あなたはオンライン講座を作りたいと思っている講師や専門家として、オンライン講座を作ったものの「受講生が途中で挫折してしまう」という課題に悩んでいませんか?多くの講座が情報提供で終わってしまい、受講生の行動変化に繋がらないのが現実です。つまり「ただ見るだけ」で終わっているのです。ここでは受講生が確実に行動できる「サクセスパス」の設計法と、知識を実行可能な指示に変換する「アクションステップ」の作り方を紹介します。
Udemyなどのeラーニング・オンラインコースの市場が急速に拡大する中、多くの専門家が自分の知識を講座として提供するようになりました。しかし、実際に受講生の成果に繋がる講座を作るのは想像以上に困難です。知識を持っていることと、それを効果的に教えることは全く別のスキルだからです。成功する講座と失敗する講座の違いは、情報の質ではなくカリキュラム設計にあります。ここからは受講生が「知っている」から「できる」状態になるための具体的な設計手法を解説していきます。
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なぜ多くのオンライン講座が情報提供で終わってしまうのか?
多くの講師が陥りがちな罠があります。それは自分の知識をすべて詰め込もうとする完璧主義の発想です。「この情報も大切、あの知識も必要」と考えているうちに、受講生にとって消化不良を起こすほどの大きなボリュームになってしまいます。
さらに深刻な問題は、行動設計の欠如です。多くの講座では「何をすればいいか分からない」状態で受講生を放置してしまっています。情報は提供したものの、それをどう実践すればいいかの具体的な指示がないのです。あなたも動画教材を見たけれど、全く実践に繋がらなかったという経験が一度はあるんじゃないかと思います。
成功するオンライン講座の特徴は明確です。講座の目標を「情報提供」ではなく「行動変化」にするのです。そして講座のカリキュラムも知識詰め込み型ではなく少しずつ段階的に実践する形に切り替えていきます。受講生の進捗は、理解度ではなく実行度合いでチェックしてください。受講生が実際に行動を起こし、結果を出せるかどうかが最も重要な判断基準になってきます。
サクセスパスで現在地から理想まで必要な全てを洗い出す
それを達成するためにサクセスパスという概念を紹介します。サクセスパスとは、受講生の現在地から理想の姿までの最短ルートを描いたロードマップです。
これは英語圏のオンラインコース界隈の大御所Stu McClarenが提唱した概念で、大きな目標を行動できる小さな単位のステップに分解する考え方です。
サクセスパス作成の基本手順は4つです。まずゴール設定で受講生の理想の姿を明確化します。次に現状把握で受講生の現在地である知識やスキルレベルを特定します。そしてハードル洗い出しで現在地から理想まで乗り越えるべき障害を全て書き出します。最後にステップ分解で各ハードルを小さなアクションに細分化していきます。
たとえば体重管理講座の場合、現在地は「ダイエットしたいが何をすればいいか分からない」状態です。理想は「3ヶ月で5kg減量し、習慣を維持できている」状態になります。その間のハードルは目標設定、食事改善、運動習慣、継続方法といった具合に整理できます。
アクションステップの細分化で知識を具体的行動に変換する
アクションステップが重要な理由は3つあります。まず具体性です。何をやればいいかが1秒で理解できるレベルまで明確にします。次に実行可能性で、今すぐ行動開始できるレベルまで細分化します。そして成果の可視化で、「できた」「できていない」を自己判定可能にします。
知識を行動に変換する手法として、まず「どうやって?」分解法があります。ある知識を教えたい場合、いきなり教えようとするのではなく「○○はできますか?」という質問形式に変換してください。そして受講生ができない場合を想定し、「どうやったらできるか?」をハウツー形式で細かなステップに分解します。
たとえば「プレゼン資料が作れるか?」というマイルストーンであれば、次のように分解できます。まずパワーポイントテンプレートをダウンロードする、次に3つのキーメッセージを付箋に書き出す、最後にスライド10枚以内で構成を組む、といった具合です。
2つ目の手法は「何が妨げているか?」逆算法です。受講生が次のステップに進めない要因を特定し、障害を取り除く具体的なアクションを設計します。よくある質問や過去の受講生のつまずきポイントが情報源になります。
たとえば「SNS投稿が続かない」問題であれば、投稿ネタを30個ストックしてネタ切れを解消する、投稿時間を毎日10時に固定して習慣化する、5パターンのテンプレート文章を作って作成時間を短縮する、といった対策が考えられます。
3つ目は「自分の経験」を活用する方法です。講師自身の学習過程を振り返り、当時のハードルを洗い出して作業指示に変換します。「あの時○○を知っていれば」という視点でリアルな体験談として受講生の共感を得やすくなります。
アクションステップ作成には3つの原則があります。ベイビーステップ化で赤ちゃんでもできるくらい小さく分解すること、具体的な名詞を使用してSNSではなくインスタグラムやツイッターと明記すること、時間制限を設定して5分以内で完了など作業時間を明示することです。
設計したカリキュラムを実践的なレクチャーに活用する方法
多くの講師が「何を話そう?」と悩む理由は、カリキュラム設計が曖昧だからです。サクセスパスとアクションステップを先に設計することで、話すべき内容が明確になり、受講生の視点でコンテンツ作成ができ、情報提供ではなく行動指導になります。
レクチャー作成の具体的手順は4つのステップです。まずアクションステップ1つをレクチャー1本として設計します。次に必要な理由を説明し、なぜこのアクションが重要なのかを冒頭で伝えます。そして具体的な手順をデモし、画面共有や実演でやり方を見せます。最後に完了基準を明示し、これができれば次に進んでOKということを明確化します。
実践的なレクチャーにするための工夫として、ビフォー・アフターでアクション実行前後の変化を具体的に示すことが効果的です。よくある間違いを事前に指摘して対策を提示し、チェックリストでアクション完了の確認項目を提供し、次回への接続で今回のアクションが次のステップにどう繋がるかを説明します。
たとえば「インスタグラム投稿時間を固定する」レクチャーの場合、なぜ投稿時間固定が重要かを習慣化の科学的根拠で説明し、スマホアプリで投稿予約する具体的操作方法をデモし、最適な投稿時間の調べ方を教え、1週間続けられたら次のステップであるコンテンツ企画への案内をします。
まとめ:アクションステップ細分化で行動できる講座を作る
ここまでアクションステップの細分化による講座設計について解説してきました。最後に要点を4つにまとめました。
- サクセスパス設計により、受講生の現在地から理想まで必要な全てを体系的に洗い出すことができる。
- アクションステップ細分化により、どんな専門知識も今すぐ実行可能な指示に変換することができる。
- 3つの分解手法を使うことで、受講生のつまずきポイントを事前に解消できる設計が可能になる。
- 設計済みカリキュラムを活用することで、実践的なレクチャーを効率的に作成できるようになる。