2015年の2月。
僕と奥さんはシカゴにいました。
記録的な寒波で、ミシガン湖がカッチカッチに凍ってしまった。
外はマイナス20度。僕たちはシカゴ公共図書館に向かいます。いつものごとく地下鉄を使います。iPhoneに目を落とし、クライアントからの相談メールを読んでいました。さあ返信するぞという時に、ガタン!と車内が揺れて一つの名案が浮かびました。
そうだ、会社の名前のサブウェイコンサルティングにしょう。
これは真剣なアイディアでした。当時も今も会社の名前はHaamalu合同会社という、けっこう意味のわからない名前です。でもその時は本当にサブウェイコンサルティングという社名に変更しようかと思ったんです。なぜか?もちろん地下鉄を含む公共政策のアドバイザーになりたかったわけではありません。
地下鉄に乗っている空き時間だけを使ってメールに返信をしていたので、サブウェイコンサルティングという名前がぴったりだと思ったのです。コンサルティングというのは非常に楽な仕事です。相手の問題を分解し、それぞれの解決策を提案する。ただそれだけです。僕のお客さんは、中小企業の社長さんや本の著者や有名なセミナー講師がほとんどです。みなさんリッチでスマートな人なんです。1を言えば10を理解するような天才肌で、しかも実行力のある人がほとんどです。彼らの事業にマーケティングオートメーションの仕組みを導入するのが、僕の仕事。
彼らの専門では、僕は歯が立たない。彼らほど頭も良くないし、行動力もないし、やる気もない。でもマーケティングオートメーションやマーケティングツールに関しては、僕の方が10倍以上の知識とノウハウを持っている。だから彼らは僕に高いお金を払って、コンサルティングに申し込んでくれます。逆に言うと僕はMA(マーケティングオートメーション)だけしか知らない人間です。MAを取ったら何も残らない、地方出身の平凡な男です。
MA以外の質問については答えられない。でもMAに関する質問だったら、答えられます。運がいいことにクライアントの問題の8割は共通しているので(コンサルティングってそんなもんです)、いつも同じ回答をするだけでいい。残り2割の問題も、即答できるものばかりです。だって僕の方が10倍以上の情報を持っているんだから。逆に言うと、クライアントの質問に対して「ちょっと待ってください」とか「調べさせてください」と返事をするようではコンサルタント失格です。明らかにお勉強不足です。
クライアントよりも10倍以上のノウハウを持っていれば、地下鉄に乗りながら、移動中の空き時間を使ってコンサルティングできます。地下鉄を降りれば、僕はクライアントのことも忘れるし、仕事のことも忘れます。セブンイレブンで安いコーヒーを買って、お腹が空いていればピザも買います。凍える手を摩擦熱で温めながら、僕たちはシカゴ公共図書館へと向かいます。
なぜ、サブウェイコンサルティングがクールだと思ったか?それは生産性が非常に高いからです。まるで、空き部屋を貸し出すAirbnbや、空き時間を提供するUberのようなビジネスモデルとそっくりだと思ったんです。僕も自分の空き時間(地下鉄での移動)だけを使って頭の中のノウハウを切り売りしていたからです。
どれだけ高名なコンサルタントが目の前に立ちはだかろうとも、僕はビビりません。
「君のやっていることはコンサルティングではない」と批判されても、全く気にしません。嘘です。きっと少し傷つきます。そして、そっと距離を置いて、その場を立ち去ります。心の中で「生産性という観点では、どのコンサルタントも僕に勝ち目はないぜ」とひとりごちながら。
なぜUberが地方都市に上陸すると、ほぼ100%、その地域に根ざしたタクシー会社から反発があるかわかりますか?彼らは運転のプロだし、既存顧客もたくさんいます。何を恐れているのでしょうか?きっとそれはパイの奪い合いが起こるといった瑣末な問題ではありません。Uberのテクノロジーが優れている(例えばiPhoneで決済できる)からでもないでしょう。生産性という観点で考えると、タクシー会社はUberに勝ち目がないからです。
3年前の話。うちの家族恒例の貧乏旅の季節です。青春18切符を使って、千葉県の西船橋から青函トンネルをくぐり北海道の函館まで鈍行列車で旅をしました。旅中、牛タンを食べるために仙台駅で下車しました。なんだこれは!仙台駅の前には、おびただしい数のタクシーが止まっています。僕はこの景色を見て、タクシーというビジネスはなんて生産性の低いモデルなんだろうと溜息をもらしました。ちなみにほぼ同じ風景を、うちの地元、金沢の繁華街(片町)でも見ることができます。
たった一人のお客さんを乗せるために、しかも彼 or 彼女は900円しか払ってくれないかもしれないのに、何時間も長蛇の列に並び待ち続ける。そりゃ、空き時間を使ってひょこっと現れるUberのビジネスモデルにかなうわけはありません。タクシー会社は、たくさんの車を駐車するスペースを確保しなきゃいけないし、もちろんそれには賃料がかかります。Uberの場合、自宅の駐車スペースに車を止めるだけでいい。仕事をしてもしなくても、どっちにしろ車の駐車スペースは必要ですから。タクシー会社は、ドライバーを雇えば、社会保険を払わなきゃいけないし、雇用保険も払わなきゃいけない。その他、経理や管理など様々なマネジメントコストがかかります。Uberの場合は、PayPalや銀行振込で自動入金して、ドライバー各自に税務処理をやらせるからマネジメントコストはありません。なるほど、Uberが優れているわけだ。なるほど、タクシー会社が反発するわけだ。
同様な理由で、地元の不動産屋やホテル、その他旅館業に携わる会社も、Airbnbの上陸を徹底阻止しようとします。稼働率を考えると、Airbnbが圧倒的に有利だし、何より生産性では絶対にAirbnbには勝てない。なんたって、Airbnbは使われていない空き家を貸し出すんだから。もともと使われていない資源を再利用するわけだから、REITで資金を調達してでっかいマンションを立ててテレビ広告をたくさん打ち居住者を集めるビジネスモデルとは、根本から異なります。
ここで一旦リラックスして聞いて欲しいんだけど、僕は売上の多い少ないの話をしているわけではありません。あくまでも生産性という観点で考えています。僕よりも多く稼いでいるコンサルタントは山ほどいるでしょう。たぶん彼らは僕の売上を見て「このゴミ屑野郎が、相手になんないわ」と思うかもしれません。それを口に出されると僕は傷つくけど、心の中で思っていただくのは、どうぞどうぞ、好きなだけやってください。
僕は家族とすごす時間がたくさんあれば嬉しいし、湯水の如く湧いてくる時間を持て余して、さあ次は何をしよう?と考えるのが大好きだし、何よりいまのライフスタイルに不満はありません。
ビジネスを始める時、2つの方向性があります。
- お金を稼ぎたい人は「売上を伸ばそう」と考えます
- 時間を稼ぎたい人は「生産性を高めよう」と考えます
僕は、お金よりも時間の方が大事だと思っているので、起業した当時から徹底して生産性の向上につとめてきました。だからフロービジネスではなくストックビジネスを選ぶし、訪問営業よりもマーケティングオートメーションを選ぶし、DVDの販売よりもデジタルコンテンツの販売を選びます。そして比較的、労働集約型のコンサルティングですら移動時間という空き時間を再利用することで、生産性を高めています。わざわざクライアントのために静かな環境を用意してスカイプを立ち上げるなんて御免だし、二酸化炭素濃度の高い満員電車に揺られてクライアントのオフィスに出向くなんてのはもっての外です(風邪うつされるの嫌だし)。1回のセッションで1億円くらいくれるなら、いますぐ行きますけど。
まるでAirbnbやUberが空いている資源を上手に活用しているように、僕も空き時間を上手に活用したいと常々思っていました。だからサブウェイコンサルティングという名前が気に入ったし、近くに法務局があればきっと定款変更をしていたことでしょう。結局は、面倒くさくてやらなかったんですけど。運よく、コンサルティングをしなくても、生きていくだけのお金は稼げるよったというのもある。
そうそう、今でも情報商材ってたくさん売れていますよね。内容が怪しいかどうかは別として(僕もたくさん買ったことあるよ!)、あのビジネスモデルってすごい生産性が高いんです。僕も平均的で健康な男子ほどの欲深さはあるけど、彼らはもっとすごい。お金が大好きなんです。だからプロダクトローンチを組んだり、アフィリエイターを動かしたり、ジョイントベンチャーを仕掛けたりする。で、もっと稼ごうとする。でも、そういう面倒なことをやると生産性が一気に下がるんですよね。一番いいのは、2万円くらいの商材を登録して、アフィリエイターに60%ほど利益シェアしながら勝手に売れて行くモデルだと思います。
大事なのは、時間やお金という希少資源をどのようにアロケーションすれば、もっともハッピーになれるかという視点です。
ビジネスにおいては、希少資源の投入量を下げて今と同じリターンを得ようにするか、投入量を変えずにリターンを大きくする方法を考えるのがベターです。
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ブログは生産性が低い
ブログを書きながらこんなこと言うの変だけど、そういう意味では、今から商用利用のためにブログを立ち上げるのって生産性という面では最低の選択だと思うんです。僕は好きで書いているからいいけど、リストを取りたいとか仕事を受注したいってモチベーションでブログを始めるのはどうなんだろう。もうブロガーの数が多すぎて、今から始めても検索結果にすら表示されない懸念があります。特にあなたがオーディナリーでしかも抽象的なネタしか書けないのであれば、やるだけ無駄です。これまで10万PV以上のブログを作ることに成功した個人のクライアントさんって、僕は2人しか知りません。彼らのサイトは検索していても、よく見かけます。逆にいうと、ブログに挑戦した(今でも挑戦し続けている)ほとんどのお客さんの労力は、十分なリターンも生まず、ただただ仕事の生産性を下げているだけでした。悲しけれ。
ブログは好きでやるか、コンサルタントを入れてやるかの二つに一つだと思うんです。一番最悪なのは、SEOライティングの本を1冊2冊読んで、金にならないブログを1年も2年も続けることです。
ゴミみたいなブログを更新し続けて、ようやく売上が1つあった。それって、駅前で長蛇の列を作っているタクシーと一緒じゃないですか。その1つの売上のためにどれくらいの資源を投入したんだろうか?と真剣に問う必要があります。
たぶんリターンを生んでいないブロガーの労力を1つにまとめて、別の価値に転換したらすごいものができるんじゃないかと思う。東京ディズニーランドとか平気で2個3個くらい作れちゃうくらいのレベル。意味不明ですね。価値を生んでいないブロガーの労力を試算したデータとかってないのかな?金銭的価値に換算するとどのくらいのエネルギーが無駄に投入されているか、一発でわかるんだけど。そのくらいブログって生産性が低いんですよね。もちろんトップブロガーになると、話は別なんだろうけど。
生産性の公式
さてここで生産性の公式を確認しましょう。
生産性 = アウトプット / インプット
超シンプル!生産性を高めたければ、次の2つしか方法はありません。
- アウトプットを上げる
- インプットを下げる
ただし、アウトプットを上げたとしてもインプットも一緒に上っていたら生産性は変わりません。生産性の概念を知らない親は子供こう言います。
もっと勉強しなさい
本当は友達とポケモンして遊びたかったけど、うちでは「親の言うことは絶対」だから仕方なしに勉強する。後日、テストの点数が上がった。親は喜びます。「ほら、勉強したから点数が上がったでしょ」と。こうやって不幸な子供がどんどんと増えてゆきます。彼らは成果をあげるためには、インプット量を増やさなければいけないと思い込みます。こういう子供は大人になってから勉強量ではなく労働量を増やそうとします。残業ウェルカム!とりあえず良い企画書を作るには徹夜で仕事をしなきゃいけないと思い込んでいる。だからクオリティの低い仕事のやり方を変えようとせず、退社時間になってもまだ会社に残り気づけば日付が変わっていた・・・なんてことがままあるわけです。会社に入ってから数年間くらいはそういう生産性の低い働き方でも楽しいかもしれないけど、いずれ頭打ちがきます。
ハタと気付いたのは、そういえばうちの親もよく似たようなことを言っていたなと。
勉強しなかったことを後悔している or
いずれ勉強が役に立つ日が来る
大人になってシャバに出てからしばらく経つけど、いまだかつて勉強しなかったことを後悔したことはありません。むしろ大学生の時にTOEICや簿記の勉強をしていて、つくづく大事な時間を無駄にしたなと、逆に勉強したことを後悔しているくらいです。義務教育期間、やる気のある時とやる気のない時があった。総じて、ほどほどに勉強したけど、結局なにが役にたっているのかは今でもわかっていません。役に立っているものもあるけど、役に立っていないことの方が遥かに多いような気がします。なんか思い出すと、心の中がドロドロとしてきたぞ。
大人になって気付いたことですが、学校もかなり生産性の低い仕組みだなと。まるで駅前で長蛇の列を作っているタクシーのビジネスモデルとそっくりだな。投入量が多い割りには、リターンは小さいですよね。
今の僕を支えてくれているスキルは全て大学を卒業してから身につけたものです。英語や、マーケティングのスキルなどですね。古文とか倫理の知識ってあんまり役に立っていないんですよね。
閑話休題。あなたは生産性の概念を理解しています。もしあなたが子供に過労死するような大人になって欲しくなかったら、こうアドバイスすべきなのです。次の3つが考えられます。
- 勉強量を減らしなさい(インプット量を減らしなさい)
- 勉強法を工夫しなさい(アウトプット量を増やしなさい)
- 勉強が好きなら好きなだけ勉強しなさい
生産性を上げるには、インプットを減らすかアウトプットを増やすしかありません。もちろん勉強そのものが好きな子供には、やっていることそれ自体が楽しいわけだから、それをわざわざ止める必要はありません。運良く、社会にはそういう勉強好きな人にも職業的なチャンスを与えているので、たぶん食いっぱぐれることもないはずです。
この勉強に関するアドバイスは、大人になると次のようなアドバイスに変わります。きっとあなたは大人だろうから、これはあなたへのメッセージであり、僕自身のメッセージでもあります。
- 働く時間を減らしなさい
- 働き方を変えなさい
- 働くのが好きなら好きなだけ働きなさい
インプット量を減らすのは、意志の問題だから、今この瞬間からできます。僕はことあるごとに、ジョイントベンチャーパートナーに「もっとゆっくりやりましょうよ」とか「XXさんも週に4時間だけ働くようにしましょうよ」といらぬおせっかいを焼きます。でも今のところ「わかりました」との返事をもらったことがありません。
その気持ち、すごいわかるんです。僕も「働く時間は減らさないといけない」と常々思っていたけど、それを実行に移すチャンスをなかなか見つけられなかったんです。「このプロジェクトが終わってから」とか「この仕組みが完成してから」と言い訳して、いつも延期していた。「これが終わったら、自由になれるから」と奥さんに言うたびに、またそれー?と呆れ顔をされる。これを3年くらい繰り返していたんです。ある時、とめどなく湧いて来るビジネスアイディアを意図的にストップして、このままじゃいかん!と自分を叱責しながら、大胆に働く時間を半分にして見た。売上はちっとも変わりませんでした。
味を占めた僕は、調子に乗って、ティモシーフェリスのように「週4時間」だけ働くをやってみた。売上は半分くらいに減りました。でも働く時間が文字通り、週に4時間だけ(土曜日の午前中だけ)になったんです。で、今に至ると。
パレートの法則の2乗
働く時間を減らしたり、働き方を変えるには、パレートの法則を理解する必要があります。みなさんご存知のパレートの法則。別名20:80の法則。20%のインプットが80%のアウトプットを生んでいる、というアイディアですね。Wikipediaによると・・・
- プログラムの処理にかかる時間の80%はコード全体の20%の部分が占める。
- 商品の売上の8割は、全商品銘柄のうちの2割で生み出している。
- 所得税の8割は、課税対象者の2割が担っている。
- 売上の8割は、全従業員のうちの2割で生み出している。
この20という数字や80という数字がどれほど正確かは知りませんが、この傾向自体は間違いなく存在します。悲しいかな、認めたくないけど労働時間のほとんどは成果に繋がらないゴミワークです。もしあなたがフリーランスなら、きっとそれはゴミワークです。つまりやらない方がマシなことです。
- アクセスの集まらないブログを更新し続ける
- Udemyにコースを公開したけど売れていない
- YouTubeに動画をアップロードしているけどチャンネル登録者数が1万人以下
- eBookを作ってみたけど全然リードを獲得できない
- Facebookで知らない人にも友達申請している
- Facebookでブログの更新通知を飛ばしている
- Twitterでツールを使ってフォロワーを増やしている
- Twitterでブログの更新通知を飛ばしている
- 自己啓発本を読んで朝早起きの習慣に変えてみた
- ビジネス書を多読して働き方を改善しようとしている
- 読者数999人以下のメルマガを配信している
- テーマのはっきりしないセミナーに参加して隣の人と大きな声で挨拶をする
- Instagramでセミナーに参加したことを報告する
- アメブロで繋がった自営業同士の女子会や飲み会に参加する
- マインドマップでビジネスのアイディアをまとめる
- 異業種交流会に参加して「せどり」を組織化しているおじさんと名刺を交換する
- ただ話してみたいという理由でメッセージを送ってくるオバさんに返信する
- 「ではお食事でも」という自称起業家の誘いにのる
- 意識高い人の発信する情報をキュレーションアプリで追う
なんでこんなにスラスラ出てくるか?僕がかつてやっていたことだからです。こう言った無駄な時間は全て、ウクレレを練習する時間に変わりました。こういうのは今すぐ辞めてしまうことをお勧めします。ドラッカーはすごいいいことを言っています。
すべての仕事について、まったくしなかったならば何が起こるかを考え、何も起こらないが答えであるなら、その仕事は直ちにやめる。
何かを惰性で続けるってのは、すごい簡単なことです。現状を毀損しなくて済むので、安心できるんです。例えば「ブログをやめたまえ、今すぐ」と忠告されたとしても、仮にクソみたいなブログであっても、それを潰すのって勇気がいるでしょ?そのメンタルブロックがまさに現状を維持しようとする働きなんです。だから、一つ一つを止める作業は本当にしんどかったです、個人的に。ビクビクしながら、ちょっとずつ自分の体からその習慣を剥がしていった。こんなに辞めるのが辛いなら、もう始めなきゃよかったって。
次にやるべきは、2割の中の2割を見極める作業です。パレートの法則を2回適用します。どうなるか?20%の20%で4%と、80%の80%で64%ですね。これ、僕がアメリカ留学中に読んだペリーマーシャルの本に書いてあったことです。
4%のインプットが64%のアウトプットに貢献している
ふと僕が思ったのは、売上を64%に減じてもいいのなら、働く時間をいまの4%に圧縮できるということです。売上を年収で言い換えても構いません。年収を64/100に減らしてもいいのなら、働く時間を4/100に圧縮できます。これまで週に100時間働いていた人は、4時間働くだけで良くなる。
この4%を見極める作業は結構しんどかった。パレートの法則を1回適用するだけなら、それほど難しいことではありません。前々から「意味ないな、これ」と思っていた仕事をバッサリ辞めるだけでいいから。あるいはドラッカーの言うように、一回やめてみて何も起こらなかったら直ちに辞めればいい。その典型がSNSですね。僕らのようなリストマーケターは、ビジネスの調子をリードの数で計測します。SNSをやめても、リードジェネレーションにはほとんど影響を与えませんでした。サンクコストとはいえ、Facebookを作ったり記事をポストしたりの作業が無駄になったと認めるのはしんどいことでした。でも継続するのはもっと最悪だから、目をつぶってエイ!って辞める。アカウントを削除します。ああ、気持ちいい。
そうやって残った「一軍」から、さらに「オールスター」を選んでいくプロセスがここから始まります。パレートの法則をもう一回適用する。果たしてこの「一軍」のプレーヤーの中で、チームの勝利に貢献しているキープレーヤーは誰だろうと考える。僕の1日の中で、売上に貢献している4%の仕事って何だろう、と。知りたいですか?
教えます。それは「サステナブルな仕事」です。持続可能な仕事です。極端な話、目を瞑っていてもできるような仕事です。お酒を飲んでいてもできるような仕事です。
アメリカに留学している時の話。セキュリティに関するコースを受講していました。白ひげを口の周りにたっぷりとたくわえたアラブ系の先生でした。セキュリティのクラスは、僕の住んでいたAntelopeというオンキャンパスの寮から最も離れていました。しかも朝一番のコース。カフェテリアで適当にサンドイッチを食べて、コーヒーを飲みながら遠い教室へと向かいます。ジープを飛ばす白ひげのおじさんが「乗ってけ!」と。車の中で僕は先生にアドバイスを請いました。「プログラミングが面白くて、このままアメリカに残ろうかと考えています。僕は日本で法律を専攻しているんだけど、バチェラーからやり直したほうがいいですか?それともマスターからでも大丈夫ですか?」と。その後の進退を聞いたんです。白ひげの教授はこう答えました。
マスターからでいいんじゃない?4年は長いよー
結局、僕はアメリカに残らずそのまま日本に帰国しました。このあと、白ひげの教授はこう付け加えました。
僕らくらいになると、コードなんてもう書きたくないんだよねー。パソコンなんて見たくない、ははは。
これがサステナブルな仕事の例です。もうやりたくないくらいやり過ぎた究極のルーチンです。彼はキャリアのほとんどをコードを書くことに費やしてきた。学生にセキュリティを教えることなんて、朝飯前なんです。よくホットドッグのマスタードを白ヒゲにつけたまま授業をしていたので、正確には朝飯後なんですけどね。
ちなみにセキュリティの授業では、8桁以上のパスワードでも10年くらいかければ必ず解読できることや、スタバのWi-Fiを使って同時接続されている他人のパソコンのカメラを起動させる方法や、単純なInteger型のオーバーフローでロケットが爆発した事故があることを学びました。
無駄な話はさておいて。
朝飯前の仕事が4%のインプットに該当します。パレートの法則のパレートの法則に選ばれた仕事は、目を瞑っていてもできるような仕事です。それは簡単という意味ではなくて、あまりにも時間をかけ過ぎた結果、無意識レベルでできるようになってしまった仕事をさします。
村上春樹が小説を書くように、メッシがドリブルするように、ウォズニアックがアップルⅡを設計するように。途方も無いくらいの労力と才能を時間をかけた結果、それほど努力をしなくてもできるようになっている仕事が4%の仕事です。(春樹さんが1Q84を無意識で書けるわけないだろ、みたいな揚げ足を取ることは言わないように。あくまでも例えです)
ドラッカーはこれを「強み」と呼んでいます。ドラッカーは体型的なマネジメントの大著を残しましたが、その中でも「強みで仕事をせよ」はコアとなるメッセージです。上田惇夫先生が訳した本にはこう書いてあります。
「誰でも、自らの強みについてはよくわかっていると思う。だが、たいていは間違っている。わかっているのは、せいぜい弱みである。それさえ間違っていることが多い。しかし、何ごとかをなし遂げるのは、強みによってである。弱みによって何かを行うことはできない」(『プロフェッショナルの条件』)
この数センテンスを読むだけで背筋が伸びます。たった今、黙読してみたけど、やはり意識がクリアになる感覚があります。もう何度も繰り返し読み直した本なのに、また読むと、また同じ所でハッとさせられる。今、僕が「強み」と信じていることもきっと間違っているだろうとドラッカーは言います。
ドラッカーは強みを見つける方法としてフィードバック分析を教えます。何かに取り組むとき、9ヶ月後の目標値を設定します。9ヶ月後に目標値を上回っていたらそれは得意だし、9ヶ月後に目標値を下回っていたらそれは不得意です。これを繰り返します。そう考えると、9ヶ月も続けているのに期待していた成果が得られないものなんてやめてしまった方がいいと結論になります。あともうちょっと続けたら成果が出そうといってグズグズ続けるのが最悪のパターンになります。社会に貢献するには弁護士になるしかないとか、医者になるしかないと思い込んで何度も受験している浪人生のようです。受験勉強をしている間はちっとも社会に貢献していないんだよ!というアドバイスを聞き入れるほどの心境ではなくなっています。
浪人生に限ったことではありません。フリーランスも同じです。ほとんどの仕事が成果に繋がっていないし、強みを発揮した仕事でもない。とりあえずブログをやってみようと軽いノリではじめて、石崎に騙されてGenesis Frameworkをインストールして、成果からは程遠い作業を継続している。とりあえず外観だけでもと、サービス一覧のページを用意する。誰も申し込まないスカイプ相談、誰も購入しないオンラインコース、誰もオプトインしないMailChimpのポップアップ。あなたのやっている作業は成果に繋がっていないから、その時間をコンビニバイトに回した方がよっぽどマシだよという声は、彼らには絶対に届きません。
独身で時間がたっぷりあって、クラウドワークスでなんとか生きていけるだけの仕事を受注しているような人は、特に危ない。何が成果に繋がって何が繋がらないかを確認する機会がないので、平気でアルバイトよりも単価の低い仕事を永遠と続けてしまいます。1ヶ月、6ヶ月、1年経ってもまだ続けます。2年経って、3年経って何かがおかしいと思い始めます。5年経ってようやく「自分には向いていない」と気付いた時には、もう手遅れです。
ドラッカーはさらに続けます。
並以下の能力を向上させるために無駄な時間を使ってはならない。強みに集中して取り組むべきである。無能を並の水準にするには、一流を超一流にするよりもはるかに多くのエネルギーを必要とする(『プロフェッショナルの条件』)
良いところを伸ばしていけ、というシンプルなアドバイス。強みで仕事をするとどうなるか?成果が出やすくなります。だからこそ、僕は「サステナブル」がいいシグナルだと思ったんです。成果が出ない仕事を持続することは不可能です。成果が出にくい仕事を続けることも結構シンドイです。逆に、気分良くやっているのに成果が出過ぎてしまうような仕事は持続が簡単です。あるいは手抜きでやっているのに外部からのフィードバックがあまりにも良すぎるような仕事も継続が簡単です。
僕が辿ったプロセスはこうです。
- 80%のゴミワークを直ちにやめる
- 16%の仕事をアウトソーシングやマーケティングオートメーションで自動化する
- 4%の仕事は自分でやる
今はこの4%の仕事を、土曜日の午前中にこなしています。
所有から共有へ
- モノの流動性をあげる
- 資産の部は流動性の高い順番に並べる
- 流動性の低いもの = 価値が低い
- Amazonで買う
- メルカリで売る
- 顧客にあげる
- AmazonもGoogle Mapも同じ
- 昔はスロークッカーを持ち運ぶ必要があった、いまはAmazonで買えばいい
- 昔は地図を持ち運ぶ必要があった、いまはGoogle Mapにアクセスすればいい
- 物もアクセスする時代になった
iPadとMacBookの違い
- 情報を消費する iPad
- 情報を生産する MacBook
L型人材からG型人材へのシフト
プロダクトアウトからマーケットインへのシフト
2タイプの稼ぎ方
情報をストックする
- TOEIC900点をとってから英語の先生になる
- 東大に合格してから塾講師をやる
- 10年アマチュアカメラマンやってプロになる
- 大きな差分をマネタイズする
- プロダクト型(商品を先に作る)
情報をスライドする
- ドットインストール「自分の学びたいことです」
- 「開拓」をコンテンツにするイケダハヤトさん
- 商品レビューをするYouTuber
- 小さな差分をマネタイズする
- マーケット型(顧客の欲しいものを作る)