今回のレクチャーでは、動画広告のフックの書き方について解説します。今回扱うのはストレート広告の場合です。僕がいつも書いている流れに沿って、僕の頭の中を見せながら進めていきます。
動画広告の最初は必ずフックです。フックで視聴者を惹きつけたあとに、あなたの商品を買ってもらうための説得力のある話をしていきます。
フックは必ずしもその後の話と強い関連性がある必要はありません。最初の5秒間だけ、視聴者の注意を引きつけるものだと考えてください。もちろん、以降の話に関係していればベターです。
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ストレート広告を書く前の前提条件
まずは、どんな広告にするのかの前提条件を決めてください。これが決まっているとスムーズに広告を書くことが出来ます。逆にここをいい加減に決めてしまうと、書いている途中で方針がブレてしまって視聴者にうまく訴求することが難しくなってきます。今回の広告では、具体的に4つのことを決めてからスタートしたいと考えています。
- あなたが扱う商品
- ターゲットの客層
- 撮影スタイル
- スクリプトを実際に発話する人物
まず、扱う商品ですがYouTube広告マスタークラスという僕らの商品の広告を書こうと思います。これはYouTube広告の運用方法を解説したコースです。
2つ目のターゲットは、フリーランスや1人起業家にします。ネットでの集客に悩んでいて、ブログやYouTube、Twitter、Facebookなどを運用しているが、毎日の投稿が思うように集客数につながっていない人たちです。
3つ目の撮影スタイルは、Direct To Cameraスタイルを採用します。これはカメラに向かって正面から話をするスタイルで、一番ポピュラーな広告の撮影スタイルです。
4つ目のスクリプトを実際に発話する人物は、僕です。自分が話すことを想定して書いてみます。うちのお客さんはほとんどが男性なので、男性が説明するようにします。
フックを書き始める
さて、では最初に何をするか? フックを書きます。この時点で、フックがいかに重要であるかは既にご存知でしょうが、もう1度お伝えします。フックはスクリプトの中で最も重要な部分です。
このフックであなたがやるべきことは、まずあなたがテストしたいと思う全く異なるフックのアイデアを2つ以上書き、その中で1つに決定することです。このフックは約5秒で、スタンドアローン・ルールに従わなければなりません。
簡単にスタンドアローン・ルールの説明をします。英語でstand-aloneとは「単独で、独立している」という意味です。これはフックにはそれ自体単独で、視聴者の注目を集める機能を求められるというルールです。なので、フックを30秒も1分も長々と書いてはいけません。なるべく5秒前後で短くまとめて、その部分だけで視聴者の注目を集め、続きを見てもらえるように視聴者に興味をもたせてください。
フックは全部で6種類あります。話題性があったり議論を呼ぶフック、可愛かったり癒やされたりするポジティブなフック、悲しみや怒りを利用するネガティブなフック、思わず笑えるようなフック、奇抜で変なフック、ショッキングなフックです。
さて、それではYouTube広告マスタークラスのスクリプトのフックを書いていきましょう。ちょっと変なフックを使ってみたいと思います。ただしそこまで強烈なものではありません。
フック例#1
何か視覚的なものを見せていきたいと思います。まずは、扱っている商品がYouTube広告に関する講座なので、そのことを絡めていきたいです。スタンドアローン・ルールに基づいて、これがYouTube広告に関することだということをお客さんに知らせたいです。こんなのにしましょう。
「これはYouTube広告で買ったベビーカーです。」
YouTube広告という言葉を入れて、YouTubeでちゃんと売上の実績ありますよ。ということを言葉とビジュアルで見せていこうと思います。僕自身3人の子供の父親として日常的に子育てに関わっています。ベビーカーを出せばあんまりギラギラした感じが出ないし、安心感あるかなと思ったのでそうします。小さな金額のものから始めて、ちょっとずつ高いものにシフトさせましょうか。
「これはYouTube広告で買ったベビーカーです。これはYouTube広告で買ったコーヒーマシンです。」
コーヒーマシンと、ベビーカーより少し値段の高いものを出します。ちなみにここで見せるのはデロンギのコーヒーマシンです。本当はこれよりずっと美味しいBrevilleのエスプレッソマシンを持っていたのですが、日本からオランダに来るときに泣く泣く手放しました。
もしコーヒーが好きな方はBrevilleのオラクルいう型を検索して買ってみてください。毎日美味しいコーヒーが家で飲めて、幸せな気分で過ごせると思います。
さらに、ここで金額を一気に上げてインパクトを出したいと思います。何か意外性が欲しいところです。日本ではテスラのクルマが海外ほど売れてないので、珍しいです。なので、テスラを出しましょうか。
「これはYouTube広告で買ったベビーカーです。これはYouTube広告で買ったコーヒーマシンです。それから、これもYouTube広告で買ったTeslaです。」
クルマを見せるとかなりインパクト出ますよね。でも、これで終わったらただお金持ち自慢みたいになるし、不快になる視聴者もいるかもしれません。だから、変化球というか視聴者に親近感を持ってもらうために、こんな話を入れましょうか。
「これはYouTube広告で買ったベビーカーです。これはYouTube広告で買ったコーヒーマシンです。それから、これもYouTube広告で買ったTeslaです。あ、違いました。僕のはこっち、3日間で49ユーロのレンタカー。」
これはGreenwheelsというカーシェアリングで借りた車です。テスラでインパクトを出したあとに、親近感のある話を入れました。僕こういうイタズラみたいなのが好きなので、そういうのが得意ならばおふざけ感を出してあげても良いです。ちなみにオランダのカーシェアリングはすごく安いので、週末の3日間だけ借りてもこの値段です。1つ目のフックはこんな感じです。
ここで一つ注意しておきたいのは、これはフックの候補の1つに過ぎないということです。ただのブレインストリーミングです。ですから、何もかもが完璧である必要はありません。多くの人は、最初のスクリプトを完璧に仕上げようとしてしまいますが、最初は60%くらいの出来で良いのでまずは完成を意識してください。そうしないとフックだけで1週間も時間を使う、ということになりかねません。
僕は「あ、このフレーズ使える」と感じたものは、すべてGoogle Docsに書き出し、それを元に改良するというプロセスを何度も繰り返しています。 そういえば昔、小飼弾さんが「本を読むのはフレーズを探すため」ということを言っていました。僕もああこれいいなと思えるフレーズは頭の中のメモリーに刻んで、いざというときに取り出しています。
フック例#2
さて、次は2つ目のフックです。さっきのフックでは、海外在住の雰囲気を暗に出していたので、真似しにくいかもしれません。次は海外在住じゃなくても出来る視覚的なインパクトを考えてみましょう。
前に見て衝撃的だったのは、男性が病院で今にも死にそうというフックから始まる広告でした。だから、何か死に近いシーンが良いかもしれません。広告の話題で何か死に近いものを探します。こうしましょう。
「Facebook広告が瀕死です」
ここで想像しているのは、棺桶に入った僕が、真っ青なで死にそうな顔でこう言っている場面です。Facebook広告は、iOSのアップデートで本当に死にかけました。Facebookの利用者のトラッキングを防ぐような機能を、Appleが実装したからです。
そして、僕がサーフィン用のウェットスーツを着て棺桶から出てきます。普通、棺桶に入っている時は白装束みたいなものを着ていますよね。僕はここでお互いに場違いなもの同士を組み合わせて、 変化球を見せたいと思います。棺桶とウェットスーツ、こういった互いに全く関係のないものを出すと「何だろう?」と思ってもらえるのでフックとして有効です。
ただし、単に変なものだけを見せても良いのですが、それだけだとその後が続きません。広告に興味がある人を惹きつけておくことができないので、「Facebook広告が瀕死です」とFacebook広告のことにも言及しておきます。広告に反応しそうな層をもう少し絞り込むために、こんな言葉を足しましょう。
「Facebook広告が瀕死です。iOSのプライバシーアップデートを受けて広告主は全員困っています。」
ターゲット層が興味を持ちそうな話題をフックに入れました。ただ、これだけだとこの動画広告を見続ける理由が弱いので、これを見続けることのメリットを提示しておきます。
「Facebook広告が瀕死です。iOSのプライバシーアップデートを受けて広告主は全員困っています。でもあなたは大丈夫、この動画でネット集客にはYouTube広告が有利な理由を、あなただけにこっそりお伝えします。」
スタンドアローン・ルールのように、冒頭部分でこう話すことでこの動画を見る価値があるかどうかを視聴者に判断してもらえるようにします。
繰り返しになりますが、こういったアイデアを何個も作って「どうやったらもっとインパクトが出るか?」「視聴者が続きを気になってしまうのか?」という発想で、改善を続けていきましょう。ここで紹介した2つのフックは、まだ走り書き程度です。でもなんとなくフックの作り方がイメージできたと思います。
まとめ:フックは何度も書き出して改善する
フックの基本は驚きの要素です。またフックを書くときにはスタンドアローン・ルールを忘れないようにしてください。スクリプトは言葉だけでなく、そのビジュアルをイメージしながら書くことをオススメします。最初から奇抜なビジュアルを作ろうとする必要はありません。
とはいえ、フックはアイデアに詰まりやすい部分でもあります。もし行き詰まりを感じていたら、映画の予告編や、他の広告、テレビ番組、あるいはオンラインで目にするあらゆるタイプのコンテンツからインスピレーションを得ても構いません。
2つのフック以上が完成したら、次はスクリプトの問題提起の部分に取り組んでください。