今回のレクチャーでは、動画広告の制作リサーチの際に、商品やサービスのオーナーやCEOに聞くべき質問を6個のセットに分けて紹介します。紹介する質問セットはどれも基本的な内容ばかりですが、広告制作時に役立つ情報を得られるはずです。なので、商品のオーナーやCEOにインタビューすることは非常におすすめです。
もしあなた自身がその商品やサービスのオーナーやCEOであるとしたら、これから紹介する質問にはどれもきちんと答えられるはずです。今回紹介する質問セットに沿って、一度しっかり文章として書いてみてください。なんとなく、頭の中でわかっているつもりでも、広告制作時の資料として使えるようにきちんと言語化しておくようにしてください。
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質問セット#1: 商品がユーザーの問題をどう解決するのか
1つ目の質問セットは、主にあなたのビジネスや商品が解決できる事柄を中心に展開します。例えば以下のような質問です。
- あなたが解決しようとしているユーザーの問題は何か?
- どうやって、その問題が実際に存在することを知ったか?
- またその問題はどのくらい深刻か?
- ユーザーが抱えているペインポイントは何か?
- なぜあなたはこの会社を始めたのか?
ペインポイントとは、その人が悩んでいることです。僕で言えば、動画で顔出しするので歯並びが気になるとか、小さな子が3人いるので時間が無いとか、オランダは外食が美味しくないから家でパパッと料理したいとか。そういうことです。
これらは、ユーザーが商品に興味を持つきっかけにもなります。ここをどれだけ深く理解しているかによって、動画広告の冒頭にフックの強さも変わってきます。「あなた、今こういう悩みを抱えていませんか?」と詳細に言い当てられると、人はその人の話を素直に聞いてしまう効果があります。
余談ですが、僕のビジネスパートナーの小川さんの話です。小川さんが、僕らのクライアントである医師の宮澤さんのクリニックで腸内環境の検査を受けたそうです。後日結果が出て、宮澤さんから「小川さんの腸内環境こんな感じですけど、こういった症状で困ってませんか?」と言われて、疲れが残りやすいなど小川さんの日頃感じてたことをすべて言い当てられたそうです。小川さんが僕に言うんです。「石崎さん、僕占い師にハマったみたいになりました」と、宮澤さんへの信頼感が一気に増したそうです。
それ以来、小川さんは宮澤さんの言うことを忠実に守り、グルテンフリー、シュガーフリーなどの厳しい食事制限を実に半年間もやっていました。宮澤さんからすると小川さんの腸内環境は、クリニックに来る他のお客さんとそれほど変わらなかったそうです。ですが、小川さんにとっては自分の悩みをピンポイントで言いあてられたのが、すごく大きかったようです。
質問セット#2: 良い点・悪い点など商品の詳細について
2つ目の質問セットは、商品に関する質問です。
- 商品を使ってユーザーの問題をどのように解決しますか?
- 商品はどのような用途で使用されていますか?
- どのように機能していますか?
もしあなたがこの質問に答える立場であるのなら、小学生に説明できるくらい明確に説明しましょう。オーナーやCEOが商品に関する詳細を理解していることは当たり前です。良い点、悪い点、使用例、出荷方法、返品規定など、ユーザーが質問しそうなことは何でも知っておきましょう。
またこの質問をオーナーやCEOに聞くことができれば、ユーザーに質問される前に、どんな質問にも対応できるようなスクリプトを完成させること可能です。
あなたは商品について、すべての詳細を知っている必要があります。ですが広告制作する際は、商品の情報を100%使用することはありません。おそらく20%前後の情報を盛り込むくらいです。しかしその20%は、商品の中で最も重要な情報を選びましょう。
繰り返しになりますが、あなたはリサーチで得た情報をすべて広告に使用するわけではありません。商品に関する正確な情報であったとしても、ユーザーが興味ないことを、わざわざ広告に盛り込みたいとは思わないのではないでしょうか。しかし情報を集めてみなければどの情報に価値があり、どの情報は重要でないのかを選別することができません。最初は何が重要で何が重要でないかを決めるのではなく、できる限りの情報を集めるべきなのです。
質問セット#3: ユーザーの頭に浮かぶ反対意見
3つ目の質問セットは、反対意見についてです。ユーザーはあなたの商品についてどのような反対意見を持っていますか?もし1万人にあなたの商品を勧めなければならい場合、どのようにしたら、多くのユーザーが購入すると思いますか?反対に1万人中、何人が購入をしないでしょうか?この質問セットを通して購入しない人の割合を特定し、対処法を考えましょう。3つ目の質問セットは次のようになります。
- 商品を買わないユーザーの主な理由は何ですか?
- なぜはあなたの商品を買っていないのですか?
ユーザーは機会を信じないと、その商品を信じません。そのため、ユーザーが商品を購入しない意見に対処できるような情報を用意し、広告を作ることが大切です。広告を通して、その商品を信じさせるような内容を書きましょう。
これはROAS200%をマークしたうちの動画広告です。会員制ビジネスつまりサブスクの作り方を教えるコースの広告でした。サブスクビジネスの将来性に関する話をする中で、あえてお客さんが考えてること「サブスクって大企業だけの話でしょ?」ということを話題に出して、それを否定する話をしています。
なぜこういう反論処理が大事かと言えば、 視聴者の頭の中に 一旦疑問が生じてしまうと、それ以降の動画の内容が頭に入らなくなってしまうからです。ユーザーが質問しそうなことを前もって把握できていれば、その質問に対する回答を先回りして広告の中に盛り込むことが可能になります。
質問セット#4: 競合他社が優れている点や劣っている点など
4つ目の質問セットは、競合他社に関する内容です。
- あなたの競争相手は誰ですか?
- あなたの商品が競合よりも優れている点はどこですか?
あなたにとって最大の競合他社を書き出すのは非常に簡単なはずです。ここで重要なのは、競合他社の商品を正直に評価することです。あなたの商品が競合よりも優れていると思う理由を自問自答してみてください。同時に、なぜユーザーは競合他社の商品があなたの商品よりも優れていると思うのかも考えてみてください。競合はあなたの商品にはない、どのような強みを持っているのでしょうか?
この質問では、傲慢になってはいけません。ユーザーがあなたではなく、競争相手から商品を買うのにはそれなりの理由があります。あなたはその理由を認識することは重要です。さらに、あなたの商品と競合がどのように張り合っているかを見ましょう。競合を知ることで、広告で強調するべきあなたの商品のポイントがわかってくるはずです。
質問セット#5: 性別や年齢などのデモグラフィックデータ
5つ目の質問セットでは、顧客のデモグラフィックデータを知るための質問をします。デモグラフィックデータとは、年齢、性別、家族構成、収入、住んでいる場所といった顧客に関する情報のことです。どのユーザーを特定のターゲットにするべきか見定めるために重要です。あなたが作ろうとしている商品・サービスの利用者はどんな人が多いでしょうか?
Google広告に便利な機能があるので、お見せします。Google広告のオーディエンスマネージャーに顧客のメールアドレスをアップロードすると、Googleがお客さんのデモグラフィックデータを自動生成してくれます。もちろん、個人を特定できるような情報は抽出できませんし、アップロードされたメールアドレスは256ビットの暗号で保護されています。
オーディエンスマネージャーが生成してくれたデモグラフィックデータがこれです。性別、年齢、子供がいるか?いないのか?という統計データを出してくれます。
さらにこれを見てください。あなたの顧客が興味を持ちそうなものまで推測してくれます。旅行好きとか、ビジネスニュース好き、投資マニアという言葉が載っているのが分かると思います。これは、概ね僕の思っていた顧客像とマッチしています。もし顧客のメールリストが手に入らない場合、この機能は使えません。もしそうだとしても、安心してください。他の5つの質問セットからユーザーの姿を把握することが出来ますから。
質問セット#6: 商品を購入したユーザーのストーリー
6つ目の質問セットは、ユーザーがあなたの商品を買う理由についてです。
- ユーザーはなぜあなたの商品を買うのか?
- ユーザーから直接聞いた購入までのストーリーはあるか?
- ユーザーが商品を気に入ってる1番の理由は?
これは言い換えれば、ユーザーがどのような問題に直面しているかを尋ねる質問でもあります。ユーザーが商品を購入する理由を、オーナーやCEOに尋ねた場合、商品購入までに至ったストーリーを教えてくれます。ユーザーのストーリーは、広告のためのアイデアを思い浮かべさせてくれるので、必ず書き留めておきましょう。
複数のユーザーが話してくれたストーリーにはどんな共通点があるでしょうか?しかし、ストーリーがどんなに素晴らしいものであっても、それが特定のユーザー1人しか話していないものは、広告では使えません。
ユーザーが商品を気に入ってる1番の理由、これもとても重要な質問です。情報収集のためにリサーチを重ねることで、あなたはすでにユーザーが商品を愛する理由をいくつも知っているのではないでしょうか。しかし、ユーザーが商品を気に入ってくれるときに1番目にくる理由は何でしょうか?最も説得力のある理由は何でしょうか?あなたのユーザーに商品を購入してもらうために、最も魅力的な内容は何でしょうか?
僕らの商品に、CashLabというものがあります。オンラインコースビジネスの作り方を体系的に教えているのですが、Tyepformというツールを使い受講生からアンケートを集めています。いくつか質問を用意しているのですが、その中に「CashLabの良いところを50文字以上で書いてください。」というものを用意しています。
これが実際に頂いた回答です。この他にも沢山あるのですが、総じて共通するのが「次にやることが具体的なので、実際に手を動かしやすい」という点です。参加してみると分かるのですが、オンラインコースってカリキュラムとして組まれた動画を見るだけでは、なかなか具体的な行動に移すことは出来ません。それはビジネス本の内容をなかなか実践できないのに似ています。
「ああ、なんか良い話聞いたな」で終わらせないために、お客さんが取り組むべきタスクをステップ・バイ・ステップで示してあげています。
さらにユーザーが商品を愛する理由を、2つのカテゴリーに分けてください。2つのカテゴリーとは、お客さんからの声が一番多いメインの理由と、その次に多いサブの理由です。商品を愛する理由を整理することによって、広告で訴求すべき点があらかじめ明確になります。
例えば、僕らのCashLabを例にするとメインの理由は、ステップ・バイ・ステップのカリキュラムです。オンラインコースビジネスの初心者から始めて、事業としてスケールさせるところまでをステップ・バイ・ステップでカバーしていることです。
お客さんの声で次に多かったサブの理由は、アクショナブルなマテリアルと受講者同士のコミュニティでした。これは、手を動かすための穴埋め式ワークシートだったり、受講生同士でモチベーションを保ち合えるコミュニティがあるというのも大きな点だったようです。いくらカリキュラムが優れていても、アクションを取りやすいような工夫がされていないと、どうしてもモチベーションが上がりません。
2つのカテゴリーの理由を使って広告を作るときには、まずメインの理由を使い「ステップ・バイ・ステップであなたは順番にこなすだけですよ」と訴求し、次に「ワークシートがあって手を動かしやすく、コミュニティからモチベーションをもらえます」と訴求してあげれば良いわけです。このように商品を購入したユーザーからのストーリーを集めて、広告の精度を高めていってください。
まとめ:多くの情報をオーナーやCEOから収集し、説得力のある情報を選択していく
商品やサービスのオーナーやCEOにあなたが質問すべき6つの質問セットを紹介しました。質問セットは、6つに分かれます。商品によって解決される問題、どのようにその問題を解決するのか、ユーザーの反対意見、競合他社の製品に関して、ユーザーのデモグラフィックデータ、ユーザーが商品を購入する理由、そしてあなたの製品を購入する1番の理由。これらをあなたが作る広告の広告主に聞いてみてください。もし広告主があなたの場合は、考えながら書き出すようにしてください。
広告制作を始める前にこれらの質問セットを使い、できるだけ多くの情報を収集してください。そしてその中から視聴者に説得力を与えられる要素を選択して、効果のある広告スクリプトを書いていってください。それではまたお会いしましょう。