どれだけ自信があっても市場に商品が受け入れられなければ、収益は発生しません。Udemyにはこんなにたくさんの「稼いでいる」講師がいるんだから、俺も稼げて当然だろと思う人もいるでしょう。僕もそういうタイプの人間です。しかしここで白状すべきことがあります。
Udemy講師として成功できたのは「たまたま」
参入したすべてのプラットフォームでうまくいっているわけではありません。YouTubeで開設したチャンネルに1000本の凝った動画をアップロードしました。初心者向けのマーケティングを教えたんですね。しかも友人のコピーライターと共同制作です。友達を巻き込んでやった企画。なんと沈没。頓挫。失敗。投下した総時間は2000時間ほどでした。そこから得られた収益はゼロ。YouTubeのチャンネル登録者数は17人。二人の人間が2000時間を投下してこの有様。合計4000時間の生命時間を浪費したわけです。仮に800円のコンビニバイトをしていたら320万円の収益があったはずです。
確かに至らないこともたくさんありました。修正すべき点もたくさんありました。しかしUdemyでは、ほぼ同じようなことをやって短期間で成功することができました。なんででしょう。僕もわかりません。ある人はこう言ってくれます。「石崎さんのトピックはユニークだから」と。でもYouTubeでも同じことを話していたんだけどなぁ・・・。ある人はこう言います。「参入タイミングが良かったんじゃないですか」と。多分これが正解です。おそらく僕もそう思います。Udemyが日本に上陸してかなり早い段階でコースを展開し、運良く参入タイミングが良かったおかげでそれなりに成功できた。ようはたまたまってことです。
背水の陣作戦は失敗します
たまに「仕事も辞めました」「手取りはゼロです」「スキルもありません」と宣言する人がいます。だから「やるしかないんです」と。こういう人はまず失敗します。なんでしょう。切羽詰まった感って相手に伝わるんですね。マネーの虎で美空ひばりプロダクションの社長をしている加藤さんと、アダルトビデオ(当時)を販売していた高橋さん。彼らはよく志願者に向かって「確かにビジネスプランはいいけど、あなたに覇気がないんだよね」と言っていました。YouTubeでも幾つか動画が落ちています。見てみてください。
背水の陣を敷いて後戻りできないようなフォーメーションを組んだつもりでも、現代の日本で生きている限り、必ず逃げ道があります。仕事を選ばなければ生きていくだけの収入を得ることは可能です。背水の陣を敷くことなんて不可能だし、仮に敷けたとしても、リラックスして仕事に取り組めないので、やはり成果は出ません。Udemyをいずれ専業にしようと考えるのは別に構いませんが、必ずバックアッププランを用意しておいてください。生きていくために必要なお金を用意しておいてください。貯金でもいいし、その日暮らしをするためのバイトでもいいし、福利厚生たっぷりの大企業でもいいし。仕事が終わってから、Udemyのコースを作るのも悪くないですよ。僕ら夫婦はナニーを雇うことなく、幼稚園に行かせることなく、自分たちで子供の面倒を100%見ながら、彼が寝たタイミングを見計らって70コースを作りました。お父さん、お母さんならご存知と思いますが、乳幼児ってすごい手がかかります(だから愛しいんですけど)。そんな状況でも70コースを作りました。もし子なし夫婦だったなら200コースくらい作れたはずです。たぶん。
生きていくためにいくら必要か計算する
Udemyで収入が入ってきた。今月10万円。うーん、これで専業になってもいいのか。今の仕事を辞めてもいいのか。今月20万円。うーん、まだ不安だからな。今月100万円。うーん、いつUdemyが潰れるかわからないし。・・・とこんな風に、あなたが生きていくためにいくら必要かをちゃんと理解していないと、いつまでたっても踏ん切りがつかず、ずるずると二足の草鞋作戦を続けることになります。予め「このくらい必要」というラインが決まっていたら、Udemyの収益がそのラインに到達した時点で迷いなく専業でオンライン講師になれます。
長く家族で旅行を続けていると、いくら必要になるかだいたい予想がつくようになります。僕らの場合は1日2万円です。1日に2000円しか使わない日もあるし、1日に10万円使う日もある(例えば航空券を購入した日は出費が爆発します)。それらを均等に慣らしてみるとだいたい2万円くらいです。つまり月々60万円あれば、まあ家族で旅行を続けながらお金に汲汲とすることなく生きていけるだろうなというラインが見えている。あくまでも一例ですが、僕らの場合であれば「よっしゃUdemyからの収益が安定して60万円になったら、今の仕事を辞めてやる」となるわけですね。
セブンポケットという考え方
収入口を1つしか持たない人生は安定しません。投資の世界では「卵を1つのカゴに盛るな」という格言がよく知られています。ようは分散しろってことですね。銘柄分散、時間分散など分散の仕方は様々。一つのカゴに全ての卵を盛ると、それが落っこちた時すべての卵が割れちゃいます。収入口にも同じことが言えますね。収入口が一つしかなければ、それがぶっ壊れた時、稼ぎがゼロになります。それを未然に防ぐために、大体7つくらい収入口を持っておけばハッピーじゃない?というのがセブンポケットの基本コンセプトです。もちろんUdemyはポケット(収入口)の1つとして機能します。機能しますがそれだけに頼るのは心許ない。1つの1つの収入口は大きくなくても構いません。楽しく続けられることで、かつ小資本で始められるものが理想です。固定費のかからないものであればなおよし!
仕事を辞めないという選択肢もある
仕事を辞める前に考えてほしいこと・・・というタイトルで色々考えてきましたが、仕事を辞めないという選択肢もあります。某大手の保険会社に勤めるサラリーマンの方は、うちのクライアントさんでもあります。僕がかつて開催していたTOEICスコアアップのセミナーにすべて参加してくださった方です。彼は不動産長者であります。「昨日、郊外でビル1棟買いました」とか平気で言います。奥さんを社長にして、会社を回しているそうです。なぜサラリーマンを続けるのか聞いたところ、サラリーマンだと融資がおりるから、らしいです。なるほど更にリッチになるために”わざと”サラリーマンを継続しているそうです。更にこんなことも言っていました。
「サラリーマンは良いですよ。定時で帰れるし、次の月の給料もほぼ確実に貰えるし。こんなに安心できる職業はありませんよ」と。
なるほど。そういう考えもあるのです。うちの会社の創業時のメンバーで、インフォ業界ではかなり有名なコピーライターのF君は、いつも「普通のサラリーマンをやりたい」と言っていました。なんでって聞くと、もうこんなプレッシャー感じながら生きたくないからと。収入が1/10にもなったとしても、プレッシャーを感じない人生がそこにあるなら、彼はそれを選ぶと言っていました。サラリーマンを辞めたいという人もいれば、サラリーマンになりたいという人もいる。PTAの役員になって自殺する人もいれば、PTAの役員になれなくて自殺する人もいる。
今サラリーマンをやっている人は、あなたがやっと手に入れたそのポジションを何が何でも手に入れたいと思っている人がいることを忘れないでください。Udemyで生活費を稼げるようになってサラリーマンを辞めるという選択肢もあれば、Udemyでかなりの額を稼げるようになってもサラリーマンを続けるという選択肢もあります。専業だけがゴールではありません。