今回は、あなたの動画広告を成功させるためのたった一つのコツについてお話します。先に結論からお伝えすると「スクリプトに注力すること」。ただこれだけですね。スクリプトとは動画の元になる原稿や台本を指します。
しかし注力するといっても具体的な手順や背景を知らないと、闇雲にあなたの貴重なリソースをつぎ込むことになります。僕としてもあなたが無駄なことをしてしまうのを黙って見ているわけにはいきません。なのでこのレクチャーでは、具体的な背景とコツを3つのステップに分解しました。早速始めていきましょう。
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予算があっても成功は約束されない!映画から学ぶ具体例
あなたも一度は、成功すると信じてリソースを注ぎ込んだけど大失敗してしまった…そんな経験があるはずです。これはビジネスにも当てはまり、アメリカでは数千万ドル、数億ドルという莫大な予算をかけたにもかかわらず、興行的には完全に失敗してしまう映画がいくつもあります。
英語圏の映画情報サイトIMDbには、史上最低の評価を受けた100本の映画を集めた「Lowest Rated Movies」というチャートがあるほどです。
例えば「Battlefield Earth(バトルフィールド・アース)」は73億円の予算があったにも関わらず、アメリカでは20億円の興行収入しかありませんでした。そして「Gigli(ジーリ)」は54億円の予算があったにもかかわらず、全世界で7億円の興行収入しかありませんでした。
反対に、「The Blair Witch Project(ブレア・ウィッチ・プロジェクト)」のようにわずか600万円の低予算で、史上最も成功したインディペンデント映画もあります。この映画はたった8日間の撮影にも関わらず、250億円近い興行収入を記録しました。
また12億円だけの予算と、わずか18日間で撮影されたホラー映画「Saw(ソウ)」は、100億円の興行収入を記録し、カルト的な人気を博しています。これは「Scream(スクリーム)」以来、最も収益性の高いホラー映画のひとつとなりました。
僕も日本人として海外のホラー映画って、日本のものほど怖くないと思っています。でもSawを見た当時は、自らの足を切って脱出しようとする外科医ゴードンに感情移入してしまって、このシーンを見たあと、気づけば自分の足に爪を立ててグッと手で握りしめていたのを覚えています。
他にも数え切れないほどの例がありますが、ここでのポイントは、映画業界では「成功には予算が重要ではない」ということが何度も証明されていることです。しかし僕を含む多くの人々が、直感的にそんなことはないと考えてしまいます。
儲かる広告を作るのに大きな予算は必要ないという2つの根拠
おそらくあなたが日常的に目にするのは、ほとんど成功した広告ばかりでしょう。なぜなら広告配信元のGoogleやFacebookがアルゴリズムを使って、反応の良い広告を優先的に露出するように最適化しているからです。失敗作は広告露出が減り、淘汰されていきます。だからこそ失敗作から学ぶことが難しいのです。
僕はビデオ広告を作り始める前に、幸運なことにYouTubeで何本ものビデオレクチャーを配信してきた経験がありました。またウェビナーや4本のビデオシリーズを使って、コールドなお客さんをホットな状態に変えることで、無料で入ったお客さんに有料商品を買ってもらうということをメインの仕事にしてきました。
僕が広告を作り始めたとき、直感的に「あ、これシネマティックなセールス動画を作った経験を使って、広告を成功させることができるかもしれんわ」と思いました。しかしビジネス上の意思決定において何よりもデータを信頼する僕は、直感だけに基づいて何かをしようとは思いませんでした。儲かる広告を作るのに大きな予算は必要ない、ということを事前に確かめたかったのです。まず小さく始めて実験し、その後大きくスケールさせる。これは起業した頃から貫いている僕の指針です。
根拠#1:シンプルな台本とアニメーションだけで10万円を稼いだ
僕が最初に成功を収めた広告は、僕が30分でスクリプトを書いた2分程度のアニメーションでした。部屋には音響機材も照明機材もなく、そこにあったのは僕自身とスクリプトだけです。パソコンに向かってスクリプトを読み上げて録音し、Vyondで簡単なアニメーションを作っただけ。内容は会員制ビジネスの作り方についてのコースを宣伝するものでした。
今見返してみると、僕の広告ビデオの中では簡素なものですが、当時は23万回以上再生され、10万円以上を稼ぎました。
動画広告は一見シンプルに見えますが、意外と複雑な成約があります。動画の制作には沢山のリソースが必要で、もしせっかく時間と手間をかけて作った広告が全く当たらなかったら?またはGoogleに不適切な広告だと停止されてしまったら?そのようなリソースの無駄を防ぐために、後ほど解説するMVAの考え方を使って、ミニバージョンの広告を作ることをオススメします。この労力の少ないミニ広告の時点で、複数のバージョンの広告を試し、視聴者の反応が良いか?Googleの審査には通らないセリフはあるか?などをリサーチしておくと良いです。
根拠#2: ミニ広告の成功体験を活用して2,000万円を売り上げた
僕はこのミニ広告での成功を足がかりに、本格的な動画広告を作ることにしました。僕たちは、自分たちの体験で学んだことをすべて取り入れ、凝った編集を入れた動画広告を作りました。僕がきちんとカメラの前に立って話し始めます。この広告はこんな出だしから始まります。
―「どうもこんにちは石崎力也です。今からわずか1分であなたの知識、スキル、経験をオンラインで完結する会員制ビジネスに変える方法をお伝えします。あなたの知っていることを収益化してください。専門家でなくても結構です。本を出版していなくても大丈夫。飛び抜けた実績も不要です。」
また自分自身が会員制ビジネスで成功していることを示すために、こんなフッテージも入れています。
これはベトナムのAirbnbで撮影したフッテージです。森のように見えるこの場所は、Airbnbで借りた大きなお家の庭です。子供たちが庭の自然やプールで遊べて素敵な環境でした。このように広告の途中で、旅行中に撮りためたフッテージを沢山入れて「会員制ビジネスで成功すると、家族を連れてこんなことも出来るよ」という成功のイメージを想起させる工夫をしています。
そして、広告は次のようなCTAで終わります。ちなみにCTAとはコール・トゥ・アクションの略で、視聴者に詳細ボタンをクリックしてもらうなど具体的な行動を取ってもらうための呼びかけです。
―「このノウハウはいつまでも提供されているわけではありません。僕はもうそろそろ話すのをやめます。オフラインモードになります。なんで?先延ばし思考の人に、このノウハウを提供したくないからです。まだボタンが表示されているうちに、画面左下にあるリンクをクリックしてください。あなたが既に持っているスキルで儲かる会員制ビジネスを始めませんか?」
この広告が終わると、二度とアクセスできなくなるということを暗に示している良いCTAだと思いませんか?結果的にこの広告は、9ヶ月間で2,000万円以上を稼ぎ出しました。動画の質という点にはまだまだ改善の余地がある動画広告でしたが、それでも大金を稼ぐことができました。さて、ここでこのレクチャーの冒頭で話した予算と成功の関係を思い出してください。この成功に、予算は関係ありましたか?
聴衆を惹き付けるスクリプトを作成する3つのステップ
あなたは、人々を惹きつけるスクリプトを用意する必要があります。具体的には説得力のあるプロットを構築し、お客さんを驚かせ、興奮させる方法を見つける必要があります。しかしそれを広告という限られた枠組みの中で行うのは難しいと思っていませんか?実は、それはビックリするくらい簡単です。あなたが作る台本、つまりスクリプトのナレーションと、どのように演出すればいいのかを具体的にテストしたフレームワークがあります。
それは僕らが現在までに、数千万円を売り上げるために使用している形と同じフレームワークです。もっと詳しく知りたい方のために、僕はこのフレームワークを分解し、いくつかの例を通してコースとして提供する予定です。しかしそれはまた別のところでお話するとして、ここでは具体的なスクリプトライティングの方法についてお話したいと思います。
あなたが今まで見た動画広告は、全て一度忘れてください。まずは僕らの広告制作プロセスを理解することが重要です。実はこれは広告媒体としてのビデオに限らず、ウェブサイト、または僕たちのブログに設置してるスライドボックスなどのオファー、どれにでも使える方法です。可能な限り、迅速かつ効率的に最高のアイデアを生み出せることを保証します。この3つのステップを踏めば、あなたは正しいアイデアのみに時間とリソースを有効に投資することができます。
ステップ#1:手間と時間を最小化してMVAを作成する
MVAとは、Minimum Viable Adの略です。つまり、視聴者に価値を提供できる最小限の広告です。広告を出したいと考えたら、まずは手間と時間を最小限にした簡単な広告を作りましょう。多くの人は、良い広告を作りたいと考えて最初から時間と予算をかけすぎてしまいます。手の込んだ広告を作ろうと、俳優を雇ったり、セットを借りたり、編集者を雇ったり、高価なカメラを借りたりするかもしれません。
しかしMVAには俳優も豪華なセットも、編集者も高価なカメラも必要ありません。それらはすべて単純化できるからです。人々がこのような考え方に至れず苦労するのは、見た目や完成度にこだわりすぎるからです。もっと改善できる余地があると考えて、手を抜いてはいけないと感じてしまうんですね。
最初にテストをせず、一発目の広告から予算を数百万円ほどかけることを悪いことだとは言いません。僕も過去に希望を持って投資しようとし、同じ考えをしていました。でも、今なら希望や直感に頼るべきではないと言えます。必ずテストするためのMVAから始めなければならないのです。なぜなら、このステップを省略するのは、単純にリスクが高すぎるからです。
これは海外の事例ですが、失敗例をご紹介します。JumpcutのKongは実際に動画広告を始めたとき、自身のこれまでのバイラルビデオの実績を過信して、このMVAを作るステップを省略できると思っていたそうです。彼らは最初から豪華なバージョンの動画を作ろうとし、MVAを作らずセット制作に2日、編集に2週間を費やし、スタッフや俳優を雇い、合計で200万円ほどかけて広告を作ったんです。
ここまで見てくださったあなたには、もう結果がお分かりですよね?手間と時間とお金をかけたこの広告は、結果として上手くいかなかったのです。予算や時間をかけた割に収益が上がらず、完全に失敗してしまいました。あなたにどんなに経験や自信があっても、まずはMVAの手順は必ず省略せずに行いましょう。MVAに掛けるリソースは小さくて良いので、すぐに作って配信できるはずです。
もしかするとMVAが完成した後に、動画としての質に物足りなさを感じるかもしれません。「もっと良いものが作れるのに」と自分のスキルを誇示したい誘惑に駆られるでしょう。でもその感覚は正常です。なぜならMVAはあなたの持っているスキルレベルよりも一段か二段低いもので十分だからです。そこはグッと我慢して、まずはMVAを広告プラットフォームに載せてください。
ステップ#2:広告をテスト配信して収益性を評価する
MVA広告を作ったら、それが効果的であるかどうかを調べるために、実際に約10,000〜20,000円を費やして広告を出稿する必要があります。もしかすると消化金額が増えていく一方で、なかなか成果が見えないこともあるかも知れません。そのときに「あと1万円、あと1万円だけ」と予算を追加するのは辞めましょう。一旦最初の予算を使い切るまで様子を見て、そこで自分自身に1つの質問を投げかけましょう。「この広告はうまく行ったのだろうか?」と。
ここで注意していただきたいのは、収益性についてです。例えば広告に1万円を使って1万1,000円売れたとしたら、1,000円の利益しか得られなかったことになります。でもプラスはプラスです。その1,000円はあなたにとって大きな利益であり、あなたのアイデアを検証するのに十分なものです。
プラスになったということはMVAがうまくいき、もっと大きな時間とお金を投資できる、ということを意味しています。もしそれがすごくショボく見えるシンプルな広告でも、これを伸ばしていくことで驚くほどの利益を生み出せるということです。
もしMVAの段階で売上が思うように上がらなかった場合は、MVAを作り直してください。MVAは短く、簡素な動画で済むので作り直しのコストも低く済むはずです。結果の出るMVAが出来上がってから、次のステップ3に進んでください。
ステップ#3:成功した広告に注力して改良を重ねる
MVAがうまくいったら、次は改良版として本格的なバージョンの動画広告を作ってください。MVAでは、あえてあなたから見て物足りないくらいの質の広告を作りました。今度はあなたが満足できるようなクオリティで、もう少し尺の長い動画を作って大丈夫です。僕たちは2分間のMVA広告を元に、8分間の本格バージョンを作成しました。長い尺の動画を作ると言っても、さすがに20分も30分も広告を見てくれる人はいないので、あなたにとってちょうどよい長さを見つけてください。
MVA広告がうまくいった時点で脚本に問題ないことがわかってるはずなので、基本的には同じ流れで改良版を作ってください。ところどころに視聴者の感情を揺さぶるような、映像やビジュアルを入れても良いでしょう。改良版の広告はMVAとはプロダクションバリューがまったく違います。プロダクションバリューとは、作り込みの度合いですね。つまりMVAよりもお金と時間をかけて、丁寧に制作してください。
この広告の改良バージョンは、制作費約10万円に対して815件の販売数を生み出し、2,000万円以上の収益を得ることができました。ここで紹介してきたステップ1から3が、収益性の高い広告アイデアを作るための1つのライフサイクルだと考えてください。くどいようですが、予算と広告の成功に相関性はありません。大事なのは、きちんとこれらのステップを踏むことです。
まとめ:3つのステップで最小の手間で最大の結果を発揮する
リサーチで広告のアイデアが見つかったら、そのアイデアを説得力のあるスクリプトに洗練させていってください。そのためには、今回紹介したライフサイクルに従って、以下の3つのステップを踏む必要があります。
ステップ1では、MVAを作成します。あなたが広告にかけられる最少のお金と手間で作った簡易バージョンの動画広告です。そしてステップ2、ここではさきほどのMVAを実際に広告として配信して、その売上やパフォーマンスを評価します。あなたの広告はきちんと利益の出るものでしたか?そうであれば、最後にステップ3で本格的な広告の制作に着手してください。MVAで成功したアイデアに基づいて、時間とリソースを割いてより良い広告を作りましょう。もしステップ2でダメならば、MVAの作り直しです。
今回のレクチャーはここまで。何か不明点や質問はありますか?何かあれば、下記のコメント欄で知らせてくださいね。ではまたお会いしましょう。