今回は、広告に効果的な視覚要素を取り入れるための簡単なテクニックをご紹介します。動画広告を制作する際の撮影スタイルの話です。撮影スタイルとは、広告に登場する人物をどんな撮り方で見せるかと言うことです。
撮影スタイルによる視覚的な効果は、動画広告全体のイメージを決定します。あなたの顧客を登場させるのか、創業者であるあなた自身が出演するのか、それによっても使い分けることが可能です。今回紹介する4種類のスタイルと、その特徴について理解しておいてください。
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撮影スタイルはスクリプト制作前に決定する
動画広告のスクリプトを書く前に、どのように撮影するのかをイメージを作っておく必要があります。動画広告においてスクリプトは常に最重要の要素です。しかし、効率的にスクリプトを書くためには、スクリプトを書き始める前に、頭の中でどのような映像になるのかをイメージしておく必要があります。
英語で ”Show, don’t tell.” つまり「語るな、見せろ」という言葉があるように、映像は人間の感情に大きなインパクトを与える事ができます。書く前に撮影スタイルを考えておくことは、効率よくスクリプトを書く上で大事になってきます。
動画広告で使える4つの撮影スタイル
今日は、広告に効果的な視覚要素を取り入れるための簡単なテクニックをご紹介します。
「Direct To Camera」「Indirect To Camera」「Vlogスタイル」などの撮影スタイルとそれぞれの持つ特徴、そして「Drawingスタイル」といって手書きで楽しい個性的な広告を作成する方法をご紹介します。
今回は短編映画ではなく広告を書くのですから、比較的シンプルな内容にしています。しかし、これらの基本的なテクニックは、魅力的な広告を作る上で非常に有効です。今日お教えするスタイルは、どんなタイプの広告を作る場合でも有効です。
ストレート広告にも、カスタマーズ・ストーリーにも、ファウンダーズ・ストーリーの広告にも、オポチュニティの広告にも使えます。順番に見ていきましょう。
スタイル#1:正統派なDirect To Camera
まずは、最も簡単なスタイルである「Direct To Camera」、通称「DTC」から始めます。僕のレクチャー動画のほとんどで使用しているので、あなたもこのスタイルには慣れているはずです。
読んで字のごとく、今僕がこうやって正面を向いて話しているように、司会者や被写体がカメラに向かって直接話をします。カメラと目を合わせてまっすぐに話すので、まるで誰かがあなたに直接話しているような感覚になります。
この方法は非常にシンプルなので、DTCスタイルの撮影は、これまで説明してきたさまざまな広告フォーマットに共通して使用できます。また、設定が非常にシンプルなので、一番最初に作る広告として最適です。
スタイル#2:自然体なIndirect To Camera
DTCスタイルの他に、僕が「Indirect To Camera」と呼んでいるバリエーションがあります。
このスタイルは、ドキュメンタリー映画などでよく見られるもので、メインカメラ(Aカメラ)の映像を、被写体から45度の角度で撮影されたサイドカメラ(Bカメラ)の映像でカットするものです。
この方法は、特にカスタマーズ・ストーリーの広告を作る際に有効です。先ほどのDirect To Cameraでは、従来のセールスビデオのような印象を与えてしまうことがあります。もし、カスタマーズ・ストーリーの広告でDirect To Cameraを使ってしまうと、自分たちの顧客に代わりにセールスしてもらってるようで、変な感じがしてしまいます。
こういったIndirect To Cameraのような間接的なアングルは、より自然でオーガニックな印象を与えます。だからこそ、ドキュメンタリー映画では、被写体を自然で親しみやすいものにするために使われるのです。
直接カメラを見ていないので、計画的ではなく、より自然な感じがします。視聴者は、製品を売り込まれるというよりも、ドキュメンタリーを見ているような気分になります。Direct To Cameraがよりストレートな選択肢であるならば、Indirect To Cameraは最も自然な雰囲気を与えてくれます。
どちらに優位性があるということではなく、例えばDirect To Cameraのスタイルは、誰かがあなたに何かを売り込んでいると考えれば、とても効果的です。そしてIndirect To Cameraのスタイルは、誰かが特定の製品について話しているのを聞いていると考えれば、これもまた効果的でしょう。
スタイル#3:パーソナルなVlogスタイル
次にご紹介するのは、一般的にVlogスタイルの映像と呼ばれるものです。これは、YouTubeを利用している方にはおなじみのスタイルですね。
このスタイルが最も効果的なのは、カメラに映っている人が個人的なストーリー話しているときです。あるいは、企業の創業者自らが出演して語っている場合などです。
このVlogスタイルは、SkypeやFacetimeで友人に話すのと同じようなスタイルなので、個人的で親密な雰囲気を醸し出してくれます。なので、このスタイルはファウンダーズ・ストーリー広告を作るのに適しています。
このスタイルをよりエンターテインメント性の高いものにするには、街中を歩いているところやハイキングをしているところ、オフィスにいるところなどを撮影するといいでしょう。
そうすることで、Direct To Cameraスタイルとは違った視覚的な変化とエネルギーを広告に注入することができます。
自分が興味を持っていることであれば、その分野で世界一になる必要はありません。だから、このスタイルを使うなら、つまらないものにしてはいけません。動き回ってください。視覚的に面白い場所に行って、視聴者にあなたの実生活を垣間見ているような気分にさせてあげてください。
これは僕がベトナムで撮影したものです。いろいろな場所でVlogスタイルで撮影し、ジャンプカットを使ってダイナミックに編集することもできます。
連続したVlogスタイルではなく、一文ごとに新しい場所に切り替わることで、広告にスピード感を与え、ストーリーを視覚的に補完することも出来ます。
また、例えば僕ならオランダ生活を見せるなど、私生活の中の実際の場所を見せることで、僕と視聴者の間に親近感を持たせることも出来ます。僕自身の人生と物語を通じた視覚的な旅に連れて行っているのです。
スタイル#4:ストーリーを描くDrawingスタイル
3つ目の広告スタイルは、「Drawingスタイル」です。このスタイルでは、ホワイトボードに描くのが一般的ですが、紙や色鉛筆、マーカーなどを使って描く人もいます。ですから、ホワイトボードがなくても心配ありません。
このスタイルでは、ストーリーを描き出すことで、見る人の感情と視覚を結びつけることができます。また、あなたが綺麗な絵を描くようなアーティストのスキルを持っていなくても心配ありません。重要なのは、あなたの物語を個人的かつ正直に表現することなのです。
このスタイルは、個人的なストーリーにとても適しています。もしあなたがアニメーターであれば、同じスタイルで実際のアニメーションを使うことができます。最近では、Vyondなどのホワイトボードアニメーションを作るツールも充実しています。
これは、僕の広告で使ったホワイトボードアニメーションです。これもVyondというツールで作っています。もしあなたがこのようなアニメーション制作を外注したいと思うなら、クラウドワークスでVyondと検索すると沢山の手伝ってくれるワーカーさんが見つかるはずです。
もちろん、シンプルな鉛筆やクレヨンを使って、このDrawingスタイルの素晴らしいMVA広告を作ることができることを忘れないでください。
まとめ:4種類の撮影スタイルを使い分ける
さて4種類の撮影スタイルと、その用途などをすべて紹介しましたが、これは決まっているわけではありません。好きなように組み合わせてください。ここには明確なルールはありません。これらのスタイルを混ぜ合わせて、ハイブリッド広告を作ることも可能です。
撮影スタイルが決まったら、多額の予算をかけずにミニバージョンの広告であるMVA広告を制作してテストするのも大事です。そこで大金を稼ぐことが目的ではありません。最もシンプルで安価な方法で広告をテストしたいだけなのです。
ですから、オフィスやスタジオを借りる必要はありません。自宅の白い壁やAirbnbの小綺麗なスペースを利用して撮影する、魅力的なMVA広告のための素晴らしいスクリプトにエネルギーを注ぎましょう。
広告の利益が出れば、より良いバージョンを作るために資金を再投資することができます。ただし、撮影スタイルの種類に関わらず、スクリプトが常に最重要であることを忘れないでください。それでは、次回のビデオでお会いしましょう。