②「一つの小さなミスが農家に招いた年3000ドルの損失」ときには、「損失リスク」の相殺、低減、排除という後ろ向きの発想が「利得への期待」よりも読み手をはるかに惹き付けることがある。そして、ウォルターノーバスが著書『Six Successful Selling Techniques』で指摘しているように、「人は、自分が所有していないものを得るためよりも、価値は劣ってもすでに所有しているものを失わないために懸命に戦う。」-『クラッシュマーケティング』ジェイエイブラハム・著-
売上が上がっていない時、2つのことを考える。その2つが何よりもてっとり早く、しかも効果的だから。その2つとは『広告見出し』と『商品構成』。『広告見出し』はあとで説明することととして、まずは『商品構成』から考えてみよう。
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商品構成
商品構成は僕の造語なんだけど、これはつまり一商品を消費し終えるまでの期間(サイクル)を意味する。日本では屈指のマーケター金森繁樹さんが行政書士の頃、離婚調停の案件を中心に受注していた。他の弁護士さんたちは、同じ離婚調停の業務を担いながらも、行政書士の金森さんに大きく金銭的なひけをとっていた(そう、売り上がってなかった。弁護士という肩書きがあるのに)。
何が違ったか?それは一商品を消費し終えるまでの期間が違った。弁護士さんたちは『離婚調停パッケージ』のように一括高額の商材を用意していたけど、金森さんは”キャッシュポイント”を刻み、細かく集金した。つまりパッケージ商品にはせず、一連の消費チェーンをブツブツと区切り、『メール相談:10通5万円』『市役所での自己手続方法DVD:3万円』『代理書類作成:10万円』『資産相続手続のTipsセミナー:3万円』『離婚後の親権争いを起こさないための音声セミナー:5万円』・・・ってかなり適当に書いてみたけど、まあそんな感じ。
『結局みんな全部買っちゃうんだけど・・・』
クライアントにとってもこれはラッキーな話で、こーゆーサービス業会でも特に弁護士のような独占業務かつ非日常の業務に関しては、価格帯が分からない。だからなるべく商品を細かくし、一つ一つに価格をつけ、代替の価格帯を見せてあげれば、クライアントも購入しやすい。そして必要な物だけを選べる。
味噌は、『結局みんな全部買っちゃうんだけど・・・』ってところなんだけどさ。全部買ってしまったら、そりゃパッケージ商品よりも高くなってしまうんじゃない?そしたら行政書士の金森さん、弁護士よりも稼いでしまいますぜ、そりゃ。
僕なんかも、絶対にパッケージ商品なんて買わない。iTunes Storeで最初はOne Republicのシングルだけをちょぼちょぼ買って、結局彼らを好きになって、全部のアルバムを買ってしまう。そーゆーもんなんだね。iTunesの成功はアルバムの中の曲を1曲単位で買えるようになったことだって、僕は確信していたけど、後日ジョブスのインタビューでそれは事実に変わった。アップルは最強のマーケティング会社だって誰も気づいていないけどさ。中小企業の経営者の皆様、キャッシュポイントを刻みましょう。
商品構成でもう一個言っておきたいこと
一商品アタリの消費サイクルを短くするんだから、販売者としては、一商品の制作時間を刻む必要がある。当然。パッケージ商品を作るのに100時間かかっていたら、刻まれた単発商品を作る際はそれ以下の時間で仕上げなきゃいけないのは小学3年生でも理解できるはず。しかし頭で思うことと、実際に行動することは違う。現に多くの企業が、刻まれた単発商品に莫大な時間とコストをかけてしまい、一商品は優れたものになれど、バックエンド商品の質が落ちたり(リソース不足で)、最悪の場合バックエンド商品を用意できなくなる。そりゃ最悪だわ。
上の稚拙な例をここでも使うなら、『離婚メール相談:10通5万円』、以上。ってことになる。「え?その後の手続は手伝ってくれないんですか?」って行政書士さん(弁護士さん)に聞いても「いやー、メール一通一通に心を込めて書いているから、他に手が回らないんで・・・」なんて返信される。そんな人に頼む人は誰もいないだろう。でもこれは往々にして起こっていること。どの企業も単発商品だけを用意し、その後の商品がない非常に不親切なビジネスを回している。
消費サイクルを短くしたんだから、商品開発の時間を短くし、追加生産一個あたりの費用(限界費用)も小さくするのは当然の話。たぶんここで僕の例を聞いても自社製品に取り入れられる業界は少ないとは思うけど、僕の商品開発時間を短くするために僕がやっていることは、『準Wikipediaモデル』だ。Wikipediaは場所だけが提供されて、実際にそれを作るのは文字を書ける人たち。文字を書く人たちに相当なインセンティブがない限り、あのモデルは成立しないんだけど、僕の『準Wikipediaモデル』なら大丈夫。
場の提供者になれ。いずれWikipediaを作れ。
僕たちが場を提供するのは当然なんだけど、場を提供して、その後に僕がアドバイザーやコンサルタントとして一緒に場を作っていく。そう僕も一緒に参加する。たとえばWordPressのユーザー設定で、クライアントに投稿者(あるいは寄稿者)の権限をアサインし、そこに質問してもらう。僕がそれに答える。それだけでクライアントは満足するし、望みの結果を得られる。
すごいのはここからだ。WordPressの内容を全てGoogleにインデックスさせる。そうすることで、クライアントの質問も僕の回答も検索エンジンにひっかかり、世の中に存在する”同じような悩みを持った人”を助けることができる。Wikipediaモデルのすごいところは、コンテンツメーカーが自発的にモチベーションを燃やしてコンテンツ(記事)を書き、それがGoogleにインデックスされ、僕らのような”教えて君”を助けてくれる。
ここに何かヒントを感じただろうか?そう、僕らは場の提供者であるべきなんだ。そして”クライアントと一緒に場を盛り上げていく”。僕のやることは簡単。場を提供するだけ。それが商品になる。
限界費用の話、広告見出しの話・・・をしようと思ったけど、本を読みたくなったので、また別の機会で話すこととします。テキトーでごめんなさい、でも今日の話は結構重要だと思う。うちの利益の8割を担っているのもここだからさ。
石崎力也
追伸:ちなみにタイトルの”マジで儲かんねー”とき、マーケターのボクはこうしますってのが広告見出し。普通マーケターが”儲かんねー”ってことはあり得ないんだけど、いざそうなった場合Marketingのプロはこうしますっていうアンビバレンツな気持ちを抱かせながらも、信頼を勝ち取る広告。他にも『”気分が最悪”なとき、医者はこうします』みたいな広告もアメリカでは有名。
追伸2:今日の朝読んだ本がけっこう良かったので、お勧めしておきます。デザインマーケティングの基本を勉強したいかたへ。
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