あなたはオンラインコースを作ろうとしている個人事業主や専門家で、「どんな風に撮影すればいいのか?」という最初の、そして最大の壁にぶつかっていませんか?「顔出ししないと売れないのでは?」「自分には高価な機材がないから無理だ」そんな思い込みが、あなたの素晴らしい知識が世に出るのを妨げているかもしれません。ここでは、成功しているオンラインコースの動画形式を全9スタイルに分けて徹底解剖します。
実は、成功しているオンラインコースの動画形式は一つではありません。高級なカメラで撮ることだけが正解ではないのです。成功の鍵は、あなたの教える内容とあなた自身に最も合った形式を選ぶことにあります。海外のプロが実践する主要な動画形式から、僕たちが数々のコース制作で辿り着いた実用的な形式まで、これを読めばあなたのコース作りの可能性が無限に広がり、迷わず最初の一歩を踏み出せるようになるはずです。
なぜ最初に「動画形式」を知るべきなのか?
動画レクチャーの形式の選択は単なる「見た目」の問題ではありません。後の「機材投資」「制作時間」「講師としてのブランドイメージ」という3つの重要な要素を決定づける、コース制作の最上流工程なのです。形式決定がなぜこれほど重要なのか、僕の実体験を交えながら解説していきます。
撮影準備のハードルがいかにモチベーションを削ぐか、具体例をお話しします。子供がようやく寝て、光も最高、スクリプトも完璧に準備して「よっしゃ、撮影するぞ!」と意気込んだとき、カメラのバッテリーがゼロだった絶望を何度味わったことか。形式選びは「いかに撮影までの手間を減らせるか」という視点が極めて重要なのです。
「顔出ししないと信頼されない」という不安も払拭しておきましょう。実際にUdemyで顔出しなしでもトップセラーになっている中野さんの事例や、海外の著名マーケター、マリア・コズ氏の例があります。スペイン人で英語が母国語でないGRUMOメディアの彼が、顔出しなしのスライド形式でUdemy初の年収1000万円超えを達成したのを見て僕は勇気をもらいました。重要なのは「何」を「どう」教えるか。顔出しはそのための数ある手段の一つに過ぎないのです。
あなたの選択肢はこの9つ!スタイル別完全解説
ここから紹介する9つのスタイルは、それぞれにメリット・デメリットがあります。自分のコースに当てはめながら「これならできそう」「これは自分のテーマに合うな」という視点で読み進めてください。
スタイル1:Talking Head(トーキングヘッド)
一言でいうと、カメラに向かって講師が語りかける「王道」スタイルです。フロントエンドのYouTube動画などで、プロフェッショナルな印象と権威性を示すのに非常に効果的です。ただし、編集が大変で、ダラダラ喋ると視聴者はすぐ離脱するため、基本的にはスクリプト(台本)が必須になります。
僕たちは意識的にYouTubeなど無料の集客コンテンツでこの形式を多用しています。一方で、有料のコースでは情報伝達効率を優先し、この形式は少ないです。目的によって使い分ける戦略が重要になります。権威性を示したい場面では強力ですが、制作コストとのバランスを考慮する必要があります。
スタイル2:Whiteboard(ホワイトボード)
一言でいうと、学校の授業を再現する「ライブ感」あふれるスタイルです。動きがあり受講者を惹きつけますが、素人が手を出すと火傷する最難関スタイルです。ホワイトボードの光の反射を抑えるには、高価な照明(Aputureなど)とそれを拡散させる広い部屋が必要不可欠です。
正直に言うと、日本で上手にやっている人をほとんど見たことがありません。大抵、ライトが反射して文字が見えないか、講師のおでこの汗まで見えてしまっています。見た目のインパクトは大きいですが、安易な選択は避けることをオススメします。
スタイル3:Paper Demonstration(紙の実演)
一言でいうと、手元の紙とペンで解説する、アナログ感と温かみのあるスタイルです。ホワイトボードと違い光を反射せず、照明が楽になります。付箋を貼り替えたり、紙をめくったりする「動き」で惹きつけることができます。
マーケティング界の巨匠ジェイ・エイブラハムの来日セミナーで印象的だったエピソードがあります。巨大スクリーンがあるのに結局フリップチャートだけで帰っていきました。このアナログ手法の普遍的な強力さを物語っています。温かみと分かりやすさを両立できる優秀な選択肢です。
スタイル4:Flat Screen(大型スクリーン)
一言でいうと、巨大モニターを背負ってプレゼンする「先進的」スタイルです。ClickFunnelsのラッセル・ブランソンが多用する、非常にクールな見せ方です。プレゼン資料と講師の存在感を両立できます。ただし、最低でも65インチ以上のモニターと広い部屋、高額な機材コストが必要になります。
見た目のインパクトは抜群ですが、投資額と制作の手間を考えると、よほど高額なコースでないと採算が合わない可能性があります。ブランディング重視で予算に余裕がある場合の選択肢と考えた方が良いかもしれません。
スタイル5:VO & Slides(ナレーション+スライド)
一言でいうと、パワポやKeynoteに声を乗せる「紙芝居」スタイルです。VOとはボイスオーバー(Voice Over)の略で、映像に後からナレーションを被せることです。この形式は制作が非常に楽で、顔出し不要なのが最大のメリットです。ただし、デザイン性の低いスライドや単調な話し方だと、受講者は即離脱します。
FXのチャート解説のように「ノウハウ自体に強烈な強度がある」か、GRUMOメディアのように「アニメーションなどで視覚的に飽きさせない工夫がある」か、どちらかの突き抜けた要素がないとサーバーの肥やしになってしまいます。
スタイル6:タブレット
一言でいうと、iPadで手書き解説する「デジタル版ホワイトボード」スタイルです。オンライン教育の草分け的存在であるカーン・アカデミーがこのスタイルを確立しました。顔出しなし・省スペースで、ホワイトボードのような「動き」と「ライブ感」を再現できる、非常にバランスの取れた形式です。
実際にOSB(Online School Building)で実践した際のTipsを紹介します。iPadをPCに繋ぎ、ScreenFlowで収録し、マイクは別録りすることで高音質を実現できます。手軽さと効果のバランスが優秀で、多くの分野で応用可能な万能選手と言えます。
スタイル7:Webcam + Slides(ワイプ+スライド)
一言でいうと、スライドの隅に自分の顔を映す「テレビ番組風」スタイルです。スライドの分かりやすさと、講師の表情による安心感を両立できます。最も手軽に実現できるハイブリッド形式と言えるでしょう。ScreenFlowなどのソフトを使えばオン・オフも自在です。
制作の手軽さと効果のバランスが非常に優秀です。特別な機材も不要で、Webカメラと画面収録ソフトがあれば今すぐ始められます。迷ったらまずはこの形式から始めることをオススメします。
スタイル8:Screencast(画面収録)
スクリーンキャストは一言でいうと、PC画面の操作をそのまま見せる「手順解説の決定版」スタイルです。僕たちが最も多用する、極めて実用的な形式です。ソフトウェア操作、プログラミング、デザインなど「見て真似る」が学習の最短ルートであるテーマでは、これ以上の形式はありません。
なぜこれがメインになり得るかを力説したいと思います。「ボーナス」ではなく、メインストリームとして扱うべき重要性があります。受講者の「できた!」という成果に直結しやすく、満足度が非常に高いからです。実用的なスキルを教える場合は、この形式を第一候補に考えてください。
スタイル9:Zoom Recording(Zoom対談)
一言でいうと、専門家との対談やコンサル風景を録画する「覗き見」スタイルです。教科書的な知識ではなく、リアルな質疑応答から生まれる「生きた知恵」を提供します。コンテンツとしての価値が非常に高い形式です。
「メガファネルエンジン」購入者から「先輩の肩越しに覗き見している感覚が良かった」という生の声をいただきました。作り込まれたコンテンツではなく、リアルな課題解決プロセスそのものが高価値な商品になるという近年のブレイクスルーを表しています。30万円の商品が生まれた背景には、このリアルさがあったのです。
まとめ:「あなたにとっての最適解」となるレクチャー形式を見つける
ここまでオンラインコースのレクチャーの9つの撮影スタイルを詳しく見てきました。最後に要点を4つにまとめました。
- オンラインコースの動画形式は9つの主要なスタイルがあり、それぞれに明確なメリット・デメリットが存在する。
- 「顔出し必須」「高額機材必須」という思い込みは不要で、コンテンツと自分に合った形式を選ぶことが成功の鍵である。
- 一つのコースで一つの形式に固執せず、ハイブリッド戦略で組み合わせることでコースの価値を最大化できる。
- 制作の手軽さと効果のバランスを考慮し、まずは取り組みやすい形式から始めることが継続のコツである。