あなたはブログやSNS、セールスページなどで文章を書く機会が多いビジネスオーナーで、自分の文章力に自信が持てずに悩んでいませんか?「PASONAの法則のようなフレームワークは知っているけれど、もっと手軽に使えるテクニックが欲しい」「自分の文章がどこかパッとしなくて、もうちょっとアクセントを効かせたい」そんなことを考えているかもしれません。ここでは、そんなあなたの悩みを解決する2つの強力なコピーライティング・テクニックを紹介します。
コピーライティングの世界には数多くのテクニックがありますが、その中でも特に効果的なのが「テンション」と「トライアド」です。これらの要素は、手軽にコピーライティングを改善する上でとても有効なテクニックです。実は注意して見ていると多くの優れたコピーの中に見られるものです。これらを使いこなすことで、あなたの文章は劇的に改善され、読者の心を掴み、行動を促すことができるようになります。ここではその具体的な方法をわかりやすく解説していきます。
今回お届けするノウハウはこちら
読者の「知りたい!」を引き出す「テンション」の活用法
テンションは、人間の本能的な好奇心を刺激する強力なテクニックです。これはあえて先の情報を焦らすものです。情報のギャップを利用して、読者の興味を引き出すものです。よくテレビのニュース番組で「この続きはCMの後で!」というフレーズがありますよね。思わず「え?どうなるの?」と気になってしまいます。これがテンションの効果です。人は自分の持っている情報と、持っていない情報の間にギャップがあると、それを埋めようとする本能的な欲求を持っています。
コピーライティングではこのテンションを意図的に作り出すことで、読者の「知りたい!」という欲求を刺激します。例えば「なぜ、この商品はここまで売れているのか?」「不動産業界に隠された、衝撃の真実とは?」といった表現を使うことで、読者は思わず続きを読みたくなります。あえて結論をすぐに提示せず、少しずつ情報を出していくことで、読者の関心を最後まで持続させることができるのです。
Appleの新製品発表イベントも、このテンションを巧みに活用している好例です。新製品の詳細は発表イベントの当日まで明らかにされません。そのため、消費者は次々と期待や予測を膨らませ、発表を心待ちにします。この手法は消費者の期待感を高め、製品への関心を最大限に引き出すことに成功しています。
テンションを活用する具体的なテクニックはいくつかあります。まず「質問を投げかける」方法です。「なぜ、この商品はこんなにも売れているのか?」「○○が成功した、本当の理由とは?」など、読者が答えを知りたくなるような質問を投げかけます。次に「謎や秘密をほのめかす」方法があります。「誰も知らない、○○の秘密を公開!」といった表現で、読者の好奇心を刺激します。
物語を使うのも効果的です。「ある日、○○は…」「しかし、○○には、ある秘密があった…」など、ストーリーの中に情報のギャップを作り出すことで、読者を引き込むことができます。さらに、数字を使って具体性を持たせることで、情報の信憑性を高め、読者の興味を引くこともできます。「○○が○○になった、たった1つの方法とは?」といった具合です。
ただし、テンションの活用には注意点もあります。情報を隠しすぎたり、じらしすぎたりすると、読者に不快感を与えてしまう可能性があります。そのため、最終的には読者の期待を裏切らない、価値のある情報を提供することが重要です。限定性や緊急性を加える場合も、過度な煽りは避け、適度なバランスを保つように心がけましょう。
記憶に残る「トライアド」で心を掴む
トライアドは、情報を3つの要素で構成するテクニックです。トライアド(Triad)というのは、3人組や3つセットのものを指す英単語です。「3」という数字には不思議な力があります。よく「3種の神器」「3本の矢」「世界三大料理」など、3つで構成される表現をよく目にします。これは偶然ではありません。人間には「3」という数字に安定感やまとまりの良さを感じる傾向があるのです。
このトライアドは、世界的な企業のキャッチコピーでも活用されています。Nikeの「Just Do It」、McDonald’sの「I’m Lovin’ It」など、3つの単語で構成されるキャッチコピーは数多く存在します。これらのコピーが長年記憶に残り続けているのも、トライアドの効果によるものと言えるでしょう。
コピーライティングでトライアドを活用する方法はいくつかあります。まず、商品やサービスのメリットを3つにまとめる方法です。「これを使えば、時間、お金、労力を節約できます!」といった具合に、3つの要素で表現します。次に、キャッチコピーや見出しを3つの要素で構成する方法があります。「早い!うまい!安い!」や「簡単!早い!効果抜群!」のように、短い言葉を3つ並べることで、リズム感のある印象的な表現を作ることができます。
文章全体の構成を3つのパートに分けるのも効果的です。「○○が選ばれる、3つの理由」「○○で成功するための、3つのステップ」といった形で、内容を3つに整理することで、読者にとって理解しやすい文章になります。また、「迷ったら、これ!」「○○で変わる、あなたの人生!」「もう悩まない!○○で解決!」といった具合に、メッセージを3つのフレーズで展開することもできます。
トライアドの具体例をいくつか見ていきましょう。商品やサービスのメリットを伝える場合、「○○は、あなたの時間、お金、労力を節約します」「○○は、簡単、便利、そして効果的です」といった表現が可能です。見出しでは「○○の3つの効果」「○○を使うべき3つの理由」「○○で成功するための3ステップ」などの形で活用できます。
トライアドの応用例:WSJのTwo Young Men
トライアドの効果を応用している例として、「2人の若者(Two Young Men)」という伝説的なセールスレターを紹介したいと思います。これはコピーライティングの世界では有名な、ウォール・ストリート・ジャーナルの広告です。
(画像引用:https://swiped.co/file/wallstreet-letter-conroy/)
この話は、同じ大学を卒業した2人の若者が、25年後に全く異なる人生を歩んでいるというものです。一方は大企業の部長にまで出世し、もう一方は出世できなかった。その違いを生んだのが、ウォール・ストリート・ジャーナルを読んでいたかどうか、というストーリーです。この話では、同じ環境で育った2人の対比を通して、情報格差が人生に大きな影響を与えるというメッセージを伝えています。だからウォールストリートジャーナルを読んで情報格差で勝ちましょうというものです。
このセールスレターでは、トライアドが効果的に使われています。冒頭の文章を見てみましょう。「25年前の春、二人の若者が同じ大学を卒業しました。二人とも平均以上の学生でした」と1つ目の特徴が示されます。次に「二人とも人当たりが良い性格でした」と2つ目の特徴が語られます。そして「二人とも若い大学卒業生として、将来への野心的な夢に満ちていました」と3つ目の特徴で締めくくられます。このように冒頭からトライアドを効果的に使うことで、読者の興味を引きつけ、文章全体にリズム感を生み出しているのです。
さらに、「2人の運命を分けたのは何でしょうか?それは、生まれつきの知性や才能、あるいは勤勉さではありません」という一文でも、トライアドが効果的に使われています。ここでは「知性」「才能」「勤勉さ」という3つの要素を並べることで、文章に説得力を持たせ、読者の印象に残るメッセージを作り出しているのです。
このように、トライアドはとても広い範囲に応用が可能です。もし「自分の書いた文章にリズムがない」「ダラダラと締まりが無い」と感じているなら、トライアドを活用してみてください。あなたの文章は、これまでと見違えて魅力的になってくるはずです。
まとめ:「テンション」と「トライアド」で読者の心を掴む
ここまでコピーライティングの2つの重要なテクニック「テンション」と「トライアド」について紹介してきました。最後に要点を4つにまとめました。
- テンションとは情報のギャップを埋めようという人間の本能を利用して、読者の興味を引き出すテクニックである。
- テンションを活用する具体的な方法として、質問を投げかける、謎や秘密をほのめかす、物語を使う、数字を使うなどがある。
- トライアドとは情報を3つの要素で構成するテクニックである。人は「3」という数字に安定感やまとまりの良さを感じる傾向がある。
- トライアドの活用法として、商品やサービスのメリットを3つにまとめる、キャッチコピーや見出しを3つの要素で構成する、文章全体を3つのパートに分けるなどがある。