今日はパレートの法則についてレクチャーします。別名、80:20の法則。80%のアウトプットを生み出す20%のインプットは何かを見極め、あなたのネットビジネスをさらにスケールしましょう。逆に、20%のアウトプットしか生んでいない80%のゴミのような仕事は今すぐ捨ててしまいましょう。ゴミのような仕事とはシンプルに言って、辞めたところで何も起こらないような仕事です。かつての僕にとってそれは、ブログを更新することであり、Twitter、Facebook、Instagramをやることであり、日刊のメルマガを書くことでした。全部ゴミみたいな仕事だったので、2015年の2月に全て捨てました。
大抵の場合、これまで継続してきた仕事を辞めようとすると心理的な抵抗があなたの中に生じます。「いや、もうTwitterを5年も運用してきて、フォロワーが1万人もいるから今更やめるなんて無理だよ」と。もちろんその1万人のフォロワーを顧客にコンバートできているなら継続していただいて構いませんが、普通に考えてツイッターが顧客を生み出すことなんてありません。140字程度で見込み客に影響を与えるなんて不可能だからです。
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パレートの法則とは?
1896年、イタリアの経済学者であるヴィルフレド・パレートが、はじめて80:20の法則について論文で発表をしました。彼が最初に研究対象にしたのは、土地所有についてでした。研究の結果パレートはイタリアの土地の80%が人口のわずか20%の人々によって所有されているということを発見したのです。パレートはさらに一歩踏み込んで、ほかのヨーロッパ諸国を調査しました。そうすると、同様に土地の80%が人口の20%の人々によって所有されているという結果になったのです。驚くべき結果を得たパレートは、80:20の法則に取り憑かれるかのように研究を続けていきました。
研究を進めるとさらに興味深いことが発見されました。それは、80%の富が人口の20%に分配されているというような規模の大きいこともあれば、エンドウ豆の80%が20%のサヤから収穫されたという、少しふざけたようなことにまで、80:20の法則が適用されているということです。
これは少々バカげたことのように聞こえるかもしれません。しかし、今日では多くの経済学者によって80:20の法則が指摘されているのです。これは現代において、もっとも一般的に認められている分配ルールの1つです。この80:20の法則を「パレートの法則」と言います。パレートの法則は、あらゆる業界・話題・概念に適用することができます。
分かりやすい例を出しましょう。おそらく多くの人々はスマートフォンを使う時間の80%で、ダウンロードしているアプリのうちの20%しか使用していません。あなたがダウンロードしているアプリのほとんどは、きっと手付かずか、ほとんど使っていないものばかりではないでしょうか。
僕の場合であれば、iPhoneに入っている次のアプリをよく使います。
- Safari
- YouTube Music
- Chatwork
- Gmail
- Google Maps
- 写真
- カメラ
- カレンダー
- アクティビティ(最近、毎日7km走っています)
- LINE(スノーボードのレッスン予約のためにアカウント作りました)
次のアプリはiPhoneに入っているだけでほとんどというか、全く使いません。
- 株価
- Audible
- Twist
- Lumix Sync
- ヘルスケア
- Quora
- コンパス
- TV
- 計測
- 探すTeachable
- WordPress
- PayPal
- Stripe
- Canva
- Google Home
- Udemy
- Instapaper
- Suica
- 多くのその他
なるほど、80:20の法則は、僕自身のiPhoneアプリにも適用できそうです。
パレートの法則の例(社会生活、交友関係、衣服、仕事)
社会生活についても考えてみましょう。遊びに行く予定の80%は、あなたの友人のうちの20%としか交友していないのではないでしょうか。ほかにも、あなたがクローゼットに閉まっている洋服のうち、20%の服ばかりを着てはいませんか?この割合が正確に80:20にならない可能性もあります。たとえば70:30や90:10くらいのパーセンテージになることもあるでしょう。しかしほとんどの場合、パレートの法則が適用されているはずです。
つまり何が言いたいかというと、現在及んでいる影響の大部分は少数の原因によって生じているということです。80:20の法則は、さまざまな方向から僕たちの生活のあらゆる部分に適用されています。特にビジネスの運営に関しては、特に80:20の法則が適用されていると考えても良いでしょう。以下にぴったりの例を紹介しましょう。
過去、YouTubeチャンネルを立ち上げた時、ビデオコンテンツについているコメントの80%が20%の購読者からだということに気付きました。新しいビデオコンテンツをリリースするたびに、2割のユーザーアカウントからコメントをもらっていたのです。
僕の会社のOnline School Building 2.0や、Online Course Creation など、いくつかのオンラインコースを作成した際もそうでした。顧客のごく一部がリピーターとして購入してくれていたのです。売上の80%近くは、少数の顧客層による購入によって、成り立っていました。残念ながら今お見せできる証拠はないのですが、これは本当のことです。
Chatworkのグループを見てみると「私はEvergreen Factory の最初の購入者です」とか「僕はコンプリートバンドルの100円キャンペーンの頃から参加していたメンバーです」といったように、今までずっと僕たちを支え続けてくれてきた人々がいます。ほかにも80:20の法則についてはたくさん事例がありますので、Googleでちょっとだけ時間を使って検索してみてください。他の企業からも80:20の法則に関する報告がなされています。
コンサルタントのやることは80%の仕事を廃棄してもらうこと
僕は超高額のコンサルティングをオファーしています。これに申し込めるのは、その分野でも特に成功している人だけです。例えば、ビジネス書の作家さんでも1冊や2冊を出している程度の知名度では参加できません。1冊出せば10万部を超えるような作家さんや、シリーズ100万部を超えているような人だけです。シリーズ100万部を超えているような作家さんであれば、テレビのコメンテーターとしても呼ばれる、1回の講演料が500万円を超えることもあります。そんな、抜けた結果を出している方に対して、コンサルティングをオファーします。そのくらいの人じゃないと支払えないような金額設定になっています。
すでに成功している人たちに何をアドバイスすべきかは、いつも迷うところです。でも彼らがビジネスモデルを詳しく説明してくれると、僕の悩みも無用であることに気づきます。なぜなら、そういった成功したビジネスを運用している人でも、ビジネスモデルはガタガタだからです。要は、20%の売上にしかつながっていない80%の仕事があまりにも多すぎる。ネットビジネスの場合、部門別の物理的な壁があるわけでもないので、どこか良くてどこがダメかはほぼ一瞥すれば見えるのでアドバイスが楽です。
あなたがメーカーの工場長で、完成品の歩留まりを改善せよと言われたら、その原因究明は困難を極めます。そうですね、じゃあ仮にiPhoneを製造するとしましょう。100個のiPhoneができるだけの原材料を入れても100個の完成品が出てくるわけではありません。いくつかは、出荷できないレベルの欠品です。不良品の発生率が低ければ歩留まりが低いと言います。ここら辺は、工業簿記の2級あたりを勉強した人ならよく理解できると思います。
原材料にそもそも欠品があったのか、それとも組み立ての段階で形が崩れてしまうのか、あるいは検品係がサボっていたのか。それぞれの部門別に監督する人を置いてしばらくチェックしないと原因はわかりませんね。
でもネットビジネスなら全て数字で出るので簡単です。リストの数がそもそも少なければオーガニックアクセスを集めるためにリソースをさきましょうとなる。アクセスはあるのにリストが集まっていなければ、オプトイン率が悪いからスクイズページを改善しましょうとなる。メルマガの開封率が低ければMailChimpのA/Bテスト機能を使って件名を洗練する必要があるでしょう。同様にランディングページのオプトイン率や成約率はClickFunnels のA/Bテスト機能を使えば簡単に改善できますね。開封率が高いのにクリック率が低ければボタンの数を増やし、ウェビナーの試聴時間が短ければスライドの枚数を出したり喋りのテンポを上げたりすれば良い。まあこんな風に、製造業でいうところのサプライチェーンが全て可視化されるので、原因の究明がものすごく簡単なのです。
アップセルで分割決済を導入していない。成約につながらないSNSを更新し続けている。そんな強張った顔でYouTubeに動画を上げるのはネガティブマーケティングになるだけ。フロントエンド商品の料金を安く設定しているあまり対象外の顧客を引きつけサポートが疲弊しており無駄な人件費を垂れ流しているのはよくある例です。だからうちのコンサルに入ると、無理やり商品の値段上げさせられたりするのはよくあることです。大抵の場合、値段を上げるのは、80%の結果につながる20%の施策になるからです。
Twitterを使えば集客につながるとか、YouTubeに動画を投稿すれば知名度が上がるとかをどこかから聞いてきてそれをやるようでは、すぐにマンパワーに限界が出て、事業収益に頭打ちがきます。こんな活動、言うまでもなく成果につながらない80%のゴミ仕事です。少し考えればわかることです。みんなと同じテレビを見て、みんなが追っているホリエモンのTwitterを見て、みんなと同じベストセラー書(例えば「嫌われる勇気」とか)を読んでいて、人と異なるコンテンツなんて出せるわけがないのです。他の人と同じネタ元で情報発信を続けるのだから、ビジネスアカウントで運用しているTwitterもYouTubeもみんな似たり寄ったりするのは避けられない。その似たり寄ったりのコンテンツをFacebookに出そうが、Instagramに出そうが、ブログにしよう、たいして差なんて出ないのです。
じゃあどうすれば良いか?コンテンツの出し方、リソースの配分方法、仕事のやり方、つまりオペレーションでしか差が出ないのです。
これが80%の成果に繋がる20%の仕事です。YouTubeに似たり寄ったりの動画をアップロードするのは20%の売り上げにしかつながらない80%のゴミ仕事ですが、YouTubeに動画をアップロードするプロダクションやオペレーションの部分を改善することは、確実に80%の売り上げに繋がる20%の仕事なんです。どうでしょう、理解できるでしょか。
特にオンラインビジネスではその傾向が顕著です。Amazonのような優良企業ですら、常にリソースは足りていないのです。2015年にアマゾンCEO入魂の、Fire Phoneが発表されました。そしてこけました。しばらくはスマートフォンの開発を続けるのかと思いきやすぐにその年にプロジェクトの廃止に踏み切りました。ダメな事業に資源を割り当てるくらいなら、もう過去のことだと割り切って、サンクコストも忘れて、次その事業を閉じ新しい事業にリソースを割り当てる。
仕事を廃棄するのは「勇気」である
アマゾンでもリソースが足りていないのです。僕らのような個人プレイヤーが常にリソース不足に悩まされているの当たり前のことなのです。だからこそオペレーションに意識を向けて、どこに何をどのレベルで突っ込むかということをしっかりと考えなければいけないのです。
例えばうちのコンサルではこんな問いが発せられます。リソースは10あるとしましょう。YouTubeを集客メディアに利用すると意思決定したとします。
- クオリティ1の動画を、9の頻度でアップロードする
- クオリティ5の動画を、5の頻度でアップロードする
- クオリティ9の動画を、1の頻度でアップロードする
どうですか、これを決定するのが、僕たちマーケターの仕事だと思いませんか?例えば、あなたの参入しようとしているジャンルにすでに似たようなネタで動画を出している人がたくさんいるなら、あなたはクオリティで勝負しようと考えるかもしれません。そうであれば、あえて頻度を下げてクオリティ9の動画をアップロードしてみようと言う経営判断になる。逆に、僕らが出している「ClickFunnels」のようなネタはライバルがいないのでクオリティ1の動画を、9の頻度でアップロードするようにしています。サムネイルの設定などは後回しにして、とりあえずコアな情報や、操作方法を、画面共有をキャプチャしながら撮影しています。
それをシンプルにパレートさんは「80%の売り上げにつながる20%の活動に資源を投入しよう」と言うわけです。
僕がコンサルティングでやることも同じです。80%の売り上げにつながっている20%の仕事に意識を向けてもらい、今よりも多く20%の仕事にリソースを割り当ててもらう。そのリソースはどこから持ってくるかと言うと先ほども指摘した通り成果につながっていない80%の仕事をやめてもらうことです。マネジメントの父ドラッカーはこう言います。
意思決定には勇気が必要である。
僕らビジネスをやっている人にとって「意思決定は何をやるかよりも何を止めるか」を意味します。僕がクライアントさんに〇〇を止めてくださいと言うと最初は抵抗されます。それはこれまで投下したリソースを気にしたりサンクコストを忘れなかったりするからです。でも一旦冷静になって考えてみればそれほど売り上げにつながっていない80%の活動はやめるべきなのです。最終的に辞めるかどうかの判断は、様々な要素を総合的に勘案するわけではなく、ただ単に勇気を出すかどうかだけなのです。
例えばあなたはアクセスが集まっていないブログを運営している。このブログはこれまで3年続けてきたメディア。でもブログのページビューは月間50,000も超えない。リストも1日に1つ取れるかどうか。ここで「ブログから毎日リストが1つでも落ちているのだから今さら捨てるのはもったいない」と考える人もいれば「リストが1つしか落ちないのだったら自分の労力を投下するに値しない」と判断して辞めると決断できる人もいるわけです。
その人の判断を迷わせるのは中途半端に成果が出ているからなのです。時給計算すればコンビニバイトよりもはるかに低い時給で仕事をしているにもかかわらず、例えば「月収入5万円」と言う少ない額を得ているからそれを止められない。その5万円を受け取る代わりに、メンテナンスするために多大なリソースを投下している。お金なんかよりも遥かに重要な生命時間というものが溶けているのに気づかずに。TwitterやFacebookからもリストがちょこちょこと落ちている。Udemyも2年ほど続けてみたけど、コース売上も$500はいかない程度のちょこちょこしたものが入ってきている。この「ちょこちょことした利益」がものすごく厄介なのです。僕たちの判断を狂わせる。
このように80:20の法則に関して多くの事例があるということは何を意味するのか考えてみてください。それだけ、このコンセプトが重要であるということです。80:20の法則は、起業家としての時間の使い方に直接適用されるはずです。ビジネスに関するすべての作業・タスク・プロジェクトを要約すると次のようになります。
「あなたが達成しようとしている結果のおよそ80%は、あなたがおこなっていることの20%によってもたらされる」
あなたのほとんどの時間を、ビジネスにとってもっとも重要なタスクに費やすべきです。80:20の法則をあなたの時間に適用するということはどういうことでしょうか。それは、途方もなく長いToDoリストを見て、どのタスクがもっとも重要な結果につながるのかを見極め、それをほかのどんなタスクよりも優先するということです。
ネット起業家にとって「意味のある仕事」と「意味のない仕事」
しかし、ここに問題があります。それは、80:20の法則を自分自身のこととして捉えることが非常に難しいということです。時間であれ、努力であれ、エネルギーであれ、仕事であれ、インプットした分だけアウトプットを得られる、つまりかけた時間や努力の量だけ、結果を得られると考えてしまうのです。あなたも1時間働けば1時間分の価値の仕事になると考える傾向にありませんか?しかし、それは完全に間違っています。実際には1時間働いたとしても同じ結果にはなり得ません。
次の例を通して考えてみてください。1時間の資源があるとして、あなたには3つの使い道があるとします。3つの選択肢。選択肢Aは、優れた販売ページをリサーチして、それらの中からもっとも優れた要素を抽出し、自分の販売ページに適用するというものです。選択肢Bは、デザインの良いメールテンプレートを作るというものです。そして選択肢Cは、あなたの会社の目立つロゴを作成するというものです。3つの選択肢の中で、ビジネスにとってもっとも重要なものはどれだと思いますか?
もしあなたが選択肢Aを選んだのであれば正解です。それはなぜでしょうか。なぜなら、優れた販売ページを作ることによって販売を促進し、最終的に多くの利益を得ることができるようになるからです。最終的には、収益こそがビジネスにとってもっとも重要な意味を持つことになります。
このほかに僕が考える80%の売り上げに繋がる20%の仕事を紹介します。
- 商品の値段を上げる
- サポートを外注する
- 商品の数を増やす
- アップセルを導入する
- アップセルに分割決済を導入する
- LTO(Limited Time Offer)を導入する
- 英語圏のデジタルマーケティングツールに乗り換える
- コンサルティングなどの人的サービスを減らしコンテンツ販売の割合を増やす
- あるいはコンサルティングの値段を爆上げする
- ビデオ制作のノウハウを社内に内製化する
- 集客メディアの運用を全てアウトソースする
- ライブのローンチを止めてすべてエバーグリーンで運用する
- 統計的に有意な値を出せる範囲でのA/Bテストの導入
逆に、ほとんどの人にとって意味を成していない80%の活動も紹介します。これは「いしこん」に入ると止めればと僕にアドバイスされるものの典型です。
- YouTubeへの動画投稿
- ブログの更新
- アメブロとワードプレスの併用
- アメブロのプロフィールに自意識がこじれた感じの長い肩書とその説明を書くこと
- 何屋さんかわからないWebサイトの運用(自らが何屋さんかわかっていない人は自らをマーケターと呼称するか、コーチと呼称します。そんなゴミみたいな肩書は捨てた方がいいです)
- Twitter、Facebook、Instagram
- 請求書の発行
- スタッフによる入金確認(請求書の発行も入金確認も、トランザクションの数が増えると負担になります。クレジットカード決済 only にしましょう)
- ユーザアカウントの作成
- コース権限の付与を人為的にやること
- 生産性の低い人材の雇用
- 外部のコンサルティングを2社以上を入れること
- お金持ちアピール
- 日刊メルマガの配信
- 説明会での高額商品のセールス
- リアルタイムのローンチ
- 時間あたりスポットコンサル
僕たちの事業を例に考えてみましょう。僕の会社では、選択肢Aの販売ページを改善することでコンバージョン率を20%近くアップさせることに成功しました。つまり、そのページを100人が見たとすれば、20人の顧客を増やす結果となったということです。20人というと少なく感じるかもしれませんが、全体的な収益から考えると非常に大きな変化です。
ほかの選択肢を選んだ場合についても考えてみましょう。選択肢B。きちんとデザインされたメールテンプレートがあるというのは良いことですが、実際にはどんなメリットがあるのでしょうか。文章の内容が同じであれば、どんなにきれいなデザインであったとしても、コンバージョン率を変えることはほとんどできません。たしかに簡素なメールテンプレートと比べると、読者にとって少しは楽しいものになるかもしれません。しかし僕の経験から言うと、メールテンプレートをどれだけ凝ったとしても、せいぜい売上の1%くらいしか上げることはできないのです。
これはロゴも同様です。選択肢Cです。オンラインコースを扱うビジネスにとって、ロゴの変化は大きな成果につなげるものではありません。たしかに、もしあなたの会社がCoca-ColaやMcDonaldのような大企業であれば、ロゴは重要だと言えるでしょう。しかし、あなたは駆け出しの起業家です。世界を股にかけるような大企業のオーナーではありません。それに、世界レベル・1兆円規模の食品フランチャイズや飲料会社を作ろうとしているわけでもないはずです。人々が車を運転しているとき、もしくはスーパーマーケットで買い物をしているときに、目に入ってくるようなロゴを作る必要はありません。みなさんのようにパーソナリティベースのビジネスでは、ロゴのデザインをそこまで凝ったものにする必要はないのです。
ここまでで、タスクの割合を同じにすべきではないという意味がわかりましたよね?選択肢A・B・Cはすべてビジネスに関連するタスクですが、所要時間が同じだったとして、もっとも利益を生んでくれるのは選択肢Aです。これは20%のタスクの1つであり、あなたが望む80%の結果をもたらしてくれるものです。
販売ページを改善することは、見栄えの良いロゴやきれいにデザインされたメールテンプレートを用意することよりもはるかに重要です。しかし、残念なことですが僕はこれまで多くの人々が80:20の法則とは真逆の方向に向かってしまうことを見てきました。彼らは、あまり大きな違いをもたらさない小さなことに多くの時間を費やそうとしています。
デザインやロゴは典型的な80%のゴミ仕事
たとえばYouTubeのチャンネルにおいてよくあるのは、彼らがロゴやチャンネルバナーをがんばって時間をかけて作ろうとすることがあります。今からYouTubeに参入する人たちは素敵なロゴとチャンネルバナーがあれば、登録者が増え、収益も上がるという考えに固執してしまっているのです。しかし、そうではありません。考えてみてください。ほかのYouTubeチャンネルにアクセスしたときに「チャンネルバナーが素敵だから登録しよう」と考えたことはあるでしょうか。おそらく一度もありませんよね。残念なことに、こういったバナーを制作コストを抑えるためにフォトショップで自作するから、余計にダサいんです。それがネガティブマーケティングとして機能してしまっていることに気づけないのも残念なのです。
YouTubeチャンネルのコンテンツを友達にシェアするとき、そのチャンネルのロゴをチェックしたことはありますか?そんなことはしませんよね。これが、ロゴやチャンネルバナーが重要ではない証拠です。
数年前にプロジェクトとして僕が作った2つのコースロゴを見てみましょう。Online School Building 2.0 とEvergreen Factory です。正直なことを言うと、それぞれのロゴを作るのに15分もかかりませんでした。ちょっと確認してみてください。コース名を単色の背景に配置しているだけです。でも、どちらのオンラインコースもいまだにたくさん売れています。結局、ロゴもチャンネルバナーもそこまで重要ではないのです。
YouTubeチャンネルにきれいなチャンネルバナーが設置されていたり、素敵なロゴが表示されていたりしても、それが視聴回数につながるわけではないということを僕は知っていました。秀逸なロゴやチャンネルバナーがあったとしても、結果の80%に影響をおよぼす20%の重要なタスクにはかないません。
ここではっきりさせておきたいのですが、ロゴやチャンネルバナーなどといった重要度の低いタスクを完全に無視しろと言っているわけではありません。ロゴやチャンネルバナーは、一定の「オフィシャル感」を出すためには必要なものであると認めています。ただ僕が言いたいのは、僕たちがこれまでチャンネルバナーやロゴのようなタスクにほとんど時間をかけておらず、その結果、本当に重要なことに専念できる時間が増加したということなのです。バイラルな動画を作ったり、プロモーションをおこなったりすることの方がビジネスにとって重要でしょう?
ほとんどの人は「凝ったデザインのウェブサイトが必要」「完璧なロゴを作らないと」「この美しいコースの商品価値はかなり高いはず」などと、ささいなことにとらわれすぎています。ほかにも「コンバージョン率を上げるためには、オプトインボタンが緑の方がいいか、赤の方がいいか」といったように少々、滑稽なことにこだわりすぎる人もいます。少し残酷な言い方かもしれませんが、ボタンの色やウェブサイトのデザインなど、ビジネスで生まれる収益にほとんど影響を与えることはできません。
むしろ僕は、画一的なオプトインページのボタンを見ると「この人はデジタルマーケティングを全く理解していないのでは」と思うのです。情報商材を販売する人たちのオプトインページで使われているボタンの色はいつも緑色です。しかもアニメーションがついていて、カーソルをホバーしなくても気持ち悪く動いてる。日本の情報商材のキングみたいな人たちのオプトインページを。パクリしようとするからこんなふうに画一的な発想になり画一的な1オプトインページのデザインとボタンの空が同じになってしまうんです。
たしかにデザインなどによって小さな変化が生まれるかもしれません。すでにあなたのビジネスが何兆円もの利益を生んでいるのであれば、細部にまでこだわるメリットもあるでしょう。しかしまだみなさんは駆け出しです。最初のうちは、ボタンが緑か赤かなんてどうでもいいのです。ボタンの色でオプトイン率を0.1%上げたとしても、利益には何ら影響を与えないからです。オプトイン率などをほんの数パーセント上げるために時間を費やすのは効率的ではありません。
パレートの法則をネットビジネスに適用する方法
80:20の法則にしたがって時間を使い、ポジティブな結果の80%を生み出すタスクに集中する必要があります。これを続けていけば、ビジネスを軌道に乗せることもできるでしょう。これが80:20の法則です。80:20の法則を生活の中に適用させるための非常にシンプルなプロセスがあります。まず週の初めにToDoリストをすべて書き出しましょう。次に以下の基準にしたがって、リストの中のタスクを分類していきます。
- カテゴリ1は、労力が多くて、高い報酬が得られるものです。
- カテゴリ2は、労力が少なくて、高い報酬が得られるものです。このカテゴリがもっとも優先すべきものです。
- カテゴリ3は、労力が多く、報酬が少ないものです。これが一番最悪のタスクですね。
- そしてカテゴリ4は、労力も報酬も少ないものです。
コビー博士の7つの習慣のうち第三の習慣は「緊急度ではなく重要度を優先する」ことを教えてくれます。2X2のマトリクスを作り、重要だが緊急ではない第二領域に時間を裂こうというのがコビー博士の提言です。
http://www.franklinplanner.co.jp/learning/selfstudy/ss-17.html
僕たちの仕事も同じ考え方で遂行できます。カテゴリ2の労力が少なくて高い報酬が得られるものに時間を割くべきです。コビー博士のマトリクスで考えると「第二領域」になります。
ここでいう労力とは、タスクを完了するために必要な時間またはエネルギーの量を意味しています。報酬とは、ビジネスにもたらす定量化可能な影響、または重要性です。一般的には収益によって測定することができます。もし定量化するのが難しければ、次の問いを自分自身に尋ねてみてください。「そのタスクやった場合とやらない場合を比べてビジネスに対してどの程度の影響があるだろうか」と。影響の程度が大きいほど報酬が大きいと考えられます。
たとえば、メールテンプレートのデザインを定量化するとしましょう。本当に美しいメールテンプレートを使用した際と、シンプルなプレーンテキストでメールを送った際、どれくらいの違いがあるでしょうか。考えてみてください。メールテンプレートが、あなたのビジネスや収益にどれくらいの影響があると思いますか?おそらくほとんど影響はないはずです。僕たちがこれまで送ってきたメールを考えてみてください。基本的にはかなりシンプルなものだったはずです。書式なしで11ポイントの文字サイズかつArialフォントで作成されています。
なぜ、ここまでシンプルにメールを作成するのか。それは、見た目よりもメールの内容の方がはるかに重要であるということを知っているからです。ビジネスの中にある多数のタスクの中から根本的な価値を見つけ出すために、先ほどのカテゴリ分けをするなどの方法をおすすめします。最初は間違ってしまうかもしれません。それでも80:20の法則を意識することでビジネスは改善されていくはずです。
ToDoリストにあるすべてのタスクを分類したら、その分類分けに基づいて1週間の働く時間に優先順位をつけましょう。最初にカテゴリ2のタスクを処理し、次にカテゴリ1に取り掛かりましょう。つまりリターンの大きいものに焦点を当てるということです。場合によってはカテゴリ3、4のタスクを先に処理する必要もあるかもしれません。その場合には、できるだけ時間をかけないようにすることを意識しましょう。優先順位の低いタスクを終えるために、貴重な時間を奪われることほど、もったいないことはありません。タスクに優先順位をつけることで、その週に何をしなければならないのかが明確になります。
仕事の成果を評価する3つの質問
あなたにとっての最初のステップは、まず先に説明したような流れで1週間を送ってみることです。そこから生活を徐々に改善していきましょう。ここで記録しておくべきことがあります。各タスクに費やした時間をメモしておきましょう。正確に分刻みで書かなくても、概算で構いません。また、週の終わりにそれぞれのタスクの状況を完了・未完了で整理しておきましょう。また、週初めに作成したToDoリストに含まれていなかった雑務についても、メモを残しておきます。ここで重要なことは、雑務についても週の終わりに4つのカテゴリで分類分けしておくということです。これによって、さらにタスクの優先順位を正確に設定することが可能です。
ここら辺の、タイムマネジメントやタスクマネジメントについては、佐藤等さんの実践するドラッカー【行動編】が非常にわかりやすいです。時間の記録方法なども細かく書かれており、その後ろに流れるコンセプトもわかりやすく説明されています。Kindle版もあるので、是非一読なさってください。
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1週間が終わった後、次の質問に答えながら、その週を振り返って評価をする必要があります。
質問#1:私は1週間のほとんどの時間をカテゴリ1・カテゴリ2のタスクに費やすことができたか
1つ目の質問は「私は1週間のほとんどの時間をカテゴリ1・カテゴリ2のタスクに費やすことができたか」というものです。うまくビジネス運用できている場合には、毎週「はい」と答えられるでしょう。でも、最初の方は「いいえ」になっても気にすることはありません。「いいえ」になった原因を考えながら、今後数週間でカテゴリ1・カテゴリ2のタスクに集中できるようにスケジュール調整をしていきましょう。
質問#2:タスクのカテゴリ分けが正しかったか
2つ目の質問は「タスクのカテゴリ分けが正しかったか」というものです。たとえば、カテゴリ1に分類したタスクは、実際に労力が少なく報酬が多かったでしょうか。それとも当初考えていたよりも多くの時間がかかったのでしょうか。報酬についてはどうだったでしょうか。期待通りの成果を得ることができましたか?実際にタスクを完了させた上で得られた結果を想定のものと比較し、反省すべき点があるとすれば、そこから学ぶことができるはずです。タスクを誤って見積もってしまうことは多々あることです。もし最初の想定と異なっていたとしても、最初のうちは問題はありません。何度か繰り返すうちにタスクを正確にカテゴリ分けできるようになるでしょう。最終的にうまく時間を管理できるようになれば、成功です。
質問#3:リストにない雑務がなかっただろうか
3つ目の質問は「リストにない雑務がなかっただろうか」というものです。4つのカテゴリーの中にそれぞれどれくらいのタスクがあったでしょうか。1週間を通して、何かしら突発的な出来事が発生するのは普通のことですが、ランダムなタスクが毎週あまりにも多く発生しているのだとすれば、計画が破綻している可能性があります。もし突発的なタスクがたくさん発生しているのであれば、より正確な計画を立てることができるように、週初めにToDoリストを作る時間を増やしてください。
零細企業の意思決定は「何をやるか」ではなく「今週は何をやめるか」
もう1つの誤りは、カテゴリ3やカテゴリ4のタスクが1週間のうちに何度も出てきて、気が散ってしまうということです。これは、僕自身も経験があることです。たとえば、先週うちのスタッフがチャットワークでこう言うのです。「こんにちは。先ほど、イギリスの会社から連絡がありました。一眼レフに関するブログの投稿を2万円の記事広告として利用できないかという提案です。どうしますか」と。
どうせそのブログ記事からはリストも落ちていないしなんの広告も貼り付けていないので、ほかの人に記事広告として売り出すのはとても良いアイディアだと思いました。上手くいけば副業として収益を上げることもできます。
僕はスタッフに「いいよ」と伝えました。それから自分のデスクに戻り、このタスクをカテゴリー化するフレームワークを頭の中でイメージし、カテゴリー4のプロジェクトとして分類しました。労力と報酬が低いカテゴリーです。なぜなら、ブログをただレンタルすること自体に労力はほとんど要らないのですが、同時に報酬も低いからです。最大で稼げたとしても月に20万円程度ですが、今年のブログ経由の収益が3000万円くらいになるという事実を考慮すると、ほとんど何の足しにもなりません。
僕は先ほどのスタッフのところに行き、こう言いました。「やっぱり記事広告の件はやめとこう。だってカテゴリー1や2のタスクじゃないから」と。僕にとって新たなタスクが現れるたびにカテゴリー分けをすることは、今や自然なことなのです。しかし駆け出し起業家のあなたにとって、カテゴリー分けはそこまで簡単なことではないでしょう。それはカテゴリー分けを始めてした僕と同じです。だからこそ、あなたの1週間を振り返ってみることが重要なのです。
ぶっちゃけ話を言うと、僕はかつて同じ会社から記事広告を受けたことがあるんです。その時、1つの記事からリンクを数本出す作業ですら割りに合わないと思ったのです。件名は「記事コラボレーションのご依頼」でした。2万円をPayPal経由で受け取った時の虚しさは今でも鮮明に覚えています。カテゴリー3の労力が多い割りに報酬の低い仕事をやるのは問題外ですが、カテゴリー4の労力が少ないが報酬が少ない仕事も問題がありまくります。こういった報酬の少ない仕事に慣れてしまうと、いよいよ安月給の社長になってしまい、いつまで経っても収入を上げられなくなってしまいます。
このプロセス全体を毎週一貫して続けていけば、どんなタスクが重要なのかを正確かつ迅速に評価できるようになるでしょう。あなたのビジネスにとってもっとも重要な20%の事柄に、どのようなタスクが含まれているかを把握できるようになります。ちなみに、うちのビジネスを一律に管理してくれている天才ビジネスパートナーの小川さんは優先順位付けのプロです。僕と小川さんがChatworkで話すことも、意思決定のほとんども、何をやるかよりも「今週は何をやめるか」ばかりです。そうやって、ブログをやめて、日刊のメルマガをやめて、サポートや電話対応をアウトソースし、どんどん優先順位の低いカテゴリー3や4の仕事を廃棄してきました。
偉大な起業家は、自分の時間が有限であることを理解しています。彼らは、もっとも重要なタスクに多くの時間を費やすために、犠牲を払ってほかのタスクを切り捨てることの重要性と、それによってビジネスに良い意味の大きな影響を与えることができるということを知っています。