今回紹介する広告フォーマットは「ファウンダーズ・ストーリー広告」です。これは、商品を提供するあなたがどのような人で、どのような想いを持ってその商品を作ったのか、なぜその商品が生まれたのかという起源を語るタイプの広告です。
これは構造的には「カスタマーズ・ストーリー広告」と似ています。カスタマーズ・ストーリー広告との大きな違いは、顧客のサクセスストーリーを語るのではなく、そもそも「なぜ商品を作ったのか」を語るということです。ファウンダーズ・ストーリー広告では、創業者であるあなたの個人的な人生を紹介します。そのストーリーと同時に商品を紹介することで、あなたの商品が顧客の人生をどう変えることができるかを効果的に提示することができます。
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ファウンダーズ・ストーリー広告の効果
視聴者に商品や企業の成り立ちを知ってもらうことで、ブランドへの信頼が高められます。実際、多くの企業には人間味が感じられません。利益だけを追求する機械のように見られがちで、それでは視聴者の共感を得られません。人間は感情移入できないものを信用することは難しく、ましてやその相手から何かを買うことはできないですよね。特にまだ無名の新しい会社や商品の場合には、視聴者は無意識に怪しいと感じてしまいます。
そこで、「ファウンダーズ・ストーリー」という広告フォーマットを使いましょう。このタイプの広告のメリットは、この会社を運営しているのは血の通った人間であり、そこには独自のストーリーがあり、きちんとした商品があるということを視聴者に示せるということです。顔の見えない存在ではなく、親しみを持てる人物として登場するのです。
あなたが会社の創業者として、顔を見せながら自分のストーリーを語ってください。そうすれば、あなたの話は1人の人間のものとして視聴者に届き、視聴者とあなたとのつながりをさらに深めることができます。広告に親近感を持たせるのは、売上につながる大事なコツです。
ファウンダーズ・ストーリー広告を作る2つの要素
ファウンダーズ・ストーリー広告をどのように作るかについて説明します。ファウンダーズ・ストーリー広告のフォーマットは、カスタマーズ・ストーリー広告のフォーマットと同じ構造を使っています。
しかし、そこで伝えるストーリーは、カスタマーズ・ストーリー広告のように、顧客が商品を使用した個人的な経験についてではありません。あなたのビジネスのファウンダーズ・ストーリーを語るというアプローチを取ります。あなたがこのビジネスを始めたきっかけから、ここで宣伝している商品を完成させるまでの物語全体を視聴者に伝えるのです。
これをもっと分解してみましょう。ファウンダーズ・ストーリー広告は、2つの異なる部分で構成されています。1つ目は、あなた自身のストーリーです。2つ目は、顧客への売り込みです。
#1:あなた自身のストーリー
広告の最初の部分では、あなた自身のストーリーを語ります。冒頭はフックから始めますが、これは他の広告と同じようなものなので、詳しい説明は省略します。フックの次は、あなたが過去に抱えていた問題についてのストーリーに入ります。
そのあと、その問題を解決するために取った行動についてや、解決策をどうやって見つけたかについてを話します。そして、その解決策を見つけた後に経験した利益について話します。自分の人生はどのように変わったのか、その前と後では、どのように感じたのかを説明しましょう。
#2:視聴者への売り込み
あなた自身のストーリーを話し終えると、次の「視聴者への売り込み」に入ることができます。ここでは、あなたの商品、つまりあなたの顧客が抱えている問題に対する解決策を紹介できます。一般的には、「なぜこの商品を作ったのか」という話をするのが一番いいでしょう。通常は、「この解決策が僕の生活を助けてくれたので、これを世界に広めて、二度と僕と同じ問題を抱える人がいなくなるようにしたいと思いました」というような内容になります。
解決策を話した後は、視聴者が商品から得られるベネフィットについて話をしてください。これは他の広告フォーマットと同じです。そして最後に反論の処理とCall To Actionを行ってください。Call To ActionはCTAとも呼ばれ、視聴者に商品の購入などの具体的行動を促します。
ファウンダーズ・ストーリー広告の例
ファウンダーズ・ストーリーの概要については理解できましたか?それでは、ここでファウンダーズ・ストーリー広告の例をお見せしましょう。今回紹介するのは、電動キックボードのシェアリングサービスを提供するLime社です。
創業者であるBrad Bao(ブラッド バオ)とToby Sun(トビー・サン)の話です。彼らがサービスを開発するに至った道のりを聞いてみましょう。
「私は中国の深圳(しんせん)で生まれ育ちました。子供の頃、自転車や徒歩で移動していた時間がとても楽しかったです。今では僕も子供がいるので、父親として子供たちには、よりスマートで、より環境に優しく、より健康的な環境で育ってほしいと思っています。」
ここで自分の生い立ちなどの幼少期のストーリーを入れています。幼少期の写真を見ると、人間はその人に親近感を覚えやすいのでよく使われる手法です。導入部分としては上手なやり方です。また自分には子供がいて、という話も人間味を感じられて良いですね。
「Limeは、都市生活をより住みやすくするというビジョンを持ってスタートしました。Limeはそのビジョンに献身的に取り組んできました。私が住んでいたすべての都市には、高密度、交通渋滞、環境汚染といった共通のテーマがありました。それに対して文句を言いながら生活することもできるし、積極的に何かを変えるために行動することもできる。Limeの目的は、モビリティの素晴らしさを通じて都市生活を再構築することです。」
はい、ここで問題提起が入ります。自分たちは、都市の渋滞や汚染の問題を解決するソリューションになりたい。そういうビジョンを持って会社をスタートさせたということです。そういうことを考えながらあなたの移動手段を提供しています、という良いくだりです。環境問題に敏感な都市部の人間に対しても、うまく彼らの心をくすぐるような部分です。
「Limeはものすごく地域に根ざしたローカルな企業です。僕らのシェアリングサービスは、多くの人々が地元の商店やサービスを訪れる手助けをしています。また、地元での雇用を大切にしています。そのため、展開するすべての拠点で地元の雇用を創り出しています。」
これは反論処理ですね。「でも利益ばかりを追い求める汚い企業なんじゃない?」という無意識の反論に対して、「いえ、私たちはお金だけを巻き上げるような会社ではなくて、ローカルの人たちを大事にしていますよ」と、地元で雇った実際の従業員の映像を出して視覚的に説得しています。
「Limeにとって、サービスを世界中に展開するチームが、自分たちのミッションを十分に理解しているというのはとても重要です。今私たちは、車中心から人中心へと、モビリティ革命の面白い時代の中にいます。私たちがキックボードを提供することで、地域の人同士が距離を縮めることができるのです。私たちが毎日思っていることは、そういった人々の生活の制約を取り払いたい、つまりアンロックしたいということなのです。”Unlock Life” – Lime」
どうでしょう?すごく引き込まれますよね。自分たちは、移動手段以上の何かを提供するためにビジネスをしていると、大きな話に拡大させています。お金儲けじゃなくて、もっと崇高なミッションのために行動しているという話を入れて、自分たちへの信頼をうまく掴むことに成功しています。あなたにもこんな素敵なストーリーを目指して頂きたいと思います。
最後はCTAを入れてください。いい流れで来たので、Limeの場合ならここでクリックしてアプリをダウンロードしてもらうなどの工夫を入れます。ストーリーを語った後のCTAはすごく有効になります。あなたの商品のCTAは何でしょうか?それを入れてあげてください。
まとめ:ファウンダーズ・ストーリー広告で視聴者との信頼関係を築く
ファウンダーズ・ストーリー広告の効果や作り方を理解できましたか?あなたの人生や抱えていた問題、あなたが見つけた解決策と、可能であればその道のりを語ってください。感情を動かすことが重要なので、素敵なスクリプトと一緒に視覚的な要素もたくさん入れてください。あなたの家族でも従業員でも、あなたの昔の写真でもOKです。
そうすることで、視聴者はあなたやあなたの商品について親しみを持ってくれます。それから自分たちのミッションも語ると、さらに視聴者の尊敬と信頼を集めることが可能です。ここで紹介した流れに沿うと、自然な形で商品の宣伝ができるでしょう。最後にCTAを忘れずに提示してくださいね。今回はここまで。それでは、またすぐにお会いしましょう。