このレクチャーでは、あらゆる規模のマーケティングプロジェクトにおいて、チームコラボレーションに取り組む方法を学びます。10倍のアイデアを実行するためにチームが協力しやすくなるようなワークフローを作成する方法を説明します。
一人でやっていた仕事をチームで行うようになると、 途端に一つ一つのタスクが難しくなったように感じた事はありませんか? それはチームメンバーの間でそれぞれ認識のズレがあるからです。今回はそんな認識のずれを減らしてチームでの作業を進めるためのコツをお伝えします。
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繰り返すタスクのためにタスクテンプレートを作成する
チームで作業する上で、まず初めにやるべきことはタスクテンプレートの作成です。タスクテンプレートとは「この種類のテンプレートであれば、こういった作業プロセスで進めていく」という作業の流れを誰にでも分かりやすい形で定型化したものです。
チームでの作業が難しいのはそれぞれの仕事の進め方にバラツキがあったり、 認識のズレがあるからです。 このようなバラツキやズレを無くして平らにすることを平準化と呼びます。チーム作業ではいかにタスクを平準化できるか?ということがポイントになってきます。
平準化を進めるためのアイテムとして、テンプレートを作っていきます。ただしテンプレート作りにもコツが存在します。ただ闇雲にテンプレートを作れば良いわけではありません。そのコツを今から説明します。
タスクテンプレート作りにおいて重要な4つの要素
まず、タスクテンプレートを構成する要素は以下の4つです。これらの4つの要素をいかに上手に設定するか?というのがタスクテンプレート作りの大事な点になります。
要素#1:タスクの名前
各タスクに適切な名前を付けましょう。これはごく当たり前のことでしょう。でもこの「適切な」というのがポイントです。「タスク名くらい、ちゃんと付けてるよ」と思うかもしれません。でも意外と手を抜いている盲点だったりします。
実は、もう一歩踏み込んだ名前を付けると良い場合があります。タスクに「リサーチ」と名付ける代わりに、「競合の投稿記事のランキングトップ10をリサーチ」と名付けるのです。
大体のケースにおいて僕たちは未来の自分を過大評価しています。今の自分が覚えていることを、一か月の自分が覚えていると思い込んでいます。でも僕たちは忘れるんです。それもすごく簡単に。ほとんどの人が複数の仕事を同時に抱えているから無理もありません。
タスク名を「リサーチ」と書いただけでは、何をリサーチするのか?思い出せなくなります。あなたのTodoリストが意味の分からなくなったタスク名で一杯になる前に、誰が見ても客観的に理解できるタスク名を付ける習慣を身に付けてください。
要素#2:完了の明確な定義
次にタスクの完了の基準を定義しましょう。完了したときにどのような状態になっているべきか?各タスクの結果を明確にしましょう。
さきほどの例の「競合記事のランキングトップ10を調査する」というタスクであれば、完了の定義は次のようになります。「各記事を読み、各記事の理解のしやすさ、実用性、価値を判断できるようになる」というのが完了の定義です。これをタスク担当者に伝えてください。
要素#3:目安時間の設定
これは「各タスクにどれくらいの時間をかけるべきか?」ということです。1人1人、タスクに対する時間の掛け方が異なります。10分で終わるはずのタスクに1時間もかけてしまうことがないように、タイムラインを管理するためです。しかし、うまくやれば、現実をよりよく予測することができます。
科学雑誌に掲載されている研究によると、多くの人が「計画の誤謬」と呼ばれる現象の餌食になっていることが指摘されています。これは、人が仕事にかかる時間をすごく過小評価する傾向があるということです。適切な労力を定義することで、プロジェクトを脱線させたり、範囲を拡大させたりする両極端な事態を避けることができます。
要素#4:期限
これはもちろん、プロジェクトマネジメントの基本です。プロジェクト全体の期限から逆算して、各タスクには締め切りが設定されているはずです。期限については、以下でもう少し詳しく説明しますが、何日前までにはこれが終わっていないとダメ。というマイルストーンのような考え方が重要になります。
終わりを思い描くことから始める
スティーブン・コヴィーによる有名なアドバイスに従ってみましょう。”Begin with the end in mind” (終わりを思い描くことから始める)というものです。
ビジネス書が大好きなら「7つの習慣」の本にあった内容だなと、ニヤリとしてくれるかもしれません。タスクを期限内に終わらせるためには、 実際の期限の日付から逆算する必要があります。そしてテンプレート自体もこの期限から逆算したものを作ります。ちょっと難しいので、実例をお見せします。
例えば、ブログ記事をリリースするとします。そのために必要な作業を書き出していくと次のような順序で並んでいきます。
- 記事の草案を作成する
- 記事を仕上げる
- ブログ画像を挿入する
- SNS投稿の案を作る
- SNS投稿の内容を仕上げる
- SEO最適化をかける
- レビューして記事を予約する
これに目安時間や期限を付けていくと以下のようになります。タスクの納期は、公開日を基準にして逆算します。
- 記事の草案を作成する(所要1時間、公開日の11日前)
- 記事を仕上げる(4時間、9日前)
- ブログ画像を挿入する(30分、7日前)
- SNS投稿の案を作る(10分、5日前)
- SNS投稿の内容を仕上げる(30分、4日前)
- SEO最適化をかける(30分、4日前)
- レビューして記事を予約する(1時間、1日前)
毎回このように同じ順序で、同じ期限になります。これをテンプレートとして用意するのです。例えば、「SNS投稿の案を作る工程では10分かけて、このくらいの質のものを作ってください。少なくとも4日前には終わらせてください。」というようにしてチームで共有するのです。
ここでこのようなテンプレートを登録して簡単に使い回すことが出来るツールを紹介します。それがコンテンツカレンダーのツールで有名なCoSchedule(コースケジュール)です。CoScheduleでは、カレンダー上に「どのコンテンツがいつ公開されて、そのためのタスクはどこまで進んでいるか?」という情報を表示することが出来ます。
CoScheduleのTask Template(タスク・テンプレート)という機能を使えば、先程のようなブログ記事のタスクテンプレートを簡単に挿入することが可能です。例えば、5月31日を記事のリリース日としてプロジェクト登録したとします。
そのプロジェクトの中に入ってブログ記事用のTask Templateをセレクトすると、作業すべきタスクのセットをズラッと並べてくれます。また各タスクの期限は、5月31日のリリース日から逆算して自動的に設定されます。例えば、ブログ画像を挿入するタスクはリリース日の7日前なので、5月24日という具合に一発ですべてのタスクに期限が入ります。
このテンプレートの仕組みはすごく便利じゃないですか?それぞれのプロジェクトに対して手作業でタスクを書いていき、それぞれのタスクに1つずつ期限を割り当てるという非効率的なやり方はもう不要です。
このようなタスクテンプレートを用意することで、プロジェクトマネージャーがわざわざ割り当て作業しなくても、コンテンツ担当者自身が自分でタスクをハンドルできるようになります。もちろん、CoScheduleのようなツールがなくても、スプレッドシートや他のタスク管理ソフトを使っても良いでしょう。
まとめ:タスクテンプレートで作業を平準化しチームパフォーマンスを最大化する
今回は、チームで作業する上で欠かせないタスクテンプレートの作り方をお伝えしました。1つのタスクを設定する上で重要な要素は4つです。適切なタスク名、完了の明確な定義、目安時間の設定、期限です。
タスクテンプレートを初めて作る場合、ちょっと面倒な作業に思えるかもしれません。ですが、一度作ってしまった後は効率面で大きな利益をもたらしてくれます。作るのは一度だけ、その後は何度も繰り返し使われていきます。より多くの仕事が時間内に完了し、細部の見落としを減らすことができます。
これで、素晴らしい10倍のアイデアを素早く実行に移すことができるようになりました。さあ、次の10倍プロジェクトの計画を立て、これまで以上に速い成果を手に入れましょう!今回は以上です。また次のレクチャーでお会いしましょう。