あなたはコピーライティングを学んでいる個人事業主で、PASONAの法則は聞いたことがあるものの、実際にどう活用したら良いのか迷っていませんか?ここでは、顧客の問題解決に焦点を当てた強力なフレームワーク「PAS」と、その派生形について解説します。コピーライティングを活用してビジネスを成長させたい方のために、それぞれのフレームワークの特徴や使い方を分かりやすく説明していきます。
効果的なコピーライティングには、適切なフレームワークの選択と活用が欠かせません。特に、顧客の問題解決に焦点を当てたPASとその派生形は、多様な状況や顧客心理に対応できる強力なツールとして知られています。僕自身、これらのフレームワークを使って数々のコピーを書いてきました。色々な型を知っておくことで、セールスレターやメルマガを書くときに手が止まらなくなります。ここからは、それぞれのフレームワークの特徴と、実際の活用方法について詳しく見ていきましょう。
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PASとは?:顧客の問題解決に特化したフレームワーク
PAS(パス)は、とても有名かつ覚えやすいコピーライティングのフレームワークです。顧客が抱える問題を明確化し、その問題を放置するリスクを強調した上で、自社の商品やサービスが解決策であることを提示するという流れになっています。シンプルな構造でありながら、高い効果を発揮できる、コピーライティングの基本とも言えます。具体的には次の3つの要素で構成されています。
- Problem(問題):顧客が抱える問題の提示
- Agitate(扇動):問題の深刻さを強調
- Solution(解決策):商品・サービスによる解決方法の提案
このProblem、Agitate、Solutionの順番に話を展開していきます。それぞれの頭文字を取ってPASという名前になっています。
まず最初のステップであるProblem(問題)では、顧客が抱えている問題や課題、悩みを明確に提示します。ここで重要なのは、顧客が普段から感じている不満や「痛み」を具体的に描写することです。例えば「時間がない」という漠然とした問題ではなく、「毎日残業に追われて、家族との時間が取れない」というように、顧客の現状を正確に捉え、共感を呼ぶような言葉で表現することが大切です。
次のAgitate(扇動)では、問題を放置することで生じるリスクや、問題がもたらす苦痛、損失などを強調し、顧客の感情を揺さぶります。この段階では、顧客の不安や恐怖、焦りなどの感情に訴えかけ、問題の深刻さを認識させることが重要です。ただし、あまりにも強く煽りすぎると逆効果になる可能性があるので、適度な強さで問題の重要性を伝えることがポイントです。
最後のSolution(解決策)では、自社の商品やサービスが、その問題をどのように解決できるのかを具体的に示します。ここで重要なのは、単に商品やサービスの特徴を列挙するのではなく、顧客が得られるメリットや理想の未来像を提示することです。「この商品を使えば、作業時間が半分になり、家族との大切な時間を取り戻すことができます」というように、顧客にとっての具体的な価値を、明確かつ説得力のある言葉で伝えることが大切です。
では、実際の例を見てみましょう。僕は2019年に家族でヨーロッパに移住しました。その経験を活かして、「ヨーロッパへの移住を手助けするエージェントのサービス」をテーマに、PASフレームワークを使った例文を作ってみました。
「ヨーロッパ移住に憧れるけど、ビザの手続きや住居探し、現地の生活情報など、分からないことが多くて不安…」という問題提起から始めましょう。次に「このままでは、せっかくの夢も諦めてしまうかもしれません」と問題を煽ります。そして最後に「専門のコンサルタントが、ビザの手続きから住居探し、現地生活のサポートまで、あなたのヨーロッパ移住を全面的にバックアップします」という解決策を提示する流れです。
PASの派生形:それぞれの特徴と活用方法
PASは非常に効果的なフレームワークです。ですがより時代の変化や、より成約率を高くするために、様々な派生形が生まれてきました。ここからは、それぞれの派生形について、特徴や使い方を詳しく見ていきましょう。具体例として、先ほどと同じ「ヨーロッパ移住のエージェントサービス」をテーマに説明していきます。それぞれのフレームワークで、どのように変わっていくのかを見ていきましょう。
派生形1:PASTOR(パスター)
PASTORは、PASの基本構造にいくつかの要素を加えたフレームワークです。実際の顧客の声や具体的な提案を組み込むことで、より説得力のあるメッセージを実現しています。特に高額商品やサービスを扱う場合に効果を発揮し、顧客の信頼を段階的に構築していく特徴があります。具体的には次の6つの要素で構成されています。
- Problem(問題):顧客の問題を提示
- Amplify(拡大):問題の深刻さを強調
- Solution(解決策):解決方法の提案
- Testimony(証言):顧客の声や成功事例
- Offer(提案):具体的な商品の提示
- Response(反応):行動の促進
このフレームワークは、PASに「Testimony(証言)」「Offer(提案)」「Response(反応)」を追加することで、より説得力のあるメッセージを伝えることができます。特に、高額商品やサービスを扱う場合に効果的です。実際の顧客の声を活用することで信頼性を高め、具体的な提案と行動指示を明確に示すことで、購入への心理的ハードルを下げることができます。
PASTORの各要素を詳しく見ていきましょう。まず、Problem(問題)では顧客の抱える課題を明確に示し、Amplify(拡大)でその問題の深刻さを強調します。PASの時には「A」はAgitate(扇動)でしたが、PASTORではAmplify(拡大)になっています。これはAgitateとほぼ同じ意味です。
Solution(解決策)では解決方法を提案します。このSolutionではまだ商品は紹介せず、どんな解決方法があるのかを提示します。Testimony(証言)で実際の顧客の声や成功事例を紹介することで信頼性を高めます。Offer(提案)では具体的な商品内容や価格を提示します。最後のResponse(反応)で購入など、顧客に求める具体的な行動を明確に指示します。このように、段階的に顧客の信頼を獲得しながら、購入への心理的ハードルを下げていくのがPASTORの特徴です。
例えば、移住エージェントサービスの場合、Testimony(証言)では「子供の学校選びから、家族全員分のビザ申請まで、細かい部分までサポートしていただき、本当に助かりました。今では子供たちも現地の学校に馴染み、家族全員で充実した生活を送っています」といった実際の利用者の声を加えることで、サービスの信頼性を高めます。
続くOffer(提案)では「私たちの『ヨーロッパ移住トータルサポートプラン』なら、ビザ申請完全サポート、現地不動産エージェントの手配、学校選びのアドバイスをワンストップで提供。今なら初回カウンセリング(通常30,000円)を無料で実施中」といった具体的な提案を行います。
最後のResponse(反応)では「まずは、無料カウンセリングであなたの夢をお聞かせください。下のボタンから予約が可能です。『無料カウンセリングを予約する』」という明確な行動指示を加えることで、より効果的なコピーに仕上がります。
派生形2:PASONA(パソナ)
PASONAは、顧客自身が気づいていない問題点を明確に指摘し、危機感や問題意識を高めることに特化したフレームワークです。ターゲットを絞り込むことで、より効果的なメッセージを届けることができる点が特徴的です。このフレームワークは次の5つの要素で構成されています。
- Problem(問題提起):課題の提示
- Agitation(扇動):潜在的な問題を煽る
- Solution(解決策):解決方法の提案
- Narrow down(絞り込み):ターゲットの特定
- Action(行動):行動の促進
PASONAの大きな特徴は、PASの3ステップ構造に「Narrow down(絞り込み)」と「Action(行動)」を追加した点にあります。これにより、単なる問題提起と解決策の提示に留まらず、具体的な成果につなげやすい構造になっています。Narrow downでターゲットを明確に絞り込むことで、よりメッセージの訴求力を高め、Actionで具体的な行動を促すことで、確実な反応を引き出すことができます。
例えば、ヨーロッパ移住エージェントサービスの場合、「実は、多くの方が移住前に十分な情報収集をせず、現地でトラブルに巻き込まれています」と問題点を指摘し、「このままでは、せっかくの移住計画が挫折してしまう可能性もあります」と危機感を煽ります。そして解決策を提示した後、「本気でヨーロッパ移住を考えている方限定」とターゲットを絞り込み、「まずは無料カウンセリングにお申し込みください」と具体的なアクションを促します。このように、見込み客を段階的に具体的な行動へと導いていくのがPASONAの特徴です。
派生形3:新PASONA
新PASONAは、1999年に発表されたPASONAを現代のマーケティング環境に合わせて進化させたフレームワークです。最大の特徴は、従来の「煽り」から「共感」重視のアプローチへと転換した点にあります。顧客との信頼関係構築を重視する現代のマーケティングにおいて、より自然な形で購買行動を促進できます。このフレームワークは次の6つの要素で構成されています。
- Problem(問題):顧客の問題の提示
- Affinity(親近感):顧客の問題に共感する
- Solution(解決策):解決方法としての商品の紹介
- Offer(提案):ボーナスなど購入を促す要素
- Narrow down(絞り込み):ターゲットの特定
- Action(行動):具体的な行動の促進
オリジナルのPASONAからの変更点は、Agitation(扇動)の代わりにAffinity(親近感)を用いる点です。問題の煽りをしすぎると、段々と顧客との距離が離れてしまいます。そのため、共感を示すことで、顧客との距離を縮めることができます。共感を示すことで見込み客の心を掴むというアプローチの方が時代にもマッチします。
またオリジナルのPASONAでは、Solutionになっていた「SとO」がSolution(解決策)とOffer(提案)に分かれました。これにより商品を紹介した後に、それを一押しするような要素をOfferとして入れることができます。
新PASONAの大きな特徴は、Affinity(親近感)とOffer(提案)の活用にあります。例えば、従来のPASONAでは「準備不足で失敗している人が多い」と問題を煽っていました。ですが、新PASONAでは「実は私も5年前、ヨーロッパ移住を決意した時は本当に不安でした。言葉の壁、現地での手続き、子供の教育…。きっと今のあなたも、同じような不安を抱えていらっしゃるのではないでしょうか」と、より共感的なアプローチを取ります。
そして、エージェントサービスを解決策として提示した後、「今なら移住準備ガイドブック(通常5,000円)を無料プレゼント。さらに、最初の3ヶ月は24時間日本語サポート付き」というOfferを追加することで、購入を後押しします。このように、見込み客の気持ちに寄り添いながら、具体的な特典で背中を押すという、よりソフトな購買促進が可能になっています。
派生形4:PASBECONA(パスビーコーナ)
PASBECONAは、新PASONAをベースに、商品やサービスの価値をより詳細に説明するための要素を追加したフレームワークです。このフレームワークは次の9つの要素で構成されています。
- Problem(問題):課題の提示
- Affinity(親近感):共感の表現
- Solution(解決策):解決方法の提案
- Benefit(ベネフィット):ベネフィットの提示
- Evidence(証拠):裏付けとなる実績や証拠
- Contents(詳細):商品・サービスの具体的な内容
- Offer(提案):ボーナスなど購入を促す要素
- Narrow down(絞り込み):ターゲットの特定
- Action(行動):具体的な行動の促進
これは新PASONAに「Benefit(ベネフィット)」「Evidence(証拠)」「Contents(詳細)」の要素を加えたものです。こうすることで、より詳細かつ説得力のあるメッセージを伝えることができます。特に商品やサービスの具体的なベネフィットを示し、それを裏付ける証拠を提示することで、顧客の購買意欲を高めることができます。
具体的には、「ヨーロッパ移住を実現することで、新しい文化や価値観に触れ、人生の視野を広げることができます」といった具体的な利益を示し、「これまで1000名以上の方のヨーロッパ移住をサポートしてきました」という証拠を提示します。さらに、サービスの詳細な内容を説明することで、顧客の理解と納得を深めることができます。
まとめ:コピーライティングフレームワークの進化と特徴
ここまで、コピーライティングにおけるフレームワークであるPASとその派生形を紹介してきました。最後に要点を5つにまとめました。
- PASは問題提起と解決策の提示に重点を置いた基本的なフレームワークである。
- PASTORはPASに「Testimony(証言)」「Offer(提案)」「Response(反応)」を追加し、顧客の信頼を獲得しやすい構造にした。
- PASONAはPASに「Narrow down(絞り込み)」と「Action(行動)」を追加し、より具体的な成果につなげやすい構造にした。
- 新PASONAは「Agitation(扇動)」を「Affinity(親近感)」に変更し、共感重視のアプローチへと進化させた。
- PASBECONAは新PASONAに「Benefit」「Evidence」「Contents」を追加し、より詳細で説得力のある説明を可能にした。