今回のレクチャーでは、コンテンツ・マーケティングにおいて、具体的にどのようなプロセスでコンテンツを制作していくべきかについてお話しします。マーケティング上の大きな目標を達成するためには、チームで協力し合うことが欠かせません。
簡単に言えば、今回ご紹介するコンテンツ作成プロセスとは、チーム内で適切な役割分担を行い、やるべきタスクを明確にし、メンバー間で綿密なコミュニケーションを取りながらプロジェクトを進めていくことです。具体的な内容について、詳しく見てみましょう。
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チームメンバーの役割を決める
はじめに、チームメンバーの役割分担をしましょう。コンテンツを効率的に作成するためには、適切な人材に適切な役割を与えることが必要です。
元GoogleのマーケターのJay Acunzo氏は、自身のブログで、コンテンツ制作に必要ないくつかの重要な役割について話しています。
- プロデューサー:コンテンツを生み出す人です。ライターやデザイナー、アーティストなどが含まれます。彼らはクリエイティブな人たちであり、コンテンツ・マーケティングにおいて絶対に必要な存在です。
- マーケター:プロデューサーが作ったコンテンツを視聴者に届ける人です。適切なターゲットにコンテンツを提供し、コンテンツと製品の需要を創出します。
- ストラテジスト:戦略を立てる人で、これがあなたの役割です。チームのリーダーであり、高度な分析や戦略立案、人材・資金のリソースの割り当て、経営陣との連携など、プロデューサーやマーケターが有意義な仕事をするために動きます。管理するのは人ではなく、リソース、時間、結果であることを覚えておきましょう。
引用:https://jayacunzo.com/blog/structuring-content-marketing-teams-the-pod-approach
チームメンバーに役割を与えることで、一人ひとりが目標に対して責任を持てるようになります。
上層部にコンテンツリリースの事前承認を得る
このように役割分担をしてコンテンツ開発を進めることのメリットは、事前にリソースを振り分けることで、それぞれが取り組むべきことが明確になり、どうでもいい雑用に振り回されなくなることです。
また成果にフォーカスしたコンテンツ作りに専念するためには、上層部からの余計な関与や長い承認プロセスを排除することも大切です。今回は、チームでのコンテンツ制作を想定しているので、このように上層部にいちいち確認を取るという面倒なプロセスをできるだけ省く必要があります。
それでは、結果に焦点を当ててプロジェクトを進めるためには、どうすれば良いのでしょうか。Seth Godinは、著書「LinchPin」の中で、以下のように進めるべきだとアドバイスしています。
- 新しいプロジェクトを開始する期日を決める。
- 作成するコンテンツについて、チームメンバーのアイデアを集める。
- アイデアを検討してもらう。ここで最終的に残ったアイデアが実行されるものであり、後戻りして変更することはありません。
- すべてのアイデアをまとめたプロジェクトのアウトラインを作成する。これが、あなたのチームが今後実行するコンテンツ制作計画です。
- 上層部に「ストラテジスト(=あなた)に、コンテンツのリリースに関する全権限を与える」ことに同意を得る。一度プロジェクトが開始されたら、上記方針を変えないという文書に署名してもらうことも有効です。
- 上層部に対して「あなたが承認したものを、予算と納期通り作成したら、それをリリースすると約束してくれますか?」と問う。
- 上層部からの「イエス」の返事を聞くまで、プロジェクトを開始しない。
このプロセスで進めれば、コンテンツ開発に必要なすべての要素が揃います。また、プロジェクトの全体像を、目標も含めて明確にメンバー全員と共有できます。
タスクを定義する
マーケティングコンテンツの制作を開始する前に、あなたのチームは既に10倍の成果を生み出すコンテンツのアイデアを出しているはずです。そこまで出来ていれば、あとはアイデアを実現するために、具体的に何をすべきか話し合いましょう。
まずは、コンテンツの作成から公開までに必要なすべてのことを、ブレインストーミングしながら考えてください。そのためには、過去のコンテンツの成功事例を分析することから始めると良いでしょう。マーケティング・コンテンツにおいては細部が重要なので、気づいた点はすべて書き出してください。
具体的にやるべきタスクを全て書き出したら、それをどの役割の人が担うか、どの順序で取り組むかをまとめて並べ替えてください。こうすることで、チームの具体的なタスクが一目でわかります。
次に、チーム内の誰が各タスクを担当し、いつまでに完了させるべきかを記入します。これはそのまま、コンテンツ制作のための共有ワークフローとなります。終わったタスクにはチェックを入れるというルールを決めれば、進捗状況がすぐにわかるようになるのです。
最後に、作成されたタスクリストをプロジェクト管理システムに入力することで、コンテンツ制作のスケジュールが出来上がります。
コンテンツカレンダーを使って管理する
ここで紹介したコンテンツ制作の計画には、コンテンツカレンダーのツールであるCoScheduleを使うと便利です。CoScheduleが提供する「タスクテンプレート」と呼ばれる再利用可能なチェックリストを利用することもできます。
タスクテンプレートとは「この種類の作業であれば、こういった作業プロセスで進めていく」という流れを定型化したものです。例えば「ブログを書く」ならば、そのための各工程をワンクリックでテンプレートとして呼び出せます。
CoScheduleでは、このようなワークフローチェックリストを簡単に作成できます。締め切りも記載され、各メンバーにタスクをアサインすることも可能です。タスクにチェックを入れると全体の完了率が上がっていく機能もあり、進捗を瞬時に把握できます。
コンテンツ制作のプロセスを管理するツールを選ぶ
具体的なスケジュールが出来上がったら、コンテンツの作成と、そのプロセスを管理するための適切なツールを選ぶだけです。チーム内の役割に応じて、必要なツールを導入しましょう。
ツール#1:コミュニケーションのためのツール
まずは、チームメンバーとの効率的なコミュニケーションを実現するツールを見つけましょう。具体的には、以下のようなものが必要です。
- タスクベースのワークフローシステム:作成したチェックリスト通りに作業を進めたいところですが、タスクごとに担当者が異なるため、順番がバラバラになってしまうこともあるでしょう。このような事態を想定して、チームで作業の進捗を共有できるワークフローシステムを導入してください。
- Eメール以外の連絡手段:CCでのメールが何通も届くと、そのメールを徐々に無視するようになってしまいます。チームのコミュニケーションを容易にするチャットツールを見つけ、チーム内の連絡はそのツールを用いるというルールを決めましょう。
- タスクや締め切りのリマインダー:あなたのチームには優れたデザイナーや編集者など、スターがたくさんいるでしょう。彼らは優秀ですが、同時に人間であることも忘れてはいけません。新しく見つかった課題を知らせたり、締め切りが近づいていることを知らせたりするツールを導入しましょう。そうすることで、彼らは遅滞なく自分の仕事を完了させることに責任を持ち続けてくれます。
これらはプロデューサー、マーケター、ストラテジストなどの役割に関係なく、全員が活用すべきツールです。
ツール#2:マーケターのためのツール
マーケターには、上記のツールのほかに、エディトリアルカレンダーを利用してもらいましょう。エディトリアルカレンダーとは、予定管理のためのツールで、コンテンツ内容や公開予定日などの情報の管理を行えます。
その代表的なツールが、さきほども少し紹介したCoScheduleです。プロジェクトがいつ公開されるかを視覚的に確認できるため、ワークフローから逆算して、納期に余裕を持ってプロジェクトを開始できるようになります。
ツール#3:コンテンツ作成のためのツール
最後に、コンテンツを作成するためのツールについてです。これらは、主にプロデューサーが利用するツールとなります。
コンテンツ作成に便利なツールには、WordPress、Google Docs、Evernote、Notionなど、数え上げればきりがないほど沢山あります。ただし、どの製品であっても、使い始める前には以下の点について考えておくことが大切です。
- チームのワークスタイルに合ったツールを選ぶ。例えば、外出が多い人は、EvernoteやGoogle Docsのような、スマートフォンに対応していたり、オフラインでも使えたりするツールが良いでしょう。
- ツールはできるだけ必要最小限とする。指定ツールは少なければ少ないほど、みんなに使ってもらいやすくなります。
- それぞれのツールの使い方を明確にする。少し時間をとって、チーム全員に、各ツールを使う理由や使い方について理解してもらいましょう。
- チームとしてツールを使用することに合意を得る。新しいツールの利用に抵抗を示す人もいるかもしれませんが、チームとして現状を打破して改善していくことを約束しましょう。
上記のポイントを押さえた上で、コンテンツの内容やあなたの運営するメディアに合ったものを選んでください。
僕たちはチームでの共同作業を考えてGoogle Driveですべてを行うようにしています。Google Driveであれば、ドキュメント、スプレッドシート、スライドそしてその他のファイルを1つのプラットフォームですべて管理できるからです。
まとめ:チームで協力しながらプロジェクトを進める
ここまで、コンテンツ開発プロセスにおける戦略実行の方法について紹介してきました。効率的にコンテンツを生み出すためには、チームで役割分担をしながら進めていくことが大切です。
そのためには、アイデアをタスクに落とし込み、スケジュールを共有しながらメンバー内で綿密にコミュニケーションを取り合うことが重要となります。必要に応じて、新たなツールの導入も検討しましょう。今回は以上です。また次回のレクチャーでお会いしましょう。