今回のレクチャーでは、ブランド戦略のうち、ターゲット・オーディエンスつまりペルソナについてお話しします。これはあなたの顧客についての理解を深め、正確なマーケティングを行う上で重要です。
このレクチャーを終える頃には、ターゲット・オーディエンスとは具体的にどのようなものなのか、それらの必要性や作り方についても理解できているはずです。またレクチャーの中でターゲット・オーディエンスを作るための具体的な質問リストもお見せします。では早速見てみましょう。
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ターゲット・オーディエンスを定義する
ターゲット・オーディエンスとは、言葉通りあなたのビジネスがターゲットとする人たちのことです。あなたのサービスや商品を購入する典型的なユーザー像のことで、「ペルソナ」とも呼ばれます。
ターゲット・オーディエンスを明確にすることの重要性
ビジネスにおいてターゲット・オーディエンスを明確にすることは非常に重要です。その理由は、あなたの製品やサービスを使うユーザーが誰なのかを明確にすることで、彼らが何に困っているのか、製品に何を求めているのかをより深く理解することができるようになるからです。
またあなたが行うすべてのマーケティング活動が、本当にターゲットのニーズを解決するためになっているかを確認できるようにもなります。もしかするとあなたは「自分なら、直感的に顧客のニーズを捉えて、彼らが抱える課題を解決できている」と考えるかもしれません。
ところが実際には、非常に多くの企業が自分中心のマーケティング活動を行っています。顧客のニーズではなく、自分たちが何をしたいか、自分たちは何者なのかということばかりを気にしているのです。企業が行う何かしらのプレゼンテーションを聞いてみてください。
その多くが、顧客のニーズではなく、自分たちの仕事について話すことから始めていることに気づくでしょう。
しかし、成功するマーケティングとは「自分中心」ではなく「顧客中心」に行われるものです。そうすることで初めて、顧客が本当に求めているものを提供できるようになるのです。
ターゲット・オーディエンスを明確にすると、顧客の抱える問題が見えやすくなるでしょう。そして、彼らの課題や問題を把握できたら、それを使ってマーケティングを行うことができます。
例えば、多くの人は、自分の抱えている課題に対する解決策をGoogleなどの検索エンジンを使って探しています。彼らが検索するであろうキーワードを理解していれば、その検索結果としてあなたのブランドやサービス、コンテンツを表示させることができます。
そこで彼らがあなたのブランドを知ることで、顧客になってくれる可能性があるということです。継続的なエンゲージメントを獲得できれば、長期的な顧客を掴むこともできるでしょう。
ターゲット・オーディエンスの考え方
さて、ターゲット・オーディエンスの考え方について見てみましょう。ターゲット・オーディエンスを作るためには、以下の手順に沿って、あなたのビジネスがターゲットとする人の像を明確にしていきます。
- ターゲットに架空の名前を与える
- その人物の仕事内容の概要を書き出す
- 年齢、性別、収入、勤務地などの情報を設定する
- 彼らの目標や課題を書き出す
名前については、なんでも構いません。これは複数のペルソナがいる場合に、それぞれを区別する意味でつけるものです。名前自体に大きな意味はありません。よく一般的な企業では、1つの性別で3人の異なるターゲット・オーディエンスが設定されます。
マーケティング活動を行う際には、ユーザーのニーズに合わせることが最重要です。そのため、最後の「彼らの目標や課題を書き出す」というのは、最も大切なステップとなります。
ターゲット・オーディエンスの例
ここでは、実際にテクノロジーコンサルティング企業のL&T社がターゲット・オーディエンスを作成したときの例をお見せします。今回のペルソナは、Markというマーケティングマネージャーの男性です。
資料を見てみると、彼のバックグラウンドや目標、課題についての説明が詳しく記載されていることがわかりますね。また、最後の段落では、L&T社が彼の抱える課題を解決するためにどのような支援ができるかについても書かれています。
Markは33歳、結婚して小さな子供がいます。年収は650万円。肩書は、インバウンド・マーケティングのマネージャーです。目標は、仕事を通じて成長していくこと。これまでの努力と貢献が認められ、今のマネージャーのポジションについています。
質の良いリードを獲得したいのですが、限られた予算と人手不足、そして非現実的な目標達成期限に困っています。SNS運用、ウェブサイト最適化、コンテンツライティングのサポートで毎日大忙しです。目標が達成できなくて、職を失う恐怖を抱えています。
こんなMarkに対してテクノロジーコンサルティング企業のL&T社は、どんなことが出来るでしょうか?コスパが良く、大きなインパクトをチームを派遣して、Markの目標達成をサポートすることです。そして、Markが社内で表彰されたり、ボーナスや昇進をもらえると最高です。
ターゲット・オーディエンスを設定する13の質問
このように、ブランドにおけるターゲット・オーディエンスを設定する場合には、人物を細かく設定してください。それは以下のような質問のリストに、順番に答えていくことで掘り下げることが可能です。
- 名前
- 年齢
- 性別
- 家族構成
- 年収
- 職種
- 場所
- 学歴
- 目標
- 悩み
- 何に価値を感じるか
- 恐れていることは何か
- あなたのブランドが手伝えることは何か
これらの質問を行うことで、あなたのブランドにおけるターゲット・オーディエンスが明確になっていくはずです。ここでちょっと僕らもやってみることにしましょう。
石崎のターゲット・オーディエンス
さて、13の質問を使って僕のターゲット・オーディエンスを明確にしてみたいと思います。
まず名前は山崎亮です。53歳の男性で、奥さんと3人のお子さんがいます。年収は3000万円、東京の港区に住んでいてセミナー講師として活躍しています。学歴は大卒。目標は、セミナーコンテンツをネットに載せてオンライン経由の売上をアップさせることです。
悩みは、毎回新規客を集めるのが大変で、新規開拓に時間が取られることです。あと立ちっぱなしのセミナー講師はそろそろ体力的にキツくなってきました。
趣味やゆったりと過ごせる時間の余裕に、価値を感じています。海外旅行、仲の良い友人とBBQ、自家用機免許、カメラなど多彩な趣味を持っています。
恐れているのは、新規集客が止まってしまい売上がジリジリと落ちてしまうこと。その結果働く時間が増えて、趣味や家族との時間が減ってしまうことです。僕らのブランドが提案できるのは、セミナーコンテンツをオンラインコースにして販売することです。そのための特別カリキュラムを提供します。
はい、これで全部カバーしていますね。こんな風に13の質問に答える形で、ペルソナを掘り下げていってください。
まとめ:ユーザー像を明確にして正確なマーケティングを行う
ターゲット・オーディエンスを明確にすることで、自分の顧客のニーズや課題を正確に理解することができます。これらを理解することで、その解決策となる製品やサービスを提供できるようになるのです。
今回のレクチャーでお話ししたプロセスに従って、それぞれを慎重に構築していってください。そして、作り上げたペルソナを活かして、より効果的なマーケティングを行いましょう。このレクチャーは以上です。また次回、お会いしましょう。