今回のレクチャーでは、動画広告を制作する前のリサーチとして、1対1でのユーザーインタビューのコツを紹介します。インタビューは、他のリサーチよりも一段深くリサーチすることができる優れた手段です。 今回のレクチャーで紹介する方法を使って、ぜひ上手なインタビューを出来るようになっていて。
解説を始める前に、一つだけ明確にしておきたいことがあります。それは、あなたがまだお客さんがいない場合、またはあなたがまだお客さんがいないクライアントのために広告を作ろうとしている場合、このレクチャーは直接的にあなたの役に立ちません。だけど、悲観する必要はありません。それでもあなたは、1対1でユーザーにインタビューすることの背後にある思考や、プロセスを分析する上で得られる気づきがあるでしょう。広告を書く上で必要なプロセスを研ぎ澄ますことができます。
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ユーザーへインタビューする時はカジュアルな態度が大切
リサーチの手段として、インタビューは非常に強力な方法です。ユーザーから直接話を聞くことができるのはとても貴重な機会と言えます。あなたの経験からあなたが信じていることは、必ずしもユーザーが実際に考えていることとは限らないのではないでしょうか?ユーザーの視点に焦点を当てることで、あなたの思い込みが正しいか考える上で、重要になります。
1対1でユーザーにインタビューする前に、まずユーザーとの話し方について考えてみましょう。インタビューを効果的に行うためにできる最善策は、カジュアルな態度でいることです。あなたは実際にユーザーからのフィードバックを得たいと考えているのではないでしょうか。 もしあなたが下からガチガチに硬い雰囲気で話しかけてしまうと、相手もそれにつられてしまいます。
直接ユーザーに会ってインタビューするのが、一番良い方法です。ですがオンラインビジネスの場合、ユーザーは全国もしかしたら世界中にいるかもしれません。その場合は、Zoomなどのビデオ通話も活用できます。やむを得ない場合はビデオなしの電話でも良いのですが、ビデオ通話が良いでしょう。インタビューするときには、カジュアルなトーンで話すように心がけてください。
あなたはセールスやコンサルをしているわけではないので、プロとしての警戒心を少しだけ低くしても構いません。ユーザーに普通の人間と、普通に会話をしているように感じさせましょう。人間は本能的に、交流する人々の感情や雰囲気を感じ取ります。あなたがカジュアルでリラックスした振る舞いをすれば、ユーザーもよりカジュアルでリラックスした気分になります。ユーザーはリラックスしているとき、本音をオープンにしてくれる傾向があります。
この画像を見てください。これは僕らもよくやるZoomで対談やインタビューでの一コマです。こちらで用意した質問をただ読み上げるだけでなく、いかに相手がクスッと笑うようなリラックスした瞬間を作れるかに重点を置いて会話をスタートさせています。
インタビューのコツ#1: ユーザーの言葉遣いをよく観察する
まず、僕がインタビューで大事な大切にしていることがあります。それは「お客さんの使う言葉を正確に記録する」ということです。例えば僕らは「オンラインコース」という言葉を使いますが、人によっては「動画講座」や「録画セミナー」と表現する人もいます。逆に言うと人によって反応するキーワードが少しずつ違ってきます。ペルソナによっては、オンラインコースよりも動画講座の方がしっくり来る人がいたりします。
そして必ず自分の先入観を捨て、バイアスをなくすことを意識してから、インタビューをスタートさせてください。そうでないとユーザーの口から「動画講座」という言葉が出ているのに、あなたは「ああオンラインコースね」と無意識に脳内変換してしまうかもしれません。そうではなく、ユーザーの言葉を正確に聞いてあげてください。
これは後々、広告スクリプトやレターを書くときの言葉選びに効いてきます。正確な言葉遣いをメモするのはとても間に合わないので、可能なら相手に録音の許可を取って、録音させてもらってください。僕らはよくZoomでインタビューするので、Zoomのレコーディング機能を使っていますが、手軽に出来るしそのままテスティモニアル動画にもなるので、すごく便利です。
インタビューのコツ#2: 時間をくれたことへの感謝を忘れない
まず、あなたとのインタビューに時間を割いてくれたことをユーザーに感謝しましょう。相手の貴重な時間を使わせて頂くことへの感謝を、しっかりと言葉で表現してください。感謝の言葉は何度言っても多すぎるということはありません。出来るなら、インタビューの開始そして終了時の両方で感謝の意を伝えてください。
さて、最初は雑談を少し挟み、ゆっくりとインタビューにリードします。最初は「調子はいかがですか?」など、とても簡単な質問を尋ねるとよいかもしれません。この時になるべくオープンクエスチョンを使い、相手に話をさせてあげてください。この時に質問リストを書き出しておくと、雑談からインタビュー本編への流れを作るのが楽になります。
何回かのやりとりの後、自然な形でインタビューの本編に移行してください。ここから本格的にインタビューを始めていきます。あなたがユーザーに伝えるべき質問と共に、インタビュー時のコツをお伝えします。大前提として、質問をそのまま読むべきではありません。これからお伝えする質問内容を、よりあなたの商品に特化したものになるように修正してください。
インタビューのコツ#3: 商品購入までのストーリーを語ってもらう
インタビューが始まったら、僕らが必ず決まってユーザーの方に聞く質問があります。それは「僕たちの商品をどうやって見つけてくださったんですか?」です。どのようにしてこの商品を見つけたのか、そしてなぜ購入したのかを聞いていきましょう。これらの質問は、なぜ商品を買ってくれたのかを聞けるだけでなく、ユーザーにストーリーを語る機会を与えてくれます。ユーザーにストーリーを語ってもらうことは本当に重要です。なぜならストーリーを語ってもらえて初めて、得られる情報があるからです。
ただ単に「どうやって僕らの商品を見つけたのか?」という事実だけを語ってもらうのと、そこに至るまでのストーリーを語ってもらうことには大きな差があります。一見余計な情報だと思えるものから、お客さんの姿を立体的にイメージすることができるようになります。こういったストーリーのストックをどれだけ持ってるかというのは、
たとえば最近CashLabというコースに入ってくださったこのお客さんは、人から相談を受けてTeachableとZapierの連携などを調べているときに、僕らのページを見つけてくれました。彼女のお話を詳しく聞いてみると、過去にWeb系開発のお仕事をされていて、Zapierのようなノーコードツールにも興味があり、女性起業家向けにWixやGlideなどのノーコードツールに関するセミナーも開催しているとのことでした。
単純に「TeachableとZapierの連携を調べていた」というだけではなく、もう少し長めのストーリーの中にノーコードとか、WixやGlide、女性起業家セミナーというキーワードを見つけることが出来るので、広告のペルソナの1人として、ハッキリとイメージすることが可能になります。
インタビューのコツ#4: ユーザーが抱えていた問題を深掘る
次の質問として、この商品を使う前にどんな悩みを抱えていて、それがどのくらい切実な悩みだったか?ということを聞いてください。ただ商品を使う前にどんな問題を抱えていたか聞いても、ユーザーからは表面レベルの答えを得ることになるでしょう。この質問に対しては、なぜを使って深く掘り下げていく必要があります。可能な限り、この商品を買って使う前のユーザーのストーリーを詳しく教えてもらいましょう。
なぜ?という質問を何度も繰り返すことで、もっと深く掘り下げて理由を聞いてみてください。また直接的になぜ?を繰り返すだけでなく「当時どう感じていましたか?」「どんな気分で毎日を過ごしていましたか?」「どんな方法で問題を解決しようとしてましたか?」と聞くのも良い質問の仕方です。他にも「目標達成の妨げになった理由は?」のような聞き方もあります。このようにバリエーションをつけて質問することが、相手から上手に話を引き出すコツです。
繰り返しになりますが、これらの質問はあなたが売ろうとしている商品によっては、すごく具体的な内容になります。具体的なストーリーが引き出せるようになるまで、角度を変えて質問することが大事です。そのことを念頭に置き、深く掘り下げてみてください。
インタビューのコツ#5: ユーザーがもつ核心的な動機を知る
次に商品を使った後の今のユーザーの姿について質問します。「この商品を使って人生はどう変わりましたか?」と聞き、深く掘り下げてみましょう。
「役に立ちました」「良くなりました」など、具体性に欠ける答えが返ってくるかもしれません。しかし、ユーザーに商品がどのように役に立ったのか?と尋ね、回答を深掘りするのは、あなたの責任です。使ってみてどう感じたのか?以前の気分と、今の気分の違いは何か?今、この商品はどのように役立っていますか?あなたがこの商品を好きになった一番の理由は何ですか?という質問もおすすめです。ユーザーに聞きたいのは理由ではなく、その背後にあるユーザーの根底にある動機です。
例えば、会員制サイトを作りたかったユーザーは、本当は安定した収入から得られる安心感が欲しかったのかもしれません。ダイエットをしたかったユーザーは、本当は異性にモテたかっただけかもしれません。ユーザーが気づいていない本音の部分を、引き出してあげてください。
インタビューのコツ#6: ユーザーの経験から競合を調査する
次の質問は、競合他社についてです。競合他社の製品を使ったことがありますか?その商品のどこが悪かったですか?逆にどこが良かったですか?これらの質問をすることで、ユーザーの経験を利用し、競合他社を調査をすることができます。
また自分たちの商品を購入することについてどのような迷いがありましたか?と聞いてみましょう。ここでの答えは重要ではありません。重要なのは、なぜかという理由です。なぜ彼らはそのためらいを持っていたのでしょうか?
どのような迷いがあったのかという質問に対して、顧客はしばしば価格を挙げます。その場合も、もっと深く掘り下げてみましょう。ユーザーは、自分のキャリアアップに投資するよりも、社会が認めている商品にお金を費やすことに、より喜びを感じます。音楽祭のチケット、新しい携帯電話、新しいノートパソコンなどは、誰もが普通に購入すると考えているものです。もしかしたらあなたの商品は、まだ一般的に当たり前とは思われてないかもしれません。
インタビューのコツ#7: ユーザーの楽しみについて聞く
次の質問は、インタビュー以外の調査では答えを得ることができない内容です。それはズバリ、楽しみのために行うことは何ですか?です。この質問の面白いところは、ユーザーによって答えが違うことです。繰り返しになりますが、大切なのは答えではなくその理由です。この質問はとてもオープンな質問であるため、なぜを尋ねることはほとんど場合、具体的な何かに繋がらないかもしれません。ですが、時よりユーザーの本音を引き出すことが出来ます。
例えば、僕は旅行中にたくさんのVlogを撮影します。あとで編集してカッコいいフッテージにしようと考えて、頭の中で構成を考えながらカメラを回します。前にビジネスパートナーの小川さんと話している時に、こんなことを聞かれました。「石崎さんはどうして、行く先々でVlogを取るんですか?撮ることばかりに頭を使って、旅の楽しみが半減しませんか?」と。
僕は少しだけ考えてこう答えました。「たぶん、自分の自由を確認するためです。」と。僕は2013年に起業してから、少しずつ場所と時間の自由を増やしてきました。旅をしながらVlogを撮影できるなんて、相当な時間的自由がないと出来ないことです。なにしろ大勢の人々は、短い休暇を使って、忙しく観光地を回るだけ。僕らみたいなゆったりした旅は出来ません。
僕は自分がオンラインコースで、少しだけ成功して自分の獲得したかった時間的自由・場所的自由を確認するために、旅先でもカメラを回しています。小川さんに質問をされるまで、頭の中で漠然としていた考えが、一気に言語として結実したのを覚えています。
あなたもユーザーの楽しみについて興味を持って色々聞いてあげてください。そこに何か重要な理由があると信じて、粘り強く聞いてみるのが大事です。
インタビューのコツ#8: 時間を作ってくれたことへ再び感謝
インタビューの最後には、時間を割いて話をしてくれたことに改めて感謝し、インタビューがどれだけ役に立ったかを強調しましょう。繰り返しになりますが、最高の結果を得るためには、インタビューでは、できるだけカジュアルでリラックスした雰囲気になるように心がけましょう。
時間があれば、今の彼らの悩みについても聞いてあげてください。あなたが何かアドバイスできることがあるかもしれませんし、次の商品の着想を得る最高の機会になる可能性があります。良好な関係を作っておくと、またインタビューを協力してもらうことも出来るかもしれません。
まとめ:上手なインタビューは質問の流れとカジュアルな態度が大切
ユーザーにインタビューする際には、本音を打ち明けてくれやすいように、カジュアルな態度で臨むことが大切です。
あなたがユーザーにインタビューする場合、最低でも5人にインタビューをすることをお勧めします。まずは10人を目指しましょう。あらかじめ聞きたいことは、リスト形式で書き出しておきましょう。こうすることで、あなたの心に余裕が出来るだけでなく、抜けをなくすことが出来ます。
そしてインタビューの前には、ユーザーに会話を録音する許可を求めてください。インタビュー時にメモを取ろうとすると、それが負担となり、あなたを混乱させ、インタビューの雰囲気が悪くなる可能性があります。会話を録音することができれば、あなたはインタビューに集中することができます。またその録音を見直し、メモをとることも可能です。
可能であれば、録音や録画をクラウドワーカーに依頼して書き起こししておきましょう。それはあなたが動画広告を制作するときの社内資料になりますし、セールスマテリアルに載せるテスティモニアルとしても転用できます。
ここまで理解できたら早速、ユーザーにインタビューのアポを取ってみてください。インタビューの準備で分からないことがあれば、再びこのレクチャーに戻ってきてくださいね。それではまたお会いしましょう。