今回は、動画広告において一番重要になるCTA(Call To Action)の作り方を解説します。実例をいくつか紹介した上で、CTAを効果的にするための方法や、記憶に残るCTAを作るための条件を説明します。
動画広告は、フックでユーザーのアテンションを集めて、問題提起、解決策の提示、そしてベネフィットを示すことで商品の魅力を強固なものにします。その全ては最後のあるポイントにつながっています。それは、CTA(Call To Action)です。つまり、視聴者に対する行動喚起のことですね。 今回は効果的なCTAの作り方について、詳しく紹介します。
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視聴者に行動を促すCall To Actionの例
まずは、実際に高い効果を発揮しているCall to actionの例をいくつか見てみましょう。
「画面の上にあるURLをクリックして、今すぐLume(ルーミィ)を手に入れましょう。 Lumeでエレガントな生活を」。これは、デオドラントソープを販売するLume社の広告です。
「このビデオから直接Chatbooksをインストールできます。スマホが縦向きの場合は、このボタンから。そして横向きの場合は 画面を一回タップして、Visit Advertiserのリンクをクリックしてください。 あなたは自分の人生を生きて、プリントはChatbooksに任せましょう」
これは、フォトアルバムを作成できるスマホアプリのChatbooksの広告です。彼らのCTAは具体的ですごいです。スマホアプリを作っている会社だけあって、YouTube広告で広告がどう表示され、どこをクリックしてユーザがアプリを手に入れたらいいのか。とても具体的に示しています。
「この強力な補修テープでどんな家具でも修理できます。これがあれば、どんな家具も壊れることはありません。新しい物を買い直したり、壊れる度に修理したりするよりも、何万円もの節約になります。 さらに、今ならお得な割引もあります。 ここをクリックして、今すぐご注文ください。 FiberFix、今日買って明日に備えよう」
これは強固な補修を可能にする万能テープ、FiberFixの広告です。耐久性や価格を訴求点として、強く押し出しています。今購入すれば割引がある点も、視聴者に行動する理由を与えています。
効果的なCTAを作るための2つのコツ
CTAは、スクリプトの中で最も重要な部分と言っても過言ではありません。しかし、同時に最も簡単に書くことができる部分でもあります。なぜなら、 守らなければならない基準は2つしかないからです。
1つ目は、視聴者が「何をすべきか」「いつすべきか」をわかりやすく伝えること。 2つ目は、感情を引き出して記憶に残るようにすることです。
コツ#1:いつ何をして欲しいかを具体的に伝える
1つ目について詳しく見てみましょう。視聴者に何をしてほしいのか、いつするのか。 これは「今すぐ下のリンクをクリックしてください」といった文章になるでしょう。 「このリンクから今すぐ会員登録」「無料トライアルはこのリンクから」と言うこともできます。ほとんどの場合は、「いつ」の部分は広告が終わるまでの今になるでしょう。
「何をしてほしいのか」については、クリックすべきボタンの色や名前などを具体的に指定するとさらに有効です。「画面右上にある『ダウンロード』のリンクをクリックしてください」「下の青いボタンをクリックして今すぐご注文ください」など、ボタンやリンクの見た目を指定すると、視聴者は具体的な行動が取りやすくなります。
注意したいのは、広告配信先のプラットフォームごとにCTAを書き換えることです。例えば、Instagramのストーリーとして広告を配信する場合は、上にスワイプしてもらうような文章にしてください。YouTubeの場合は、画面の左下にあるボタンをクリックしてもらいます。 Facebookの場合は、動画の下にあるボタンをクリックするよう促します。CTAを作成する前に、そのプラットフォームで広告がどのように表示されるかを再確認してください。
ただしこれらの仕様は変更になる可能性があります。広告作成前にチェックするのはもちろん、定期的にチェックすることをオススメします。
コツ#2:感情を動かし視聴者の記憶に残す
2つ目のポイントは、 視聴者の記憶に残るようにすることです。 何かを記憶に残すための最善の方法は、視聴者の何らかの感情をかき立てることです。 感動、笑い、やる気など、何でも構いませんが、その感情が強ければ強いほど良いでしょう。
先程の3つの広告の例を思い出してください。どれも最後に印象的な一文がありました。Lume(ルーミィ)では「Lumeでエレガントな生活を」というフレーズ。Chatbooksは「あなたは自分の人生を生きて、プリントはChatbooksに任せましょう」でしたし、FiberFixは「今日買って明日に備えよう」でした。実はこれには続きがあります。
Lumeの広告ではさらにその後、主演の女性とピアノ奏者との茶番劇があります。「僕もLumeを使うようになってから、もうキスできるかな?」というしつこい男性に対して、主演女性が適当にあしらうという演出の後、再び「上のリンクをクリックしてLumeを手に入れてください」ともう一度CTAを出しています。気合の入った広告本編から一転して、撮影後のシーンをユーモアを交えて見せています。
Chatbooksでは、最後にこんなシーンを入れています。「Chatbookのおかげで時間の余裕が出来て、ようやく1人でゆっくりバスタイムを楽しめるようになりました。お風呂からだってフォトアルバムを簡単に注文できます。さーて終わった。」と、終わった安心感からスマホをお風呂に落としてしまいます。コテコテの宣伝のあとに、こうしたちょっと気の抜けるユーモアを入れて、視聴者の記憶に残す工夫をしています。
記憶に残るCTAの2つの条件
動画広告としては、スクリプト全体が説得力を持つことは重要です。しかし、優れたCTAがあればスクリプトの弱点を補うことができます。 これは「ピーク・エンドの法則」と呼ばれる認知バイアスにより証明できます。
これは、心理学者のダニエル・カーネマンと心理学教授のバーバラ・フレデリックセンが初めて研究したものです。1993年の彼らの研究によると、人間の記憶は出来事を100%正確に捉えることはできません。むしろ、さまざまな経験のうち、いくつかの出来事に重み付けをすることで、その経験を全体として記憶しています。 僕たちが過去のある経験を思い出そうとするとき、僕たちはその出来事の1秒1秒について考えているわけではないことを発見したのです。
僕たちは何かを思い出そうとするとき、その経験の中の2つの部分に最も価値を置くのです。
条件#1:感情的なハイライトがある
1つ目は「ピーク」です。 ピークとは、ポジティブかネガティブかにかかわらず、その体験の中で最も感情的になった部分のことです。この部分は強く記憶に残ります。これは自分自身で体験することができます。最近行った旅行を思い出してみてください。
もし誰かに「何をしたの?」と聞かれたら、おそらくポジティブなものであれネガティブなものであれ、最も感情的になった出来事を思い出すことでしょう。 何か特別に美しいものを見て感動したとか、クレジットカードを紛失してショックを受けたとか。思い出すのは、そういうインパクトの強い出来事です。
あなたの頭には、旅行中に街を歩いていた移動時間や、他の平凡な出来事は、あまり記憶として残っていないでしょう。
条件#2:フィナーレが印象的である
2つ目はフィナーレの部分です。僕たちが価値を置くのは、体験の中の最後の部分です。たとえ最初の数日間に面白いこと事がなかったり、ストレスフルなことを感じたりしたとしても、旅の終わりが感動的であれば、その旅全体を非常にポジティブに受け止めたりします。
僕はよく夕飯の後に、家族で映画を見ます。中には途中まではすごく良い映画、っていうのがあります。でも最後の終わり方が微妙なものがあって、その度にその映画の印象が一段下がります。俳優の演技もいいし、脚本も上手、音楽も合っている。論理的には2時間の映画の中の95%くらいは最高だから、その映画の印象は良いはずなのに、どうしても最後の部分の出来具合に左右されてしまいます。
先ほどのLume(ルーミィ)とChatbooksでは、ユーモアのある部分を最後に付け加えていましたよね?ユーモアという楽しい感情を作り出すものを最後に配置することで、動画広告全体の印象を底上げしています。
このように僕たちの記憶は、この2つの要素に影響されます。 誰かに「この前のフランス旅行はどうだった?」と聞かれたとき、あなたは旅の全体ではなく、感情が動いたことのみについて思い出すのです。そして、それに旅の最後に感じたことを組み合わせて「旅の感想」を伝えるのです。
このような人間の記憶や感情を理解することで、より魅力的な広告を作ることができます。つまり、 優れた広告には、少なくとも1つの感情的なハイライトと印象的なフィナーレが必要です。
優れたCTAを用いた広告例
ネットにある動画広告のCTAの中で、僕が最も気に入っているものがあります。
例1:既存製品への不満に寄り添う生理用品の広告
「このビデオの下のリンクをクリックして、今すぐFlexのトライアルを注文してください。私たちは、あなたが人生で最も快適で、おそらく最もセクシーな生理になることを保証します」
これは、新たな形の生理用品「月経ディスク」を開発したFlex社の広告です。
このビデオでは、調査結果に基づいた多くの人が経験する生理の不快感や既存の生理用品の問題点を伝えています。 そして、その問題を解決する製品を紹介した後に「このリンクをクリックして」という矢印とともに、視聴者がすべきことを視覚的に伝えています。
最後の「おそらく最もセクシーな生理になることを保証します」というのも、気の利いたフレーズです。Flexの広告では、この商品を使えば生理中でも性行為が出来るという点が強調されていたので、その点をユーモアとして最後に持ってきています。自社商品への安心感を与えた上で、ポジティブな雰囲気で広告をを締めくくっています。
CTAの具体性、感情的なハイライト、ピーク・エンドの法則をうまく組み合わせて使っています。
例2:視聴者の焦燥感を掻き立てるオンラインコースの広告
もうひとつのお気に入りは、まったく異なるトーンの動画です。僕らの動画広告です。この広告のCTAでは、励ましのメッセージを表現したいと考えました。またそれだけでなく、CTAに具体性を持たせるよう意識して制作しました。
―「もちろん新しい何かを始めるのは怖いでしょう。よくわかります。たぶんどこから始めればいいかも分からないはずです。僕も同じことをかつて考えてました。だから僕は、会員制サイトを作るためのステップバイステップのプログラムを作りました。僕がクライアントに教えていることをこのプログラムにまとめました。」
この前の段階で収益性の高い会員制サイトを作るには、海外製の優れたマーケティングツールが必要ですと話しています。それに対して励ますような形で、僕たちの商品を使えば1から会員制サイトを作る方法が理解できることを説明して、視聴者を安心させています。
―「このノウハウはいつまでも提供されているわけではありません。僕はもうそろそろ話すのをやめます。オフラインモードになります。なんで?先延ばし思考の人に、このノウハウを提供したくないからです。まだボタンが表示されているうちに、画面左下にあるリンクをクリックしてください。あなたが既に持っているスキルで儲かる会員制ビジネスを始めませんか?」
では「いつ何をして欲しいか」を伝えるCTAの部分です。具体的に、画面左下のリンクをクリックすると伝えて行動の可能性をアップさせています。同時に今この機会を逃すと、参加ボタンも消えてしまうから、今すぐ参加するようにCTAを強めています。これも具体的な行動を言葉で指定する例の1つです。さらに最後の部分として、緊急性をアピールすることで視聴者に焦りの感情を感じてもらっています。
まとめ:具体的で記憶に残るCTAを作る
さて、今回学んだことを振り返ってみましょう。 CTAが満たすべき基準は2つあります。 1つ目は、視聴者にいつ何をすべきかを詳しく伝えること。2つ目は、記憶に残るCTAを作ることです。そして記憶に残るCTAを作るためには、感情に訴える必要があります。
以上が、効果的なCTAの作り方です。 紹介した事例のようにユーモアなどを交えて広告を制作してみてください。それでは、またお会いしましょう。