今回は、動画広告の中でもオポチュニティ広告を取り上げます。オポチュニティ広告で、反論処理とセットで提示されるベネフィット部分の作り方をお伝えします。
オポチュニティ広告には、他の広告フォーマットにはない独特の流れがあります。最初に視聴者に対してチャンスの存在を見せます。そして、そこから一見遠そうに見える、視聴者自身の問題に徐々につなげていきます。チャンスが視聴者の問題につながったところで、解決策としてあなたの商品を提示するという流れです。
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オポチュニティ広告の構造を理解する
オポチュニティ広告以外の広告フォーマットでは、前半で視聴者に対する問題提起をし、その後で解決策を提示していきます。オポチュニティ広告は、少し違ったアプローチをとっています。オポチュニティ広告の構成は次のようになっています。
- フック
- チャンスの提示
- 反論処理とベネフィット
- 反論処理とベネフィット
- 反論処理とベネフィット
- 問題提起
- 解決策
- Call To Action
チャンスの提示を行った後に、反論処理とベネフィットを何回か繰り返します。その中で、視聴者自身の持つ問題点とチャンスに実は関係があることを明かしていくのです。今回は、この反論処理とベネフィットのうち、ベネフィット部分を作っていきます。
反論処理した項目について、さらにベネフィットを伝えていきます。ベネフィットとは、単に視聴者にとってのメリットというだけではありません。そこに感情が乗っているか?が重要です。感情的にプラスとなる物事を指します。
ベネフィットの選び方は反論処理と同じ
特典の選び方についてご紹介します。このプロセスは、反論で行ったものと似ています。まずベネフィットを書き出し、その後で提示する順序を決めていくのです。ベネフィットを選ぶのは、次のようなプロセスになります。
- ターゲットが反応するベネフィットを書き出す
- ベネフィットの挿入位置を決定する
- 実際に使うベネフィットを清書する
ただし、反論部分と大きく違う点があります。それは、あなたが書いた反論処理と反論処理の間に対応するベネフィットを挿入する必要があることです。
それが理解できたら、まず始めはターゲット層の確認から入りましょう。 彼らがどんなことに反応するのか、どんな感情を持ちたいと望んでいるのか。 広告制作の初期段階で行ったカスタマリサーチの結果を参考に、ターゲット層の人々のことを考えながら、作業をしてください。必要であれば追加のリサーチを行っても良いでしょう。
ステップ#1:ターゲットが反応するベネフィットを書き出す
最初のステップでは、ターゲット客が反応しそうなベネフィットを書き出してください。ここで注意があります。このベネフィットというのは、あなたの商品に対するものですが、説明の仕方には注意が必要です。ベネフィットの段階ではまだ、あなたの商品を紹介してはいません。なので、あくまであなたがご自身のオポチュニティ広告の中で提示した、チャンスに対するベネフィットという形で紹介してください。
そのチャンスが実現することで、視聴者の生活がどのように変わるのか。視聴者が毎日どんな気持ちで暮らせるようになるのか。視聴者が得られるものを、なるべく感情に着目して書き出してください。
ステップ#2:ベネフィットの挿入位置を決定する
次のステップで、それぞれのベネフィットを、あなたが作った広告の反論処理の間に挟み込んでいきます。その時に反論処理、ベネフィット、反論処理、ベネフィットと交互になるように差し込んでいってください。挿入位置を決めるときは、なるべく話題の流れが自然になるように、工夫してください。
ステップ#3:実際に使うベネフィットを清書する
挿入位置が決まったら最後に、そのベネフィットの内容を膨らめていきましょう。箇条書きのものを文章として清書する作業です。その際に、ターゲット客の感情や悩みにフォーカスしてください。どんな悩みを抱えていて、どんな気分で過ごしている人が多いのか。カスタマーリサーチの資料も参考にすると良いでしょう。
実演:オポチュニティ広告でベネフィット部分を作ります
さて、ここから実演に入っていきましょう。今回は、Online School Building 2.0略してOSB2.0という商品の広告を作ります。この商品は、会員制サイトの作り方やサブスクリプションの仕組み作りを解説したオンラインコースです。
このOSB2.0の広告で取り上げた反論処理は次のようなものでした。
- サブスクは本当に個人で導入できるのか?
- どんな商品をサブスクにすればいいのか?
- 経験のない自分にも出来るのか?
- 本当にストック型のビジネスになり得るのか?
まずは、これらの反論処理に対応するベネフィットを書き出していきます。ここはブレインストーミングですから、 あまり気にせず思いつくままに書いていってください。
ベネフィットを書き出す
- サブスクにすれば売上が安定して、安心できる
- 会員離脱を防ぐ仕組みがあるので、顧客の成功を手助けできる
- 自動化して運営すれば、手間や時間を節約できる
- セールスの時間を節約して、他のことに充てられる
ベネフィット#1
まず「サブスクは本当に個人で導入できるのか?」については、こんな反論処理をしました。
「英語圏では、ClickFunnels、Teachable、そしてStripeなどのツールを使って個人でサブスクの仕組みを導入しているフリーランサーが沢山います。これらのツールはいずれも個人で簡単に契約し、設定できるものばかりです。彼らは、サブスク収入を積み重ねることで、収入のアップダウンを少しずつ安定させることに成功しています。」
これに対応するベネフィットを持ってきます。
「もう、毎月の売上の変動に感情を振り回される必要はありません。来月、サブスク会員が一気に全員辞めるということが考えられないのと同じように、来月の売上がいきなりゼロになる可能性をグッと減らすことができます。」
個人のフリーランサーに関する話題にしました。1つ目はこんな感じにしておきましょう。
ベネフィット#2
2つ目の反論処理は、「どんな商品をサブスクにすればいいのか?」という疑問に対して、このように答えました。
「あなたの知識・スキル・経験をサブスクで配信してください。動画でもオンラインセミナーの形でも結構です。大事なのは、サブスクという決済方式にシフトすることです。」
ここにベネフィットを入れていきます。
「ほとんどのフリーランサーは、1回ずつ決済を取る単発決済を採用しています。だから毎月の売上を立てるための営業努力に時間を取られ、他のことに手が回らなかったはず。サブスクなら、1度決済すれば顧客は次の月も、その次の月も課金し続けてくれます。あなたは営業に使っていた時間を節約できるんです。やることは、決済方法をサブスクに切り替えるだけ。」
さあ2つ目のベネフィットが出来ました。今までやってきたことを、ただサブスクに切り替えれば時間を節約できるということを伝えます。
ベネフィット#3
3つ目、いきましょう。次は「経験のない自分にも出来るのか?」という疑問に対する反論処理です。
「個人でサブスクを運営している人たちは、実はテクノロジーにそれほど詳しくありません。彼らの専門は、仕組みの構築ではありません。セミナー講師やインフルエンサー、習い事の先生です。仕組みの構築にはそれほど時間をかけずに、自分の知識やスキルをお客さんのために提供することをメインの仕事にしています。」
こういう反論処理でした。この部分のベネフィットには、自動化や仕組み化に関する話題を持ってきましょう。
「商品が売れたら銀行振込を確認したり、メールで個別にパスワードを送ったり。そういったことは、もうツールやスクリプトが自動でやってくれる時代です。優れたツールを使ってサブスクを実装すれば、こういった雑務に時間を割く必要はありません。購入しくれたお客さんのために、自分のリソースをもっと効率的に使うことが出来るのです。自分が本当にやりたいことに集中できるのです。」
自動化の話から始まり、最終的には自分のやりたいことが出来るというベネフィットに変換してみました。
ベネフィット#4
最後のベネフィットを作っていきましょう。「本当にストック型のビジネスになり得るのか?」という疑問に対して、次のように反論処理します。
「サブスクである以上、会員の離脱は必ず起きます。これはNetflixやAdobeでも毎日起こっていることです。ただし、会員の継続を促すような方法があることもまた事実です。こういった方法を使えば、一度入ってきたお客さんは可能な限り長くあなたのサブスクに留まってくれます。会員の離脱が起こりにくくなれば、やがて人数が増え、毎月のサブスク収入が積み上がっていくことになります。」
さて、次にこのベネフィットを入れましょう。
「会員の離脱防止には、サクセスパスというフレームワークが必要です。これは、顧客がサブスクを通して自分の問題や悩みを解決していくための道筋を示した地図です。サクセスパスがあれば、顧客は次にすべきことに迷わずにすみます。次の課題をこなしていくだけ。だから途中で投げ出さずに、来月も更新し続けてくれます。サクセスパスという考え方を導入するだけで、顧客の成功をさらに手助けできます。」
ストック型ビジネスになるのかという疑問に、安心感を与えられるようなベネフィットで当てています。よし、これでベネフィット部分は一旦完成です。
まとめ:反論処理とベネフィットをセットで繰り返す
オポチュニティ広告では、反論処理とベネフィットを交互に何度か繰り返します。それによって、広告前半で視聴者に提示したチャンスを、より身近に感じてもらうことができます。まずは思いつくままに書き出して、その後で反論処理の間に差し込んでいきましょう。反論処理とベネフィットのセットを2回から4回繰り返した後は、問題提起を作ってください。ここから、徐々にあなたの商品へ視聴者を誘導していきます。今回は以上です。また次のレクチャーでお会いしましょう。