今日はバックエンド商品を導入して売り上げを伸ばす方法についてレクチャーします。 多くの人は売り上げを伸ばすためにリストの数を増やしたり販売数を増やそうとしますが、商品の数を増やすのが1番簡単な方法であることを理解していません。商品の数を増やす事はセールスレターやウェビナーの成約率を上げることよりもはるかに簡単であるにもかかわらず多くの人がこの埋蔵金を見逃しています。商品の数を増やす、と いうことは価値を積み上げることだという観点から説明始めたいと思います。
まずあなたはバリュースタッキングのコンセプトを理解する必要があります。バリュー・スタッキングとは、見込み客を増やさなくとも収益を増やすことができるというコンセプトのことです。この戦略は、まるで魔法です。なぜなら、バリュー・スタッキングを正しく導入することで、何もない空間からお金が現れるように、売り上げを増やすことができるからです。
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あなたのビジネスに眠る巨大な「埋蔵金」のありか
このオンラインコースのマーケティングパートでバリュー・スタッキングについて紹介したかと思います。今回のレッスンでは、より詳しくこの戦略について、高度な視点からお話をしていきます。
商品とセールスファネルの組み合わせがあるとしましょう。おのおのがスムーズに運営されており、毎日新たな顧客を獲得しながら、自動的に収益を生み出しています。これは非常に素晴らしいことです。
しかし、巨大な「埋蔵金」があなたに気づかれるのを待っているのです。その埋蔵金とはなんでしょうか?これは、あなたに本当のファンがいて、そのファンとの間にすでに強力な関係を気づいているということを指しています。この意味わかりますか?
顧客という言葉はお客さんを一括りにしてしまうからこの埋蔵金に気付けないのです。顧客にも実はグラデーションがあるのです。そりゃそうです。僕たちはトリップワイヤーファネルでローチケットの商品を1つだけ販売しています。それは「オンラインスクール構築プログラム」という5700円の商品です。この5700円の商品を購入すると、その人ははじめてうちの顧客になります。大半の人はこの5700円の商品を購入するだけです。この顧客のLTV(ライフタイムバリュー・顧客生涯価値)は5700円。5700円の商品を買った人の幾らかはアップセルで9万9700円のコンプリートバンドルのライフタイムアクセスを購入します。さらにその後ろでオファーされるOnline School Building(8万9800円)を購入する人も多くはありませんが一定数いるのは事実です。
さてここまでやってきたお客さんのLTVを計算しましょう。5700円 + 9万9700円 + 8万9800円で、19万5200円です。先ほど大半のお客さんは5700円のローチケット商品を1つしか買わないと言いました。彼らもうちの顧客です。セールスファネルを辿り、追加のアップセル商品を購入した少ない人たちのLTVは19万5200円です。彼らもうちの顧客です。
さらに、Online School Building 2.0というサブスクの導入を支援する20万円のオンラインコースを追加で買う人もいます。その後ろに続く、Online Course Creation、こちらも20万円。さらにうちの商品で最も売れているEvergreen Factoryという商品、こちらも20万円ですが、この商品を追加で買う人もいます。ここまで紹介した商品を全て購入すると、彼らのLTVは79万5200円です。やはり彼らもうちの顧客です。彼らはもうすでに、僕たちのロイヤルカスタマーと言えるでしょう。
ロイヤルカスタマーの中には、石崎から直接コンサルティングを受けたいと考える人もいます。僕のコンサルティングは本当に高額だし、お金に余裕がある人でないと受けられないような価格設定にしてあります。いわゆる僕たちがAランクと読んでいる、社会的に成功している人たちを対象にしたサービスです。僕たちは、このAランクの人をペルソナにしてビジネスをしています。本を出版すればベストセラーになるし、講演の仕事を受ければ1回のフィーが500万円を超えるような人たちです。僕は知っているのです。彼らが、セミナービジネスで疲れ切っていることを。オンラインスクールを構築してビジネスをもっと楽にしたいと考えていることを。
最近になって、Teachableを導入した企業やビジネス界の有名人が多いと思いませんか?あなたが発見したTeachableを導入している企業や有名人がいれば、十中八九、後ろで僕たちの会社がサポートに回っていると思っていただいて構いません。僕たちはコンサルティングの上に、さらに高額な業務委託のサービスを用意しています。このサービスを購入できるのは、超儲かっている法人だけです。僕たちがClickFunnelsからTeachableの導入をまるっと請負うサービスです。不思議なことに、この超高額な業務委託のサービスに申し込む法人って結構いるんです。
どうでしょう?顧客のLTVにも差があることはお分かりになりましたか。下は5700円。上は1000万円を超えるのです。たった一人のお客さんが僕たちに1000万円を払ってくれる。このポテンシャルを埋蔵金と呼ばずしてなんと呼びましょう。
ちょっと考えてみてください。あなたは顧客の問題を少なくともこれまで1つは解決しているはずです。そして、ほかにもあなたが解決できる問題があるはずなのです。もっとわかりやすく言い換えましょう。あなたには、既存の顧客が喜んで購入すると分かっている別の商品やサービスを開発する願ってもないチャンスがあるということです。
このチャンスを生かすことで、月に100万円の収入を得ていた状態から、とても簡単に収入を200万円に増やしたり、さらに400万円に増やしたりすることができるのです。では、このようなチャンスを生かす具体的な方法をお話ししていきましょう。あなたのビジネスでバリュー・スタッキング戦略を活用し、収益を2倍、3倍、4倍にする方法です。
バリュースタッキング戦略の具体例
ここからは英語圏でよく売れているロングセラーコースの「ドッグトレーニングビジネス」を例にしてお話ししていきましょう。あなたは世界的に活躍するドッグトレーナーです。アメリカ人も日本人も犬好きは多いですね。たとえば、飼い犬のハウストレーニングのコンテンツに1万円の値付けをしたとしましょう。同じような価格帯でオンラインコース ビジネスをしているアメリカ人のネット起業家はたくさんいます。仮に毎月50人ほどの見込み客が購入してくれたら、50万円の売り上げになります。
すでに良い流れで売上が発生しているのですが、あなたはセールスファネルを自動化させることができたため、時間的にも余裕があります。そこで、あなたは別のソリューションを提供するための別のコンテンツ制作をはじめました。
何人かの顧客にヒアリングをおこなってみると多くの顧客が「飼っている犬が他の動物に対して攻撃的なことをやめさせたい」という悩みを持っていることに気づきました。そこであなたは「より行儀よく社会的になるようなドッグトレーニングの方法」を提供する別のオンラインコースを作成することに決めました。
このオンラインコースについてお知らせをする前から既存顧客たちは、僕を知り、そして気に入り、信頼してくれていました。なぜなら僕は彼らに良質なコンテンツをメールで送ってきたからです。こんな状況で僕は「より行儀よく社会的になるようなドッグトレーニングの方法」のオンラインコースを作るのに1ヶ月間を費やし、仮に1万円で販売するとしましょう。そうすると僕は、はじめて売り出したドッグトレーニングのコースとあわせて2つの商品を販売していることになります。
1つ目のコンテンツでは月に50万円の売上を得ることができています。話を簡単にするために、2つ目の商品も同様のコンバージョン率だと仮定しましょう。つまり、月に50万円の追加収入が生まれるということになります。そうすると、既存のセールスファネルにもう1つコンテンツのオファーを追加するだけで、効果的に収益を倍増させることができるのです。
フロントエンド商品を購入した人の20%はバックエンド商品を購入する
現実的には、コンバージョン率は同じになることはありません。既存の顧客の20%ほどが値段に関わらず後ろのバックエンド商品を買ってくれるというデータがあります。毎月の新規顧客が50人であれば、その後ろで2つ目のバックエンド商品をオファーすれば50人のうちの20%(10人)が商品を追加で購入してくれます。今回の思考実験では、2つ目の商品も1万円の値付けで販売することにしましたが、僕なら2つ目の商品に10万円の値付けをします。先ほど1つの重要な秘密をさらりと言いました。
既存の顧客の20%ほどが値段に関わらず後ろのバックエンド商品を買ってくれる
20%という数字はほぼ固定です。不思議なことですが、バックエンド商品はどんな値段をつけても、既存顧客の20%ほどが買ってくれます。もちろん法外な値段をつけた場合は別です。あなたがちょっと高いな思うくらいの値段をつけてバックエンドを売ってみましょう。この効果はバックエンドを売ったことのある人でないと理解できません。
- もしあなたが1万円のバックエンド商品を既存顧客50人にオファーすれば、10人の人が購入してくれるので売上は10万円になります
- もしあなたが10万円のバックエンド商品を既存顧客50人にオファーすれば、10人の人が購入してくれるので売上は100万円になります
あなたが1万円で商品をオファーしようが、10万円でオファーしようが、買ってくれる人は既存顧客の中に必ずいるということを覚えておいてください。
さて話を戻しましょう。実際には2つ目のコンテンツはどのように追加すればいいのでしょうか?1つ目の商品のマーケティング・シーケンスを通過した見込み客に対して、2つ目の商品に関するEメールを送り続けるという流れになります。これらをMailChimpやConvertKitのフローに追加することで、2つ目のセールスファネルへ移行させることが可能です。
1つ目の商品を購入してくれた人にOTO(One Time Offer)で2つ目の商品を販売してもいいし、1つ目の商品の購入とは無関係に、リスト全体に2つ目の商品をオファーすることもできます。
1つ目の商品を販売するセールスファネルと同様に、シーケンス全体を自動化することができ、まったく同じ流れで2つ目の商品を見込み客に対してアプローチすることができるのです。
まずはローンチを1〜2回実行して、セールスファネルの流れが順調に進行しているかどうかを確認しましょう。次に、同じマーケティングマテリアルを用いて、セールスファネルを自動化しましょう。エバーグリーンローンチに変更する時も、わざわざセールスマテリアルを作り直す必要はないということです。修正する点と言えば、締め切りに関する案内だけです。ライブのローンチでは具体的に締切の日を明言します。「クリスマスセールは12月25日までです」と。エバーグリーンローンチの場合、年中オプトインを受け付けるので具体的な日付の言及は削除し「残り三日間です」とか「残り24時間です」と言い回しを調節する必要があります。
商品の数を増やす = 価値の積み重ね
もしかするとここであなたはこんな不安を持つかもしれません。「1つ目の商品と同じだけの見込み客を獲得できるのだろうか?」「新商品を出したときに1つ目の商品の売上が下がったりしない?」しかし、実際にはあなたの不安とはまったく逆のことが起こります。
バリュー・スタッキング戦略を導入することによって、文字通り収益が増加することになります。なぜなら、見込み客に新たな商品を提供することによって新たな顧客を生み出すことができ、それに加えて既存の顧客に対して新商品をアップセルまたはクロスセルさせることができるからです。
新規の見込み客よりも既存の顧客の方が新商品を購入する確率が10倍高いという事実を、あなたもすぐに理解できるはずです。これは先ほども説明した通りです。通常、既存顧客のうち20%ほどは後続の商品を必ず購入してくれます。新商品に対する既存客のコンバージョン率と、一般的な見込み客のコンバージョン率では大きな差があります。つまり、2回目のコンテンツを販売することでコンバージョン率は高まり、3回目には既存客が増えているはずなので、さらにコンバージョン率が高まるということです。
これがバリュー・スタッキング、つまり「価値の積み重ね」の大きな意味なのです。バリュー・スタッキングを念頭に置くと、今後できるだけ早く複数のオファーを出していくことが理想的だと言えます。はっきり言って、バリュー・スタッキング以上にビジネスの成長に効果的なものなどありません。
例えば、僕がはじめてJumpcutの商品を購入した時、彼らの商品カタログには$997のInfluencer Academy 1.0というプログラム1つしか存在していませんでした。僕はInfluencer Academy 1.0を購入しました。Kajabiで運用されている受講生のダッシュボードに行くと、グレーアウトしたサムネイルに「Automated Income Machine」というコースタイトルが表示されており、その下に「Coming Soon」の文字列がありました。Automated Income Machineは、次の年の春にローンチされました。僕は迷うことなく買いました。CEOのKongから直接フィードバックがもらえるボーナス付きの、先行販売の段階で買いました。Automated Income Machineも値付けは$997でした。
この時点で僕の顧客価値は$1994です。自分で自分のことを顧客価値と呼ぶのはなんか奇妙ですね。
じゃあ今はどうか。僕の受講生ダッシュボードには、Contagious Contents と、Facebook Ads Bootcamp と、YouTube Video Ads の3つが追加されています。いずれも$997です。最近、Art Of Business という$997の商品も追加購入しました。
もう言わんとしていることはわかると思います。カタログに1つの商品しか用意してなかったら、僕は1つの商品しか買わなかった。Jumpcutにとって僕の生涯顧客価値はたったの$997です。でも彼らが商品を積み重ね、価値を積み重ねた結果、顧客としての僕のLTVは$6000近くまで上昇したことになります。
ただし、以前のモジュールで何度もお伝えしてきた通り、バリュー・スタッキングをうまく活用するためには、コンテンツで見込み客たちの心を揺り動かす必要があります。あなたのコンテンツを購入した人たちは胸を躍らせ、次のコンテンツも、さらにその次のコンテンツも、すべて手に入れたいと思わせる必要があるのです。
そんなこと起こりうるのでしょうか?あなたは疑問に思っているかもしれません。「誰がお前らの20万円の商品を買うかよ。それも複数」と。でもね、実際に起こっているんですよ。お客さんから「商品を売ってください」と連絡が来ることが。それも毎日のように。神田昌典さんはこれを「お客さんから手を挙げてもらう」と表現しています。この商品欲しい人?と聞いて手を挙げてくれた人だけに商品をうる、と言ったニュアンスでしょうか。
石崎力也のバリュースタッキング戦略
僕たちのビジネスはバリュー・スタッキングを活用した成功事例の1つです。ローンチした初月では売上が136万円だったのですが、6ヶ月後にはバリュー・スタッキングを活用することによって1,200万円もの収益を獲得することができたのです。
コンテンツの売上を爆発的に伸ばすことができるかどうかは、バリュー・スタッキングにかかっていました。僕たちの戦略はこうです。
まずコンプリートバンドルを売り出しはじめました。これは、かつて月額5,400円で販売していたメンバーシップサービスで、Teachableの導入方法やDeadline Funnelの使い方などのついての有益な情報を週1回配信していました。
その後、Online School Building という高価なプログラムを販売しました。これはコンプリートバンドル以上にハイレベルな情報を求める人に対して売り出したものだったので、9万9,800円という価格設定にしました。
ほかにもいくつかアップセルのコンテンツがありましたが、特にコンプリートバンドルとOnline School Building が、事業のバリュー・スタッキングにおいては重要な位置づけとなりました。先に挙げた2つのコンテンツは、誰もが予想していなかった速度で僕と小川さんのビジネスを月々数十万円のお小遣い稼ぎレベルから数千万円規模の事業規模にまでグロースさせてくれたのです。
僕たちのコンテンツのファンたちは、さらに多くのコンテンツを求めてくるようになりました。すでに彼らは、僕らにとっての一生涯の顧客となっていたのです。だから新商品が提供されることを熱烈に望んでいました。
さて、ここでも新たなハイテクガジェットを購入するためだけに、一晩、店の外でキャンプする人々のことを考えてみましょう。僕はマーケティングを学んできた中で次の言葉をとても気に入っています。それは、
「人は買うのは大好きだが、売り込まれるのは大嫌いだ」
という言葉です。この言葉は、あなたがマーケティングを学べば学ぶほど的を射た事実であると理解できるでしょう。
どんな人でも、自分が望まないような商品にお金を払いたくありません。しかし、自分の問題を見出したり、その問題に対する効果的な解決策を提供してくれたりする商品、つまりは自分が本当に求めているものを提供してくれるものに対しては喜んでお金を払います。
何が言いたいかわかりますか?そう、より多くの商品を開発して、見込み客の人生の中でさらに多くの問題を解決する手助けをするべきだということです。見込み客と深い関係を築き、しっかりと時間をかけてブレインストーミングをすれば、コンテンツをほぼ無限に作り出すことができますし、いくらでも価値を提供することが可能なのです。僕はこれまでUdemyに100近くのデジタルマーケティングに関するオンラインコース を供給してきました。2020年の4月、僕は新潟県の人参亭というとんかつ屋さんで、1400円のロースカツ定食を食べていました。ふと思い出したようにUdemyの講師ダッシュボードにログインすると、$4000近くのコース売上が計上されていました。日本円にすれば40万円ほど。自慢できるほどの金額ではありません。でも、毎月40万円近い収入が、2015年の2月からずっと続いていると言えば驚かれるのではないでしょうか?
初月は数ドルだったコース売上も、次の月には$300を超え、1年もしないうちにコース売上は$3000を超えるようになりました。さらに売上は伸び続け、ブラックフライデーのプロモーションで$6700のコース売り上げを達成した時、僕は小さくガッツポーズをしました。その時、トータルでのコース売上を確認すると$100,000を優に超えていたのです。なぜだかその時、Udemyというたった1つのプラットフォームから得た不労所得で、テスラモーターズの車が買えな、と思ったのです。2015年の2月にオンラインコース を供給し始め、バリュースタッキングを積み重ねた結果、完全にハンズオフで得たコース売上が$100,000を超えたのです。
さらに今では、サブスクを教えるOnline School Building 2.0、フラグシップ商品の作り方を教えるOnline Course Creation、エバーグリーンファネルの作り方を教えるEvergreen Factoryの3つのプレミアム商品を、カタログに加えるまでになりました。バリュースタッキングの戦略で僕と小川さんのビジネスはスケールしたと言えます。
ただし、バリュー・スタッキングを含めて今回のレッスンで学ぶすべての戦略は、一生涯の顧客を獲得するというメンテリティを持っていないと成功はしないということを覚えておいてください。
もしあなたが1つ目のコンテンツで見込み客に約束した価値を提供しなかったとすれば、2つ目、3つ目のコンテンツが売れることはありません。逆にあなたのコンテンツが見込み客に対して確実な価値を提供するものであるのならば、ビジネスのグロースは無限大です。
フロントエンド商品・バックエンド商品とは?
バリュー・スタッキングの基本は、すでにご存知のはずです。基本にもとづき、よりハイレベルなコンセプトについてお話ししていきましょう。バリュー・スタッキングには2つの高度な概念があります。それは「フロントエンド・マーケティング」と「バックエンド・マーケティング」です。この2つを理解するだけで、競合他社に対して大きな優位性を持つことができます。なぜなら、この2つの高度な概念を理解している企業はほとんどないからです。
フロントエンドにおける販売は、あなたと見込み客のはじめての取引です。たとえば無料トライアルへの登録や、1,000円の電子書籍を購入したり、10万円のオンラインコースの受講など、さまざまな取引があるはずです。どのような取引でも、あなたと見込み客とのはじめての取引がフロントエンドを指しています。
一方、バックエンドにおける販売は、はじめての取引、つまりフロントエンドの販売後に発生するすべてのトランザクションを指します。あなたの既存客が2つ目の商品を購入したり、あなたが後日ローンチした別のサービスに登録したりする場合はバックエンドとなります。
ここで重要なのは、フロントエンドとバックエンドで大きく異なる心理が見込み客の中で働いているということです。だからフロントエンド・マーケティングとバックエンド・マーケティングには、まったく異なるアプローチが必要なのです。この差異をしっかりと理解してマーケティングを適切におこうのと、理解せずにおこなうのでは、利益に大きな違いが生じます。
フロントエンド商品の売り方
まずはフロントエンドについての話から始めましょう。まずは、あなたの見込み客の中で、まだあなたから何も購入したことがない人のことを考えてみてください。彼らはすでにメルマガに登録をしたり、ソーシャルメディアであなたのアカウントをフォローしているかもしれません。ただ、いまだに彼らはあなたのことを信頼していませんし、深い関係も築けていません。
もちろん、彼らはあなたのことを好きかもしれません。それにあなたのコンテンツに対して一定の評価をしている可能性だってあります。しかし、彼らがクレジットカードを実際に取り出してあなたから何かを購入したことがなければ、彼らに高価な商品を買ってもらえる可能性はかなり低いでしょう。
クレジットカードを使ったことがあるかどうか、これは非常に大きなポイントです。たった100円の購入でも、もしくはクレジットカードが必要な無料トライアルへの登録でも、彼らは明確に投資をしているのです。
クレジットカードを使うということは、彼らがあなたのコンテンツに自主的にお金を払うということの意思表明です。そして、ここに鍵があります。彼らがクレジットカードを使用したとき、心の中で、彼らはあなたの顧客であるということを認めたことになります。
どんな商品に対してでも構いません。100円ぽっちでも投資するということは、最高の顧客の1人になるための、あるいは一生涯の顧客になるための大きな一歩なのです。たとえ500円でもあなたに使ったことがある人と、あなたの商品を1度も買ったことがない人との差は計り知れないほどです。
Facebookが有料なら誰も使わない理由
シリコンバレーには「最初の$1を課金する」という言葉があります。FacebookもGoogleも無料でサービスを提供しています。そうですね、Facebookにランチの画像をアップロードするときにお金を払っていないはずです。でもFacebookは従業員に人件費を払うだけでなく、あなたがアップロードしたランチの画像を保存しておくサーバーに多大な費用を支払っています。Gmailもメールを送るたびに僕たちはお金を払っていませんよね。GoogleもFacebookと同じく人件費、通信費、消耗品費などたくさんのお金を使って、あなたがGmailを快適に使えるように日々努力をしています。じゃあ質問です。Facebookが有料だったらあなたは続けますか?あるいはGmailやYouTubeの視聴が有料だったらあなたはGoogleのプロダクトを使い続けますか?
YouTubeは最近、広告をスキップできるYouTubeプレミアムという月額課金のサービスを始めましたね。iPhoneでのバックグランドでの再生、オフラインで使えるダウンロード機能も含まれています。YouTube Musicも含まれているから、音楽も聴き放題。さて、あなたはこのサービスに申し込んでいますか?月々たったの1000円ほどです。
ほとんどの人は首を横に振ります。なんで無料で視聴できるものにお金を払うんだよ、と。仮に広告が表示されて、僕たちの大事な生命時間がつまらないダイエット商品の宣伝を見ることに浪費されたとしても、やはり意地でも毎月1000円を払おうとしないかもしれませんね。まさにあなたの中に発生した気持ちが、シリコンバレーの起業家を悩ます$1の壁なのです。
逆に一回でも課金させることに成功させたら、二回目の以降の課金はさほど難しくはありません。ビジネス用のメールアドレスを取得しGoogle Driveを仕事で活用するために、僕たちはG Suiteのサービスに毎月7000円を払っています。「払っています」と言っても、クレジットカードを登録してあるだけで勝手に料金が課金されているだけなのでお金を使っている感じは全くしません。Facebook広告にも、Google 広告にもそれぞれ毎日1万円以上を突っ込んでいるし、その広告を運用してくれる代理店にも消費金額の20%を毎月お支払いしています。でも、毎月合計でいくらのお金が出ていっているのか僕はよく知りません。一旦広告の設定をしたら、あとは放ったらかしです。広告代理店の方が勝手にやってくれているので。
何が言いたいかわかりますか?企業が1回目の取引に成功したら、2回目の課金はむちゃくちゃ楽勝だということです。1度誰かがあなたと取引をすることで、その誰かはあなたと別の取引をする可能性が非常に高くなるということです。コンフォート・ゾーンという言葉をご存知ですか?これは人が安心できる空間を表します。人間はリスクを嫌う生き物なので、新しいことに挑戦させるということはとても難しいことなのです。
新しいことに挑戦するということには、常にリスクが伴います。そのため、これまで取引をしたことがない企業や個人から商品の売り込みを受けたとしても、大きな抵抗感が生じてしまうのです。
顧客はあなたの作った階段を一段ずつのぼる
これはまさに階段を登るようなプロセスだと想像してください。なぜならこの問題は、あなたの商品を買ったか買わないかという二択以上に深い話だからです。階段の一番下には、あなたの存在をまだ知らない人々がいます。そして階段の一番上には、あなたの商品ならなんでも購入するという一生涯の顧客がいます。
では、この2つの段差の間にあるすべての階段を撤去したらどうなるでしょうか?そこには、2階建くらいの高さの差がある2つのフロアしか残っていません。この6メートルくらいの段差を、一気にジャンプして登ることができる人なんているでしょうか?もちろんいませんよね。大事なことなので繰り返します。
顧客は一段ずつ階段をのぼる
あなたのことをまったく知らない、もしくは人間関係ができていない人を、一生涯の顧客にしようとするのと、これくらいの無理が生じるのです。そこで、誰にでも6メートルの段差を乗り越えられるように、階段を与えてあげましょう。1度に6メートル上のフロアまで飛び上がらせものにはなく、ゆっくりと「一生涯の顧客」になるまでの階段を作ってあげるのです。
1段目:無料コンテンツ
たとえば1つ目の階段は、コンテンツの一部やブログ記事、ビデオコンテンツ、または広告を見てもらうということです。ここであなたは彼らに自己紹介をします。しかし焦ってはいけません。まだ彼らにとってあなたは「よそ者」なのですから。
この段階では、文字通り「ゼロ・コミットメント」「ゼロ・リスク」でなければならず、彼らがもしあなたのコンテンツに興味を示さない場合には、視聴する義務もゼロでなければなりません。たとえばブログ記事は最初の2行を読んで、その内容が気に入らなかったとすればすぐにウィンドウを閉じればいいだけなので、実質「ゼロ・リスク」だと言えます。
2段目:オプトイン
この次の階段は、オプトインです。ここではじめてリスクと義務が発生することになります。もうすでにここで言うリスクと義務はご存知のはず。つまり、彼らのメールアドレスです。あなたが彼らにコンテンツを提供する引き換えにメールアドレスを要求し、その後あなたはメールを送ることになるでしょう。
つまり、もし相手があなたのことを嫌っていたとしても、あなたのマーケティング・メールをすべて受け取らなければなりません。また、もしあなたが彼らの情報や何かしらを販売する倫理的ではない悪徳マーケターだった場合には、彼らは自分のメールアドレスを晒し、スパムが送られ、最悪PCが破壊されるリスクを負わなければならないわけです。これはメールアドレスを要求されるという一見小さく見える出来事に対する、非常に大きなリスクだと言えます。無料だとは言っても不安がつきまといます。
僕が言っている意味が分かりますか?ここから学ぶことができるのは、本質的に「無料」というものが存在しないと言うことです。無料のオファーには常にリスクや不安がつきまといます。だから最近では、無料のサービスに登録してもらうことすらとても困難になっています。僕がネブラスカ州立大学に入学して、コンピューターサイエンスの授業で中国系アメリカ人の講師から最初に学んだ言葉はこれです。There is no free lunch.
ワイヤード編集長のクリスアンダーソンはポッドキャストでこう言っていました。
あなたは確かにFacebookにお金を払っていないかもしれません。だけど対価ってお金だけですか?あなたは生命時間というお金以上に大事なものを支払っているのではないですか?
日本の義務教育は無料だと言い切る人もいるかもしれません。だけどその義務教育を真面目に受けて大人になったほとんどの人は源泉徴収税が何かを理解していません。義務教育を無料で配り、税金で課金するのは、まさに国家が仕掛けた巨大なフリーミアムモデルです。初月無料で申し込み2ヶ月目に課金されていたことに気付かない人と全く同じ構造です。
僕が言いたいのは、オプトインしてもらえただけで万歳だということ。Ubersuggestを運用しているNeil Patelは、こう言います。
メールアドレス1つにつき毎月$1の収入が生まれる
あなたが2000のリストを持っていたら、毎月$2000の収入が発生していないとビジネスモデルのどこかがおかしいかもしれません。一方で、セールスファネルを用意して、20万円以上の高額商品を販売すれば、2000のリストでも毎月$20000の収入が発生することもあるでしょう。1つのオプトイン、1つのリストにはそれくらいの価値があることを覚えておいてください。
3段目、4段目、5段目:ステップメール
さて、何はともあれ彼らのメールアドレスを手に入れたとしましょう。あなたが新しいメルマガの読者と関係を築くまでに、さらにいくつかの階段があります。そこで、あなたが彼らと関係を築くためのコンテンツ・メールを送信することになります。ここがまず1つの階段ですね。次に、彼らが何かを学ぶことができる無料のビデオコンテンツを送ります。これが次の階段です。次に彼らの世界観を変えるような、あなた自身の人生にあったおもしろい、そして感動的な物語を送りましょう。これが3つ目の階段です。
あなたが彼らから頼りになる専門家として認められるにはもう少しです。彼らはすでにあなたのことを認めており、コンテンツ自体も気に入っています。簡単に言えば、彼らからの信頼を勝ち得たということです。なぜなら、彼らはあなたのマーケティングを通して、あなたがすばらしい人間であるということを理解したからです。
6段目:セールス
さあ、次が最後の階段です。ここが1番の難関、彼らにクレジットカードを取り出させるということです。ここを甘く見てはいけません。どんなものに対してでも、たった100円を使わせるということには非常に強力なマーケティングが必要です。もしあなたが彼らにはじめて支払わせる金額が10万円だとすれば、それ以前の階段でかなり巨大な信頼を築く必要があります。
僕はこの巨大な信頼を築く方法を知っています。もし僕の売っている商品が980円やそこらのオンラインコース であれば、デザインセンスのないサイトと、ダサい服を着て強張った表情のまま腕組み写真を撮り、ブログのサムネイルにそれを突っ込み、プロフィールに「英語とウェブマーケティングが得意です」とかなんとか書いておけばそれでいいでしょう。でも僕たちが売っているフロントエンド商品は20万円の商品です。20万円の商品を初対面の人に買ってもらうには、それなりのハードルを越えさせる必要があります。
そのため僕はビデオを活用することにしました。ここでいうビデオとは、フルサイズの一眼レフカメラで撮影し、プロに編集してもらった映像のことです。ホワイトボードをバックグラウンドに設置したクオリティの低い映像でもなければ、クロマキーでグリーンスクリーンをレンガや木材の壁紙に変えた見るに耐えない映像でもありません。DSLRを駆使して、しっかりと編集された映像のことです。
僕たちはセールスの段階でビデオを多用します。セールスレターを書いて20万円の商品を売るのは容易ではありませんが、洗練されたビデオを作って20万円の商品を売るのはそれほど難しくないことを知っているからです。もし興味がある方は、僕たちのOnline School Building 2.0に使われているプリローンチコンテンツやいしこん2.0に使われている山田どうそんさんや竹岡佳信さんのビデオテスティモニアルを確認してください。
金子隆祐さんも最初は「えー、ビデオやるんですかー」という感じだったんですけど、僕が「金子さんの市場で目立つビデオを作ると突き抜けられるますよ」と説得したところ、しぶしぶDSLRとシグマの明るいレンズを購入して、クオリティの高いビデオの制作に取り掛かりました。まだビデオグラフィの初心者とは言え、いいカメラとレンズを使っているからビジネス全体に「ちゃんとした感」が出始めています。
ビデオグラフィは最初の一歩がとても重要であり、いいものを作ろうとする姿勢が大切です。1年や2年で身に付くスキルではありませんのでゆっくりとトレーニングしていく必要があります。僕の場合、海外の映像系のクリエイターたちを常にベンチマークし、彼らの作るコンテンツを真似ようと2014年にLumixのGH4を買ってから今日に至るまで映像の練習を続けています。
1回目の課金は難しいけど2回目の課金は超簡単な理由
とは言え、いきなりビデオを活用するのは学習コストがかかりすぎるしハードルも高いです。しかし心配しないでください。この顧客心理をうまく利用することができます。ここで登場するのがフロントエンドとバックエンドというコンセプトです。詳しく説明をさせてください。
先ほども言った通り、だれかにクレジットカードを取り出させ、現実的にあなたの顧客になってもらう前に大きなハードルがあります。しかし、もしあなたが彼らにコンテンツを購入させた後、彼らが満足しさえすれば、そこからは最高のゲームが始まります。ビジネスがうまく回っている企業は新規開拓ではなく既存顧客の対応に重点を置いている理由がよくよくわかるようになります。
やずやのCMを見たことあると思います。あらゆるものが初月無料でオファーされています。うちの祖母も僕の名前や母親の名前を使って、勝手に家族の分を申し込んでいました。気付かずに次の月も課金されているのに。やずやの収益源は、一見さんではないことは明らかです。彼らのサブスクリプション に申し込んだ既存顧客からの収益です。
もし彼らがあなたの商品に満足したら、彼らはそこから永遠に階段を登っていくことになるでしょう。彼らはドアを通って2階に上がり、あなたは見知らぬ人ではなく、友人であり、彼らの関心ごとに対する専門家となるのです。
2つ目以降の商品をオファーした時、少しでも彼らのエキサイトした気持ちがピークに達するようなコンテンツを提供することができれば、彼らは間違いなく、なんの疑問も抱かずに、その商品を購入することでしょう。1度彼らがあなたから何かを購入すると、彼らは階段を大きく駆け上がります。その段階ですでに彼らは、あなたの顧客であるという事実を心の中で受け入れているのです。
僕はAppleのロイヤルカスタマーです。彼らがiPhoneを発売すれば、ギズモードのブログ記事を読まずとも、今持っているiPhoneを下取りに出して新しいものを買います。iMacの新しいのが出れば、フルスペックのものを注文するし、MacBook Proも毎年のように買い替えています。ちなみに先ほど紹介した金子隆祐さんは転売のプロです。金子さんは、買い替えのタイミングで古いMacBook Proを市場価格より高い値段で買い取ってくれます。僕はMacBook Pro 2018を80万円で購入しました。金子さんはそれを20万円で買い取ってくれました。後で聞くと、金子さんはそれをヤフオクで35万円で販売したそうです。すごい!
そうそう、僕はAppleの忠実な顧客だという話。Appleが新商品を発売すれば、盲目的に、何も考えずに買ってしまいます。それは、Appleの商品は良いものだという思い込みが僕の中にあるからです。
僕がAppleのファンになる過程。このプロセスは何か新しい習慣を身につけようとする初日に似ています。何かを継続しようと決意するとき、初日がもっとも大変ですよね。でも続ければ続けるほど、継続にエネルギーは必要なくなります。
そう言えば、2020年の冬、コロナウィルスが世界中で蔓延しましたね。僕たちは苗場スキー場とかぐらスキー場で毎日のようにスキーとスノボをしていましたが、4月の末日に緊急事態宣言の影響を受けてすべてのスキー場がクローズしました。僕はまだまだコブの練習をしたかったのですが、断念。5月の末日まで湯沢のリゾートマンションを借りていたし、やることもなかったので、体を動かそうと思いジョギングを始めました。初日は本当にしんどかった。でも二日目、三日目と少しずつ距離とタイムを伸ばすにつれて、負荷は小さくなりました。1週間もすれば、アルペンスキーヤーの若月隼太選手も同じジョギングロードを走っているのに気づき「こんにちは、次のワールドカップ頑張ってください」と挨拶できるほど余裕が出てきました。もしそれが初日の出来事であれば、きっと自分のことで精一杯で若月選手どころか景色すらも全く見えていなかったことでしょう。
初日が一番しんどい。でも習慣になっちゃえば勝手に体が動く。1時間ほどジョギングしてマンションに戻り、大浴場で汗を流した後に飲むキリンラガービールはまじでうまい。そう思えるまでになったのは習慣のおかげであり、初日の第一歩を踏み出したおかげです。
あなたが彼らの信頼を裏切らない限り、彼らには、新規の見込み客と比べて何百倍、何千倍の確率であなたの新商品を購入するという可能性が秘められています。これがバックエンド・マーケティングです。顧客を獲得した後、さらに包括的でハイレベルなプレミアムコンテンツを提供することで、より高いコンバージョン率を叩き出すことができます。
フロントエンド商品は「断れないイレジスティブルオファーだ!」
僕たちのオンラインコース・ビジネスのモデルについて紹介させてください。まずコンプリートバンドルという、うちの商品の中では比較的安い商品を販売します。比較的価格の低い商品を、デジタルマーケティングの世界ではローチケットプロダクトと言います。その逆はハイチケット。まず安い商品を販売することで、これまでリードだった見込み客を、お金を払ってくれた顧客へと変換します。次に顧客に対してハイチケットの商品をオファーします。うちの商品のカタログで言えばOnline School Building 2.0、Online Course Creation、Evergreen Factory、がハイチケットの商品です。これらはいずれも20万円の価格設定になっています。
20万円の商品なんて買うのかよ?とあなたは思うかもしれませんが、問題なく商品は売れていきます。しかもエバーグリーンローンチで。僕がエバーグリーンローンチ と言った時、それが意味するのはライブのセールスではないという意味です。要は自動で売れていく、という意味です。なぜ20万円の商品が自動で売れるかと問われれば、バックエンドマーケティングを使っているから、と答えます。すでにローチケットの商品を買ってくれたお客さんはもううちの顧客です。新規の顧客に20万円の商品を売るのは難しいですが、フロントエンド商品で僕のパーソナリティや実力、商品の効用を理解した人は、かりに商品の値段が20万円でもそれが彼らの悩みを解決するものであれば購入してくれます。
Amazonで何かを買ったことはありますか?きっと、はじめてAmazonを利用するとき、あなたは何かしらのためらいがあったはずです。ちなみに僕が人生で初めてAmazonを使った時、まだカタログには書籍やCDあるいはDVDしかありませんでした。僕は高校生でした。2006年の4月7日。ヤフーBBが無料で配っていたモデムを設置してインターネットを引いて、Amazonでショッピング。購入した初めての商品はMr.Childrenのドームツアー 2005 “I LOVE U” FINAL IN TOKYO DOME でした。インターネットでものを買う体験なんてほぼ初めて。あなたもそんな経験ありませんか?
もしかしたら購入ボタンを押すのに数分間、考える時間が必要だったかもしれません。でも、もし今日Amazonで何かを買うのならすぐに購入ボタンを押してしまえますよね。きっとほしいアイテムをクリックしてカートに追加して、配送先を指定し、60秒以内に商品を購入することができるでしょう。僕の場合、iPhoneで右にスワイプするだけです。それで次の日に会津産の無洗米1kgが届くのだから驚きです。
ここで僕が言いたいことが分かりますか?最初にも言った通り、フロントエンド・マーケティングとバックエンド・マーケティングにはまったく異なる目標があるということです。そのため、それぞれのマーケティングとオファーは、異なるアプローチでおこなわなければなりません。
フロントエンドで販売する商品を作る際には、彼らが購入にためらいを感じないような、彼らが絶対に「買わない」と言えないような、メンタル面に摩擦の少ないものを考える必要があります。イレジスティブルオファーですね。断れないオファーを作ります。多くの企業が無料トライアルを用意する理由はここにあります。
多くの企業はできるだけ見込み客との間に起きる心理的な摩擦や不安を最小限にしたいと考えています。企業は見込み客に商品を使ってもらい、Webサイトでアカウントを作成してもらいたいのです。そうなることで、見込み客がその企業の商品を購入する可能性が何万倍にも跳ね上がるのですから。そして、見込み客は企業のオファーが正当なものであったということに納得するでしょう。
あなたはこのようなオファーをこれまで見たことがあるはずです。「初月無料でお楽しみいただけます」「まずは当社にお越しになり体験してください」「後日、無料のビデオトレーニングを提供します」「今お金は払わないでください。1週間の体験期間の後に有料サービスに移行できます」いずれもフロントエンド商品を売るためのオファーです。
現在、僕たちは無料トライアルや初月無料のオファーはおこなわれていませんが、考え方としては非常に似ているところがあります。
もう1つ例を挙げましょう。とても上手なマッサージ師が在籍しているので、3年前から通っているサロンがあります。自宅を引っ越してからも、わざわざ遠い街にまで足を運んで通っているのです。いわば、心のやすらぎを得にいくようなものですね。
ほかにもすばらしいマッサージサロンはあるはずです。これは間違いありません。しかし、はっきり言ってリスクを犯したくないというのが本心です。新しいマッサージサロンに行って嫌な思いをしたらどうしようと思うと、どうしても新たなサロンに行く気が失せてしまうのです。すでにはじめのマッサージサロンで一生涯の顧客となってしまった僕は、これからもそのサロンに長い時間をかけて足を運び続けるでしょう。
フロントエンド商品で利益を出さなくてもいい理由
それでは、フロントエンド・オファーについてのアイディアをもう少し掘り下げていきましょう。この心理をうまく利用するために、ほんの一握りの企業が活用しているハイレベルな戦略を紹介していきます。
あなたはトリップワイヤーファネルを使います。Tripwireは仕掛け線という意味です。見込み客に対して最初の取引をしてもらうということを唯一の目的とした低コストで、抵抗感の少ないサービスを用意します。ダイレクト出版はよく100円キャンペーンを打ちますね。あればトリップワイヤーファネルです。どれだけダイレクト出版がメルマガの読者を抱えていようとも、100円の商品をどれだけ販売しても利益が出ることはありません。100円の決済をすることで、その人のクレジットカードの与信枠を確認しているのです。一旦、クレジットカードの情報を記入してもらった後に、すぐにバックエンド商品のオファーがかかります。こちらのバックエンド商品が売れて初めて、ダイレクト出版は利益を出せます。
2ちゃんねるを開設したひろゆきさんはこう言います。「最初のビール1杯無料の居酒屋に、人が殺到して、ビール1杯だけで帰られたらそのお店は潰れる」と。最初のビール1杯無料と、ダイレクト出版の100円は同じ性質を持っています。皆が100円の商品だけを購入してアップセルオファーを買わなかったら、ダイレクト出版は赤字を垂れ流してしまう可能性があります。最初のビール1杯も、100円の商品もただのトリップワイヤーであり、それで利益を出そうとしていないことを理解してください。
ここで重視されるのは収益を得ることではなく、フロントエンドのオファーを成功させて、バックエンドのオファーを容易にさせるところにあります。
デジタルマーケティングに詳しい方は、最近Facebookを使ったときに「送料さえ払えば商品代金をすべて無料にする」というClickFunnelsの広告を見たことがあるのではないでしょうか。たとえば、あなたが送料だけを支払えば、無料で本やDVDなどが送られてくるということです。
このオファーは非常に魅力的で、安価で、そして衝動買いしてしまうインパクトがあります。通常、送料は数百円しかか掛かりません。でも彼らが提供しているものは驚くほど魅力的なものばかりです。
このような例はいくつか存在します。僕の友人は無料の本を手に入れるために700円の送料を払いました。これがフロントエンドでの取引です。その数週間後、彼は同じ取引相手に対して3万円を支払いオンラインコースを購入したのです。
もし友人が本の無料提供という名のフロントエンド・オファーを受けなければ、3万円のオンラインコースを購入することはなかったでしょう。このような技術的にも心理的にも若干の参入障壁がありますが、人々にクレジットカードを取り出させ、はじめての取引をおこなわせるということにはかなり効果的だということが分かります。
はじめての取引には、人々からクレジットカードを出してもらうという非常に高いハードルがあります。しかし、このオファーは、そのハードルをとても簡単なものにしています。バックエンドで高価な商品を販売することを見据えて、顧客獲得のために安価なフロントエンドを用意しているということです。
ここが最高にクールなポイントです。これらの「送料のみサービス」の多くは、数値的に見ると赤字になります。これは真剣な話です。では、なぜ「送料のみサービス」をおこなうのでしょうか。それは、事業主が長期的な利益にフォーカスを当てているからです。そもそも最初の商品で利益を出そうとしないというのがポイントです。
彼らは顧客を獲得するためだけに、フロントエンドのオファーであえて損失を作り出しています。そして、信頼関係が構築されたところで、高価なオファーを提供し始めるのです。彼らは「誰かに1つの商品を買わせれば、もう1つの商品を買わせることがずっと楽になる」ということを心得ています。大事なことなのでもう一度繰り返します。
1つ目の商品を買ってくれた人に2つ目の商品を販売することは非常に容易なことである
ただし「送料のみサービス」はかなりハイレベルなオファーです。だから、あなたのビジネスがうまくいっているときにだけ実施すべきものだと言えます。なぜならすでにお話しした通り、このようなオファーのモデルは、はじめの販売に損失を生み出すものだからです。またこのオファーは、基本的にコールドトラフィック、つまり全く新しい見込み客に対しての有料広告に用いられています。まずあなたは最初のビール1杯無料に持ちこたえるだけの資本がなければいけない、次にあなたにはFacebook広告なりYouTube広告なり広告運用のスキルが必要であり、仮にフロントエンド商品で赤字を垂れ流すとしてもバックエンド商品で回収できる位の魅力的な商品を持っている。
まとめ:売上を伸ばす1番簡単な方法は商品の数を増やすこと
このセクションであなたに学んでほしいのは、フロントエンド・マーケティングとバックエンド・マーケティングの背後にある心理です。心配しないでください。あなたのはじめての商品が100円、または無料のものよりも高かったとしても、まったく問題はないのです。
フロントエンド・マーケティングとバックエンド・マーケティングのコンセプトを活用するには、コツがあります。そのコツとは、はじめてのオファーで紹介するコンテンツがあなたの商品の中でもっともコンバージョン率が高いものかどうか確認すること、もしくは、できるだけ安価な商品をオファーに出して購入してもらった後、アップセルでより高い商品を提供するということです。
しかし、ここでもう1度、フロントエンド・マーケティングとバックエンド・マーケティングの根底にあるコンセプト、心理的な働きにフォーカスを当ててみてください。これは将来的に、あなたにとってとても価値のあるものとなるはずです。もしアップセルについて詳しく知らなくても構いません。ここで必要な情報はすべて、これからお教えします。
まずは、これまでに学んできたことの要点をまとめましょう。フロントエンドの目標は、できるだけ多くの見込み客とメールアドレスのような連絡先情報を得ることです。バックエンドの目標は、顧客のライフタイム・バリューを最大化すること、つまり、それぞれの顧客があなたのビジネスに費やす金額を最大化するということです。
多くの人はフロントエンド商品つまり一発目の商品で利益を出そうとするから失敗する。ビジネスの構造を2階層に分けてください。フロントエンド商品を売るフェーズそしてバックエンド商品を売るフェーズ。
このようなコンセプトをもとにビジネスにアプローチすることは、単にセールスファネルに入る人の数を増やそうとすることよりも、はるかにスケーラブルです。
たとえば毎日500件のオプトインがあり、その1%が2万円の商品を購入するとしましょう。すると500件のオプトインから10万円を稼ぐことができたということになります。さて、その収益を毎日50万円に上げたいとしましょう。どうすればいいのでしょうか?
ここでは3つの選択肢があります。
- 1つ目の選択肢はオプトインを5倍に増やすということです。正直言って、これはとてつもなく難しい話です。
- 2つ目の選択肢はコンバージョン率を500%向上させるということです。これは先ほどの選択肢以上に困難でしょう。
- 3つ目の選択肢は、あなたのカタログに4つの商品を追加するということです。これはそこまで難しくありませんね。(なぜ僕たちがOnline School Building 2.0、Online Course Creation、Evergreen Factory、コンプリートバンドルの4商品を用意したかその理由、今ならお分かりになるはずです)
商品開発とローンチできっと数ヶ月の期間がかかるでしょうが、あなたが求めている結果をほぼ間違いなく得ることができるでしょう。とても興味深いでしょう?この段階では、実際にどのようにしてバックエンドを作成して構成するのか疑問に思うかもしれません。どのように作ればいいのでしょうか?まさに次のレッスンでは、その方法をお話しする予定です。では、そちらでまた会いましょう。