矛盾する認知に直面した状態を「認知的不協和」という。このケースでは、「笑った」という認知と、「笑う理由はない」という認知が矛盾している。これはきわめて気味の悪い出来事なので、意識は(脳のなかにふたつの人格があるという)不愉快な真実を嫌って、「先生が面白い顔をした」という快適なウソをつくりあげたのだ。このことから左脳の役割がわかる。それは自己正当化、すなわち自分に都合のいいウソをでっちあげることだ、無意識が捏造した気分のいいウソは、「意識」というスクリーンに映し出される。――意識は無意識が生み出す幻想なのだ。
情報源: 『言ってはいけない 残酷すぎる真実』あとがき | 橘玲 公式サイト
それは意識があると思い込むこと。自分がでっち上げた嘘に自分自身ですら気づけていない。
ちょうどこの本を読み終えて、あとがきが面白かったので稚拙な英語で奥さんに説明しました。寝る前に。
「ウチのおかんの、君のおかんもそうだろ。僕たちが彼らの欺瞞を見抜いて指摘したって、彼らは余計に頑固になるだけだ。でもそれは僕たちも同じなんだ。”意識なんてない、それは自己欺瞞だ”と指摘されればされるほど頑なにそれを拒否して、意識は存在するんだって強く思うようになるでしょう。カルトを辞められない人やアルコールを辞められない人と同じように、僕たちも意識を辞められないんだよ」
・・・I’m scared.
だろうね。僕も最初は怖かったよ。でも誰だって薄々は気づいていることなんです。意識なんてないって。