今回と次回のレクチャーでは、会員制サイトビジネスで大事になるLTVつまり顧客生涯価値という数字についてお話します。会員制サイトビジネスにおいては、いくつかの重要な数字があります。その中で顧客維持率と密接に関係している数字としてLTVを紹介します。
あなたは会員制サイトビジネスのオーナーとして、ビジネスの健全性が気になると思います。会員が離脱していないか?継続率はどのくらいなのか?収益への影響はどのくらいあるのか?特にビジネスの規模が大きくなると把握が難しくなります。もしビジネスの規模がまだ小さかったとしても、今のうちから理解しておくのは大切です。今回はそれらを整理して考える方法をお伝えしていきます。
LTVが重要な2つの理由
LTVとはLife Time Valueの略で、日本語で言うと「顧客生涯価値」です。この言葉を耳にしたことがある人も多いかもしれません。会員制サイトを運営するにあたっては、LTVを理解することは非常に重要です。なぜなら、LTVとは、ただ単に入会した人が支払う月額料金ではないからです。お客さんがこれから先あなたに落とし続けてくれる金額の合計をLTVを呼びます。
例えば、あなたの会員制サイトの顧客が、あなたのために月2,000円を支払うとします。しかし、それはただの2,000円ではありません。仮にその顧客があなたの会員制サイトを12ヶ月続けてくれるとすると、この顧客のLTVは2,000円 x 12ヶ月で2万4,000円ということになります。顧客の生涯価値は、維持率が高ければ高いほど上がるのです。つまり、顧客が何ヶ月も会員制サイトに居続ける期間が長くなればなるほど、そのひとりの顧客からビジネスに入ってくるお金が増え、その顧客の価値が高まるということです。
理由#1:ビジネスの全体像が見える
なぜ、LTVが最も重要な数字のひとつかというと、LTVを把握することでビジネスの全体像を理解できるからです。僕は昔、月額5,400円の会員制サイトを運営していました。毎月5,400円を得られる良い手段だと思っていましたが、僕はそれが1ヶ月後、その翌月、さらにその翌月に収益がどのように変化するのかを考えていなかったのです。初月の売上は経つけど、継続率が悪すぎたために収益が積み上がっていきませんでした。
今思えば、顧客の成功をロードマップにしたサクセスパスがなく、お客さんが次に何をしたらいいのか分からないカリキュラムになっていました。それは継続率が上がるはずありません。結局、その会員制サイトは思うように成長しませんでした。LTVがうまく上がらないことをモニターしていたおかげで、会員制サイトビジネスの異変にいち早く気づけたと言えます。
ビジネスを進めていく際には、一度引き返して全体像を見ることが大切です。そうすることで、あなたはご自身のビジネスモデルを継続的に
理由#2:新規会員獲得のための投資額の指標
会員のLTVは、新規会員獲得のためにどれだけ投資できるかの指標にもなります。
英語圏のダイレクトマーケティングの専門家にブライアン・カーツという人物がいます。彼は物理的なニュースレターを送る会員制サイトを持っていました。彼はその会社を年間150億円以上の規模まで育て上げています。彼が成功した理由のひとつに、LTVについてよく知っていたことが挙げられます。彼らは、平均的な顧客が2年と2ヶ月間滞在することを知っていました。なので、立ち上げた会員制サイトが成長する前から、顧客に対して2年以上に投資できることを理解し、顧客獲得のために余裕を持って多くのお金を使えたのです。
僕が大好きな素晴らしい名言があります。「LTVが最も大きいビジネスが常に勝つ」という言葉です。LTVが大きければ大きいほど、その顧客を獲得するためにかけられるコストつまりCPAが高くても大丈夫なので、勝てる可能性が高くなります。「数学は苦手」という人でも、このLTVという数字を知るのは非常に重要です。そして、この数字を調べるのは今では本当に簡単になりました。
LTVの調べ方
さて、LTVをどう算出したら良いのでしょうか?注意したいのは、会員制サイトを立ち上げたの最初の段階では、LTVを知ることはできないということです。例えば、最初の1年目には1年目のLTVの概算を得られますが、2年目にはその数字が変わるかもしれません。そして、3年目の数字はさらにまた変わっているはずです。
ただしその場合は、最初の1年目には、会員の維持率という数字を使えます。僕は、多くの会員制サイトのオーナーが「会員は3~4ヶ月しか継続してくれない」と話しているのを耳にしています。それを聞いたとき僕はすぐに、このオーナーたちは顧客維持率に注意を払っていないのだと理解しました。100人の会員がいて、1ヶ月の間に5人が辞めたとすると、その1ヶ月間の顧客維持率は95%ということになります。解約率はその逆なので5%です。
顧客維持率を調べるにはStripeを使いましょう。僕たちは、会員制サイトの販売と運営を自動化しています。ClickFunnelsでファネルを作り、Stripeと連携して決済を受け、購入者をZapier経由でTeachableという学習プラットフォームに送って、お客さんに商品を納品しています。Stripeはとても優秀なツールで、色々な統計データを自動で作ってくれるので、ビジネス全体を俯瞰して見ることが出来ます。
この顧客維持率は、Stripe画面上で簡単に確認することが出来ます。左側のタブからBillingというところをクリックすると、定期顧客の解約率というグラフが出てきます。5.9%という文字が見えますか?これが、解約率です。顧客維持率はこの逆なので、95%ということになります。基本的には、会員制サイトの月額料金に平均的な会員の滞在月数をかけて計算すると、平均的なLTVが得られます。これは非常に簡単な計算です。
同じ画面をスクロールしていくと、顧客生涯価値の数字も見ることができます。これがつまりLTVです。グラフにも注目してください。1ヶ月間のグラフですが、1ヶ月の間にもLTVが上下に動いているのが見えるはずです。
まとめ:LTVを追跡する
あなたのビジネスの健全性を測るためにLTVは重要です。さらにLTVは時間が経つとどんどん変化していきます。1度調べて終わりではなく、時間の経過とともにその後も継続的に見ていく必要があります。追跡して見ていくことで、新規顧客の獲得に投資する金額CPAの判断に大きく影響します。
LTVや顧客維持率は一度理解してしまえば、その後はStripeの管理画面で簡単に調べることが出来るので、今回のレクチャーを見直してしっかりと理解しておいてください。あなたの会員制ビジネスがスケールしたときに必ず役に立ちます。それではまた次回、お会いしましょう。