京セラの稲盛さんは「プライシングは重要な経営上の意思決定です」と言い切ります。僕もそう思います。僕は資本主義の要をなしているとすら考えています。あまり知られていないことですが、世の中のほとんどのビジネスは値上げをしてもお客さんの数は減りません。あまりにも有名すぎるのであえて名前を出しませんが(野暮なので)、経営コンサルタントのKさんはコンサルティング覚書の契約書を交わした後にやることは1つだけしかないと言っていました。彼が繰り返し社長に言うのは「値段、あげろ」だけです。ぶっちゃけこれだけで利益構造は改善するんですね。
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tips 1:価格帯は2つ以上用意しろ
言うのがいささかはばかれるのですが、僕も高額商品(1本10万円以上のデジタル商品!)を用意していますが、年間に数十本必ず売れます。値段が高くても、売れるものは売れるんです。よく聞く話ですが、ガレージセールで手袋を一種類($10)で売る場合と、手袋を二種類($10と$12)で売る場合では、確実に二種類で売った場合の方が全体の売上は大きくなります。なぜか。一定数は上位商品($12)を買い、一定数は複数商品($10と$12)を買うからです。ここで値段に関する次なるtipsが登場しました。「価格帯は2つ以上用意しろ」ですね。
これUdemyに当てはめると、商品を2個用意して2個価格帯を用意することになります。うちのアカウントでは$20のコースと$50のコースを用意していますが、両方とも売れています。もしこれが$20のコースだけだったら売上はきっと1/2にも1/3にもなっていたでしょう。
tip 2:値段は高いものから順番に見せる
友人は飲食のコンサルしているんですけど、彼が最初に見るのはメニュー表です。メニュー表は普通、左上から右下に向かって見られます。この左上の一番高い商品を持って来なさい・・・と彼はコンサルするらしいです。彼は!というか、これ飲食業界の基本なんですけどね。人は最初に見た数字に引っ張られます。アンカリングってやつです。
あなたは次の商品を安いと思いますか?高いと思いますか?(Udemyの平均受講料は29,800円です)
「0円で世界一周する方法」・・・受講料は2,000円
安く感じません?実際に安いと思います。ここにはトリックが一つあって、最初に平均受講料は29,800円ですとアンカリングしてしまったので、それを基準に2,000円が比べられます。もし平均受講料は300円です、と書いていたら印象は違ったはずです。ちなみにtip 1で(1本10万円以上のデジタル商品!)との文言があるので、もしかしたらそれにもアンカリングされていた場合、2,000円という数字は非常に安く感じられるはずです。
セミナーを販売するLPでもやはり、高い席から順番に見せて行きます。
VIP席:10万円(参加費 + 講師との名刺交換 + 30分の無料コンサルティング + 次回以降のセミナー代全て無料)
S席:5万円(参加費 + 講師との名刺交換 + 30分の無料コンサルティング)
A席:1万円(参加費)
一定数は必ずVIP席とS席を購入します。これは tips 1(価格帯は2つ以上用意しろ)と tips 2の合わせ技ですね。Udemyに応用するなら、商品を2つ以上プロモーションするときに、高い方から順番に陳列するわけです。あるいは最初に高いコースを作って、次に安めのコースを作るのも一つでしょう。
tips 3:コースの値段が安い(顧客の質が低い)、コースの値段が高い(顧客の質が高い)
これは長々と説明しすぎると一定の層を過剰に刺激してしまうので、サササと説明します。
- マクドナルドには高校生がいます
- モスバーガーには高校生はいません
えーと、つまりはそういうことです。
tips 4:通常価格との割引価格の落差に人は惹かれる
薄利多売のビジネスはしんどいです。可能であれば、少ないお客さんとだけ濃密にコミュニケーションを重ねたいものです。とはいえ、Udemyには価格規制があります。上限は彼らのポリシー変更によってチラチラと変わりますが、10万円とかのコースは売れません。これを書いている時点では$200がマックスです。先日のポリシー変更で上限が$60から$200に変わりました。それでもたったの2万円なんですね。100本売っても200万円かぁ・・・。個人的には200万円の商品を一人に売る方が数倍楽な気がします。ま、それはおいておいて。値付けの基本なんですけど、同じ分野にライバルがいれば1/10、ライバルがいなければ10倍の値段で売ります。Amazonでもうけている人たちってこの原則をしっかりと守っています。しかしUdemyには独特の割引カルチャーがあるので、1/10にするともしかすると割引後の価格より安くなってしまうかもしれません。
Udemyは頻繁に$10セールと$19セールをやるんですね。たぶんこのくらいで売るのが一番利益が出るのでしょう。もしライバル商品の価格が6000円の場合、本来であれば600円で売っても全く問題はないんですけど、それだと$10や$19のセールス期間中にUdemy Organic経由での売上が見込めません。だって割引後の価格(1000円とか1900円とか)より通常価格の方が安いんだから。割引セールの手法は「こんなに大幅割引されているんだ」と勘違いさせることです。通常価格との落差が大きければ大きいほど人はお得感を感じるようです。
- 元値20,000円→割引後1000円
- 元値1,100円→割引後1000円
こうやって比べると、どうやら消費者は上の方がお得だと感じるようです。セール期間中はきっと上の元値20,000円のコースがよく売れるでしょう。ということで、自分の売りたい価格よりも1.5倍から2倍の値付けをしておけばいいんじゃないでしょうか。
tips 5:自分の想像する価値の1/10で売れ
まったくの余談ですが、ちなみにうちのレパートリーにDRM企画というコンサルティング商材があるんですけど、そこでは自分が売りたい価格の1/10と言ってあります。値段を上げろ!って言ったじゃないかと思われるかもしれませんが、まあ聞いてください。僕が言いたいのは、お客さんが想像する10倍の価値を提供しろということです。もしあなたが1万円で商品を売りたいなら、最低でもお客さんが10万円以上の価値があったなと思ってもらえるような商品を作りなさい、と言いたいのです。常にお客さんの期待を超える商品を作れば、あなたの市場における権威は高まるに決まっています。