今回は、あなたがビデオ広告を作る際に重要な、「フック」について解説していきます。いくら効果的で魅力的な広告を作っていても、この「フック」が効いていなければあなたのビデオ広告は魅力が半減してしまいます。
また「フック」は動画広告の最初、最も見込み客に見てもらえる部分です。この部分でしっかり後半まで見てもらえるような工夫をすれば、一気にあなたのビデオ広告は魅力が増していきます。中身に注力するのも良いですが、まずはこの導入部分である「フック」について、このレクチャーを通して学んでいってください。動画の内容に注力するのは、その後でも良いのです。では早速始めていきましょう。
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動画広告の6要素のうちフックが重要である理由
広告動画では、いかにして視聴者の気を引くかが重要です。そのためには予算をいくらかけるか、どこまで作り込むかを考えてしまうでしょう。しかし断言します。成功を決めるのは予算ではありません。重要なのは、スクリプトの質です。では儲かるスクリプトを書くために必要なものとは何か?その6つの要素について紹介します。
- フック
- 問題
- 解決策
- ベネフィット
- 反論
- Call To Action
収益性の高いスクリプト、つまり儲かるスクリプトを書くためにはこの6つの要素が重要です。これらの要素は、収益性の高い広告のフレームワークを構成しています。そして僕らは、制作するすべての広告にこれらの要素を活用していました。だから収益性の高い広告を何度も作ることができるわけです。では具体的に、この重要な位置を占めるフックについてお伝えしていきましょう。
理由#1:フックは視聴者のアテンションを引きつけるから
まずフックとは?という部分について説明する前に、フックがいかに重要かを伝えていきます。では僕らの分析結果を先にお見せしましょう。
僕らが作った広告に、8分56秒の長さの広告があります。この約9分間のうちで一番大事なのはどこでしょうか?そう、動画の最初の5秒間です。ほんのちょっとした瞬間ですね。あなたも自分が動画を見ている瞬間をイメージしてみてください。動画が始まった最初の5秒間に、どんな気持ちの変化が起こっているかわかりますか?
広告動画のエンゲージメントは、始まってから5秒後に急降下します。エンゲージメントとは、簡単にお伝えすると、ユーザーが動画を視聴しようとする姿勢です。なぜ5秒間のうちにエンゲージメントが変化するのかというと、YouTubeだと広告は再生から5秒後にスキップできるようになるからです。
これは僕らの動画広告のアナリティクスです。左上に7秒と書いてある通り、動画開始から7秒後のタイミングで、65%まで視聴維持率が落ちています。つまり約1/3の視聴者がここでスキップボタンを押して、離脱してしまったわけです。ちょうど5秒のところでスキップボタンを押せるようになるので、ボタンを押す時間差も考えて5秒から7秒くらいのところから急降下しているのが分かると思います。
動画開始5秒後には、あなたの広告を見ている全員がスキップ可能な状態になります。ここがテレビなどのCMと大きく異なる点です。よく覚えておいてください。テレビCMは、基本的には30秒なら30秒の広告を全て見てもらえる前提で作られています。「このCM面白くないから、他のチャンネルに変えよう」というのは、まずあなたもありませんよね?
うちの広告運用を手伝ってくれている株式会社インフルエンスムーブメントの吉野さんは、これを「5秒の壁」と呼んでいます。まずは、この動画冒頭の5秒の壁をいかに攻略するかがカギになってきます。
次にフックについて解説します。動画の最初の数秒間をフックと呼びます。これは先ほど紹介した儲かるスクリプトを書くための6つの要素のうちの1つでした。なぜならフックは、最も急なドロップオフポイントをコントロールするからです。ドロップオフポイントとは、視聴率のグラフを見たときにユーザーが離脱してしまうタイミングを指します。このポイントをフックによってコントロールできれば、視聴維持率を保てるという流れですね。
これは僕らのアニメーション版の動画広告です。フックとしてこんな言葉を書きました。
―「え?5秒しかない?それなら急いで、個人で作る会員制ビジネスの話を始めますね」
アニメーションで時計の針がものすごい勢いでぐるぐる回っています。ここでは5秒と言う単語を出しています。YouTubeを見ている人は、毎回スキップボタンが出るまで5秒かかるというのを知っています。それをあえて、広告の中で言ってしまうことで、視聴者の注意力を引きつけてフックとして機能させました。
フックが良ければ良いほど、より多くの人が5秒の壁を超えて、その先の広告も見続けてくれます。あなたの広告が何を提供しているのかを見たくて、たくさんの人々がスキップボタンを押さずに留まってくれるのです。
理由#2:フックは映画と違い短い時間でアプローチを行う
あなたは、広告と映画を比較したときに映像という点では同じと考えてしまいませんか?実はそれは間違いです。あくまで広告はあなたの商品やサービスを意識していない人に対し、購入したいと思わせるよう意識させるもの。対して映画は、すでにその映画を見ようと思っている人たちが対象となっています。そこが大きな違いです。
具体的に映画は、長時間かけて説得力のあるストーリーを構築することで、観客の興味を引くことができます。広告はそうではありません。映画がマラソンだとしたら、広告はスタートラインに立つ前の、ちょっとしたトイレ休憩のようなものです。あっという間にすぎてしまう5秒間の中で、早めに場面を展開させていかないといけません。
さきほど紹介した僕らのフックには続きがあります。
―「それなら急いで、個人で作る会員制ビジネスの話を始めますね」
途中の3秒あたりのところから、画面を横にスライドさせて手書き風アニメーションを入れて、徹底的に画面に動きを与えています。5秒以内にスクリプトと、実際の動画のビジュアルの両方をフックに使っているわけです。
広告の場合、視聴者に見続けてもらうためには、数秒しか時間がありません。YouTubeの場合であれば、視聴者はもともと観たかった動画があったはずなので、少しでもこちらが気を抜いた動画を作ると簡単に見てもらえなくなります。短い時間でアプローチしなくてはならないのです。
スタンドアローン・ルールを徹底すると優れたフックが作れる
ではどうやってフックの部分を強くすれば良いのでしょうか?ここで「スタンドアローン・ルール」を紹介します。stand-aloneは「単独で、独立している」という意味です。つまり5秒間のフック単独で、視聴者の興味を引きつける必要があるということです。
スタンドアローン・ルールによれば5秒間のフックは、視聴者が続きを見る必要のない、わかりやすくて面白いものでなければなりません。実際のところ、フックに必要な正確な秒数はさまざまです。あなたの広告の場合は5秒よりも数秒多いかもしれませんし、少ないかもしれません。
しかし一般的な目安としては、フックは5秒が大半です。10秒を超えることはありません。さらに視聴者はフックを理解するために、大量のコンテンツを見る必要はありません。ほんの数秒で、「これは何の広告か?」「自分に関係あるか?」という凝縮された内容が伝えられます。もしあなたに動画広告がこのスタンドアローン・ルールから外れると、視聴者はあなたの広告を見るのをやめてしまうはずです。
優れたフックがなければ、どれだけ多くの視聴者を失うかちょっと想像してみてください。昔、日本で見たある広告を思い出します。それはユニクロのテレビCMで、ほぼ無音のものでした。最後にユニクロのロゴが出て終わり。他のCMがすごく賑やかなので、ユニクロのそのCMが流れるとお茶の間がすごく静かになります。僕も「あれ?」と思って、テレビを見に行くんですよね。そうすると15秒か30秒間の最後にロゴが出て、「ああユニクロだったんだ」と分かる。
あまりにもゆっくりとした動きの広告です。これは今思えば、スキップできない完全にテレビ向けの広告でした。結論がわかりづらく、見ているうちに徐々に飽きてしまいます。これがもしYouTube広告だったなら、僕はきっと途中でスキップしてしまいます。これが何のCMなのか?自分とどう関係あるのか?それが15秒後にわかるとしても、あなたは見続けることができないでしょう。ネットの世界では15秒はあまりにも長すぎます。
スタンドアローン・ルールを満たし、短い時間で「この先にあなたの求めている答えがある」と説明できなければ、せっかく作った広告でさえ見てもらえなくなってしまいます。
まとめ:フックを十分に効かせれば、あなたの広告は5秒の壁を超えられる
ここで問題となるのは、スタンドアローン・ルールを沿った上で実際に効果的なフックを書くにはどうすればいいのか?ということでしょう。それは、ひとつのことに集約されます。サプライズ。そう、驚きの要素です。だからこそ、売れる動画広告は開始直後から面白いのです。つまりスキップするのを忘れて、つい観てしまう動画です。観客を驚かせたり、ショックを与えたりするとすぐに彼らは好奇心を刺激されます。
最初の5秒が勝負です。最初の5秒間に視聴者に驚きを与えられるような要素を詰め込んでください。それはスクリプトとビジュアルの両方の面から、アプローチすることが可能です。好奇心を刺激すればするほど、あなたの話を聞きたいと思ってくれるはずです。このサプライズの要素を忘れずに、動画広告を作る際は「フック」を忘れずに活用しましょう。今回はここまでにします。何か質問や不明点はありますか?あればコメント欄で知らせてくださいね。またお会いしましょう。