創業当初。僕たちはカルピスだった。こんなに濃い思いはない。彼女無しのマスター達(天才マーケター、天才プログラマー、天才デザイナー、天才コピーライター)が奏でるのはいつもカルピスの原液のような濃い世界だった。だから僕たちの会社はカルピス。僕たちから出てくるのはいつもカルピス。
え?シモイ話だと思った?(シモイ:下ネタに関する)
カルピス、買収されました
全然シモくないです。下ネタじゃありません。公認会計士講座や日商簿記検定1級を取ったことがある人なら知っていると思うけど、株式会社カルピスって2012年にアサヒグループホールディングスに買収されるまでは、ずっと『一商品だけ』を扱ってきた伝説の企業。
そんな意味で僕ら企業もカルピスだった。つまり売れる商品は一つしか持っていなかった。たしかに商品一つでも会社を回すことは不可能じゃないんだろうけど、でもやっぱり商品はたくさんあった方がいい。僕たちはその知識を持ち合わせていなかった。あることがきっかけでその情報を知り、三ヶ月で商品レパートリーを7つに増やしたら、なんと売上が一気に5倍になった。もしその知識を知らなかったら・・・そう思うだけで戦慄とする。僕たちは情報や知識の重要性を思い知った。本をたくさん読まないとなって。たくさんセミナーに参加しなきゃいけないなって。
知識の重要性を知った僕がやったこと
で、今。僕たちは何をやっているか?・・・本を一切読んでいない。いや惰性で読んでいないわけじゃない。読む時間はある。だけど、時間があれば『行動すること』にしている。ここが知識と行動の妙味なる関係なんだね。この微妙なバランスは、経験を積むしかない。僕たちは創業時から、その絶妙な知識と行動のバランスだけを探してきたといっても過言じゃない。
確かに、知識は大切だ。だけど、知識がありすぎると、行動ができなくなる。だから、日常や日々にルーチンや人生にクリティカルな影響を与えるような知識を得たら、すぐに行動するしかない。その知識の裏を取ったり、勘ぐったり、深読みしたり、アカデミックなバックボーンを求めたり、あるいは比較考量するために別の知識を入れたりする必要はない。それをした瞬間に動けなくなってしまうから。
- 「この知識がなければ」・・・そう思うだけで戦慄とする
- 知識がありすぎると行動できないから、意図的に本を読まない
これまで成功している人をかなりの数見てきたけど、皆共通してこの絶妙なるバランスが取れていた。この絶妙なる知識と行動のバランスは、経験からでしか得られない。(極まれに、天才的にバランスを取れる人がいるけど)
なぜ選ぶたびに後悔するのか?
知識が行動を邪魔するだなんて思ってもみなかった?じゃあ以下の実験データを見てみよう。著書『なぜ選ぶたびに後悔するのか』(瑞穂のりこ訳、ランダムハウス講談社)にはこうある。
買い物客のグループに高級ジャムの試食販売を行った際、グループの半数の人には六種類のジャム、残り半分の人には二十四種類のジャムを試食させた。六種類を試食したグループの三〇%が最終的にジャムを買い求めたのに対し、二十四種類を試食したグループで買ったのはわずか三%(九十%減)だった。選択肢が少ないことが幸せへのカギなのだ。購買スピードを高めることが買い手の後悔を減らし、返金率の低下に繋がるのだ。
もう、そのまま。選択肢が増えるとはつまり知識が増えると全くの同義。知識が増えれば増えるほど「あの決断をしていたらどうなっていただろう?」と機会損失の計算を無意識的にやってしまう。それが次回の行動に着手するまでのスピードを減じ、頭でっかちの机上の空論人間になる。机上の空論を振り回す奴より騎乗位している奴の方がよっぽど行動的だ。
リベラルアーツの裏側
なぜか世の中が勉強ブームで『たくさん知識を詰め込みましょう』キャンペーンが無差別な行われている。全く本を読まない人は、論外だけど、そのキャンペーンに乗っかってガムシャラに本を読む人もどうかと思う。もちろん教養をつけたいという人はそれで構わない。(僕だって教養は大好きだ)
だけど、行動して何らかの結果を出したい人、特に受験生の直近の成果が評価される人たち、あるいは企業のマーケティング担当のような利益をだしてなんぼのような人たちは、知識の詰め込み過ぎはよくない。行動できる範囲で知識をつめなきゃ、結局動けなくて御仕舞いってオチが待っているだけ。
じゃあ癌を宣告してあげるよ
思っているより知識は怖いし、強力だ。知識をポジティブなものだと盲目的に信じるのはヤバい。知は毒でもある。ほら、養老孟司先生がこう言っている。
病院に向かう途中「なんて桜は綺麗なんだろう」と見とれる。医者からガンを宣告された帰り道、同じ桜を見たとしても、見え方は全く違うでしょう。
そう、知識はあなたの世界の見方を変える。驚くほどに、しかも当事者に意識されることなく。「僕は本から影響を受けたことはありません」と言いつつも、世界旅行に出た若者を何人も知っている。活字の威力は、マジで半端ない。特に書くことを生業としてきた僕のような人間は、活字の威力を身に染みて知っている。
ほら、こうやって、リモートにあなたを操っているんだから。またこの文章が読みたくなるよ、絶対に。活字はマジで注意だからね。
知識がないと、行動の効率はグッと落ちる。しかし知識がありすぎると、今度は行動そのものができなくなってしまう。この絶妙なバランス。今、何かで成果を出そうとしている人は、しっかりとこの絶妙なバランスを意識してコントロールしてほしい。心からそう思う。
石崎力也
追伸1:極論、二極化の正体もこのバランスの取り方が上手いかどうかで決まる。断言する。