あなたはオンラインコース作成者として「誰に向けて教材を作れば良いのか」という悩みを抱えていませんか?多くの方が「幅広い層に役立つコースを」と考えて始めるものの、実際にはターゲットが曖昧なために内容がぼやけてしまったり、販売ページの言葉が刺さらなかったりするケースが少なくありません。ここではオンラインコースを成功させるための「ペルソナ設定」の方法を具体的に紹介します。
オンラインコースを作る上で、ペルソナ設定は成功の鍵を握る重要な作業です。曖昧なターゲット設定のままコース制作を進めると、内容の方向性が定まらず、結果として「誰にとっても中途半端な内容」になりがちです。しかし適切なペルソナを設定することで、コース内容のブレを防ぎ、説得力のあるコピーライティングが可能になり、受講者満足度の向上にも繋がります。一人の具体的な人物像を思い描くことで、あなたのオンラインコースは格段に魅力的になるはずです。
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ペルソナの土台を作るメタ情報
ペルソナ設定を始める際、最初に取り組むべきなのはメタ情報の整理です。デモグラフィック情報とも呼ばれるこの情報は年齢、性別、家族構成、学歴、住所、年収、職業などの基本的な情報で構成されています。まずはこれらを書き出してみましょう。こうした表層的な情報は、ターゲットの大まかな枠を絞り込む助けになります。
メタ情報を設定することで学習環境も想像しやすくなります。例えば「子育て中の30代で夜にしか学習時間が取れない」といった状況が見えてくれば、動画の長さや配信形態を適切に調整できます。また、既存の顧客データがある場合は、実際の年齢層や職業などと照らし合わせて、より現実的な設定にすることが可能です。
「架空の人物を想定しても意味があるの?」と疑問に思う方もいるかもしれません。しかしペルソナはあくまで特定の誰かをイメージするためのツールです。実際にはその人物と共通する悩みを持つ人が一定数いるものです。ここで最も効果的なのは、実在の”ベスト顧客”か「5年前の自分」をモデルにする方法です。
特に「5年前の自分」が優れているのは、当時の悩みや痛みを生々しく思い出せるからです。あなたは今の知識を手に入れる前、何に困っていたのか。その頃の自分の言葉遣いや考え方を思い出せば、非常に説得力のあるペルソナになります。
僕自身、まだオンラインコースに力を入れていなかった頃は「そこそこ英語ができる方を一気に対象にすれば、幅広く売れるだろう」と考えていました。しかし、いざ作って販売してみると「誰に刺さるのかが曖昧」になり、受講者からも「自分とは少しズレている」といった声をいただいたのです。
そこで、自分の過去に遡って「当時、こんなことで悩んでた」「こういう言い回しを使っていた」と細かく思い出して作り直したところ、受講者の反応が劇的に変わった経験があります。やはり5年前、10年前の自分を細かくイメージすると、コースの内容や言葉選びが格段に具体的になりました。
痛み、欲しい未来、緊急性でペルソナを深掘りする
メタ情報だけではまだまだ表面的なペルソナの姿しか作ることができません。それだとペルソナが弱くなります。本当に受講者の共感を得るためには、「痛み」「欲しい未来」「緊急性」といった生々しい感情を盛り込む必要があります。特に悩みや痛みにフォーカスすることが重要で、プラスの目標よりもフラストレーションを強調するのがポイントです。
例えばセミナー講師なら「立ち仕事がつらい」「客前でしゃべり続けて体調を崩しがち」といった痛みを設定します。英語学習者であれば「恥ずかしい思いをしたくない」「何度挑戦しても挫折する」など。こうした痛みをペルソナに設定すると、それを解消するオンラインコースのストーリーが組み立てやすくなります。
僕のクライアントは、過去にリアルセミナーを頻繁に開催していた頃、会場の冷房が直撃する場所で何時間も話し続け、翌日体調を崩したことがあったそうです。「これを体力的に続けるのは厳しい」と感じたのが、オンラインコースに注力するきっかけだったそうです。自分の痛みを起点に「同じようにセミナー疲れに悩む人」向けのコースを構想できたのです。
痛みだけでなく「欲しい未来・ゴール」をイメージすることも大切です。「英語が自然に口から出て、海外出張でも恥をかかない」「立たなくてもデジタルコンテンツ販売で安定収入を得られる」といったポジティブなゴールを描くことで、受講者の目標が明確になります。
さらに、緊急性はペルソナ設定において極めて重要な要素です。人は問題を抱えていても「今すぐ解決しなければならない理由」がないと行動しないものです。例えば「来月の海外プレゼンまでに英語力を上げなければ昇進できない」「このままオフラインのみで続けると体力的に3年持たない」「業界の変化についていけず、既存スキルの価値が急速に下がっている」など。
このような緊急性があると、ペルソナは行動せざるを得ない状況に追い込まれます。そういったペルソナの持つ緊急性や彼らの悩みに直結します。彼らの持つ緊急性を理解することが、深いペルソナ理解につながっていくのです。
ペルソナがキャラとして動くくらいにイメージする
僕はペルソナを「キャラクター」として頭の中で動かすことを心がけています。単なる情報の羅列ではなく、今何に悩み、どんな言葉を使っているのかをリアルに想像するのです。例えば「5年前の自分」をモデルにするなら、当時の生活リズムや口癖、葛藤などを思い出し、それをキャラクターに落とし込みます。
この頭の中でキャラクターを動かすという発想は、こち亀の秋本先生の話を元にしています。こち亀の秋本先生は、漫画を書くときに主人公の両津勘吉のペルソナがすごく明確にイメージできます。だから両津勘吉が勝手に動いて、物語を展開していく。それを漫画にしていくだけだ、というようなことを話していたんです。この話を聞いた時に、ペルソナもまさに同じだなと思いました。そのためにはやっぱり、できるだけ一人のペルソナに絞り込むというのが有効なんです。
僕たちも頭の中で「こういう状況になったら、彼はこんな言葉を発するだろう」と妄想できるくらいになると、コースのレクチャー制作やセールスコピーに没頭しやすくなります。ジェイエイブラハムの言葉に「商品に恋するな、顧客に恋しろ」という言葉があります。これはその通りでキャラクターの思考や感情が鮮明になれば、自分が伝えたいことより相手が本当に聞きたいことを優先できます。
キャラクター化の大きな利点は、オンラインコースの制作のスピードが格段に上がることです。あなたの頭の中で対話が進み「ここでつまづきそうだな」と想像できれば、そこに、補足レクチャーを入れるというようなことができます。「一人に絞ると他が外れる」と心配する方もいますが、むしろ「これは自分のことだ」と感じる人が増える傾向にあります。狭く深いメッセージこそ、多くの人の心に刺さるのです。
まとめ:ペルソナ設定がオンラインコースの成功を左右する
ここまでオンラインコースを成功させるためのペルソナ設定の方法についてお伝えしてきました。最後に要点を5つにまとめました。
- オンラインコースの成功には具体的なペルソナ設定が不可欠であり、曖昧なターゲット設定では内容がぼやけて中途半端な結果になりがちである。
- ペルソナ設定の第一歩はメタ情報の整理だが、それだけでは不十分で「痛み」「欲しい未来」「緊急性」といった感情面の深掘りが重要である。
- 最も効果的なペルソナのモデルは「実在のベスト顧客」か「5年前の自分」であり、特に後者は当時の悩みや言葉遣いを生々しく思い出せるため説得力がある。
- ペルソナは単なる情報の羅列ではなく「キャラクター」として頭の中で動かせるくらい詳細に設定すると、コース制作のスピードが上がり、説得力のあるコンテンツが作れる。
- 一人に絞り込んだ狭く深いメッセージこそが、多くの人の心に刺さり「これは自分のことだ」と感じてもらえるオンラインコースを作る鍵である。