前回は、本当に興味のあるトピックでオンラインコースを作ることの重要性を学びましたね。皆さんが興味やスキル、またはその両方を持ったものを見つけ出す際に役立つ、ブレインストーミングリストの質問に答えて頂きました。今回も引き続き、このリストを側に置いておいてください。アイディアスコアカードというのを用いて、ビジネスの実行可能性の観点から、皆さんのアイディアを評価します。
オンラインコースのトピックをアイディアスコアカードで評価する
アイディアスコアカードとは、商品のアイディアがビジネスに適しているかどうかの判断に使うシートです。ですが、スコアカード自体の説明に先立って、そもそもこれがなぜ重要なのかをお伝えしたいと思います。とても簡単なことです。「良いアイディア」を持っているからといって、それが優れたビジネスのアイディアだとは限りません。ですが、商品のアイディアをスコアカードに通してみると、そのアイディアが実際にオンラインコースのビジネスに適したものかどうか、明確で決定的な答えが得られます。
起こり得る最悪の事態は、アイディアを選び出し、商品を作り、ターゲットとなる見込み客を追いかけて、最後にこう気付くこと。「ちょっと待てよ、そもそも市場なんて存在しないじゃないか。」誰も自分が作ったものにお金を払ってはくれない、という状況です。そもそも実行不可能と分かりきっているものを追求して、多くの時間や努力、そしてお金までも無駄にするとしたら、どうですか?もちろん、そんなことは嫌ですよね。
そこで、こういったことを回避するのに役立つのが、アイディアスコアカードです。この目的は、商品の販売に先立って実際に購入する意欲のある人々を確保できるよう、適切な検討を行うことにあります。アイディアスコアカードとは、オンラインコースのアイディアの、ビジネスとしての実行可能性を評価する、10の質問からなるチェックリストです。アイディアをスコアカードに通してみれば、そのアイディアを数値で評価でき、これによりビジネスとして追求する価値があるかどうかが非常に良く分かります。
本来スコアカードは、厳選した質問のリストであり、僕らが社内で自分の商品のアイディアを評価するために実際使っているものです。このリストの完成までには、長年に渡る試行錯誤が必要でした。これまでうちの商品のすべてに使用してきたので、これが機能することは折り紙付きです。問題は、オンラインコースを制作する人のほとんどが、このプロセスを自分で行ってすらいないことです。これを行うことで、あなたははるか先を行くことになります。今すぐ始めましょう。
前回ブレインストーミングした、興味のリストを出してください。まず初めに必要なことは、その興味のリストを商品アイディアのリストに変換することです。と言ってもこれは比較的単純で、そのために使える簡単な公式:「見込み客+問題=ビジネスのアイディア」というものがあります。ご説明しましょう。
あなたの興味やスキルのリスト上で、次のようなことがあったと仮定します。iPhoneアプリに興味があるか、またはその扱いが得意だった。これだけでは商品のアイディアとならないことは明らかですが、前回軽く触れたように、これを商品のアイディアへと変える方法があります。例えば、「高齢者にUberの使い方を教える」こと。これを行った僕らの友人たちはまず、iPhoneアプリが苦手な人々、つまりターゲットとなる見込み客を特定しました。それは、55歳または65歳以上の人々の層でした。
ですが、アプリについて教えるというだけではあまりにも幅広く、そもそもアプリの数が多すぎます。これでは意味がありません。そこで、Jさんはさらに一歩進んで、両親、祖父母、そして何人かの友人の祖父母たちと、モバイルアプリについて話をしました。その中で彼は、高齢者が本当に使いたいと思っているけれども使い方が分からない、といったものを発見しました。それが、Uberでした。高齢者は、こんな問題を抱えていたのです。
問題に対して取るアプローチには、二つの種類があります。「解決」または「獲得」です。「解決」というのは原則、火急の問題に関わるものです。あなたのアイディアは、ユーザーにとって深刻な、火急の問題を解決するものですか?ユーザーが商品により解決できると期待する、マイナス面の問題があります。ここでのアイディアは例えば、太った人々が健康的な体型を取り戻すのを助けたり、社会に対する不安を克服しようとする人々を助けたりするようなものです。
一方「獲得」というのは、大きな利点を指します。あなたのアイディアは、ユーザーに多大な利益をもたらすものですか?これは、ユーザーが商品から得られるプラス面です。例えるなら、腹筋をシックスパックからエイトパックへと進化させる方法を教えたり、ゴルフのスコアを改善させるのを手助けしたりするようなものです。
例えば、うちの商品のほとんどは獲得のアプローチです。オプトインページには、年収2000万円以上のフリーランスまたは年商1億円以上の経営者と書いてあります。ようは既に成功している人たちだけを対象にしている。既に動いているビジネスをオートメーションに乗せませんか?という提案をしているわけです。だからフロントエンドの値段が20万円でもポンポン売れていくのです。
高齢者にとってのUberは、どちらかと言うと後者の方でした。獲得のアプローチです。もちろん、何人かにとっては火急の問題だったかもしれません。皆さんは実際、思いついた商品アイディアのほぼすべてについて、前者・後者の両面から検討するでしょうが、それで精力を使い果たしてしまってはいけません。こういう場合においては、しばしば直感の方が当たっているものです。
高齢者とUberの例を、先ほどの公式に当てはめてみましょう。Jさんにとっての見込み客とは、スマートフォンを所有している65歳以上の人々でした。問題は、彼らがUberアプリの使い方は分からないけれども、本当に使いたいと思っていたことです。ですから、彼のビジネスのアイディアとは、高齢者にUberの使い方を教えることでした。
前回のブレインストーミングリストで見つかった興味の一つひとつについて、これと同じ手順を行ってください。初めにこれを行わないと、アイディアスコアカードには進めません。
興味をすべて商品のアイディアへと変えることができたら、アイディアスコアカードに通してみましょう。今回のワークシートとして、詳細な説明の付いたアイディアスコアカードが付属しています。石崎式アイディアスコアカードで検索してください。僕のブログからワークシートがダウンロードできます。
まずは、基本的なルールをいくつかご説明しましょう。スコアカードに一度に通すことのできるビジネスのアイディアは、一つだけです。商品のアイディアは、「見込み客+問題=ビジネスのアイディア」の公式に当てはまったものでなければいけません。スコアカードがすべて終わったら、最終スコアを計算します。第1問〜第6問がポイントを加算する質問、第7問〜第10問は補足的な質問です。
最終スコアが20ポイント以上であれば「B」、つまりビジネスのアイディアが実行可能であるということです。25ポイント以上であれば「A」で、非常に優れたビジネスアイディアを持っているとされます。15ポイント未満であれば良いアイディアではないでしょう、捨てるべきです。次に、各質問が意味するところをより深く理解して頂くため、スコアカード全体を簡単にご説明します。第1問目からいきましょう。
商品のアイディアを評価する10の質問
第1問:あなたのアイディアは、火急の問題を解決するものか、それとも大きなアドバンテージをもたらすものか?ユーザーが本当に喜んでくれるものになっていますか?ユーザーはそれを必要としていますか?本当に火急の問題を解決したり、大きなアドバンテージをもたらしたり出来るのであれば間違いありませんが、単に「C」または「B」のアイディアなら、あまり売れはしないでしょう。
第2問:ターゲットとなる見込み客の規模は?マーケティングの対象となり得る人が一定数いること、または商品に実際の見込み客がいることが確認できれば、十分でしょう。ニッチ市場を攻めるのは良いことですが、絞り込み過ぎて見込み客の規模を数千人等と限定してしまってはいけません。数百万という規模までは必要ありませんが、少なくとも数万〜数十万は必要でしょう。
もう一度周りを見てみることです。同様のアドバイスやトピックを教えているInstagramやYouTube動画を見て、視聴回数とチャンネル登録者数をチェックしてください。FacebookやReddit、はてなブックマーク、Udemy、Quoraまたはフォーラム等で、そのアイディアの周りにどのようなコミュニティが存在するか、チェックしてください。そこにいる見込み客について、何となく把握しておきましょう。言語を超えてリサーチするとより正確な結果を得られます。僕の場合であれば、日本語や英語は当然のこと、ポルトガル語やスペイン語でも検索をかけて調べます。
第3問:この情報に対して、ターゲットとなる見込み客が支払ってくれそうな金額は?ここで注意して頂きたいのは、皆さんがその情報にどれだけ価値があると思うかではなく、見込み客がどう考えるかです。価格が高ければ高いほど、良いでしょう。基準を知ることのできる簡単な方法は、冗談抜きで、Googleで検索してみることです。同様の商品や情報、アドバイスを探して、その値段を見てください。ちなみにうちの奥さんは包丁マニアで、ボブクレーマーの世界一来れる包丁を6本も持っています。検索すると1本7万円でした。Googleで検索して僕ははじめてその値段を知りました。7万円あれば、何回ダブルチーズバーガーセットのポテトLサイズ頼めることか!
第4問:ターゲットとなる見込み客を、どの程度密接に理解しているか?これは重要なポイントです。彼らの問題に共感できますか?何が本当に彼らを動かし、動機付けているのか理解していますか?彼らと同じ考えを持っていますか?ターゲットとなる見込み客を理解していないと、何をするにも、まず彼らとどう話せば良いか分かりません。彼らはあなたとつながる気はなく、そうすると初めの「知る段階」を通過するのが、非常に困難になってくるでしょう。ほとんどの場合、そこにすら到達できないかもしれません。
あなたが友人同士のグループで一緒にいるところを想像してください。ちょうどその時、グループの誰とも面識が無く、あなたのことを特に好きでもない誰かが、部屋に入ってきました。彼は部屋の中で一人場違いな存在であり、あなたは彼がさっさと出て行ってほしいと思うでしょう。ですが仮に、部屋に入ってきた人があなたと同じ考えを持ち、あなたを理解し、あなたに似通っているなら、あなたは彼をグループに歓迎するでしょう。
あなたが市場を理解すればするほど、見込み客はあなたを心良く迎えてくれることでしょう。
第5問:このトピックを中心にコンテンツや商品制作、マーケティングを行うことに、どの程度ワクワクしているか?これを自分自身で評価するのは、ごく簡単なことでしょう。商品のアイディアの背後にあるトピックに対する、あなた自身の興味のレベルを評価してください。評価が高ければ高いほど、そのトピックに興味を持っているということです。この講座を通して繰り返しお伝えしてきたとおり、オンラインコースとは、皆さんが毎日関わるものです。成功するためには、トピックに対して興味を持っていることが必須です。僕はいまだにデジタルマーケティングの世界が大好きで、セーフスファネルを想像するだけで軽くご飯3杯いけます。
第6問:競争上の優位性があるか?あなたにアドバンテージをもたらす、つながりや知識、資格、ストーリーといったものがありますか?または、競争の激しさが、大したものではないと思える程度のものですか?
例えば、僕らがOnline School Building 2.0を作ったとき、同様のことを教えるコースが他にもたくさんあることに気付きました。ですが、ビジネスを成長させる方法、SNSのフォロワーを増やす方法、といったどれもくだらないものばかり。こうした情報商材が提供していたものは、Googleでちょっと検索すればすぐに分かる程度の、お粗末な二番煎じのアドバイスでした。競争と言うほどのものはなく、これは僕らにとって大きなアドバンテージでした。
例えばJumpcut のProject Go というデート商品は、マイノリティであることがアドバンテージになることを証明してくれました。ぶっちゃけ移民のJessyとKongはハンサムではない。デートやナンパの商品というのはたくさんありましたが、講師はほとんどの場合、イケメン白人男性でした。彼らはオタク系のマイノリティとして、他の商品から取り残されたように感じていた、同じオタク系マイノリティの人々との関係を深めることができたのです。これもまた、大きなアドバンテージでした。
ベトナム系アメリカ人とインド系アメリカ人の移民が、モテない白人に対してデートのやり方を教えるなんて、そうとう根性ないとできないことだと思います。そういう意味で僕はJumpcutの2人を純粋に尊敬しています。僕にはできないことなので。
どうでしょう。あなたの優位性はなんでしょうか。あなたが提供するものや、あなたが誰で、どんな風に情報を提示するかについて、考えてください。そこに、優位性やアドバンテージをもたらすものはありますか?ここまで見てきた六つの質問は、アイディアを評価するときに、自分自身に対して問うべきものです。そして第7問〜第10問は、こちらは最終スコアとは無関係ですが、非常に重要であり、深く考えて頂きたい質問です。
第7問:他にも同様の商品が、市場に存在するか?勘違いしてはいけません、もし他の商品があるなら、それは良いことです。なぜなら、その商品に実際に需要があるということが、確実に分かるからです。全体的な問題やアイディアについてGoogleで簡単に検索して、類似の商品があるかどうかチェックしてください。自分のアイディアにいくらかでも関係するものが見つからなければ、おそらくそれは悪い兆候です。
あなたの商品が、その市場における最初の商品になる。これは素晴らしいことですが、チャンスはごくわずかでしょう。通常、同様の商品が市場になければ、それは誰も興味がないということですから。
第8問:ターゲットとなる見込み客は、ソリューションの費用を支払うことができるか?「可能かどうか」というのがキーワードです。これは、実際に利用可能な資金、クレジット、支払い方法等に基づいて決定されます。また、自身で購入の判断を下せるという、経済的自立性を備えていることも必要です。例えば、12歳の子どもを対象とした商品があるとします。彼らは、両親からクレジットカードを借りて使う許可を得ない限り、支払いをすることができませんよね。概して経済的な裁量の小さい人たちを顧客対象にするとビジネスは難しくなります。僕は100円の返金を求めて血相を変え消費者センターに駆け込む人がいることを知っています。
第9問:ターゲットとなる見込み客には、容易にリーチできるか?彼らがどこにいて、何をしているか、物理的にもデジタル的にもどこにいるのかを考えてください。リーチの規模に関して言えば、オンラインは人々にリーチする、最良かつ最も容易な方法と考えられます。オンラインでの人々とのつながりは、無料か、そうでなくても比較的安価です。スケーラブルで、地理的な制約もなく、世界中の人々にリーチできます。
一方で、チラシを配ったり、看板を立てたりすることは、人々にリーチする、より手の掛かる方法です。費用も時間も掛かり、地理的な制約にも縛られます。
例えば、自給自足生活をするアーミッシュの人々に農業に関するアドバイス本を売りたい場合、彼らはいかなる種類のテクノロジーも使用していないため、各コミュニティに紙のチラシを配っていく必要があります。彼らにリーチするのは、かなり骨の折れる仕事になるでしょう。その一方、ターゲットとなる見込み客の中でもビデオゲーマーたちは、長い時間オンラインでたむろし、彼らのコミュニティもかなりの数あるため、はるかに容易にリーチできます。
第10問:同じ見込み客に対して、解決できる問題が複数存在するか?解決できる問題は、多ければ多いほど良いです。同じ人々のグループに、一つに留まらず複数の商品を売れる可能性があるからです。一つの商品で年間500万円を売り上げるのではなく、三つの商品で1,500万円の売上が得られます。メリットがあるのがお分かりでしょうか?
さらなる稼ぎを得るにも、追加のオファーをするだけで良いのではるかに簡単です。新しい見込み客を獲得し、彼らにあなたのことを知ってもらい、好きになってもらい、そして信頼してもらうというプロセスを経る必要はありません。顧客は既にあなたのことを信頼しているのですから。
繰り返しになりますが、全部の質問に回答し終わったら、合計スコアを集計して、僕らの基準による実行可能性を評価してみてください。20ポイント以上なら「B」、25ポイント以上は「A」、15ポイント未満は「ゴミ」です。アイディアスコアカードを軽視してはいけません。もう一度言います、軽視しないでください。僕らが提供するものは文字通り、あなたのビジネスが成功するかどうかを示す、隠れた指標です。これはとても重要なもので、あなたにとって大きなアドバンテージをもたらす、裏技のようなものです。
次回以降のビデオでは、このスコアカード全体を通してご説明しています。もしアイディアスコアカードについて少し混乱されていれば、そちらをご覧ください。完全に理解したと思っておられる方にも、ぜひ見て頂ければと思います。これは非常に重要で、文字通り時間と労力、そしてお金を大幅に節約できます。次に進む前に、スコアカードについて完全に理解し、いくつかのアイディアをスコアカードに通してみてください。時間を取って、できるだけ多くのアイディアで試してみることです。
一つ、最も重要なことがあります。モジュール3をご覧になる前に、リストの中からローンチしたい有望なビジネスのアイディアを一つ、選んでおいてください。そのアイディアは、スコアカードを通して、最低でも20ポイントを超える評価を受けているはずです。一つを選ぶのが難しい場合は、最高得点のアイディアを選ぶか、または自分が最も好き、一番大切だ、と思うようなアイディアを直感で選んでください。さあ、選びましたか?
これで、オンラインコースのビジネスアイディアが得られました。これは大きな第一歩であり、これ以降進めていくにあたっての、すべての基盤となります。次回は、このアイディアを用いて次のステップに進みましょう。商品のターゲットとなる見込み客の構築に取り掛かっていきます。あなたの商品がどういった人々を対象としているか、といった商品のプロファイルを作り、見込み客とのつながりを形成する方法を学び、彼らと同じ考えを持てるようにしていきましょう。それではまた。
石崎式アイディアスコアカード
複製してお使いください。(Googleへのログインが必要です)
https://docs.google.com/document/d/1Bg_pxhT6tIJHQbXmKe9ewmlW7XRBoyhfAK5zn3d3ntk/copy