まずEUの予算がもめにもめて決まらず、来月はおろか来年に持ち越されてしまったという醜態。2012年11月22日のWSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)の記事が見出しからして笑える。
EU Leaders Prepare for Battle Royal at Summit(EUの指導者がEUサミットでいよいよバトルロイヤルの準備を始めた)
もう始まる前から強調なんて雰囲気ではなく、全員をたたきのめし最後の一人が勝ち残るまで戦い抜く、バトルロイヤルの様相を呈している、という短いですがそのものずばり、非常に端的な見出しです。
たとえば10年間。中国なんてのは、我ら日本のGDPの1/5にも到達しておらず、全く眼中の外だった。しかし毎年10%以上増の成長を遂げ、最近抜かれちゃった。こんなセンセーショナルなニュースがあるからこそ、僕たちがフォーカスすべきものは中国などの後進国兼成長スピードの早い国だけだぜ!ってずっと思っていた。光が強ければ影が濃くなる。僕たちの光は確実に中国などの国にフォーカスしており、EUは影に落ちていった。
でもよくよく考えてみると、EUって本当に順調なの?そんな問いかけをする人はいない。果たしてEUは順調?最近になってようやくギリシア崩壊をきっかけとした欧州危機がライトアップされてきた。・・・ってことで、先に欧州から見ていこうと思う。今後の記事はどう考えても中国にフォーカスしていくしかないだろうから。
まず、僕の母親のように「EU=ユーロ圏」と勘違いしているしている方のために解説を。ユーロ圏(Euro Zone)ってのはユーロ通貨を使っている集合体であって、当然「EU=ユーロ圏」になる必要があったんだけど、イギリスやスウェーデンなどの数カ国が国内を説得させることができず、ユーロには参加していない。ってことでEU≠ユーロ圏なんだね。まあ結果的には「ギリシア債務もスペイン債務もイタリア債務も俺たち関係ないからね!入っていなくて本当によかった!」って感じにはなっているのですが。ですが!ですが!彼らユーロ圏外の国々の方がEUに出しゃばってくるものだから、そりゃユーロ圏の国々は面白くない。これじゃあまとまらないぜ・・・ってなるのは当然の帰結なんだよね。
個人レベルのストーリーを拡大解釈しちゃいけないのかもしれないけど、「ぶっちゃけwin-winなんて情報弱者のための言葉じゃない?二者間では成り立っても、三者以上間では成り立たなくない?」とか「人間の煩悩を甘く見過ぎじゃない?」って僕なら思ってしまう。資本主義で回っている以上、潜在的に存在している利害なんてそれこそゴマンとあって、そのごく一部が戦争という形で顕在化している世の中で、「協力」って言葉が胡散臭く聞こえてしまうのは僕だけなのかな。
世界レベルでの「協力」はうまくいっているのかどうか分からないけど、少なくともEUレベルでの「協力」は悲しくなるくらい上手くいっていない。その一面が、引用の予算バトルロイヤル(笑)。増やすの増やさないの?でこれだけもめている。
- 拠出金>補助金のドイツ→絶対に予算は削減すべき
- 拠出金>補助金のフランス→フランスが受け取っている農業補助金以外は全て削除すべき
- 拠出金>補助金のイギリス→イギリスが受け取っている払戻金以外はすべて削減すべき
- 拠出金<補助金のスペイン→予算増は不可欠(補助金もっとくれってこと?)
- 拠出金<補助金のギリシア→予算増は不可欠(補助金もっとくれってこと?)
- 拠出金<補助金のその他旧東欧諸国(ポーランドとか)→欧州内格差を是正するために予算増は不可欠(同じ?)
うーん(笑)。保身、ジャイアン的発想、わがまま、利己主義・・・どの言葉がベストかわからないけど、まあ全部のそういった煩悩系の言葉を足して割って、みたいな世界。本当に人間の煩悩を甘くみちゃいけない。ある意味、こんなEUのような足枷がなくて、さらに煩悩むき出しの国が中国って思ったらなんとなく世界が見えてくるかも。(笑)
文責:石崎力也
参考文献:
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