このレクチャーでは、Typeform の使い方について説明します。あなたが見込み客の調査を行う際に、Typeform で作成したシンプルなフォームがあると便利です。今回は、性別や年収などのデモグラフィック情報の他に、顧客の抱える悩みを聞き出す心理的な情報も受信できるアンケートを作成してみます。
とはいえ、アンケートのためのアンケートになるのは本末転倒です。何のために調査をするのかその主目的をしっかりと理解した上で、その目的にかなうアンケートを作成する必要があります。
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優れたアンケートを作る4つのコツ
リサーチは折り返し地点です。オンラインコースをスタートする地点と、オンラインコースをローンチする地点のちょうど真ん中。すでに僕たちのカリキュラムのうち、あなたは半分以上のプロセスを終えたことになります。これは、本当に凄いことです。
まずは、あなたが心得ておくべきベスト・プラクティスをいくつか紹介していきます。
コツ#1. 質問の数は5〜10にする
あなたの見込み客にアンケートを送るときには、基本的に5〜10個ほどの質問を用意しましょう。もちろん、それ以上に質問を重ねることもできますが、質問が増えれば増えるほど、見込み客がアンケートに答えてくれる可能性は低くなります。そのため、少なくとも5個、多くとも10個というのが最善のバランスだと言えます。
また、アンケートを作成する上で、あなた自身のリサーチの主な目的が非常に重要であるということも押さえておきましょう。アンケートで得るべき情報がしっかりと理解できていれば、それに応じた適切な質問を用意することができます。そして、適切な回答を得ることによって、あなたは優れたコンテンツを作ることができるでしょう。
コツ#2. マイクロ・コミットメントを得る
もう1点、覚えておいてほしいことがあります。それは、アンケートにマイクロ・コミットメントを組み込む方が良いということです。このアイディアは、Ask Method の開発者・Ryan Levesque(ライアン・レベック)から得たもので、僕もとても気に入っている方法です。そして、僕が教えているやり方とマッチしているコンセプトでもあります。
マイクロ・コミットメントとは、最初の質問やその次の質問まではとてもシンプルな選択制のものにし、回答者が進度を実感できるようにするというやり方です。サクサクとアンケートに答えることができれば、回答者は簡単に達成感を得ることができるでしょう。
そして、アンケートの後半に自由回答形式の質問や、より複雑な質問を配置します。それまでの簡単な質問に答える過程で勢い付いているいるため、難しい質問や時間の掛かる質問であっても、回答してくれる可能性が非常に高くなります。これが、マイクロ・コミットメントの効果です。
まるでファミレスのアンケートのようです。記述式の質問を一番上に持ってくると、有効回答数が減ってしまいます。記述式の質問は常に1番下です。最初は簡単な質問からスタートします。マルカバツで答えられたり1から3から選ぶものであったり。選択式の質問に答えてもらいながらどんどんと勢いに乗ってもらうのが僕らのやり方です。
この点に関連し、アンケートを制作する際に1つか2つの自由回答形式の質問を用意する必要があるということにも言及しておきましょう。後ほど、どんな自由回答形式の質問を用意すればいいのか、分かりやすくお話します。基本的には、彼らが抱える問題や満たされない欲求、目標や願望、超えられないハードルなど…こういったことに関連していると考えておいてください。
#3. 質問内容のバランスを取る
このアンケートを行う上で、もう1つ理解しておいてほしいことがあります。質問を用意する際には、その人個人のアイデンティティを問う人口統計的な質問と、人々のアクション・心理的なことに関する質問のバランスをよく考えてください。例えば、前者の質問としては性別や年齢などが挙げられます。後者の質問としては、彼らがどんなことに不満を感じているのか…など、メンタル面における事柄です。
例えば、どんな種類のブログやニュースレターを読んでいるのかについての質問や、あなたのブログをどれくらいの頻度で読んでいるのかについての質問は、人々のアクション・心理的なことに関することです。
#4. 最後に連絡先情報を提供してもらう
また、アンケートの最後に回答者の連絡先を入力するフォームを用意しておくことをおすすめします。これもRyan Levesque(ライアン・レベック)から参考にしたことです。理由はすぐに分かるかと思いますが、連絡先については任意事項としておきましょう。
ここで重要なのは、相手に連絡先情報を提供する機会を与えるということです。第一に、その回答者があなたをフォローしてくれるかどうか判断することができます。また、彼らがあなたに対して本当に関心を持っているのかをチェックすることも可能です。連絡先を提供しようとしない人の回答よりも、連絡先を教えてくれた人の回答にフォーカスを当てましょう。そうすることで、投資対効果を上げていくことができます。
おそらく、ここまでお話したことを実践する上で、様々なアプリケーションを使用しないといけないと考えているでしょう。安心してください。アプリケーションに関しては、Typeformというリサーチ用ソリューションを使用します。そして、これまで説明したベスト・プラクティスをゼロから構築できる方法を紹介していきます。
テンプレートを選択しアンケートに名前をつける
まずはTypeformで新規アカウントを作成しましょう。https://www.typeform.com/ にアクセスし、アカウントを作っていきます。メールアドレスとパスワードを入力し、無料のアカウントを作成してください。これでOKです。Typeformで新しくアンケートを作ることができるようになりました。
Typeformに関して、簡単に説明をしておきましょう。もちろん、このソリューション以外にも、使用できるアンケートツールは数多く存在します。ただ、Typeformはアンケートの作成〜集計まで簡単にできてしまうという点でとても優れているのです。Typeformで作成したアンケートは、携帯電話からでもデスクトップモニタからでもきちんと表示されます。きっと、あなたもすぐに気に入ってくれることと思います。
では、Typeformで新規アンケートをゼロから作成しましょう。テンプレートから好きなものを選んでください。もちろんご自身でゼロから作ることも可能です。その場合は、Start from scratch を選択してください。
「読者アンケート」とでも名付けましょうか。どんな種類のフォームを作るのか。それはなんのためか。最も近い選択肢を選びます。このデモでは、Research survey と、Market research を選びます。
デモグラフィック情報を選択式の質問で尋ねる
まずは、ブロックを選択しましょう。Typeformでは、基本的にブロックを選びながら質問を作成していきます。さまざまな種類のブロックがあるので、質問に応じて選んでいきましょう。
ここで、マイクロ・コミットメントについて思い出しましょう。最初の質問は選択式が好ましいのでしたね。選択式は、Multiple Choice です。「性別は?」など、簡単に答えられるものから始めましょう。ただ今日では、性別の質問というのはいろいろとややこしいこともありますので、「男性」「女性」の他に「未回答」などの欄も設定しておくことをおすすめします。
もう1つブロックを追加しましょう。次の質問は「何歳ですか?」にしておきます。堅苦しい会社挨拶のように形式ばらなくても構いません。具体的に「33歳」といったように答える必要はないので、年齢を範囲選択できるようにしておきましょう。今回は「20歳未満」「21〜30歳」「31〜40歳」「41〜50歳」「51歳以上」としておきましょう。
すでに見込み客の年齢層がある程度分かっている場合には、その年齢層に合わせて、さらに細かくカテゴリ分けをしていくことも可能です。たとえば30歳以下の若いユーザーが多いのであれば、「10歳以下」「11〜20歳」「21歳〜25歳」「26〜30歳」といった感じですね。ただ5、6個以上の選択肢を設定することは、あまりおすすめできません。
まだ気づいていない人もいるかもしれないので、触れておきます。右側にはアンケートのライブプレビューがあります。こちらで、回答者からアンケートがどう見えるのかを確認することができます。ここに1つ目の質問がありますね。2つ目の質問も確認することができます。さあ、ここまで簡単にできました。次に進みましょう。3つ目に「結婚の状況について教えてください」という質問を設定します。
今回は、読者アンケートの好例になるであろう質問を僕がまとめていきます。少しずつ、自分のリサーチの主目的に近づいていくようにしましょう。最初のうちは、あまり目的とは関係ない質問でもいいですし、すでに知っている情報に関しての質問でも構いません。マイクロ・コミットメントのコンセプトに基づき、回答者に勢いを与えることが目的です。
さて「結婚の状況について教えてください」という質問に対して、選択肢を用意しましょう。「結婚している」「離婚した」「未亡人になった」「結婚していない」と。
次の質問は、収入に関するものです。ここでも選択形式の質問にします。自由形式の質問にすることもできますが、回答者にとって負担が大きくなってしまいますので、それはできるだけ避けましょう。あまりに負担の大きいアンケートは回答の質が下がるか、回答率が低下するか。良いことはありません。
また「いくら稼いでいますか?」ということを尋ねると、回答者は不快感を覚える可能性があるということも忘れないでください。たとえば「質問者は僕のことを値踏みしているのでは」「いくらくらいお金が払えるか調べようとしているのでは」と思われるかもしれません。そうすれば、見込み客の心は一気にあなたから離れてしまいます。これは、あなたが望んでいる展開ではありませんね。なので、回答者が気持ちよく答えられるように質問文を工夫しなければなりません。
こういったとき、一般的に用いられる質問として「家族の年収はいくらですか」というものがあります。ここでも自由形式にすることができますが、回答者の負担を考えて選択式の質問にしましょう。「年収300万円以下」「年収300〜500万円」「年収500万円以上」の3つにしておきます。かなりシンプルですね。もちろん、さらに細かく選択肢を設定することもできます。あなたがどの程度、回答者の収入事情について詳細な情報がほしいのかによってアレンジしていきましょう。
心理的な情報を自由回答形式の質問で尋ねる
さて、次の質問に移りましょう。
ここで初めて自由回答形式の質問が登場します。ここまでマイクロ・コミットメントのコンセプトに沿って、非常に簡単な質問を重ねてきました。回答者にとっては、とても負担の少ない質問群だったはずです。そして、少しずつ回答の難易度を上げてきました。
このアンケートでは、2つの自由回答形式の質問を用意します。1つは目標や願望に関するもので、もう1つは問題点や不満に関するものです。目標や願望について質問するときは、回答者に目標について考える心の余裕があり、それが実現可能だと信じられるようにサポートすることが重要です。
僕であれば、1つ目の質問をこのように表現します。「お金も時間も十分にあるとすれば、これからの5年間でどんなことを達成したいですか?」と。僕がここで何をしたいか分かりますか?まず、回答者に対してお金と時間という縛りのない世界を用意しました。回答者には一切の縛りがない世界観に浸ってもらい、本質的にどんなことを求めているのか明確に考えてもらうようにしました。
この質問に対しては、長文をかけるようにテキストボックスを用意しました。しっかりと回答を書いてもらえるようにしたいからです。短いテキストボックスにしてしまうと、一言二言の短い答えしか得ることができません。
さて、次の質問に移りましょう。これも長文で答えてもらう形式のものとなります。実はRyan Levesque(ライアン・レベック)のASKメソッドをそのまま転用しています。彼はこれをSMIQ (ただ1つの最も重要な質問”Single Most Important Question”)と呼んでいます。僕はこのテンプレートが大好きで、自分のコンテンツでもよく使っています。
次の質問は、あなたがどのトピックを専門にしているのかに直接関係しています。ひとまずこの例では、あなたがビジネスや家族に関連するコンテンツを専門のトピックにしているという想定で質問を作っていきましょう。「仕事や家庭のことで、一番の不満や問題はなんでしょうか?」という質問を設定しました。さらに、この質問に対して説明を追加しましょう。「できるだけ具体的・詳細に教えてください」と書き加えます。この一文が重要である理由については、次のレクチャーでお話しします。
ネット・プロモーター・スコアに関する質問を用意する
さあ、これでだいたい完成ですね。主だった質問は揃いました。この時点でアンケート作成を完了することもできますが、さらに聞きたいことがあれば追加することも可能です。良くあるのは、ネット・プロモーター・スコアに関する質問です。これがどんなものかご説明しましょう。
これは基本的に評価・意見について測る尺度です。一般的には「あなたが僕のブログを友人や同僚に紹介する可能性はどれくらいありますか?」という質問が使われることが多いですね。0から10までの尺度がありますね。ネット・プロモーター・スコアに関する質問は、Appleのような大手企業が定期的に顧客の反応を得るために使用しています。そして、この質問に対する回答を非常に重視しています。
スコアが上がった場合は状況が改善しており、下がった場合はなんらかの対処が必要であることが分かります。駆け出しの段階ではあまり気にする必要はありませんが、ネット・プロモーター・スコアをトレースしていくのは有効な手段でもあります。だから、アンケートに追加しておくと良いでしょう。しかも、回答者からしても数字をクリックするだけなので、負担がほとんどありません。
スコアが低ければ、シンプルに「ああ、僕って嫌われているな」ってわかるし、高ければ「おお、いい感じ」ってなります。
最後に連絡先情報を受け取る
そして、最後に追加する必要があるのが、回答者の連絡先情報です。もちろん多くの人は、自分の連絡先を入力するのに警戒心を持っています。そのため、なぜこちら側が連絡先を尋ねているかについて説明する必要があります。”Block”ボタンをクリックし、文を追加しましょう。Typeformはこのように簡単に文を追加できるため、とても便利ですね。質問だけではなく、質問と質問の間にテキストブロックも簡単に設定ができます。
では、次のように記述しましょう。「最後に、僕たちはあなたに個人的にご連絡をするかもしれません」と。ところで話が逸れますが「最後に」と書くことによって、回答者に作業がほぼ完了したことを伝えることができます。また、作業の進捗度合いについては、下のバーに表示されています。続けましょう。「最後に、僕たちはあなたに個人的にご連絡をするかもしれません。あなたの状況についてもう少し詳しく知りたいので、良ければ連絡先を教えてくれませんか?」と。
ここで強調しておきたいのは、決して僕らは人々に何かを販売しているわけではないということです。アンケート内で連絡先を聞いた場合、多くの人は直感的に「何かを売り込まれるんだな」と思います。それが事実ではないということを、回答者に伝えなければなりません。
何かを売ろうとするために連絡先を聞くのではなく、彼らについてもっと理解を深めたいと思っているのだということを伝える必要があります。さらにこのメッセージをハッキリと伝えるために、先ほどの文章を次のように変更しましょう。「何も販売しないということを条件に、数分間お話をしていただけるという方は、以下に連絡先の情報を入力してください」と。
もちろん任意回答です。実際、連絡先情報を入力してもらえないとしても、アンケートに答えてもらえたという時点で大きな成果です。連絡先情報を入力しなかったという彼らの行為自体が、ある意味で彼らの答えでもあります。
さあ、実際に連絡先を入力するフォームを設定しましょう。今回はメールアドレスを聞くことにして「連絡先として最適なメールアドレスを入力してください」と書いておきます。Typeformにはメールアドレス用の入力フォームも用意されています。これは、とても便利な機能です。なぜなら、誰かがメールアドレス以外の文字列を入力したら「このメールアドレスは有効ではありません」とエラーメッセージを返してくれるからです。Typeformは入力された文字列に「@」があるかどうかを確認し、不適合な入力データをちゃんと弾いてくれるようになっています。
次は別の質問も設定してみましょう。「電話番号を入力してください」と。これも任意事項にします。そもそも全ての質問が任意入力なのですが、連絡先情報については特に自由意志での回答であることを強調しておきます。なぜなら、多くの人が電話番号を入力することに抵抗感を持っているからです。
まとめ:僕たちは思い込みでビジネスをしている
さて、これで以上となります。Typeformに今作ったアンケートを保存し、どのように表示されるかプレビューで確認しましょう。Typeformには他にも素晴らしい機能がたくさんありますが、まずはこの程度で十分です。回答者は質問の回答を入力して完了するだけ。とても簡単ですね。
これで初めてのアンケートが出来上がりました。そして、ついにあなたの見込み客にリサーチを行うときが来ましたね。すぐにソーシャルメディアにTypeformのアンケートを投稿したり、メーリングリストへ送信したりしましょう。フィードバックを得たら、ブランド戦略の改善などに活用することができます。
今回のビデオはこれで終わりです。見込み客を引きつける魅力的なアンケートを作ることができましたね。これは、あなたがリサーチを行う上でとても役立つはずです。たとえアンケートの結果、10件の回答だけだったとしても、1,000件もの回答を得たとしても、リサーチを行う前よりは、あなたの見込み客について理解が深まっているはずです。
アンケートの結果を集計するたびに僕はいつも同じことを思います。僕たちは思い込みでビジネスをしているのだなぁと。顧客が必要としていない情報を発信し、顧客の欲しくないものを作り、顧客が欲しくないタイミングでオファーして、安過ぎる商品を販売することによって自らの首をしめている。
毎日のようにブログを書いたりYouTubeに動画をアップロードしていれば一定数のトラフィックは集められます。彼らに対して商品をオファーすれば一定数は購入してくれるでしょう。だけどその商品がバカ売れする事はありません。なぜなら思い込みで販売した商品だからです。
アンケートを継続的に行い顧客の頭の中を継続的に理解することに成功すればビジネスの運営がより楽なものとなります。この調子で頑張ってください。そして、アンケート作成のプロセスで何か質問があったら、以下のコメント欄で教えてください。