今回のレクチャーでは、主要SNSにおけるベストな投稿頻度についてお話しします。当たり前ですが、毎日1回投稿すれば、一定のエンゲージメント、シェア、トラフィックを得られるでしょう。それでは、1日2回、3回とその数を増やせばどうなるのでしょう?
面白いことに、投稿頻度を増やせば増やすほど良いというわけではありません。むやみに投稿数を増やすと、重要な投稿が埋もれやすくなったり、ステマっぽく見えたりします。それでは、一体1日何回投稿すべきなのでしょうか?データに基づくその答えについて、早速ご紹介していきます。
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Facebookのベストな投稿頻度
これまで、多くのマーケティング企業が「ビジネス目的でのSNS運用において、最も効果的な投稿頻度はどれくらいか」というテーマの調査研究を行ってきました。当然ですが、全ての調査結果が同じという訳ではありません。そのため今回は、10以上の代表的なマーケティング企業の調査結果をまとめ、その平均を取ったものをご紹介していきます。
まずは結論からまとめます。Facebookの投稿頻度についてベストな戦略は次のようになります。
- 最適な投稿頻度:1日1回
いくつかのマーケティング企業の研究結果を見てみましょう。まずはHubspotです。彼らは独自の調査を行っています。それによるとFacebookへの投稿は週に5回が理想的とのことです。つまり週に営業日が5日ある会社であれば、営業日ごとに1日1回ということになります。これを超える回数の投稿を続けると、企業の投資収益率が落ちたとの報告がされています。
Adobeの調査では、平日に1〜2回そして週末に1回の投稿を行うことが最適だとしています。この回数を超えるとクオリティの低いコンテンツを大量にバラまくようなアカウントになってしまうとのことです。これはアルゴリズムに嫌われるやり方なので結果的にうまくいきません。これらの調査を総合的にまとめると、Facebookへの投稿頻度は1日1回という結論になります。
Twitterのベストな投稿頻度
続いては、Twitterの投稿頻度について見てみましょう。こちらもいくつかのマーケティング企業の研究をまとめたものをお見せします。
- 最適な投稿頻度:1日に3回
- ただしアカウントにより異なるのでテストが重要
マーケティング企業の行った調査結果も確認してみましょう。まずHubspotはかなり思い切っています。彼らは投稿数を増やせば増やすほど、インプレッションとクリック数が増えると結論づけています。
ITサービス企業の調査によれば、Twitterの1回の投稿の寿命は約18分です。これはFacebookの5時間、Instagramの21時間、Pinterestの4ヶ月などに比べて格段に短いサイクルです。
このようにTwitterは他のSNSよりも情報が流れやすいフローのような性質があります。そのため、Hubspotでは他のプラットフォームよりも洗練された投稿文でなくても良いとしています。その代わりに他のプラットフォームよりも少し投稿頻度を上げようと説いています。もちろん、クオリティのあまりに低いものばかりを投稿するのは、アルゴリズムに嫌われる可能性があるので避けてください。
他にもSNSツールのHootsuiteは1日1〜5回。Constant Contactは1日1〜3回。Adobeは1日1〜3回。CoScheduleは1日15回です。これだけ差があると企業の規模や、業種によって最適な投稿頻度に差が出ているものと思われます。
SNSツールのSendibleでは、最適な投稿頻度の追求よりもエンゲージメントを高めるべきだとしています。その他の具体的な戦略をいくつか紹介しています。それは次のようなものです。
- 画像、GIF、動画を使う
- 会話が発生するような質問をする
- 何かのインスピレーションを得られる引用を使う
- ハッシュタグとメンションでリーチを増やす
- 同じ業界の他社コンテンツをキュレーションする
複数の企業が行った調査を見てみても、Twitterの最適な投稿頻度にはバラツキがあることがわかります。これに関しては、ビジネスジャンルやあなたのアカウントの規模により異なってくることが考えられます。ここで結論として提示した1日3回をベースに色々な投稿頻度を試すことをオススメします。その際にはTwitterアナリティクスなどの分析ツールを使って、インプレッションやクリックなどの指標を計測しながら行ってください。
Instagramのベストな投稿頻度
InstagramはTwitterよりも質の高いコンテンツが好まれます。そのため、頻度が低くても質の高いコンテンツを出すことが優先されます。投稿頻度が高すぎると、フォロワーが疲れ果てたり、ストレスを感じる可能性があります。また、投稿頻度が低すぎると、フォロワーが離れてしまう可能性があります。
- 最適な投稿頻度:1日に1〜2回
Instagramでの投稿頻度を語るときよく引き合いに出されるのはInstagramの責任者であるAdam Mosseri(アダム・モセリ)の話です。
彼は2021年にInstagramが開催したCreator Weekで、Instagram上での最適な投稿頻度についてヒントを話しています。彼によれば、週に2回の通常投稿そして1日に2回のストーリーが推奨されるとのことです。
Sprout Socialは1日1〜2回。Hubspotは週に3〜7回で、1日につき1回まで。Adobeはどうでしょうか?Adobeは1日に1〜2回のリール投稿、1日に1つの画像またはカルーセル投稿としています。カルーセル投稿というのは、複数の画像を横にスワイプできる投稿のタイプです。
またHootsuiteのマーケティングチームによれば、定期的な投稿スケジュールを決めて一定のリズムで投稿することがアルゴリズム上重要とのことです。HootsuiteのBrayden Cohenは、投稿頻度にリズムを作り毎週コンスタントに投稿すれば、1週間に1回未満のペースで気まぐれに投稿する場合に比べて、フォロワーを2倍獲得できるとしています。Hootsuiteも調査の結果、Hubspotと同じく週に3〜7回の投稿を推奨しています。
Pinterestのベストな投稿頻度
Pinterestは、2019年までは比較的ゆっくりとしたSNSでした。投稿頻度はそれほど多くの投稿回数を必要としなくても人気のある投稿が優先されるようになっていました。
しかし2019年にPinterestはアルゴリズムに変更を加えました。以前はTwitterのリツイートのようなリピン(Repin)を優先していました。変更後は新しい投稿を優先するような仕様になりました。これにより以前よりも頻度高くアクティブに投稿することがアルゴリズムに評価されることになりました。最適な投稿頻度は次のようになります。
- 最適な投稿頻度:1日5〜15回
Louise Cottrell(ルイーズ・コットレル)は1日の投稿回数を10〜25回としています。彼女は英語圏におけるPinterestマーケティングの専門家で、pincoach.comというサイトを運営しています。ただこの10〜25回という数字は、直感的にかなり多いと感じるはずです。例えば、発信を始めたばかりの初心者や、ブログを始めて間もないときにはPinterestに投稿できるネタの数が限られてくるはずです。
1日に10回も15回も投稿できない場合にどうしたら良いか?ルイーズはそのための代替案を2つ挙げています。
- 代替案#1:無理に量を出すより一定のリズムで投稿することを意識する
- 代替案#2:1つの投稿を複数のボードに載せる
1つ目の代替案は、量の代わりに一貫性を保つことです。これは先ほどInstagramのところで専門家が指摘していたことと同じです。Pinterestのアルゴリズムも一貫して定期的に投稿しているアカウントを評価します。そのため、1日に十分な投稿数が出せない場合でも、毎日3回投稿するなどコンスタントに投稿できるようにすることが重要です。
2つ目の代替案は、投稿の再利用です。1つの投稿を複数のボードに載せます。Pinterestではボードと呼ばれる複数投稿をまとめて保存する場所があります。それぞれのボードは1つのテーマに沿って、いろいろな投稿を寄せ集めたキュレーションのようになっています。自分の投稿だけでなく他人の投稿も混ぜることができます。
自分の投稿を複数のボードにまたがって掲載するので、見込客の興味に応じて発見されやすくなります。例えば男性のファッションアイデアに関する投稿をしたとします。この投稿を「デート用コーディネート」というボードと、「メンズ秋服」というボードに載せるようなイメージです。デート用のコーディネートに興味がある人と、男性用の秋服に興味がある人にリーチすることができます。
他社のリサーチ結果を見てみましょう。Adobeが1日4〜10回。Constant Contactは1日1〜5回。CoScheduleは1日11回としています。Pinterestに関しては、各社でリサーチ結果にバラつきが見られます。投稿頻度に正解は無いとしている情報源もありました。まずはコンスタントに投稿することを心がけながら、必要に応じてPinterestのアナリティクス機能を使いながら最適な投稿頻度を探ってください。
LinkedInのベストな投稿頻度
LinkedInは仕事を通してつながるプロフェッショナルなSNSです。そのためあまり頻度高く投稿をするような文化ではありません。LinkedInに関しては、各社のリサーチ結果はおどろくほど一致しています。
- 最適な投稿頻度:平日に1日1回
LinkedInはスパムのような投稿を厳しく取り締まるようなアルゴリズムを採用しています。またビジネスパーソンが多いため、平日にアクティブユーザーが多いという特性があります。そのため平日に1日1回投稿するのが最適な投稿頻度だと言えます。
ここでLinkedInの投稿について1つ注意点をシェアしておきます。InstagramやTwitterでは、いいねのリアクションをもらうことがアルゴリズムからの評価につながります。ですが、LinkedInの場合はそれが真逆の方向に働きます。いいねだけをもらうことを目的とした投稿にLinkedInがペナルティを課すからです。LinkedInは品質の低いコンテンツを削減することを進めています。
これはLinkedInの公式ブログ記事でハッキリと語られています。InstagramやTwitterのように単なる注目を集めるだけのコンテンツは、ユーザーにとって価値が低いと考えられています。そのためいいねだけを集める投稿や宣伝目的の投稿はアルゴリズムから嫌われます。そのため、コメントで会話が生まれるような投稿がアルゴリズムに評価される傾向にあります。これは2022年5月に行われたアルゴリズムのアップデートによるものです。
参考:LinkedIn公式ブログ記事 https://blog.linkedin.com/2022/may/5/keeping-your-feed-relevant-and-productive
具体的には投稿に質問文などを含めて、コメントで会話が生まれるようにすることが重要です。それによってその投稿は、アルゴリズムから価値が高いと評価されることにつながります。
各マーケティング企業のリサーチは次のようになっています。Adobeの調査結果は1日1回。Hubspotは週に2〜5回。CoScheduleは1日1回。Sprout Socialは1日1回です。Hootsuiteは1日1〜5回としています。
まとめ:投稿頻度だけでなくアルゴリズムも意識する
ここまで各SNSにおける最適な投稿頻度を初回してきました。最後に要点を5つにまとめました。
- Facebookのベストな投稿頻度は1日1回である。
- Twitterのベストな投稿頻度は1日3回である。ただし、リサーチ結果にバラつきがあるため運用しながら自社に最適な頻度を探す必要がある。
- Instagramのベストな投稿頻度は1日に1〜2回である。一定のリズムによる投稿も重要である。
- Pinterestのベストな投稿頻度は1日5〜15回である。量が出せない場合でも、一定のリズムでの投稿を行い、1つの投稿を複数のボードに掲載する。
- LinkedInのベストな投稿頻度は平日に1日1回である。いいねだけを集める投稿を避け、コメントで会話が生まれるよう質問文などを投稿に盛り込む。
今回はここまでです。また次回、お会いしましょう。