今回は、動画広告におけるスプリットテストの発展バージョンについて解説します。スプリットテストとは2つ以上の広告のパフォーマンスを比較し、どれが優秀な広告なのかを検証するためのテストです。しかし、実はスプリットテストにはさらにもう一段上の方法があります。
それは顧客データを分析して、彼らをいくつかのセグメントに分類し、それぞれの層に向けたフックを作ってテストする方法です。よく理解して、自分のものにしてください。複数のバージョンのフックやCTA(Call To Action)をスプリットテストして、最も効果的な広告を見つけたとします。 その広告は視聴回数も多く、売上にもつながっています。さて、あなたはこれで終わらせて良いのでしょうか?いいえ、まだ上を目指してください。なぜなら、広告が成功してからが本番だからです。
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ニッチなターゲットに向けたフックを作る
今回紹介するのは、「アドバンスト・スプリットテスト」と呼ばれる方法で、事前にお客さんをいくつかのセグメントに分けて、テストする手法です。
この方法では、一般的な視聴者向けのフックやCTAをテストするのではなく、特定の層に向けたいくつかの広告をテストします。 例えば僕の商品が、たまたまゲーム好きな人たちの間で売れているとしましょう。この場合、ゲーマーに直接アピールするフックから始まる新しいバージョンの広告を作成するのです。
ゲーマーをターゲットにすることで、他の層がこの広告を見てしまい無駄な広告費を使ってしまうことを避けられます。今回は、このように事前にテストする際に、お客さんをセグメンテーションするマーケティング手法を使います。
アドバンスト・スプリットテストの実行方法
それでは、どのようにアドバンスト・スプリットテストを行うかをご紹介しましょう。まずは、どれだけ具体的なターゲットの情報を割り出すために、Google広告にすべての顧客データをアップロードします。
そうすると、Google広告はこの情報を分析し、顧客間の類似性の内訳を表示してくれます。 性別、年齢、子供の有無、趣味や関心事など色々な項目が分かります。どんな客層の人たちが自分たちの商品を購入しているのかを統計データとして表示してくれるのです。
#1:購買意向の強いオーディエンスの特定
Google広告の分析データの中でも最も目を引くのは、購買意向の強いオーディエンスとアフィニティカテゴリという、2つのサブカテゴリーに分けられるお客さんの属性データです。
購買意向の強いオーディエンスとは、特定の商品やサービスの購入を積極的に検討したり、実際に購入した人たちのことを指します。一方でアフィニティカテゴリとは、特定のトピックや商品に一定の興味や情熱を持っている人たちのことです。後者のアフィニティカテゴリの方は、実際の購買行動に結びついてるわけでない点に注目してください。
例えば、カメラに関する購買意向の強いオーディエンスとは、何らかのカメラ機材を購入しようとしている人たちを意味します。 Googleは、彼らがカメラについて検索したり、YouTubeでカメラのレビューを見たりしていることから、彼らがカメラを購入しようとしていることを知っています。
一方、カフェの常連というアフィニティカテゴリは、単にカフェでお茶をするのが好きな人たちを指します。彼らは、特定の何かを買おうとしているわけではありません。ただそういった属性に位置するオーディエンスであることを示しています。購買行動とは関係なく今回のテストには不向きですので、「購買意向の強いオーディエンス」の方を使います。
Google広告の分析によれば僕たちの主要な「購買意向の強いオーディエンス」は、事業融資、エンタープライズセキュリティ、外国語学習に興味のある人々であるとのことでした。 そして、このデータによると、彼らは他のオーディエンスに比べて、僕たちのコースであるYouTube広告マスタークラスを購入する可能性が2倍から3.6倍も高いことも明らかになりました。
事業融資なら少人数で運営している個人経営の会社社長、エンタープライズセキュリティなら企業のIT担当者、外国語学習ならスキルアップを目指す社会人という仮定を導くことができます。
#2:特定の層へ向けたフックの作成
そこで僕は、これらのオーディエンスのそれぞれに新しいフックを作ってはどうかと考え、実行しました。個人経営の会社社長や企業のIT担当者、スキルアップを目指す社会人をターゲットにしたフックを新たに作ります。それぞれのターゲットが興味を持ちそうなフレーズを3つ書いてみるので、違いをよく見分けてください。
例えば、個人経営の会社社長に向けたフックを書いた場合、次のようになります。
「こんにちは、石崎力也です。僕はこれまでに年収3000万円以上のフリーランサー、年商5億円以上の法人を対象に、セールスファネルの導入支援をしてきました。」
企業のIT担当者に向けたものなら、これ。
「こんにちは、石崎力也です。僕は海外製の優れたツールを使って、見込客の教育から販売を自動化するマーケティングオートメーションを実装し、事業を効率化しました。」
そして、スキルアップを目指す社会人に向けたものは、こうです。
「こんにちは、石崎力也です。去年家族でオランダに移住しました。コピーライティングとマーケティングを学んで、生産性を高めた結果、今では週4時間だけ働いています。」
このフック部分を成功している広告につなげます。この時やることは、フックを撮り直し、それぞれのターゲットに直接語りかけるために、彼らの反応しそうなフレーズに入れ替えることだけです。そして、一般的な視聴者に向けたオリジナルの広告と、視聴者層を分けてテストしたフックとの違いを比べます。
このテスト方法は画期的なものですが、決して魔法のようなものではありません。利益が上がらない場合は、Google広告のデータを参考に視聴者層を変えてテストを続け、色々と試行錯誤が必要です。
注意点:アドバンスト・スプリットテストには高収益の広告が必要
ここで注意すべきはテストする元の広告の質です。このテスト方法はあなたがすでに広告を回し、収益性の高い動画広告を絞り込めている場合にのみ有効です。なぜなら、収益が多ければ沢山の購入者からデータが集まります。ある程度の量の顧客データがあって初めて、Google広告は購買意向の強いオーディエンスの統計データを導き出すことができるからです。
この方法は、収益性の高い広告をさらに収益性の高いものにするためのものです。収益性の低い広告の効果を引き上げる手法ではないことはよくよく理解しておいてください。収益性の低い広告の問題点は、フックだけではないというのももう1つの理由です。
アドバンスト・スプリットテストでは、客層ごとに別々のフックを作って試すのですが、収益性の低い広告はフック以外の場所に問題がある可能性があります。このルールは必ず守るようにしてください。
まとめ:高収益の広告を作ってからアドバンスト・スプリットテストを使う
今回は、より高度なスプリットテストの方法について紹介しました。Google広告の分析機能を活用して、特定の層へ向けたフックを作る方法です。Google広告では、2つある属性データのうち、よりお金を使う傾向を示す購買意向の強いオーディエンスを使うようにしてください。
ただし前提条件としてまずは、基本的なスプリットテストから始めましょう。それをマスターして、収益性の高い広告を手に入れたら、次のレベルに進むために高度なニッチスプリットテストを使えることを覚えておいてください。今回のレクチャーはここまでです。 また次のレクチャーでお会いしましょう。