今回のレクチャーでは、電子書籍の構成についてお話しします。電子書籍で成功するためには、優れた本のフレームワークについても知っておくべきでしょう。それは、読者に対して、あなたの知識や経験をわかりやすく教えられ、行動を促すことができるような文章構成です。電子書籍をどんな構成で書いていくべきか?その答えをこのレクチャーで示していきます。
「よし!電子書籍を書こう」と思い立ったとしても、多くの人がどんな流れで何を書けば良いのだろう?と悩みます。今回のレクチャーでは、電子書籍の構成方法を解説していきます。ちなみに、今回教えるフレームワークは、本を書くこと以外にも幅広く応用できます。これを使えば1冊の電子書籍をラクに執筆できるのはもちろん、ブログやWebメディアで記事を書く際や、ウェビナーを開催する際など、さまざまな制作活動にも使うことが出来ます。それでは、詳しい内容について見ていきましょう。
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優れた構成よりも大切な2つのこと
さて、優れた電子書籍の文章構成とは、どのようなものなのでしょうか。それを説明する前に、今回はまず「完璧さ」と「やり遂げること」の大切さについてお話ししたいと思います。
「完璧さ」とは何でしょうか?初めに言っておきますが、「完璧さ」を追求することは無意味です。これは僕の個人的な意見ですが、僕たち人間は誰も完璧ではありません。当然完璧でない人間が作る成果物は、完璧ではありません。僕も今、オランダで3人の子供の父親をやっていますが、僕の子育ての方法が合っているなんて実感は一度も持てた試しはありません。しかしだからこそ、できる限り良いものを作るべきですし、それをやり遂げるべきだとも思うんです。
正直に言うと、ここで紹介する本のフレームワークについて、何週間も何ヶ月もかける必要はありません。僕たちはピューリッツァー賞を狙っているわけではないんです。僕たちがやるべきことは、自分で決めた目標期限までに本の執筆を完了することです。大切なのは「やり遂げること」です。
また、今までに習った「正しい文章の構成方法」「作文の書き方」などは、一旦忘れてください。僕は今後、レクチャーを進めていく中で、プロのライターや国語の先生の意見を聞く予定はありません。もし、あなたがプロのライターであったり、国語の先生であったりするなら、それは素晴らしいことです。しかし、そこで学んだルールは、自分の中に留めておいてください。僕たちが今やりたいことは、多くの人が買いたいと思うものを作って、お金を稼ぐことですから。
ノンフィクション本の構成を作る4つのヒント
それでは、いよいよ優れた電子書籍の構成についてお見せしましょう。ここでは、ノンフィクションやハウツー本のフレームワークについて紹介します。
構成のヒント#1:導入部分で読者を惹きつける
本の始まり、つまり導入部分では「なぜこのテーマを学ばなければならないのか」「筆者であるあなたは誰なのか」「なぜ筆者の話を聞かなければならないのか」ということを話してください。このような内容を書くのに、本の「まえがき」などを利用するのも良いでしょう。僕は「まえがき」の部分でこんなことを書いています。
「僕たちは『コピーライティング』や『トラフィック』あるいは『オンラインコース』などの断片的なスキルを習得するのに時間を費やすべきではないと思うのです。デジタルマーケティングはもっと体系的な技術だからです。何より実践する過程で身につくものです。」
また、「どのようにして、この本で教えようとしていることを学んだのか」といった自分のストーリーを含めても面白いと思います。こういった背景となるストーリーは、あなたの電子書籍をイキイキとしたものに変えてくれます。あなたには、ただのお勉強の教科書のような、眠くなる本は書かないで欲しいんです。
またこの導入部分では、これから説明する内容の概要を伝えます。この本でどんな内容を扱うのか?その内容は、どんな読者に向けて書かれているのか?この本の内容を活かして、読者に何をして欲しいのか?
構成のヒント#2:質問に答えて本編を作る
次は、あなたのトピックについて読者に知識を与えていく段階です。本を作る最も簡単な方法は、「膨大な数の質問を用意して、それに答えること」だということを覚えていますね。いきなり、あなたの知識や経験を書こうとすると筆が止まってしまうはずです。その代わりに、想定する読者が持つであろう質問に答える形で、内容を執筆してください。
例えば、あなたの想定する読者が「読まれるブログ記事を書くにはどうしたら良いですか?」という疑問を持っていることをリサーチで突き止めたとします。
そうしたら僕であれば「【5つのチェックリスト】読みやすいブログ記事の書き方【音読しよう】」という見出しのセクションを作り、読者の質問に答えるようなイメージで内容を書いていきます。あなたが教えるトピックが何であれ、用意した質問に対して、ひとつずつ答えていってください。
構成のヒント#3:読者に役立つリソースを配置する
その後、読者がより多くの情報を得るために役立つリソースを用意してください。僕たちが用意しているものの一覧をお見せします。
- 書き込み可能なワークシート
- チェックリスト
- 短いeBook
- トランスクリプト
- テンプレート
- 推奨書籍やWebサイトの紹介
実際に電子書籍の中にURLを埋め込んで、読者の役に立つリソースを提供しています。僕が作ったGoogle Docs形式のワークシートのURLを書いておき、お客さんに複製して使ってもらえるようにしています。
また本の中だけで紹介できなかった、より専門的な内容についても短いeBookのような形式で提供しています。僕は、これらのリソースにGoogle DocsやGoogleスプレッドシートなどを使うことが多いです。例えば、撮影機器などの情報は新製品の登場などにより、定期的な見直しが必要になります。Google Docsであれば、ファイルに変更を行ってもURLが変わらないため、修正や更新作業がしやすくなるので、すごく便利です。
リソースでは、そのトピックに関するあなたならではの独自の戦略やヒントを伝えてください。「あまり知られていないクールな事実」というのは、僕の好きな表現のひとつです。読者に「これはすごい情報だ」と思われるような爆弾のような情報を投下するのです。また、自分の情報だけではカバーしきれない場合「興味があれば、この著者のこの本を読んでみてください」といった紹介も出来ます。とにかく読者の役に立つ情報を、本文以外でも提供して、電子書籍の価値を高めていきましょう。
構成のヒント#4:内容を要約する
最後に結論を述べます。結論部分では、基本的に、あなたが話してきた内容の要約を伝えます。このような要約は、節ごとにやってもいいし、章ごとにやっても良いでしょう。よく、各章の最後に「この章で学んだこと」などという箇条書きの形式で、まとめが載っている本があります。これについては、後ほど紹介します。
また各章の終わりに行動の提案リストのようなものを作ってあげると、読者があなたの知識をより行動に移しやすくなります。彼らが望む結果を得るための次のステップを伝え、今すぐ行動に移せるような課題を与えるのです。
また各章の終わりだけでなく、本の終盤にも読者が本を読んで得られるメリットを要約してください。これまで書籍の中で話してきたことをリフレーズして、あなたが読者に伝えたかったことを書いてください。
優れた構成はさまざまな制作活動に応用可能
さて、ここで注目して欲しいのは、このフレームワークは、何かを教える際に幅広く応用可能だということです。あなたが本をどのように構成するのかにもよりますが、本のセクション全体にも適用できますし、個々の章に使用することもできます。
この構造で文章を作れば、読者にあなたの知識や経験をわかりやすく教えられるのです。「僕の経験からわかったことがあります。なぜそれが重要なのか、なぜ僕の話を聞くべきなのかを教えます」との前置きから始まり、「このトピックについて知っておくべきことをすべて教えます。結果を出すのに役立つリソースも紹介します。僕が本当に、本当に、本当に苦労して得たことを紹介します」と、そのトピックに関するあらゆる質問に答えていきます。そして、最後には「あなたは次にこれをしてください」と読者の行動を促すのです。
このようなフレームワークは、1冊の本を作るのにも使えるほか、あなたが主催するウェビナーやトレーニングにも使えるでしょう。ウェビナーにも必ずスクリプトつまり台本が存在します。僕は1時間や2時間といった長尺のウェビナーを撮影する前には、必ず作り込まれたスクリプトを用意します。
スクリプトはもちろん文章です。だから、きちんと視聴者に受け入れられるような内容として作る必要があります。そういった構成を作るのは、書籍の執筆もウェビナースクリプトの執筆も変わりません。先ほど紹介した構成に関するヒントは、本のある章を1つ書く際にも、1つの記事を書く際にも使えます。一度パターンを身につけたら、あとは好きなように使えるのです。ね、汎用性が高いでしょ?
電子書籍のページ数を増やす方法
さて、ここからは、このフレームワークに則って本を作ったものの、分量が足りないという場合の対処方法についてお教えしましょう。「本の背表紙に本のタイトルを書けるくらいの厚さにしたい」、そんな目標を持っている人もいるかもしれませんからね。このような場合、どうすればもっと内容を充実させることができるでしょうか。
本の厚みを増やすためには、コンテンツをレゴブロックのように考えてみましょう。これは非常に重要な概念です。小さなレゴブロックを積み重ねて大きなお城を作るように、コンテンツをいくつも重ねることで、厚みのある本が出来上がるのです。
#1:ケーススタディを追加する
本の内容を充実させる1つ目の方法は、ケーススタディを追加することです。ケーススタディとは、あなたやあなたの周囲の人が、どのようにあなたが教える方法で結果を手に入れたかという事例紹介です。これは、本の内容を充実させる最適な方法です。何がどのように機能するのか、具体的な例を人々に示してください。
#2:インタビューを追加する
2つ目に、インタビューを加えるという方法もあります。専門家を探してインタビューを行い、その記録を本の内容に加えるのです。インタビューが難しいのであれば、あなたのトピックをより深く知るために利用できるツールやリソースを追加で紹介することもできますね。既存の文章について、もう少し詳しく説明してみるのもひとつの方法です。
#3:各章の要約を加える
3つ目は、各章の終わりに小さな結論を加えることです。これは、読者にとっても非常に役立つことです。
例えば、あなたの本の見出しが50個あるとします。つまり、目次に50項目のトピックが並んでいる状態です。1つのトピックごとに要約を作ることで、0.5ページから1ページを追加できます。そうすると、本全体で25ページから50ページを増やすことができるのです。多くの読者は、一目で学んだことを理解できる章の終わりにある要約を好む傾向があります。読者のためにもなるし、本のボリュームも増やす事ができる。これは良い方法です。
もちろん要約ではなく、先ほど紹介した「読者がすべきToDoリスト」を作っても良いでしょう。行動ステップをリストアップしても良いし、読者が利用できるリソースをリストアップするのも良い方法です。
意外なことに思われるかもしれませんが、読者は読んだ本の内容を忘れてしまったり、よく読んでおしまいにしてしまいます。読者は内容を読んでいる時には「うん、うんすごくいい内容だ」と思っていますが、本を閉じて「はい、この章の内容を要約して、あなたの生活に活かせることを話してください」と言われると「あれ、なんか良い話聞いたんだけど、なんだっけ」となります。だから、こういった要約やTodoリストは、すごく喜ばれるのです。
まとめ:読者に響く文章構成を理解する
ここで紹介した構成に従って本を作ることで、読者に対してあなたの知識や経験をわかりやすく伝えることができます。しかし、冒頭でお話しした通り、フレームワークに囚われすぎる必要はありません。大切なことは、あなたが書きたい本を、書き上げることです。やり遂げることが重要です。
ここで学んだ構成は、ブログ記事やウェビナーを作るなど、さまざまな制作活動でも応用可能です。今後、何か物事を人に教える場面があれば、ぜひこのフレームワークを使ってみてください。今回は以上です。では、またお会いしましょう。