あなたはオンライン講座を作成する講師や個人事業主として、受講生が途中で挫折してしまう問題に悩んでいませんか?せっかく素晴らしいコンテンツを用意しても、受講生がゴールまで辿り着けずに諦めてしまうケースが多発しているかもしれません。ここでは、受講生の迷子状態を防ぐための「マイルストーン」設定方法をご紹介します。
オンライン講座の運営において「受講生が講座の最後までたどり着けるか?」というのは講師にとって重要な指標の一つです。どれだけ価値のあるコンテンツを提供しても、受講生が最後まで学習を継続できなければ成果は出ません。特に高額で情報量の多い大きめのコースでは、受講生が現在地を見失いやすく、モチベーション維持が困難になります。ここでは受講者の離脱を防いでくれる「マイルストーン」の具体的な設定方法を詳しく解説していきます。
今回お届けするノウハウはこちら
サクセスパスとマイルストーンの基本概念を理解する
マイルストーンの設定方法を解説する前に、まずサクセスパス全体の概念を整理しておきましょう。
サクセスパスとは、受講生が現在の状態から理想の状態に到達するための道筋を示すロードマップです。一本の横線を想像してください。左端が「今の状態」、右端が「理想の状態」だとすると、この線上には受講生が乗り越えるべき様々な課題や学習ポイントが存在します。
このサクセスパスは三層構造で構成されています。最上位が「ステージ」で、これは大枠のフェーズを表します。例えばブログ講座なら「WordPressの設定」「記事の執筆」「収益化」といった段階がそれに当たります。中間層が「マイルストーン」で、各ステージ内での具体的な到達点を指します。最下位が「アクションステップ」で、マイルストーンを達成するための具体的な行動や課題を表します。
マイルストーンは受講生にとっての「小さな成功体験」の役割を果たします。最終ゴールが遠すぎて見えない時でも、次に達成すべき小さな目標があることで、受講生は学習を継続しやすくなるのです。重要なのは、マイルストーンをYES/NOで答えられる質問形式で設定することです。「できているか、できていないか」が明確に判断できるため、受講生は自分の進捗状況を正確に把握できます。
実体験から学んだマイルストーンの重要性
僕自身、GoProを使った動画制作の経験から、マイルストーンの重要性を実感しています。
元々僕はビデオグラフィーが好きで、YouTubeを見ながらPeter McKinnonの撮影技術なんかに興味を持っていました。そのため以前は、スノーボードの動画を撮影・編集する際、最初は「完璧な動画を作る」という大きな目標だけを掲げていました。しかし、その目標は遠すぎて、途中で挫折しそうになったことがあります。
そこで、目標を小さなマイルストーンに分解してみました:
- GoProの基本的な操作ができるか?
- スノーボード中に安定して撮影できるか?
- 基本的な編集ソフトの使い方がわかるか?
- 3分程度の短い動画を完成させられるか?
このように、YES/NOで答えられる小さな目標を設定することで、着実にスキルを向上させることができました。この経験は、オンライン講座の設計にも大きな影響を与えています。
サクセスパスにマイルストーンを入れるべき理由
オンライン講座で受講生が挫折する最大の要因は「ゴールが遠すぎて見えない」ことにあります。例えば「ブログで月10万円稼ぐ」という最終ゴールだけを示されても、初心者には途方もない道のりに感じられるのです。そこで重要になるのが、小さな成功体験を階段状に配置するマイルストーンです。
マイルストーンを適切に設定することで、受講生は「次の小さな目標」に集中できるようになります。ブログの例であれば「サーバーの契約」「初記事の公開」「10記事達成」といった具合に、達成可能な小目標を順番に提示するのです。これにより受講生は迷子にならず、着実に前進している実感を得られます。
特に高額でレクチャー数の多い講座に有効なので、巨大コースを作る際にはぜひ積極的に取り入れてみてください。受講生のモチベーション維持と完走率向上に直結するため、講座設計の初期段階で必ず組み込むべき要素なのです。
あなたの経験から「乗り越えるハードル」を書き出そう
マイルストーン作りの第一ステップは、受講生が乗り越えるべきハードルを洗い出すことです。あなた自身の学習経験や、過去の受講生がつまずいた瞬間を思い出してください。最初に立ちはだかる壁を具体的にリストアップしていきましょう。
例えばWordPress講座なら「サーバー選びで迷って前に進めなくなった」「管理画面にログインできずパニックになった」といった具体的なつまずきポイントがあるはずです。英会話講座であれば「最初の自己紹介で言葉が出てこなかった」「発音が恥ずかしくて声に出せなかった」などが挙げられるでしょう。
ハードルを書き出す際は、付箋やスプレッドシートを使って一気に洗い出すことをオススメします。この段階では質より量を重視し、思いつく限りのつまずきポイントを記録してください。後で整理・統合するので、重複や些細なことでも構いません。
抽出したハードルを「簡単→難しい」順に並べ替える
ハードルを洗い出したら、次は難易度順に並べ替える作業です。早期に「サクッと達成できる壁」を配置することで、受講生に自信をつけてもらうのが狙いです。最初の成功体験が、その後の学習継続に大きく影響するからです。つまり講座の前半で勢いに乗ってもらい、モチベーションを高めてもらうのです。
難易度の判断基準として「時間・コスト・技術」の3つの視点を使いましょう。時間がかからず、費用も安く、技術的に簡単なものから順番に配置していきます。ブログ講座の例では「サーバー契約」→「WordPress設置」→「記事10本投稿」→「月5万円達成」といった流れになります。
この並べ替え作業では、あなたの講座の特性に合わせた調整が必要です。技術系の講座なら環境構築を最初に、ビジネス系なら市場調査やターゲット設定を初期に配置するなど、ジャンルに応じた最適な順序を見つけてください。
ハードルをYES/NOクエスチョンへ変換する
マイルストーンを実用的にするためには、明確な達成基準が必要です。そこで、洗い出したハードルを「YES/NOで答えられる質問」の形に変換していきましょう。曖昧な表現では受講生が自分の進捗を正確に把握できないからです。
質問の基本フォーマットは「XXできるか?」です。例えば「自分のWordPressの管理画面にアクセスできますか?」「英語で30秒間の自己紹介ができますか?」「月間1万PVを達成できていますか?」といった具合に、明確な基準を設けます。
そして質問に対する答えがNOの人には、該当のレクチャーを見て勉強してもらうというイメージでレクチャーを作ります。逆にYESと答えられるのであれば、そのレクチャーは見る必要がありません。必要なノウハウや知識は既に持っているからです。
もしYES/NOで答えづらい質問になってしまう場合は、それは良いマイルストーンとは言えません。その場合は、さらに質問の粒度を細かくして分割してください。「良い記事が書けるか?」のような主観的な質問ではなく「記事内に見出しを3つ以上入れられるか?」「1記事1500文字以上書けるか?」のように客観的な基準に落とし込むのです。
このようにYES/NOで答えられる質問に変換することで、講座を作るこちら側も何を教えたらいいのかを明確にすることができます。これこそが僕がマイルストーンをYES/NOで設定するように勧めている理由です。
まとめ:マイルストーンで受講生の迷子状態を解消する
ここまでオンライン講座の受講生が途中で挫折しないためのマイルストーン設定方法についてお伝えしてきました。最後に要点を5つにまとめました。
- マイルストーンは受講生にとっての「小さな成功体験」として機能し、大きな目標達成までの道のりを明確にする。
- サクセスパスは「ステージ」「マイルストーン」「アクションステップ」の三層構造で設計すると効果的である。
- マイルストーンはYES/NOで答えられる質問形式で設定することで、受講生の進捗状況が明確になる。
- マイルストーン設定の第一歩は、受講生が乗り越えるべきハードルを洗い出し、難易度順に並べ替えること。
- 良いマイルストーンは「時間・コスト・技術」の観点から難易度を判断し、簡単なものから配置することで受講生の自信を育む。