今回は、 動画広告を作るにあたって必要な機材、執筆ツール、動画編集方法などをお伝えします。今回のレクチャーを見ることで、自分で1から調べるよりも圧倒的に時間を節約できるはずです。
本格的な広告を作成する前にまずは低予算のミニバージョンの広告であるMVA広告を作成する必要があります。いろいろな選択肢がありますが最初は高価なものを選択する必要はありません。ツールであれば無料のもの、機材であれば安価なものからスタートしてください。
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まずはMVA広告を制作する
動画広告を制作する際には、潜在顧客の洗い出し、説得力のあるスクリプトの書き方、動画広告のさまざまなフォーマットや撮影スタイル、スクリプトのテスト要素まで、できるだけ多くの潜在顧客にリーチするために必要なことを学んびます。
その次に、いよいよ広告の制作に入ります。経験も予算もない状態で動画制作を行うのは大変なことのように思えるかもしれません。ですが視聴者の注目を集め、売上につなげることができる質の高い広告を制作するのは、驚くほど簡単です。
今回は広告制作に必要な機材を、順番に説明していきますが、まずは冒頭でも触れたMVA広告について説明しておきます。MVAとは、Minimum Viable Adの略です。これは市場にいる顧客の反応を確かめるために、必要最小限の時間と労力で制作するテスト用のミニバージョンの広告です。
このミニバージョンの広告を使って、あなたのスクリプトが利益を生むかどうか、そしてそのアイデアにさらに時間と労力をかける価値があるかどうかを知ることができます。MVAを作る目的は潜在的な顧客の注目を集め、1,000円でもいいから利益を出すことです。
より洗練された本格的なバージョンの広告には、多くの時間とリソースが必要です。まずはこのMVAで広告の方向性を検証します。そこでうまくいって初めて、より洗練されたバージョンの広告を作るために、重要な時間とリソースを投資してください。
MVA広告の制作に必要な5つのハードウェア
別のところでも話しましたが、動画広告の主役はあくまでスクリプトです。ですから、プロフェッショナルな広告の制作を考える前に、エンターテインメント性と教育性を兼ね備えたスクリプトを作成してください。どんなに予算があっても、照明や撮影方法などでスクリプトの欠点をすべてカバーすることはできません。
幸いなことに、最小予算でMVAを撮影・編集するための選択肢はたくさんあります。ここでは、僕が個人的に気に入っている機材や方法をいくつか紹介しますが、選択肢はこの他にも沢山あることを覚えておいてください。あまり機材やツールというのは、凝りすぎてしまうと仕事が進まなくなります。多くの人がハマりやすい罠なので、機材選びに必要以上の時間のかけないように注意してください。
僕がこれからお勧めする機材やツールは、「石崎式!撮影機器一覧」にまとめていますので、動画を一時停止して書き留める必要はありません。では始めましょう。
ハードウェア#1: カメラ機材
まずは、動画広告の最も重要な要素である「動画」から始めましょう。これがなかなか難しいのです。僕たちは、映画やテレビでプロの撮影による高品質な映像を見慣れているので、低予算でそれに匹敵するものを作ることは想像しにくいかもしれません。
もしあなたがスマートフォンを持っているなら、高品質のビデオを撮影できるカメラが既に備わっているはずです。実はスマホのカメラは映画撮影でも使われるくらい高画質になっています。よくAppleがCMで “Shot on iPhone” というiPhoneだけで撮影した動画を流していますが、あれは息を飲むくらい美しいです。
サンダンス映画祭でプレミア上映された映画「Tangerine」は、海外の映画批評サイトのRotten Tomatoesで97%の評価を得ています。この作品はすべて3台のiPhone 5Sで撮影されています。映画制作者が編集に使ったのは、「FiLMiC」と呼ばれるアプリだけ。これは高ビットレートでフィルムを撮影しながら、フォーカスや露出などをコントロールできるアプリです。また、iPhoneを使った撮影を行っているのは、低予算のインディーズ映画制作者だけではありません。
アカデミー賞を受賞したスティーブン・ソダーバーグ監督は、これまでに多くの映画を制作していますが、2018年の映画「Unsane(アンセイン)」やNetflix映画の「High Flying Bird」でもiPhoneを使って撮影しています。
ソダーバーグ監督は、iPhoneにMoondog Labs社製のアナモルフィックレンズ・アタッチメントを取り付けることで、高画質な撮影を実現させています。しかもこの彼が使ったのとまったく同じアタッチメントは、なんと2万円以下で買えるものなんです。驚きですよね。
彼はインディーズ映画の監督ではなく、オーシャンズ11から始まる「オーシャンズ」シリーズを制作した人物です。その彼がiPhoneは十分に映画撮影に耐えられるカメラだと証明しているのならば、あなたの動画広告を作るのにも十分だと納得できますよね。
ハードウェア#2: 三脚
カメラの準備ができたら、カメラを置く三脚のことを考えましょう。特に人物が正面を向いて話すDTC(Direct To Camera)スタイルで撮影する場合は、三脚が必要です。
アマゾンでは3,000円前後で良い三脚を選ぶことができるでしょう。これは僕が個人的に選んだもので、Amazon Basicsの三脚です。
ただ、三脚にスマートフォンを取り付けるためのマウントアダプターも必ず購入してください。スマホ 三脚の良いものがあります。これも「石崎式!撮影機器一覧」にまとめておきます。
もし予算が限られている場合や、カメラの設置場所をもっと柔軟にしたい場合は、ミニ三脚を購入することもできます。こういうゴリラポッドのような、どこにでも巻きつけられるような足があると便利です。スマホ用のアダプタを追加購入する必要がなく、三脚とマウント両方で2,000円前後に抑えられます。ここで紹介したのは僕のお気に入りのメーカーのJOBYのものです。
ハードウェア#3: 音響機材
ここまでに紹介した機材だけでも、使えるMVAを作るのに十分です。でも、もしあなたが大きな部屋や屋外で撮影するのであれば、オーディオ用の機材も用意するといいでしょう。プロ仕様の機材は確かに質も良いですが、必ずしもそこまで良いもの必要ではありません。
これは2,000円以下と安価に手に入るマイクです。さらにもう少しお金を出せば、少しいいものが手に入ります。
これはさきほどよりも音質の良いバージョンのマイクです。5,000円あれば手に入ります。ただ、最近のiPhoneをお使いの方は、マイクをスマートフォンに接続するためにLightning変換アダプタが必要になることを覚えておいてください。製品によっては、このアダプタが付属しているものもあります。
また場合によっては、遠くからの撮影で音声を録音する必要があるかもしれません。その場合、マイクケーブルでは対応できません。音声をカメラとは別撮りします。
そんなときは、友人のスマホで音声を録音しておいて、後から編集時に映像と同期することもできますし、僕がよく使うTASCAMのようなオーディオレコーダーを2万円以下で購入することもできます。
ハードウェア#4: ライティング
さて、照明についてですが、MVAを作成する際には、なるべく自然光を使うようにしましょう。自然光というのは、窓からの太陽光のことです。なぜかというと自然な照明の感じを出すのは、人工的な光では本当に難しいからです。自然光は、初心者にとっても一番シンプルな方法だということは覚えておいてください。
もしどうしても人工的な光を使わないといけない場合は、こういった基本的なセットアップをお勧めします。これは照明自体と、光を拡散させるソフトボックスがセットになったものです。似たようなものがあるので、照明とソフトボックスが別売りなのか、セットなのかはよく確認してください。ただし人工的な光を使う場合は、YouTubeのチュートリアルビデオなどを見て、照明の設置や光の当て方などを十分に研究する時間を取った方がいいでしょう。
ハードウェア#5: スタビライザー
最後に、MVAに使えるものとしてスタビライザーがあります。これは、移動しながら撮影する場合やVlogスタイルで撮影するときに有効です。
これはDJI Osmo Mobile3というものです。ただし、最近のスマホのカメラには優秀な手ブレ補正が付いています。ですが、Vlogスタイルでスマホのインカメラを使って自撮りする場合は手ブレ補正が弱くなります。スタビライザーはお金に余裕がある場合にのみ利用してください。
以上、MVA広告の作成に必要な機材で、僕が推奨するものをご紹介しました。わざと手短に説明したのには、理由があります。冒頭に話したように、無数の選択肢の中から機材を選ぶ結構楽しい作業なので、気をつけないと機材選びだけで何日も費やしてしまいます。あなたには、僕のオススメを参考にササッと機材を選んで頂き、広告作りに時間を割いてほしいからです。
広告制作に使える2つのソフトウェア
さて、MVAの制作に必要なハードウェアの話が終わったところで、広告制作プロセスに使える他の2つのソフトウェアについて簡単に触れてみましょう。スクリプトの校正と、ビデオの編集です。ビデオ編集にはツールが必須ですが、スクリプトの校正に関しては必須ではありません。
ソフトウェア#1: 文章校正ツール
まず、スクリプトの校正から始めましょう。校正とは、スクリプトに文法ミスやスペルミス、矛盾点、不要な繰り返しがないかをチェックする作業です。この作業によって、スクリプトが洗練され、読み上げたときに流れるような響きを持つようになります。
スクリプトに自信のある方は、自分でチェックすることもできますし、信頼できる友人に送って問題がないかチェックしてもらうこともできます。自分のスクリプトを編集する簡単なコツは、自分で声に出して読んでみることです。これにより、ぎこちない言い回しや変な文章構成をチェックすることができます。もう1つはツールを使う方法です。有料のものと無料のものを紹介します。
まずは、有料ツールの文賢(ブンケン)です。これを使って簡単なチェックをすると、他人の手を必要とせずに、文章の誤りを効率的に見つけることができます。ちょっと価格が高いのですが、接続詞、指示語、冗長な表現、不明瞭な主述関係など文法や語句のミスを細かく見つけてくれます。この文賢以外にも、ATOK(エイトック)のクラウドチェッカーなど沢山の選択肢があります。
またこれはソフトウェアではありませんが、追加の方法として、オンラインで手頃な価格のプロのコピーライターを雇うこともできます。クラウドワークス、ココナラ、ランサーズなどクラウドソーシングサイト上で、いくらでも優秀なライターさんを見つけることができます。これについては、MVA広告が成功したあとに、本格的なバージョンの広告のときに使っても良いでしょう。
文章校正の無料ツールは、「校正ツール」検索するといくつか出てきます。これはPRUV(プルーフ)という無料ツールです。文法や固有名詞、誤字脱字などをチェックしてくれます。ただし無料ツールはその時々で状況が変わるので、探してみてください。
ソフトウェア#2: ビデオ編集ツール
さて、次はビデオ編集についてです。ライティングと同様に、ビデオの編集も自分で行うか、誰かに依頼するかのどちらかです。動画編集の経験がある方は、何をすればいいのかよくわかると思います。
もし動画編集に不慣れでも心配ありません。Adobe PremiereやDaVinci Resolveなどの編集ソフトに関するYouTubeやUdemyのチュートリアルを見れば、素晴らしい広告を作るのに十分な知識を得ることができます。
Adobe Premiere Proは有料のツールですが、最もチュートリアルなどのリソースが充実しているツールの一つです。僕らもこのPremiere Proを使って、動画編集をしています。
Premiere Proと並んで有名だけど無料、という素晴らしいツールがあります。Blackmagic社が開発しているDaVinci Resolveです。DaVinci Resolveには 有料版もあるのですが、ほとんどの機能が無料で使えます。通常の動画編集をする分には無料版で全く問題ありません。すごく手軽に導入できます。
また自分で映像を編集したくないという場合でも大丈夫。手頃な価格のフリーランスの編集者を探して、必要なものを作るのを手伝ってもらうのも難しくありません。繰り返しになりますが、ここでは何もおかしなことをしているわけではなく、MVAをローンチするためのシーンを誰かにまとめてもらっているだけです。編集者をどこで見つけるか、どのように雇うか、広告の動画編集に何を求めるかを具体的にどう伝えるかなどは、「石崎式!撮影機器一覧」にまとめていますので、参考にしてください。
まとめ:まずは方針を決めて動き出す
今回は、 はじめての動画広告を制作する場合に必要な機材やツールを紹介しました。最初は、色々な選択肢に悩むと思います。ですが、ひとまず使うものを決めて、動き出しましょう。まずは、早めにMVA広告の制作に取り掛かりましょう。
撮影スタイルを決める、機材を揃える、スクリプトを作る。そして撮影して編集です。ここで学んだことを活かして、あなたのビジネスに大きなインパクトを与えるものを作ってください。あなたがこのレクチャーで学んだ、どのツールや戦略を使って広告を作るのか、僕は楽しみでなりません。それではまたお会いしましょう。
石崎式!撮影機器一覧
https://docs.google.com/document/d/1s0r6L6GPSGBUxToy8rFSgwtddWtDf5F99dDz1bQ2c-8/view