このレッスンでは、チームで共有できる10分間のブレーンストーミングのやり方を学びます。優先順位の高いアイデアを見極める方法をお伝えします。これを見れば、インパクトの少ない雑務と本当に重要なアイデアとの振り分けに迷うこともなくなります。
ビジネスの現場ではよくアイデアの重要度や優先順位が問題になります。日々押し寄せてくるタスクの中で、どのアイデアの実行が本当に大事なのか?それを見極めるための質問を紹介します。時間を無駄にするだけのゴミアイデアから離れて、本当に成果の出る仕事だけに集中してください。
今回お届けするノウハウはこちら
10倍アイデアと10%の改善の違いを理解する
重要なアイデアを選別する前に、まずはアイデアの種類について整理してみたいと思います。これは僕が10年ほどオンラインでビジネスをしてきて、感じてきたことです。それは、アイデアには2種類が存在するということです。
それは10倍アイデアと、10%の改善というものです。10倍アイデアとは、ビジネスにおけるある目標値を10倍にまで押し上げてくれる優れたアイデアのことです。このアイデアはビジネスの成果を上げながら、できるだけ多くの人々の役に立ってくれるものです。
10%の改善というのは少数の人々をささやかに助けるだけに留まり、ビジネス上の成果が上がらない、またはインパクトの非常に小さなアイデアのことです。このようなアイデアは、よく僕らの目の前に転がっています。既存の仕事の中に入り込んでいる部分も多いので、注意が必要です。
とはいえ、これを説明しただけでは実際にどんなものが10倍アイデアで、どんなものが10%の改善なのか?イメージしにくいと思います。そこで、実際にどんなものがそれらに該当するのか?僕らのビジネスの場合を例にとってお見せしていきます。
10倍アイデアの実例をお見せします
まず10倍アイデアをお見せする前に、10%の改善の方を見ていきましょう。これらは10倍アイデアと比べて、コストパフォーマンスが非常に悪いアイデアです。10%の改善の例は次のようなものです。
10%の改善の実例
- すでに公開したコンテンツの細かいスペルミスやタイプミスを修正する
- そもそもあまり見ることのない数値の集計シートをZapierで実装する
- 優秀なライターに依頼せず自分自身でブログ記事を書く
- ABテストをせずに広告クリエイティブを量産する
僕らのカスタマーサポートにはたまにこんなメールが届きます。「サブスクに関するこの記事に誤字脱字があるんだけど、直してもらえませんか?」というものです。確かに誤字脱字は、読むスピードを遅らせる原因になります。
ですが、誤字脱字を直すのは時間が掛かる割にはあまり効率がよくありません。誤字脱字を探すためにはもう一度文章を読み直す必要がありますし、1つ見つけたところで「他にもあるかもしれない」とすべての誤字脱字を直したくなるはずです。
結局1つの記事に15分から30分ほどをかけて5つほどの誤字脱字を直したとしても、それがそのまま10倍の結果につながるか?と聞かれれば、あなただって答えはNOだと理解できるはずです。逆に10倍アイデアの実例は次のようになります。
10倍アイデアの実例
- 自分がやる必要のない作業をクラウドワーカーに依頼する
- 新しいファネルを作ってローンチする
- 既存のオンラインコースをKindleで出版する
- オファーを送り続けるメールシーケンスを作る
- ClickFunnelsのワンタイムオファーでアップセルを設置する
僕たちの場合は、自分がやるべきでない仕事を積極的に他の人に振って時間を確保します。その確保した時間で、オファーやセールスといったビジネス上のインパクトの大きな要素に集中しようと考えています。
リソースが潤沢なチームほど罠にハマりやすい
実はメンバーがたくさんいて、リソースが潤沢なチームほどこのインパクトの少ない「10%の改善」ばかりをやってしまう傾向にあります。逆に僕たちはコアとなるチームを大きくせず、常に最低限のリソースに絞ってビジネスをしています。
そのためインパクトの低いアイデアを採用してしまうと、チーム内のリソースをあっという間に使い切ってしまいます。なのでアイデアの選別に関しては、すごく気を使っています。
書籍「週4時間だけ働く」の著者であるティム・フェリスも同じ発想のことを本の中で語っています。「Never automate something that can be eliminated.(捨てられることを自動化するな)」です。僕とビジネスパートナーの小川さんは、ティム・フェリスの熱心なファンなので彼の本から大きな影響を受けています。
ティムが言うのは、意味のないことを自動化するなということです。ティム・フェリスは人やテクノロジーを上手に活用して、自分の実働時間を少なくして週4時間だけ働こうと提唱しています。そう、自動化する前に「それが本当に必要なタスクなのか?」ということを十分に検討しなければいけません。
僕たちは思い込みに頼らず、データを使って、測定可能な成長をもたらすことが証明されているプロジェクトを選びます。小さなチームから最大のアウトプットが得られるよう、賢く時間を使っています。
僕たちもクラウドワーカーに仕事を外注し、Zapierを使って沢山のタスクを自動化しています。ですが仕事の発注や自動化の前に、一度立ち止まって考える癖をつけています。そんな時に後半で紹介する質問を自分たち自身に投げかけています。
チームの集中力を高めるたった1つの質問
アイデアを出し、どのアイデアを実行に移すかを決めるとき、次の質問を何度もしてください。そしてその質問をクリアしたアイデアだけを実行に移すようにしてください。そうしないと、あなたのチームはいつまでも無意味な長時間労働で苦しみ続けることになります。
質問:「次の【XXの期間】で【指標】を10倍に成長させるためには、どうすればいいのか?」
例えば「今日は学校で何をしたの?」と親が子供に聞いても、「別に何もないよ」という答えしか返ってこないことが多いんです。でも「今日、学校で一番良かったことと悪かったことは何?」と聞けば、結構な確率で答えを引き出すことができます。
このように質問の角度を変えるだけで、以前は得られなかった適切な答えを得られるようになります。ブレインストーミングにも同じような方法が使えます。
僕たちもブレインストーミングの過程で、同じように質問を組み立てる力を活かしているのです。この質問によってチーム全員の集中力が高まり、特定の問題を解決するためのアイデアが生まれるのです。あなたを含むメンバーが、インパクトの小さな雑事に夢中になってしまうのを防いでくれます。
また、この質問がどのように構成されているかに注目してください。この質問によって、あなたは単に響きが良いだけでなく、実行可能性の高い4つの要素に分類されたアイデアを手にすることができます。それらはアイデア、指標、ゴール、タイムラインの4つの要素で構成されています。
- アイデア: どうやって成長を実現するのか?
- 指標: 収益を伸ばすために具体的にどのような指標にフォーカスするのか?
- ゴール: この指標をどこまで伸ばすのか?
- タイムライン: 具体的にどのくらいの期間で達成するのか?
例えば僕たちのように「Kindle書籍を出版することで、オプトインする見込み客を4週間以内に10倍にする」という目標を掲げていたとします。僕らの場合は、このアイデアは次の4つの要素に分解されます。
- アイデア: Kindle書籍を作る
- 指標: オプトイン数
- ゴール: 10倍にする
- タイムライン: 4週間
では、実際にあなたの現場で実践してみましょう。ブレインストーミングの前に、あなた自身とあなたのチームがこの指針となる質問に答えることに挑戦してみてください。もう一度質問を紹介しておきましょう。
「次の【XXの期間】で【指標】を10倍に成長させるためには、どうすればいいのか?」
さてこの質問を使ってチームで効果的にブレインストーミングをしてみましょう。具体的なやり方は以下の2つのステップを使ってください。
- まずチームメンバーに対して先程の質問をし、それに対する答えを10~20分ほど聞いてください。あなたは、あらかじめ彼らのために空白である指標とタイムラインの部分を埋めておきます。この時間内にできる限りたくさんのアイデアを出してもらいます。
- チームの各メンバーに、これらのアイデアをミーティングに持ち込んでもらう。全員がユニークなアイデアのリストを持っているはずです。出てきたアイデアの精査して、実際に実行するものを選んでください。
10%の改善アイデアでは、現在の延長にあるものばかりが並んでしまいます。もう少しいうと2倍、3倍くらいでも現状の延長として手が届きそうに感じるはずです。
ですが、逆に10倍アイデアを考え始めた途端、今までと全く別の方法を考える必要が出てきます。10倍というのが圧倒的な数字なので、今までの延長線上にある方法だけでは達成が難しいからです。
チーム全体が10倍アイデアを考えるという方向性に変わったとき、全く新しいアイデアが出てくるはずです。出てきたアイデアを評価する方法については、別のレクチャーで解説します。
まとめ:10倍成長のアイデアだけに集中する
今回は、マーケティングのためのアイデアをブレインストーミングする方法を学びました。10%の改善を目指すようなインパクトの小さなアイデアに固執せず、10倍も成長できるようなアイデアはないか?これを常に問いかけるようにしてください。
リソースが潤沢にあるほど、インパクトの小さなアイデアに惑わされてしまうことが多いことも忘れないでください。チームメンバーそれぞれに10倍アイデアを考えてもらい、それらを持ち寄って磨きをかけてください。今回は以上です。では次回のレクチャーでお会いしましょう。