今回は、Video Sales Letter(VSL)についての話題を扱います。VSLとは、短い動画を使ってセールスを自動化するための仕組みです。VSLでは話の流れにきちんとした型が必要です。短い時間で、クロージングをする訳ですから、正しい順序で見込客の心を動かさなければいけません。
VSLでは、5分から15分ほどの短い動画で、見込客の心を動かして成約させるところまでを行います。そのためには、きちんとした流れを作る必要があります。今回は、見込客が商品に興味がない状態から、短時間で成約まで持っていくための流れを、4つのステージに分けて紹介します。
ステージ1:好奇心ステージ
まずは、VSLで色々な内容を話す前に、見込客の注意をこのVSLに向けさせましょう。ブログ記事でも書籍でも、海外ドラマでも映画でも同じです。広告などでフックと言われる部分にも、同じ役割がありますね。まずは冒頭で「これは面白いかもしれない」とか「自分に関係あるかもしれない」と興味を持ってもらう必要があります。
VSLを4つのステージに分けて考えていきます。まず、この最初のステージでは見込客の好奇心を刺激します。冒頭で見込客を惹きつけるには、まず最初の5秒が肝心です。つまり、最初の1スライドまたは2スライドです。この部分をイントロとかフックと呼びます。
ここでこれから語ることを、全て説明する必要はありません。僕たちの場合は「ちょっと待ってもう1つ!」とか「このページだけの特別なご案内です」といった言葉を使っています。
もちろん、この最初の5秒は一時的なカンフル剤に過ぎません。その後の内容で見込客の興味を保ち続けることが出来なければ、せっかく冒頭のワンフレーズが良い内容でも見続けてもらえません。
フックの後は、問題提起とそれに対する解決策の存在をアピールしましょう。「あなたはこんな問題を持っていますよね?」「実は、毎日こんな風に悩みながら生活していませんか?」といった風に、見込客の抱える問題に切り込んでください。ここで大事になるのは、見込客の悩みをズバリ言い当てることです。
これにはリサーチが欠かせません。日頃のお客さんとの会話から、彼らの悩みを集めておくと良いでしょう。あなたの顧客や見込客が、普段どんな生活をしていて、どんなことを考えているのか。可能なら家族構成や年齢、趣味などといったことまで鮮明にイメージ出来ていると強いです。あなたの顧客を代表うするような特定の1人を思い浮かべても効果的です。
その問題に対して解決策があることを伝えます。「このビデオを最後まで見れば、その悩みを解決する方法を理解できます」といったような内容を話しておきます。ちゃんとソリューションがあるから、最後までビデオを見るようにと冒頭で話しておくのです。可能なら、あなたの専門性などを交えた自己紹介をして、なぜ見込客があなたから話を聞く必要があるのか?を話しておいてください。
ステージ2:共感ステージ
次のステージでは、見込客の悩みをさらに掘り下げていきます。例えば「定期収入を得られるサブスクの仕組みは魅力的だけど、実際にやってみると参入ジャンルは迷うし、ツールの実装は大変だし、お客さんが集まらなくて大変じゃないですか?」みたいな感じです。
さらに掘り下げて書くと、見込客はウンウンとうなずいてくれるはずです。例えばこんな風に「実際にサブスクをリリースして、集まったお客さんはたった数名。数名のために今月も、12月特集コンテンツと第して、コンテンツを作り続けなきゃいけない。定期収入で楽にビジネスが回るはずが、完全に裏目に出て、自分を縛りつけているような気がする…」
ここで大事なのは、「僕はあなたの悩みをこんなに深く理解していますよ」ということを見込客にきちんと示すことです。そして、見込客が経験している事実だけでなく、そこから推測できる見込客の感情にもフォーカスを当ててください。まるで占い師にハマったOLのように、「え、私のことすごく理解してもらえてる!もっと話を聞きたい」そう思ってもらえるようにしてください。
また共通の敵を設定することで、見込客との間に繋がりを作ることも出来ます。仮想敵とも呼びますね。例えば「巷にあるサブスクスクールでは、一般人に出来ないようなことを教えています。例えば、月500円で安いサブスクを作って、大量の顧客を集めることが出来れば、金額が少なくても安定したビジネスを作ることが出来る。彼らはそう言います。でも現実的には、インフルエンサーでもない限り、それだけで生活できるような人数を集めることは出来ないんですよね。」
この方法を使う場合は、まずそういった事実をあなた自身が理解していることを示します。その上で、それら共通の敵から見込客を救うストーリーを語ってあげればいいんです。
共感ステージでは、見込客の問題を掘り下げた後に希望を与えてください。見込客が欲しがるような理想の未来を描いてあげるのです。例えば「サブスクにはコツがあります。これを押さえれば良いというような実証済みの成功法則があります。あなたもそれを実践すれば、こんな素晴らしい生活を送れるようになります。それを実現したあなたは、こんなに晴れやかな気持ちで毎日を生きているはずです。」といった感じです。
新たな方法を使えば理想の状態に近づけることを伝えます。いわゆるトランジションです。あなたの発見した方法を使えば、見込客の問題点を解決できると説明してください。そして商品名を紹介しましょう。商品を紹介したら、商品の説明を詳しく話してください。また商品が解決する問題と、見込客が得られるベネフィットについても話します。
ここでも、問題点を掘り下げた時と同じ用に事実のみでなく、見込客の感情面にもフォーカスをしてください。どんな姿になって、どんな風に人生が変わるのか?その結果、理想を実現した後の見込客がどんな感情になっているのか?この部分を具体的を交えて深堀りすることで、見込客は「その理想の状態を実現したい」という欲求を強く感じてくれます。
ステージ3:証明ステージ
ここでは、実際に見込客が理想の状態を実現できるという、証拠を見せていきます。これはあなたの実体験かもしれないし、売上のデータかもしれません。または、あなたのクライアントの成果かもしれません。この時点で見込客はかなり、気持ちが高ぶっているはずです。しかし同時に「そんなにうまい話ないよね?」とも思っているはずです。
なので、この証明ステージで見込客の不安を取り除いていきます。データや図、そして写真などのビジュアルデータがあるとすごく説得力が強くなります。そしてなるべく数字を使って、語るようにしてください。このステージでは、あなたがVSLの中で語る内容が真実であるという確かな証拠が必要になります。
あなたが自分の実績を語る以外に、クライアントの声を使うのもとても有効な方法です。あなた一人で実績について熱く語るよりも、第三者であるあなたのクライアントの声を使う方が、説得力が高くなります。まだクライアントの声をもらえていない場合は、クライアントにお願いして書いてもらうと良いです。本当は動画レビューの方が説得力が高いのですが、今回はVSLで使うのでテキストで書いてもらいましょう。
ステージ4:クローズステージ
いよいよ最後はクロージングを行いましょう。ここまでで十分に商品の魅力を話してきました。ですが、ここでマーケティング的なギミックを使って、見込客の背中を押していきます。まずは価格や内容面で、見込客が断れないくらい魅力的なオファーを出してください。20万円の商品が、時間限定で半額になるといった価格面でのオファーもすごく強いですよね。
またボーナスを追加するにもオファーを強くする1つの要素です。ボーナスを追加する時のポイントは、反論処理とセットで登場させることです。
例えば見込客がテクノロジーに疎くて不安な場合は、このような紹介の仕方を使ったりします。「でもツールの使い方が難しいんじゃないかと、不安に思っていますか?それなら、このボーナスでツールの使い方を1から動画で学んでください。」
またこのクローズステージでは、オファーを強めるだけでなく、見込客の理想の姿をもう一度描いてあげます。見込客が悩みや問題を解決し、理想の世界を生きている姿をありありと描写してあげるのです。ここで見込客の頭に、問題解決後の素晴らしい未来を示してあげることで、その状態を求める欲求を今一度高めることが出来ます。
このステージの随所で、「この商品で得られるもの」と題したマテリアルのリストも見せてあげてください。その時に大事になるのが商品のモックアップ画像です。デジタル商品を扱う場合は、商品が無形物になります。無形物をしっかりと商品として認識してもらうためには、しっかりと商品らしいパッケージが必要です。
モックアップを作るには、Canvaが使えます。Envatoなどの素材サイトから、iPadやMacの画像をダウンロードして活用すると良いです。Canvaで仕上げれば、プロに頼まなくてもある程度のクオリティのものを用意することが出来ます。モックアップがあると、商品が見違えますからぜひ頑張って作ってみてください。最後は、CTAと反論処理の繰り返しです。
CTAとは、Call To Actionの略で「下のボタンをクリックして今すぐ参加してください」のような直接的に購入を促すような文言のことです。ほとんどの見込客は優柔不断なんです。あなたも心当たりがあるでしょう。「この商品良いよ」と紹介されてからずっと、買うべき理由と買うべきでない理由が頭の中で戦っています。
CTAは必ず複数回出してください。何度もリマインドすることで、見込客に購入タイミングを複数回与えることができ、成約のチャンスが増えることになります。CTAの合間に、反論処理を挟むことを忘れないでください。ここまで、見込客はあなたの商品やオファーのメリットをこれでもかと聞かされてきました。良いことを聞かされると、「どこかにトリックがあるんじゃないか?」と疑ってしまうのが、人間の自然な心理です。
見込客が購入をためらう理由を、1つずつ取り除いていくイメージを持って反論処理をしてください。反論処理する場合は、見込客の中で最大公約数にあたるようなものから順に行ってください。あまりマニアックな反論処理は、それに反応する人数も少なく効果が限定的です。VSLでは、短い動画という限られた尺の中で効率的にセールスをします。そのため、出来るだけ最大公約数的に多くの人に影響があるものを優先して扱うことを忘れないでください。
まとめ:VSLを4つのステージで構成する
今回は、Video Sales Letter(VSL)でのセールスを成功に導くための4つのステージを紹介しました。各ステージは、順番に好奇心ステージ、共感ステージ、証明ステージ、クローズステージに分けることが出来ます。それぞれのステージに重要な役割があり、この順序で展開する必要があります。
まず好奇心ステージで、このVSLに対する興味を掻き立てます。そして共感ステージでは、見込客の問題に共感することで、見込客との間に信頼関係を築いていきます。そしてあなたの商品が見込客の問題を解決することを説明します。証明ステージでは、あなたの語ることが真実であるという証拠を見込客に見せてください。そこまで出来たら、最後はクローズステージで見込客に購入を促してください。
VSLでは、全体の方向性が見えていないと、作業中に何を書いたら良いのか迷うことがあります。ましてや限られた尺の中でセールスしますから、効率良い話題展開にしたいと思うでしょう。そんな時に今回紹介した4つのステージを思い出してください。VSLを書く前にもう一度このレクチャーで、全体の流れを復習することをオススメします。今回は、以上です。また次回のレクチャーでお会いしましょう。