今回のレクチャーは「コンテンツカレンダー」についてです。これは、コンテンツマーケティングを成功に導くための重要なツールです。なぜコンテンツカレンダーを利用すべきなのでしょうか?そして、具体的にどのようなツールを使えば良いのでしょうか?
そもそも、「コンテンツマーケティング」がどのようなものか、イメージしにくいという人もいるでしょう。これは何も特別なものではありません。意識していないかもしませんが、あなたもコンテンツマーケティングによる記事を一度は読んだことがあるはずです。このレクチャーでは実例を紹介しつつ、コンテンツマーケティングを成功させるために必要なマーケティングカレンダーについてお話していきましょう。
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コンテンツマーケティングとは?
コンテンツカレンダーについて紹介する前に、まずはコンテンツマーケティングとは何かについてお話ししておきましょう。コンテンツマーケティングは見込客を獲得する素晴らしい方法です。そのコンテンツマーケティングに便利なのが、レクチャー後半で紹介するコンテンツカレンダーです。
まずは、コンテンツマーケティングを見ていきましょう。コンテンツマーケティングとは簡単に言えば、「価値ある無料コンテンツを提供することで、見込み客を顧客に変えること」です。
具体的には、その企業が提供しているサービスや製品に関連する、あらゆるブログ記事や動画を発信することでブランドロイヤリティを構築したり、視聴者が将来的にそのブランドのサービスや製品を購入したいと思う意欲を生み出そうとすることです。
コンテンツマーケティングでは、顧客に直接営業することはありません。代わりに、コンテンツを通じて読者と信頼関係を築くことを目指すのです。コンテンツマーケティングの具体的な事例をいくつか見てみましょう。
実例#1:CRMツールのHubspot
CRMツールを提供しているHubspotは、長くコンテンツマーケティングを行ってきた会社です。さすがに上場してるだけあって、コンテンツもすごく洗練されています。
例として、同社のブログの「Instagramストーリーズ広告の成功事例7選&クリエイティブ制作のコツを解説」という記事を見てみましょう。1つの記事の中にも、さまざまなテクニックが盛り込まれています。
まず、記事の本文に入る前に「顧客を惹きつけるInstagram/Facebook 広告運用無料ガイド」という、同社のeBookへのリンクが貼られていることに気づきます。この記事にアクセスした人が興味を持ちそうな内容ですね。記事の右下にバナーが出ています。ここでも、先ほどと同じeBookのダウンロードをオファーしています。
さらに記事を読み進めていくと、記事の末尾にも再び同じオファーのバナーが設けられていることが確認できるでしょう。
また記事の中盤にもガイドブックをダウンロードしてもらうためのオプトインフォームが埋め込まれています。HubSpotのオプトインフォームはよくできていて、クリックすると入力画面が大きく広がります。入力フォームの表示面積を大きくすることで、見込客の離脱を防いでいます。
このように分析してみると、あらゆるところにリードマグネットが散りばめられていることがわかります。リードマグネットとは、見込み客(Lead)を引き寄せる磁石(Magnet)のようなもので、eBookなど読者にとって価値のある情報を無料で提供します。その代わりに、読者のメールアドレスなどの連絡先を取得する方法です。
HubSpotは僕が起業当初からウォッチしている会社です。いつも素晴らしいアイデアをくれるので、大いに参考にしています。役に立つ無料コンテンツを共有することで、読者を引き付け、見込み客を顧客に変える好例ですね。
実例#2:レンタルサービスのRentio
家電レンタルサービスのRentioも、ブログ記事を活用した上手なコンテンツマーケティングを行っています。
Google で「ルンバ 段差」と検索してみてください。トップに表示されるのは「ルンバが登れる段差は2cm!高い段差の対策方法とおすすめルンバを解説」という記事です。一見するとライフハック系のブログ記事ですが、実はRentioが運営するサイトのコンテンツのひとつです。
同社はカメラ・家電の徹底解説サイト「Rentio Press」を立ち上げ、最新の掃除機のレビューや機能の解説、そのほかあらゆる家電の性能・価格の比較結果などを提供しています。「オススメ機種9選」とか「ルンバ全25種類を一覧表で比較」などすごく魅力的な記事ばかりがアップされています。
もちろん、このサイトを訪問したすべての人がRentioのレンタルサービスに申し込むわけではないでしょう。しかしRentioは、このサイトを通じて潜在的な顧客となりうる数万人もの新しいファンを獲得している可能性があります。
実例#3:会計ソフトのfreee
会計ソフトを提供しているfreeeも、提供しているサービスに関わるお役立ち記事を提供しながらコンテンツマーケティングを行っています。
確定申告について調べてみると、「確定申告の基礎知識」という同社の記事が上位に表示されます。そこには、確定申告に必要な書類や計算方法についてなどの事細かなガイドが書かれています。とてもわかりやすいですが、読み進めていくと誰しもが「なんて面倒なんだろう」と思うことでしょう。
しかし、この記事の最後には、「確定申告を簡単に終わらせる方法」として、freeeの会計ソフトを利用する方法が紹介されています。これを使うと、役所に行って書類を取ったり、面倒な計算をしたりすることなく確定申告が終わるというのです。一般的な確定申告のやり方を知り、「億劫だな」と感じた直後にこのようなオファーがあると、登録したくなるはずです。とても上手なマーケティングですね。
そのほか、この記事の中には、随所に「〇×形式の質問に答えるだけ」「電子申告完全対応」と書かれたバナーも埋め込まれています。記事の途中や最後でfreeeのサービスの無料版への登録を促しています。
またfreeeはHubSpotのように無料のeBookも用意しています。つまりリードマグネットですね。BtoB向けのリードマグネットには、会社名、役職、従業員数なんかも記入する場所があります。HubSpotでも同じようなことをしていますから、もしBtoB向けのコンテンツを考えている場合は真似してみてください。
コンテンツカレンダーが必要な理由
事例を見ることで、コンテンツマーケティングの具体的なイメージが掴めたのではないでしょうか。普段何気なく目にしているWeb記事が、実はコンテンツマーケティング記事であるいうのは、よくあることなのです。
さて、ここからはコンテンツカレンダーについて見ていきましょう。コンテンツカレンダーとは、名前の通り「どんな目標のもと、いつ、どんな記事を書くか」を記したスケジュール表のことです。これを作成すべき理由としては、以下の4つが挙げられます。
理由#1:コンテンツマーケティングは思いつきでは成功しないから
コンテンツマーケティングは、戦略的に行って初めて成功するものです。何事も、ゴールを明確にしないまま進んでも目標は達成できません。同様に、明確なゴールや計画がないまま「この記事を書きたい」と思いつきでコンテンツを作成しても、思うような結果は出ないのです。
コンテンツカレンダーは、コンテンツマーケティング戦略の全体像を俯瞰するためのものです。いわば、目標までのロードマップと言えるでしょう。
理由#2:トラフィックが増えるのはちゃんとした意図があるから
ブログのトラフィックは、「ブログのトラフィックを増やしたい」という明確な意図を持っていなければ増やすことはできません。
反対に言えば、「ブログのトラフィックを増やす」という目標のもとに作成するコンテンツの計画を立てることで、効率的に結果を出すことができます。チームで1つの大きな目標を共有しながら、一貫性と品質を最優先したコンテンツを生み出し続けることで、サイトの訪問者数は確実に増加するでしょう。
理由#3:定期的にコンテンツが出せるから
明確な計画には、強制力があります。毎日新しいコンテンツを生み出すというのは、確かに簡単なことではありません。しかし、コンテンツカレンダーに、その日作成すべき記事がすでに決められた予定として事前に書き込まれていると、それに従って実行できる可能性が高まります。
定期的にコンテンツを作るという目標の実現にも、コンテンツカレンダーは有効なのです。
理由#4:チームメンバーが仕事しやすくなるから
複数人で構成されるチームでマーケティングを行う場合、目標を達成するためにはメンバー間で常に目標と計画と進捗状況を共有することが重要です。しかし、それぞれが異なるツールを使用していては、プロジェクトに対して同じ見解を持ち続けることが難しくなってしまいます。
優れたコンテンツカレンダーをチーム全員に導入すれば、共通の目標を常に視覚化しながら、今後の計画や進捗状況を共有することができます。これにより、さらにコンテンツの一貫性や計画の遂行率を高められるのです。
専用のカレンダーツールが便利
ここまでで、コンテンツカレンダーの重要性についてはおわかりいただけたと思います。さて、ここで気になるのが「具体的に、どんなツールを使うべき?」ということですよね。
コンテンツカレンダーとして利用できるツールはさまざまありますが、その中でも「CoSchedule」など、メディア運営を行う人のために作られた、専用のサービスがおすすめです。
例えば僕たちは、かつてGoogleのスプレッドシートを使ってコンテンツの管理を行ってきました。当時はYouTubeの動画を中心に発信していて、それを管理するにはちょうど良かったんです。
しかし、その後YouTube以外にも、MailChimpによるメルマガ配信やブログ記事など複数のプラットフォームを管理する必要が出てきました。このような状況では、スプレッドシートでは管理が煩雑になってしまいます。そこでCoScheduleを利用することにしたのです。
いくつものメディアを一元的に管理できて、これは非常に便利です。特にチームが大きくなってきた場合には、こういったコンテンツカレンダーの専用ツールが便利です。こういったツールは、チームでの作業を前提として作られているため、チームでの作業管理をスムーズに行うことができます。
まとめ:コンテンツカレンダーに基づき確実な成長を目指す
ここまで、コンテンツカレンダーの重要性についてお話ししてきました。明確な計画に基づいて定期的にコンテンツを発信することで、トラフィックの増加などの目標を達成しやすくなります。
コンテンツカレンダーに利用できるツールは数多くありますが、複数メディアを管理するならば、やはりCoScheduleなどの専門ツールをおすすめします。今回は以上です。また次回、お会いしましょう。