今回のレクチャーでは、会員制ビジネスで顧客を維持するための戦略をお話します。リテンション戦略ですね。会員を維持するための小さなことを着実に行い、定着率を向上させましょう。その戦略は実にたくさんあります。ただひとつ覚えておいて欲しいのは、これからお話しする戦略のすべてを実行する必要はないことです。僕はたくさんの選択肢を提示しますが、あなたはその中から最も良いと感じるものだけを選んで、できるだけ早く行動に移してください。
前にも話しましたが、人は会員制サイトにコンテンツを求めてやって来ます。コンテンツを求めて来るのですが、コミュニティのために留まります。では、コミュニティを良いものにするためには、何ができるでしょうか。ここでは具体的な20の戦略のうち、10を説明していきます。
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#1:明確なルールとガイドラインを作る
最初の1つは、明確なルールとガイドラインを持つことです。非常に簡単なことに聞こえますね。しかし、これはとても有効です。ルールとガイドラインがあることで、会員制サイト内に自然と警察が誕生します。 つまり、コミュニティ内における法律を決めておけば、メンバーはお互いに自制心を持つようになるのです。もちろん、それは常に完璧に働くわけではありませんが、サイト内にルールを守らない人が現れた時に生じる問題を減らせます。
これはニールパテルの10K Profit Roadmapという商品に含まれるFacebookコミュニティのグループルールです。リンクを貼らないで、採用活動しないで、他のメンバーに失礼の内容に、リードを獲得する目的の投稿はしないで、とあります。
これはラッセルブランソンの販売する One Funnel Away という商品に含まれるFacebookコミュニティのグループルールです。宣伝するな、スパムするな、アフィリエイトもだめ。ビデオの投稿はだめ。ポジティブでいましょう。ラッセルとジュリーとステファンに直接的にメッセージを送らないでください、とあります。
これは僕たちが運営するコミュニティです。One Funnel Awayのガイドラインと同じく、石崎や小川さんに直接メッセージしないようお願いしています。また質問は1つずつお願いしています。一気に10個の質問きたら回答する気持ちが萎えるからです。アフィリエイト活動しないで、とかプロモーション活動しないで、と書いていませんが、今のところ積極的にそういったことをやろうとする人は出てきません。できたらガイドラインに追加するまでです。
あんまりルールの多いコミュニティだと、投稿数が減ることを危惧しています。まるは緩くスタートして、コミュニティの空気を感じながら、少しずつガイドラインを追加するアプローチもありです。経験値を積まないとガイドラインに何を書くべきかもわからないでしょうから。
ワークブックの中ではFacebookグループや会員制サイトで実際に使われているガイドラインの例をいくつか紹介しています。あなたがすべきことは、メンバーに何をしてほしいかを考えることです。何が適切か、何が適切でないのか。それを明確にしてください。その上で、メンバーがサイトに溶け込むためのルールとガイドラインを決定し、それを明示し、いつでも確認できるようにしてください。
#2:オリジナルのセレモニーと言葉を作る
2つ目は、会員制サイト独自のセレモニーや言葉を作ることです。ご存知の通り、僕たちもオリジナルのセレモニーや言葉をいくつか持っています。以前、Stu McLarenが行ったTRIBE Liveでの出来事は良い例になります。Stu McLarenはステージに立っているとき、ある観客が青いTシャツを着ているのに気付きました。よく見ると、そこにはStu McLarenの顔が印刷されています。プレゼンの途中で、彼はこう言いました。「そのTシャツはどうなっているんだ?」するとTシャツを着ていた1人が立ち上がります。それに続いて、Stu McLarenの顔のTシャツを着た他の15人が立ち上がりました。実はこれは、TRIBE内で使われるオリジナルの言葉を合図として行動することが計画されていたのです。サイトオリジナルの言葉やセレモニーを作ると、結束感が生まれます。
僕が皆さんにお勧めしたいのは、会員制サイトのアイデンティティの一部となるようなセレモニーや言葉を考えることです。あなたがそれを使えば使うほど、メンバーもその言葉を使うようになり、絆が深まります。
とはいえ、やりすぎると洗脳コミュニティになります。以前、Quoraで、こんな投稿を見ました。
胡散臭さと無縁な真っ当な人であれば自分の運営するオンラインサロンやセレクトショップに以下のようなお題目を掲げたりはしません。
・・・この写真の下に、幸福洗脳のTシャツを着た集合写真があります。僕はこの幸福洗脳という言葉のジャッジはしません。ただ世の中にはコミュニティやオンラインサロンが宗教化しているのを嫌う人もいることを一応頭に留めておきたいところです。あまりにもコミュニティのグルが教祖っぽくなりすぎて、かつコミュニティの方向性も成果を出すことではなくただそこに属していることに価値を見出されるようになると、外からはカルト集団のように思われるそうです。
#3:オリジナルアイテムを作る
3つ目は、会員制サイトのオリジナルアイテムを作ることです。アイテムにはいろいろな例がありますが、一番わかりやすいのはTシャツです。
ついさっきTシャツはカルトっぽいといったじゃないかとあなたは思うでしょう。そんなことはありません。みてください、この写真。
ClickFunnelsからもらったTシャツを、タイで来ています。息子を抱えながら。余談ですが、このTシャツすごい肌触りがいいです。ClickFunnelsから届いたら是非、あなたも注文してください。
別に僕はClickFunnelsの回し者でもありません。一応、アフィリエイト収入は得ているけど、タイ人にClickFunnelsを紹介しようと思ってこのTシャツを着ているわけではありません。僕みたいな単細胞な人間はそういった複雑な思考はできないのです。
じゃあなんで着ているか。正直いうと、ユニクロ以外のTシャツは持っていない、が本音ですが、建前をいうなら、ClickFunnelsを使って成果を出しているからとでもいっておきましょう。僕がShopifyで成果も出していないのに、ShopifyのTシャツを着るのは意味が分かりませんが、少なくとも僕はClickFunnelsを使ってたくさんのオンラインコースを販売しています。
それにしても足が短いですね。アメリカのXLサイズを頼んだので、僕には大きすぎたようです。本物はもうちょっとだけ足が長いはずです。ほんのちょっとだけね。
これについては、ClickFunnelsの創設者ラッセル・ブランソンが素晴らしい仕事をしています。 彼はコミュニティのためにオリジナルTシャツを作るのが大好きです。彼はソフトウェア会社を経営していて、会社でもこの戦術を使っています。 彼は、「僕はConfusion Softの一員ではありません」と書いたTシャツを作り、社員に配っています。彼の会社の社員は、それを着ることを誇りに思っています。「私はラッセルの仲間だ」と感じられ、それがアイデンティティになるのです。
Stu McLarenはTRIBE Liveでも似たようなことをしました。オリジナルTシャツを参加者全員に配ったのです。アイテムは、Tシャツでなくとも、ステッカー、マグカップなど、会員制サイトの一員であることを感じてもらえるものであれば、何でもいいです。
ひとつ例をお話ししましょう。僕はセールスファネルの構築にClickFunnelsを使っています。そこでは、オリジナルアイテムとしてClickFunnelsのロゴの入ったTシャツを送ってくれて、僕はそれを着てクアラルンプールの街を家族と歩いていました。あるときカフェでパソコンを触っていると、見知らぬ人から声をかけられました。僕のTシャツにあるClickFunnelsのロゴに気付いて 「あなたもClickFunnelsを使ってデジタルコンテンツを売っているの?」と。 そこから会話が弾んで、彼女とは初対面でしたが、すぐに打ち解けられました。
このように、オリジナルアイテムは、コミュニティメンバーを識別してくれる役割を果たし、メンバー同士のつながりを生んでくれるのです。
#4:ウェルカムグループを作る
4つ目は、ウェルカムグループを作ることです。ウェルカムグループとは、名前の通り、新規メンバーを歓迎する役割を果たす人たちです。
まずはサイトのメンバーにこう伝えてください。「これから新しい人たちがたくさんこのサイトに入ってくるんだ。彼らが孤立してしまうのは避けたい。新しいメンバーを歓迎するために、僕たちの文化やルールを教えることを手伝ってくれないか?そうすれば、僕たちが作り上げてきた文化を守り続けることができる」。こう言うことで、新しいメンバーを歓迎するために協力してくれるボランティアが出てくるはずです。
初めてあなたのサイトに参加したメンバーが最も心配するのは、自分は間違った判断をしていないか、入会して本当に良かったのかということです。ウェルカムグループ行うのは、彼らに歓迎の気持ちを伝え、次にすべきことを教え、困っていれば助けることです。そうすることで、新しいメンバーは「自分は本当に歓迎されている」「参加したことは間違った判断はでなかった」と安心します。
また、新規メンバーが自己紹介をした際は、ウェルカムグループにその自己紹介についてすぐにコメントをしてもらいます。新規メンバーがせっかく自己紹介をしたのに、なんのリアクションももらえないのは最悪です。しかし、自己紹介をしたすぐ後に、いろんな人から「やあ、ようこそ」「会えてよかった」と声をかけてもらえたらどうでしょう。最高の気分になりますよね。「ああ、ここに仲間がいるんだ」と思えます。
ウェルカムグループは、新規メンバーを確実に歓迎して安心させるために重要な役割を果たすのです。
#5:仲介役の人を作る
5つ目は、仲介役の人を作ることです。仲介役とは、メンバーとメンバーをつなぐ役割を果たす人のことです。仲介人がいることで、コミュニティ内であらゆる種類のつながりを見つけることが簡単になります。僕が新規メンバーによくする質問のひとつは「この会員制サイトから何を得たいと思っているのか」「今すぐにでも解決したいと思っている問題や課題は何か」といったことです。こう問いかけることで、メンバー同士で様々な問題や課題を共有できます。しかし、会員制サイトのメンバーの全員が、全員の得意分野を知っているわけではありません。
佐々木さんがある問題を抱えていて、和田さんがその分野の専門家であり、解決方法を知っているかもしれません。でも佐々木さんと和田さんが知り合いでなければ意味がありません。そこで、佐々木さんは仲介役に連絡を取ります。「この質問に答えてくれる人はいる?」 仲介役の紹介により、佐々木さんは和田さんと出会えます。
このように、人々をつなぐ手助けをしてくれる仲介役の人が1人でもいれば、コミュニティ内のつながりを増やせるのです。
ちなみにこの仲介役の仕組みを自動で運用しているのが iHeab や Amazon です。
先日もこんなメールがiHerbから届きました。この質問に答えてくれる?という内容です。僕は内科の先生から処方されたものを決められたスケジュールで飲んでいるだけなので、答えられるほどの知識は持ち合わせていませんが、サプリメントに詳しい方で、かつ面倒見のいい方はこういった質問に必ず答えてくれます。実際に、この質問に対してたくさんの回答がついていました。
全く余談ですが、僕はサプリメントについての知識は全くありませんが、サプリメントを飲みデトックスをすることで、日常生活のパフォーマンスが上がりました。
#6:ポイントとスコアボードの設置
6つ目は、ポイントとスコアボードの導入です。数年前にStu McLarenはある会員制サイトを作り、その際にポイントシステムを導入しました。 例えば会員制サイトへのログインなど、Stuが望むことをしたメンバーにポイントを与えるのです。同じように、コメントをしてくれた人、ミーティングに参加してくれた人にもポイントを与えます。これを始めてすぐに、メンバーはポイントを集め始めました。そして、メンバーの定着率も急上昇しました。
ここで重要なのは、Stu McLarenがしたのは、メンバーにポイントを与えることだけだったということです。実はその時点では、ポイントを何に使うかははっきりと告知していなかったのです。僕たちは最終的には、ポイントを通貨として利用して、商品を購入したり、交換したりできるようにする計画をしていましたが、それを伝えてはいませんでした。つまり彼らが知っていたのは、ログインやコメントをすればポイントが与えられるということだけです。しかしそれでも、彼らはポイントを貯めて、そのシステムを気に入ってくれたのです。
その後Stuは、スコアボードの導入も始めました。スコアボードとは、メンバーが獲得したポイントをランキング形式で掲載するものです。初めの頃は、総合的なポイントを記載するスコアボードを1つだけ用意していました。しかし時間が経つにつれて、総合スコアボードに載っている人たちは固定されてきました。彼らは大量のポイントを持っていて、新しいメンバーが総合スコアボードを見ると、「僕にはそんなにポイントを稼ぐことはできない」と思って、諦めてしまいました。これでは逆効果です。そこで僕たちは、2つのタイプのボードを用意しました。総合的なスコアボードと、毎月リセットされる月別のスコアボードです。そうすることで、新しいメンバーが参加したときに、誰もが平等な立場でスタートできるようになり、今では誰もが平等にチャンスを得られるようになりました。
ポイントとスコアボードは、メンバーのモチベーションを維持するために大切な要素です。
とはいえポイント制度を実装できるプラットフォームは限られています。例えば、僕たちが使っている Teachable や Thinkific にはそのような機能はありません。それらを無理矢理実装すると、あとで面倒なことになりそうです。
これは非常に重要な考え方になりますが、いますぐできる範囲で実行する、ことが非常に重要です。他人のビジネスモデルを見て、ああ、僕も実装してみたいと思うのはいいことです。ただプラットフォームが異なっている場合、それらを簡単に実装できるかは分かりません。なぜかわかりませんが、日本には、こういった他人のビジネスの実装状況を部分的にパクってくるが故に、使い勝手の悪いサイトなってしまったものがたくさんあります。
繰り返します。いますぐできる範囲で実行することが重要です。例えばログインごとにポイントを与えられなくても、各モジュールを終了した人には10ポイントを与えるなどのルールを設けて、7つのモジュールを終えて合計70ポイントを貯めた人には景品を配るなどするのも、素晴らしい代替案だと思いませんか?
工夫次第でこれらポイント制度やスコアボードのアイディアを、会員制ビジネスにも導入することは可能です。
#7:バッジを用意する
7番目はバッジです。これはわかりやすいですよね。上で話した通り、人はポイントを集めるのが大好きです。そして、獲得したポイントに応じて、バッジを付与するのです。バッジは非常にわかりやすい会員制サイト内のステータスの象徴です。そして、より上位のバッジを持つことで、コミュニティ内での知名度を高めることもできます。
僕もYouTubeのメンバーシップというYouTubeチャンネルの中の月額メンバーに、メンバー在籍期間に応じて1ヶ月、2ヶ月、6ヶ月の記念バッジをプレゼントしています。
これは空手の帯にも通ずるどころがあると思います。最初は白帯から始まり、黄色、緑、茶色、黒と色を変えていく。帯の色は、努力量の蓄積や、その人の大会での成績などが反映されていますから、誇らしい気持ちになるのは間違いありません。
ちなみに僕が属している糸東流は、白帯が10級で、そこから昇級があり、9、8、7と数字が小さくなっていきます。1級の次は初段で、黒帯です。黒帯になったらそれ以上の目標はないのかと言われれば、そうではなく、二段、三段、四段と今度は昇段があります。段の数に応じて、黒帯には金色の線が入ります。さらに指導員や師範代の資格があり、大会での入賞があり、目標は尽きることがありません。
#8:殿堂を作る
8番目は、殿堂を作ることです。あなたの会員制サイトのメンバーにも、スーパースターになりそうな人がいるかもしれません。 そういう人たちの功績を称えるために、殿堂を作ってください。
数週間前、Stu McLarenはジグ・ジグラーの本社にいました。彼がオフィスに入って一番印象に残ったのは、「感謝の壁」と呼ばれるものでした。そこには、ジグ・ジグラーの人生に大きな影響を与えた人々の写真が並んでいたのです。あなたの会員制サイトにも同じようなものがあったらどうでしょう。サイトのメンバーの中のスーパースターを表彰する殿堂です。「自分も表彰されたい」という思いがモチベーションになり、メンバーの定着率を高められます。メンバーに対して、努力するきっかけを与えることができるのです。
今、僕が最も表彰したい人物は、医者が教える「あなたのサプリが効かない理由」の本を書いた宮澤さんです。もう長らく宮澤さんと一緒にビジネスをさせていただいております。誇らしいことに、宮澤さんはTeachableを使って初めて1 million dollars を稼いだ日本人プレーヤーです。宮澤さんが、Teachableから1億円達成のトロフィーを贈られた時、僕たちに電話をかけてくれました。「あれ、とうの昔に石崎さんのところが達成していたと思っていました」と。
悲しいかな、僕たちはClickFunnels で決済を受けているので、仮にTeachable でオンラインコースを提供していても、Teachable の売上には一切計上されないのです。今、いくつかのキャンペーンでは、Teachableで決済を受け始めたので、スーパースターの宮澤さんに続き、日本人で2番目のトロフィー受賞者となり、Teachable に殿堂入りできるよう頑張っているところです。
#9:コンテストを開催する
9番目は、月をまたぐコンテストを開催することです。以前のレクチャーで、コンテンツをオーバーラップさせることの大切さについて話しました。
モジュール1の最後にモジュール2の予告をし、モジュール2ではモジュール1の復習からスタートします。それだけではなく、モジュール1とモジュール2の関連性を強めて、お互いが補強し合うようなコンテンツになるのが理想です。
コンテストもそれと同じように開催するのです。つまり、1ヶ月でコンテストを実施して、次の月に当選者を発表します。このように、ひとつのコンテストを月をまたいで開催することで「結果を知りたい」と思ってもらい、会員の定着率向上につなげられます。
#10:アンケートを実施する
10番目はアンケートの実施です。アンケートを行うことで、あなたがメンバーの話を聞いていることを示せます。また、アンケート結果についてメンバーと話し合う機会を設けられます。アンケートを実施する際もコンテストと同様に、1ヶ月間でアンケートを実施し、次の月にその結果を共有しましょう。そうすることで、アンケート結果を知りたいと思っているメンバーに、サイトに居続けてもらうことができます。
まとめ:自分に合う戦略を実行してみる
ここまで、コミュニティを維持するための10の戦略を話しました。最初に言った通り、これらの全てを同時に実施する必要はありません。この中から、自分にとって使いやすそうなものを選択して適用してみてください。
また次のレクチャーでお会いしましょう。