あなたはコーチやコンサルタント、あるいはオンラインコースを販売している立場として、商品の価値をしっかり伝えているのに最後の決め手で「ちょっと高いです…」と断られた経験はありませんか?そのたびに値下げを検討し、気付けば自分の商品価値まで下げてしまっていないでしょうか。しかし、値下げに走るのは最も避けるべき選択肢です。短期的には売上に繋がるかもしれませんが、長い目で見るとブランドの信用や利益を削ってしまう非常にリスクの高い手段です。
ここでは「値下げせずに、顧客の高いという心の壁を乗り越える」ための2つの効果的な価格戦略について解説します。価格への抵抗が出るたびに即値下げを考える方は多いですが、その行動がいかに危険か、そして商品の価値を守りながら壁を突破するには何をすればよいのか。その具体策をわかりやすくお伝えします。
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ブランド価値を破壊する使い方と高める使い方
割引という手法は、扱い方次第でビジネスを大きく成長させることもあれば、一瞬で崩壊へと導いてしまう危険な側面も持っています。人間は「割引」という単語に非常に弱く、値引きによって本来より得をしたという満足感を得られるだけでなく、「今買わないと損をするかもしれない」という損失回避本能が強く刺激されます。

たとえば、街中で半額セールを見かけると無意識のうちに引き寄せられた経験は誰しもあるでしょう。それほどまでに強力な心理効果を持つ割引ですが、これを誤って運用してしまうと、逆に自分のビジネスを傷つけることになりかねません。
理由のない割引や、頻繁なセールを繰り返すと、顧客は「またすぐ安くなるだろう」と学習してしまいます。その結果、商品の定価に対する信頼が薄れ、価格だけで判断する質の低い顧客が集まりやすくなります。ブランドイメージも損なわれ、終わりなき薄利多売の悪循環へと巻き込まれるのです。
実際、僕の知人でも毎月のように割引キャンペーンを打ち続けていた人がいました。最初こそ売上が伸び、本人も手応えを感じていたものの、半年ほどで定価で購入する顧客がほとんどいなくなってしまいました。顧客は次のセールを待つように行動パターンが変わり、やがて彼は割引を止める勇気も持てなくなりました。なぜなら割引を止めれば一時的に売上がほぼゼロになってしまうからです。これがまさに、割引が麻薬のような恐ろしさを持つ理由です。
では割引を戦略的武器に変えるにはどうすれば良いのか?それには3つの絶対ルールがあります。
ルール1:大義名分を掲げる
1つ目は、大義名分を掲げることです。なぜ今だけ安くなるのか、納得できる明確な理由を示すことが重要です。

たとえば「創業◯周年記念」「新サービス先行リリース限定」「◯月だけの特別キャンペーン」など、顧客が「今回は特別なんだ」と思えるストーリーを添えます。このような大義名分があることで、顧客は普段は値引きされない価値ある商品が「今回だけ特別な理由で安くなっている」と受け止め、定価に対する信頼感も守ることができます。
ルール2:出口戦略を明確にする
2つ目は、出口戦略を明確にすることです。たとえば「〇月〇日まで」「先着〇名限定」など、はっきりとした期限や人数制限を設けることで、購入を迷っている顧客に「今決めなければ」と思わせる強いきっかけを与えられます。反対に、終わりが見えないセールはお得感も緊張感も薄れ、むしろ信頼を損なうことになります。
締め切りや数量限定の効果は絶大です。人は得をするよりも損をしたくないという損失回避に突き動かされます。明日には価格が上がると知れば、多くの人が今日中に決断しようとします。このような人間心理を活かすためにも、明確な出口戦略を必ず用意しましょう。
ルール3:目的を限定する
3つ目は目的を限定することです。割引は新規顧客獲得など、特定の目的を達成するための手段と割り切るべきです。何となく売上が欲しいからという理由で割引をしてはいけません。明確な戦略的目的がある時だけ、割引という切り札を使うようにしてください。
例えば新商品のローンチ時に先行割引を使うのは効果的です。まだ実績がない商品に対して、早期に購入してくれる顧客への感謝の気持ちとして割引を提供するわけです。これは大義名分もあり、期限も明確で、新規顧客獲得という目的も明確です。このように3つのルールを満たした割引だけを実施するようにしましょう。
支払いプラン:高額商品の支払いの痛みを消滅させる
次に紹介するのは、支払いプランの戦略です。これは高額商品を扱う際に、非常に大きな効果を発揮します。まず理解しておきたいのは、顧客が感じる支払いの痛みという心理です。購入者は商品の価値そのものではなく、一度に大きな金額を支払うことに対して強いストレスや抵抗感を覚えます。
たとえば、30万円の商品を提示した場合、どれほど内容が素晴らしくても、「30万円」という数字を見ただけで一歩引いてしまう人が多いものです。しかし、この30万円を12回の分割払いで提案した場合、月々2万5000円へと負担が小さくなります。
そうすると、顧客の脳は高額な買い物ではなく、少し高めの習い事のような感覚で捉え始めます。人は合計金額よりも、毎月支払う身近な数字の方が現実的に感じられるため、心理的ハードルが大きく下がるのです。まるで脳に錯覚を与えるかのようですが、実際に分割払いを導入すると、顧客の決断を強く後押しすることができます。

実際に、僕が自分のオンラインコースに分割払いプランを追加した時には、その効果をはっきりと実感できました。一括払いだけの頃は「興味はあるが今は難しい」と断られることが多かったのですが、分割という選択肢を示した途端、それらの断り文句は激減しました。顧客は本質的な価値には納得していたものの、一度に大金を払うことだけがネックだったのです。つまり、同じ商品・同じレターでも支払い方法を変えるだけで売上を伸ばすことができるのです。
このように、高額商品を販売している方には、支払いプランの導入は必須といえます。ただし、導入する際には顧客からの信頼を守るための3つのルールがあります。
ルール1:総額と支払い回数を必ず明記する
1つ目は総額と支払い回数を必ず明記することです。隠し事をしているような印象を与えてはいけません。透明性を担保することが信頼に繋がります。顧客は最終的にいくら支払うのか、何回に分けて支払うのかを明確に知る権利があります。
セールスページには、例えば次のように記載します。「一括払いの場合は30万円です。分割払いの場合は月々2万7000円の12回払いで総額32万4000円です。」このように一括と分割の両方の選択肢を提示し、それぞれの総額を明記してください。顧客は自分の状況に合わせて選べるようになります。
ルール2:分割払いには手数料を上乗せする
2つ目は、分割払いには手数料を上乗せすることです。これは決して悪いことではありません。分割払いを提供する側には、どうしても未回収リスクや毎月の請求管理といったコストが発生します。それを踏まえて、一括払いと比べて分割払いの総額を若干高めに設定するのは合理的な判断です。また、この価格の違いが「一括で支払えばお得」というインセンティブにもなります。
分割払いの手数料を請求することに後ろめたさを感じる方もいますが、それは必要のない心配です。分割払いは顧客にとって「今すぐすべての金額を用意しなくても購入できる」という便利な選択肢です。その利便性にはきちんと対価が生じるべきです。銀行のローンにも金利があり、クレジットカードの分割払いにも手数料がかかるのと同じことです。
実際のところ、分割払いを導入すると、事務手続きや未収リスクなど販売者側の負担は増えます。これらを考慮し、多くの場合は一括払いよりも5%〜10%ほど高い総額を設定するのが一般的です。一括払いを選んだ顧客には、安く済んだという満足感も提供でき、分割払いを選ぶ顧客には「少し多く払ってでも今すぐ始められる」というメリットを提供できるのです。
ルール3:ペルソナの懐事情に合わせる
3つ目はペルソナの懐事情に合わせることです。月々の支払額がターゲット顧客にとって無理のない現実的な金額になるように支払い回数を設定しましょう。大学生向けの商品と、経営者向けの商品では適切な月額は当然異なります。あなたの理想の顧客が無理なく支払える金額を逆算して、支払い回数を決めてください。
例えば月収20万円の会社員がターゲットなら、月々の支払いは1万円から2万円程度が現実的です。それ以上になると生活が苦しくなってしまいます。逆に月収100万円の経営者がターゲットなら、月々5万円でも10万円でも問題ないはずです。このようにターゲット顧客の収入レベルに合わせて、適切な月額を設定することが重要になります。
価格は数字ではなくコミュニケーション設計である
ここまで割引と支払いプランという2つの価格戦略について解説してきました。最後に要点を3つにまとめました。
- 価格は一方的に決めるものではなく、顧客心理を理解した上で彼らが最もスムーズにYESと言えるように設計するコミュニケーションである。
- 割引は明確な戦略を持った時だけ切り札として使い、大義名分・出口戦略・目的の限定という3つのルールを守る必要がある。
- 高額商品には支払いプランを導入することで支払いの痛みを軽減し、総額と支払い回数の明記、手数料の設定、顧客の懐事情への配慮を忘れないようにする。
