしました。これで彼女は、目を細めることなく一日を楽しめるでしょう。でも彼女はこう言いました、「大丈夫、要らない。」
これが間違っていることは明らかです。彼女は明らかに、大丈夫ではありませんでした。彼女は常に目をつぶって歩き回っていましたから。僕は、一体どういうことだろう?と不思議でなりませんでした。彼女はなぜ、要らないと言ったんだろう?これがもしただの友達だったら、きっとサングラスが欲しくないだけだろう、と思ったでしょう。でも彼女がそう言った訳ではありません。彼女は、「欲しくない」とは言いませんでした。「要らない」と言ったのです。
僕は彼女と結婚して6年にもなるので、彼女が「欲しい」と思う気持ちと「必要だ」と思う気持ちの間に、微妙な違いがあることを理解していました。彼女がそう言ったとき一体何にためらっていたのか、僕にはすぐに分かりました。サングラスに2,000円払うことに罪悪感を感じたのです。サングラスが欲しくなかったのではなく、それが高すぎると感じ、お金を使いたくなかったのです。
彼女は常に、不必要なものにお金を使うことを嫌っていました。お金を使うと罪悪感を感じるということも、僕は知っていました。罪悪感のために、高すぎるサングラスを買うよりも、眩しさを我慢して歩く方を選んだのです。彼女が言っていることを理解した後、サングラスを手に入れるよう彼女を説得するのに、30秒ほど掛かりました。外の光はとても眩しく、目の快適と健康のためには、2,000円くらい大した額ではないと、僕は彼女に言いました。
最も重要なことは、彼女が罪悪感を抱く理由はないし、その日をもっと楽しむことができるように、買うべきだと言ったことです。彼女は何て言ったと思いますか?彼女はこう言いました、「わかった、そうかもね。」そして彼女は、僕が知る限り初めてのサングラスを買ったのです。外で目を開けていられることがどれだけ幸せかと話しながら、彼女は一日の残りの時間を過ごしました。
そのあと、上海経由ロッテルダム行きの便を待つ空港の免税店で、僕の妻がサングラスを物欲しそうに眺めているのを見て、僕は一安心しました。ようやく妻にもサングラスの重要性が理解されたからです。
このように、誰かのことを良く理解していれば、彼らが何を望んでいるのか分かるときがあります。僕の妻の問題は、サングラスが欲しくない訳ではないけれど、お金を使うのに罪悪感を感じるということでした。こういった関係を、皆さんも見込み客との間に築くべきです。彼らの問題を解決するためには、彼らの人生における問題が何であるかを、実際に知ることが必要です。ここで、先ほど触れた二つの利点に戻りましょう。本当の意味で人々を助け、信じられないほどの利益を生む商品を作ること。これら二つの利点をより深く掘り下げて、実際にどれほどのインパクトがあるかを明らかにしていきましょう。
まず一つ目。人々を本当に助ける商品を作るには、まず彼らのことを知らなければいけません。またJumpcut の例を出しましょう。数年前KongとJessyは、Simple 30という商品を作りました。これは初め、30日間のプログラムで、自分に自信を持てない人々や、社会不安や鬱病を抱える人々に、日々の課題を与えるものでした。この課題は、彼らが問題を克服するのを助け、ありのままでより快適な生活を送ることができるように作られていました。
彼らが調査を始める前、生徒たちが望んでいることは、単に女性と話すときの緊張を克服し、デートの約束をより多く取り付けることだと、Jumpcutのメンバーは考えていました。論理的に考えれば、これは妥当な推測です。彼らが目標と言う、デートの約束を取り付けるにあたって障害となっていたものは、緊張でした。ですが、後々判明することですが、もしJumpcutがその情報だけを基にしていたなら、その商品はほとんど何の役にも立たなかったでしょう。
彼らは、自分たちが緊張を克服するために試してきたことすべてをまとめ、この考えを中心にマーケティングを展開していたかもしれない、と後になって振り返っています。見込み客が何を経験してきたのか、どうやって彼らを助けるか、どうやって彼らに語りかけるか、どうやって彼らとつながるのか、といったことは知る由もなかったでしょう。そして、JessyさんとKongはこの見込み客の調査に数週間を費やした結果、彼らにとって衝撃的な、微妙な差異をいくつも見出すことになったのです。
Jumpcut はこのおかげで、商品のアイディアを、初対面の人と上手く話せるようになることを目的とした30日間のプログラムから、不安や鬱の克服を支援するプログラムへと、転換することができました。そして、女性と話をすることに加えて、新しい友達を作ったり、ありのままの自分で快適に過ごしたりすることへと、目的も拡大しました。彼らが内なる悪魔と戦っていることを、Jumpcutは知っていたと言います。彼らが望んでいると言ったことと、彼らが本当に望んでいたことを、彼らは分かっていました。そして最も重要なことは、彼らを実際に助ける方法を知っていたことです。
Simple 30は、信じられないほどの反響を呼びました。受講生の人生の変わりようは、市場の誰もが予想もできなかったほどでした。彼らは、Jumpcutのおかげで人生がすっかり変わったと言って、メールを送ってくれたそうです。コミュニケーション能力が向上した。新しい友達ができた。文字通り誰とでも会話できるようになった。これらはすべて、Jumpcutが調査をしっかり行っていたからです。見込み客にとって何が役に立ち、マーケティングの何に対して反応するのか、彼らが正確に理解していたからでした。
それでは、二つ目に進みましょう。見込み客のことを理解していれば、信じられないほどの利益を上げられます。この典型的な例は、音楽業界です。誰でも良いので、お気に入りのアーティストを想像してください。彼らのアルバムやライブチケット、グッズ等が発売されると、人々は大騒ぎしてお金を投じます。チケットは売り切れ、曲はビルボードチャートやオリコンにランクインし、人々は誇らしげにTシャツを着ます。
こうした商品を購入することは、ビジネス上の取引とは感じられませんが、実際はそれ以外の何物でもありません。Taylor Swiftがアルバムをリリースするとき、誰も彼女がそれを売っているとは感じません。人々はむしろ、彼らがコンテンツをこの上なく愛しているので、彼女がそれを与えてくれているように感じます。それに加担することは実際、ほとんど特権のようにすら感じられます。僕は数年前、ミスターチルドレンのライブに行ったことがあります。札幌ドームに5万人が来ていました。正直なところ、チケットに1万円以上払ったにもかかわらず、その場にいられたことをとても光栄に思いました。
このように、見込み客のことを理解していれば、マーケティングにすらも感じられないような方法で、商品を販売できるのです。皆さんかつて僕たちからコースを購入した理由を考えてみてください。しばらく時間を取って、真剣に考えてみてくださいね。僕らのマーケティングについて、どう感じましたか?僕らのことを、あなたについて何も知らない、不誠実な見知らぬ他人だと感じましたか?そうでないことを願います。
おそらくですが、あなたが人生に望むものを、僕らが良く理解していると感じて頂けたのではと思います。僕らが同じ状況に置かれているように感じたのではないでしょうか?そして、大学での専攻や、9時〜5時の退屈な仕事というのが、唯一の選択肢ではないと。僕らがあなたの抱える問題と願望とを理解していたからこそ、あなたは僕らを信頼して、人生を変える助けとなるよう選んだのでしょう。こんな風に考えたでしょうか、「この人なら助けになってくれそう!コースを買ってみようかな。」
これと真逆の場合を考えてみましょう。見込み客のことを良く理解していなければ、どうなるでしょうか?誰でも一度は、本当にお粗末なマーケティングに出会ったことがあるでしょう。誰かがお金を吸い取ろうとしているように感じて、ついつい引いてしまうようなマーケティングに。この種のマーケティングは、不誠実な、ときに詐欺まがいのもので、しばしば担当者がマーケティングの調査段階で適切な注意を払わなかったために起こります。彼らは代わりに、見込み客が感じているであろうことを推測し、実行に移すのです。推測、最悪キーワードです。
見込み客が何に反応するか、推測してはいけません。そうする理由は何もありません。失礼を承知で言えば、推測などするだけ愚かなことでしょう。人々は賢く、彼らのグループに属さない人を容易に判別できます。騙されてお金を使わされているように感じたいとは、誰も思いません。見込み客は、彼らが知っていて、好きで、信頼している人々にお金を渡したいと思うでしょう。そして、あなたがその一人になる唯一の方法は、僕らの言うオーディエンス・イマージョンを実行に移すことです。見込み客になりきる、憑依するくらい彼らを理解しようとします。
顧客を深く理解する3ステップ
それでは次は、実際にこれを行う方法について、お話ししましょう。オーディエンス・イマージョンには、三つのフェーズがあります。第1フェーズでは、「ディテクティブ・マインドセット」を用いて、見込み客がどういった人なのかを深く理解するための、四つの重要な情報を特定する方法についてご説明します。第2フェーズでは、重要な情報を見つけるための、10項目のチェックリストをご紹介します。これにより、見込み客に関する最も質の高い情報をどこで見つけられるかが正確に分かり、何時間も独力どくりょく でインターネットを探し回る手間を節約できます。そして第3フェーズでは、「アバターアプローチ」を用いた、調査の活用方法をお教えします。これにより、競合他社に比べて10倍優れた商品とマーケティングを作り出すことができます。
さて、今見込み客の調査をするにあたって重要なことは、見つけた情報をまとめて、実際に物理的に追跡してみることです。
掲示板の長いスレッドで読んだものを必死で思い出そうとするのは嫌な作業でしょう。そうではなく、情報源をまとめたライブラリを参照できるようにしておくのが、望ましいですよね。これはまさに、僕らが皆さんのために行ったことです。
石崎式オーディエンス・イマージョンと検索してください。ダウンロードしてドキュメントを開いてください。ドキュメントに何を入力するかは後ほど詳しくご説明しますが、とにかくこのドキュメントは非常に重要だということを、まずは覚えておいてください。ビジネスが存続する限り、皆さんはこれを参照することになります。興味深い情報を見つけたら、直接引用をコピーして、このドキュメントに貼り付けてください。僕らは普段、コピーストーキングというシートに見込み客の情報を記入して、セールスレターやウェビナースクリプトに反映します。石崎式オーディエンスイマージョンはコピーストーキングの機能を引き継ぎかつシンプルに管理できるように進化させたものです。
また、ソースを示した列を用意しているので、情報がどこから来たのかを簡単に遡って確認できます。また、学んだことに関して、色々と雑多な考えも湧いてくるでしょう。他にも追跡したいことがあれば、このドキュメントを自由にカスタマイズしてください。ただし、しっかりまとまった状態を保つことをお忘れなく。情報の一元管理は基本の基本です。僕たちもGoogleドライブで1つフォルダの中に全ての情報やリソースをまとめて管理しています。
ご参考までに、僕らが過去に行ったいずれの調査でも、僕らは調査だけに数日間費やした後停止し、その時点で集まった見込み客からの直接の引用とインサイトは、数百にのぼりました。収集する調査情報が多いほど、見込み客に対する理解が深まります。どんな言葉を使っているか、彼らの感情を動かすものは何か、どのような問題の解決を支援してほしいと思っているかが、良く理解できるでしょう。これで、オーディエンス・イマージョンの第1フェーズに取り掛かる準備が整いました。
石崎式オーディエンスイマージョン
複製してお使いください。(Googleへのログインが必要です)
https://docs.google.com/spreadsheets/d/1w59mC-GAWOBA6S4rVzvSUwP0er_rJktWrcIEaQLSFlc/copy