現状維持を捨てる勇気と決断力がなかったら、今の私はないと断言できる。未来への成長戦略に目を向け、とことん現状維持を嫌ってきたからこそ、常に高いステージで好業績を上げ続けられたのだと信じている。しかし、私が長期的な視野に立つ戦略家かというとそうでもない。実際は10年先のことには目をつぶって、短期的な収益を考えなければいけない時もあるからだ。
[amazonjs asin=”4761268980″ locale=”JP” title=”死ぬ気で働いたあとの世界を君は見たくないか!?”]
留学時代に読んだ本の中にHow to be creativeというものがある。その著書の中には『無名時代を楽しめ』という言葉があった。無名時代を楽しむとはどういうことか?と当時は思っていたけど、今なら少し分かる気がする。僕自身が無名だった頃・・・なんて話をすれば誰も続きを読まないし、それは事実ではないし、面白くもない。
ではなぜ今は少し分かる気がするのか。それはバブリーな人たちが過去の話しかしないからである。バブリーという言い方は適切じゃないかな。アジアを放浪している時に、あらゆる世界的地位にあるバンドのコンサートに参加したのだけど、みんな過去の話しかしなかった。それを見て「あぁ、この人たちは無名時代を懐かしんでいるんだ」と感じたのを覚えている。
格別に衝撃的だったのがアーティストが新曲を発表しようとするとブーイングが起こってしまうということ。お客さんは懐メロを聞きにきたという表情。アーティストが新しいことに挑戦しようとする姿勢が周りから受け入れられなくなる。プロモーターは創意工夫に富んだ新曲ではなく、売れ筋の一曲を作るよう指示してくる。エサをまつ野生動物のように目をドルマークにした取り巻きがあなたを囲む。「こんなはずじゃなかったのに・・・」きっとそう思って無名時代を懐かしんでしまうだろう。
「成功したい」と強く願う思いは実は「現状に飽きてしまった」ということの裏返しではないか。もしもホリエモンが経済的に成功したいと思っていたのならば粉飾決済の容疑で逮捕され、収監され、出所した後も同じようにITベンチャーをはじめるはずだ。でもホリエモンはそうしなかった。オタキングの番組の中でホリエモンはこう言った。「もう一回ベンチャーを作って成功するなんて楽勝じゃん。もうやり方わかっているんだから。でもなんでもう一回同じことやる必要があるの?やるわけないじゃん」
現状に満足している人は変化を好まないなんて嘘だと思う。僕は現状に満足している。だけど満足していることと変化しないことは決して同義ではない。過度の刺激ジャンキーな僕に”現状に満足し続けていなさい!”と命令するのは非常に苦しいことと思うけど、どう?現状に満足すればするほど変化が欲しくなるのはロジカルではない、これもどう?新しいステージにたった所でどうせそれもすぐに現状になる。じゃあまた次にいくしかない。そうやって80年が終わるんじゃないですか。
「こうなったら私はもっと幸せになるという条件付きでの幸せを追い求めているようでは、一生幸せが見つからない」北海道にいた時に僕の面倒を見てくれた女性サロンの経営者は、そう教えてくれた。”うまくいきたい”という願望を支えるものが”うまくいったら幸せになれる”という思考そのものなら、それは幻想にしか過ぎないのでは。”うまくいったら幸せになれる”とうい思考が人間の本質であるならば、ホリエモンはもう一度同じITベンチャーを作っていたはず。
『死ぬ気で働く』ことの理由は、『死ぬほど働けばうまくいく』からじゃなく『死ぬほど働くということは、死ぬほど働いていない今とは違うこと』だからじゃないかな。死ぬ気で働くのが普通になったら今度はそれに飽きてまた別のオプションを探すに違いない。
石崎力也
追伸:天国でアイスクリーム屋さんをするとかがいいかも。それをフランチャイズしたら面白いかも。そうしよ。夫婦で鼻にアイスクリームつけてペロペロぷれいやな。
追伸2:専属デザイナーFの専属スプーンを間違ったペロペロしてしまった。おえっ。amazon.comで自分用の買おうっと。