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石崎力也のコンサルティング「いしこん」

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1-3 人は論理ではなく感情で買う!断れないオファーを構成する4つの要素

Last updated on 2025年10月24日 By 石崎力也(編集者)

あなたは個人事業主やフリーランスとして自分のオンラインコースを作ったのに、思うように売れずに悩んでいませんか?「動画が50本もある」「スマホでも見られる」といった商品の特徴ばかりを説明しているのに、顧客の反応が薄いと感じているなら、それはあなたが間違ったものを売ろうとしているからです。ここでは、商品の説明を捨て、顧客の感情を動かして「買わせてください」と言わせる強力なオファーの作り方を解説します。

マーケティングの世界には「ドリルではなく、穴を売れ」という有名な鉄則があります。多くのコース制作者が犯す最大の過ちは、自分の商品のスペックばかりを語ってしまうことです。動画の本数、収録時間、テキストの分量など、これらはすべて「ドリル」そのものを売ろうとしている行為に過ぎません。しかし顧客が本当に欲しいのはドリルではなく、ドリルを使って開けられる穴、つまりコースを通じて得られる理想の未来です。感情を動かす魅力的なオファーを作ることができれば、無理なセールスは一切不要になります。

今回お届けするノウハウはこちら

  • フィーチャーとベネフィットの違い
  • 人が購入を決断するメカニズム:感情で買い、論理で正当化する
  • 魅力的なオファーを構成する4つのエンジン
    • エンジン1:ベネフィット(理想の未来)
    • エンジン2:緊急性・希少性(今すぐ買う理由)
    • エンジン3:社会的証明(安心感)
    • エンジン4:リスクリバーサル(失敗の恐怖を取り除く)
  • まとめ:商品を売る人からオファーを提案する人へ

フィーチャーとベネフィットの違い

コースを売るときに最も理解すべき概念が、フィーチャーとベネフィットの違いです。フィーチャーとは商品の機能や特徴のことを指します。例えば、スマホやタブレットで視聴できる、講師に質問できるサポート付き、ダウンロード可能なワークシートが付いている、などです。

これらは確かに商品の特徴として正しい情報です。しかし問題は、これらのフィーチャーが顧客の論理にしか訴えないという点にあります。人間の脳は論理的な情報だけでは購入を決断しません。

一方でベネフィットとは、その機能によって顧客が得られる恩恵や便益のことです。例えば、スマホで視聴できるという特徴は、通勤時間や家事の合間など、スキマ時間を活用して効率的に学べるというベネフィットになります。質問できるサポートは、つまずいても一人で悩まずに済むので、挫折せずに最後まで完走できる安心感が得られるという便益です。ワークシートが付いているのは、学んだ知識をすぐに実践に移せるので、より早く成果を出せるということです。

比べてみると明らかだと思いますが、後者の方が圧倒的に心が動きませんか?ベネフィットは顧客の感情に直接訴えかけ、理想の未来を想像させる力を持っています。ここで使える強力なテクニックが「So What?テスト」です。自分の商品のすべての特徴に対して「だから、何?」と問いかけてみてください。その答えがベネフィットになります。

例えば「動画が50本ある」に対して「だから、何?」と問えば「あらゆる角度から体系的に学べるので、知識の穴ができず、実践で自信を持って行動できる」という答えが出てくるはずです。次の「So What?」を繰り返すことで、より深いベネフィットが見えてきます。自信を持って行動できるから何なのか?それは「失敗を恐れずにチャレンジできるようになり、収入アップのチャンスを掴める」ということです。このように段階的に掘り下げていくと、顧客の本当の欲望に辿り着くことができます。

人が購入を決断するメカニズム:感情で買い、論理で正当化する

神経科学の研究によれば、人間の意思決定の95%は無意識の領域で行われていると言われています。つまり僕たちが「よく考えて決めた」と思っている判断のほとんどは、実は感情が先に決めているということです。

人間の脳は大きく分けて2つの部分に分かれています。大脳辺縁系と呼ばれる古い脳は、感情や欲求を司る部分です。そして大脳新皮質という新しい脳が、論理的思考や言語を担当しています。購入の意思決定プロセスを見ると、まず大脳辺縁系が「これ欲しい」という感情的な判断を下します。その後で大脳新皮質が「なぜこれを買うべきか」という論理的な理由を後付けで作り出します。

この順番が非常に重要です。感情が動かなければ、どんなに論理的に正しい説明をしても人は買いません。逆に感情が強く動けば、論理的な矛盾があっても人は購入を正当化してしまいます。例えば高級ブランドのバッグを買うとき、「品質が良いから」「長く使えるから」と論理的な理由を並べます。しかし本当の理由は「このバッグを持っている自分が好き」「周りから素敵だと思われたい」という感情です。

オンラインコースも全く同じです。顧客は「カリキュラムが充実している」「コスパが良い」といった論理的な理由で買うわけではありません。「この人みたいになりたい」「今の状況から抜け出したい」といった感情が購入のトリガーになります。論理的な情報は、その感情的な決断を正当化するための材料として後から使われるだけです。

だからこそ、あなたがセールスページやプロモーション動画で語るべきなのは、スペックや機能の羅列ではありません。顧客の心を揺さぶる物語を語る必要があります。彼らが抱えている痛みや悩みに共感し、その解決策としてのあなたのコースを提示しましょう。そして最も重要なのは、コースを受講した後の理想の未来を、五感に訴えるような鮮やかな言葉で描き出すことです。

感情を動かすことができれば、論理的な説得は最小限で済みます。人は感情で買い、論理で正当化するという原則を、絶対に忘れないでください。

魅力的なオファーを構成する4つのエンジン

ここまで感情を動かすことの重要性を話してきました。では具体的にどうすれば顧客の感情を動かし、断れないほど魅力的な提案ができるのか?その答えがオファーという概念です。多くの人はオファーを単なる「商品と価格のセット」だと勘違いしています。しかし真のオファーとは、顧客が断れないほど魅力的な価値提案全体のことを指します。

魅力的なオファーには4つの重要なエンジンがあります。これらすべてが揃って初めて、顧客の心を動かし、購入という行動を起こさせることができるんです。それぞれ詳しく見ていきましょう。

エンジン1:ベネフィット(理想の未来)

1つ目のエンジンはベネフィット、つまり理想の未来です。これはオファーの核心部分で、顧客が得られる最高の変革を示します。ここで重要なのは、抽象的な表現ではなく、五感に訴える具体的な言葉で描き出すことです。

例えば「電子書籍を出版することができる」ではなく、「1週間で出版社を通さず電子書籍を出版する方法を身に着けます。その結果、マーケットプレイスからお客さんを継続して集客できるような生活を送っています。」という具合です。

この描写が鮮やかであればあるほど、顧客の脳内では既にその未来を体験しているような感覚が生まれます。そして「これを手に入れたい」という強烈な欲望が湧き上がってきます。ベネフィットは顧客の感情に火をつけ、「欲しい」という気持ちを最大化させるエンジンです。

エンジン2:緊急性・希少性(今すぐ買う理由)

2つ目のエンジンは緊急性と希少性、つまり今すぐ買う理由です。人間には「今じゃなくてもいいや」と先延ばしにする習性があります。どんなに魅力的な商品でも、緊急性がなければ「また今度考えよう」となってしまいます。そして一度そのページを閉じてしまえば、二度と戻ってこない可能性が高いです。

期間限定のオファー、数量限定の特典、早期申込割引など、今すぐ決断しなければ損をするという状況を作り出しましょう。これは人間の「損失回避」という心理を刺激する方法です。人は何かを得る喜びよりも、何かを失う痛みの方を強く感じる生き物です。だから「今買わないと、この特典を失う」という状況は、強力な行動のトリガーになります。

ただし、偽の緊急性や希少性は絶対に使ってはいけません。毎週のように「今週限定」とやっていれば、すぐに信用を失います。本当に期間や数量を制限し、その約束を守ることが重要です。

エンジン3:社会的証明(安心感)

3つ目のエンジンは社会的証明、つまり安心感を与える要素です。人は不確実な状況で判断するとき、他人の行動を参考にする傾向があります。これを社会的証明の原理と言います。特にオンラインコースのような目に見えない商品の場合、この原理は非常に強く働きます。

お客様の声や実績、受講生の成功事例などを示すことで「みんなが選んでいるから大丈夫」「この人も成功したなら、自分もできるかもしれない」という安心感を与えることができます。可能であれば、顔写真付きの詳細な体験談、具体的な数字や変化のビフォーアフターを示すと、さらに説得力が増します。

エンジン4:リスクリバーサル(失敗の恐怖を取り除く)

4つ目のエンジンはリスクリバーサル、つまり失敗の恐怖を取り除く仕組みです。どんなに魅力的なオファーでも、顧客の頭の中には必ず「でも、もし失敗したら…」という不安が残ります。この最後の障壁を取り除くのがリスクリバーサルです。

最も一般的な方法は返金保証です。「30日間試して、満足できなければ全額返金します」といった保証を付けることで、顧客のリスクをゼロにします。すると「とりあえず試してみよう。ダメなら返金してもらえばいい」という心理が働き、購入のハードルが一気に下がります。

他にも、分割払いの提供や無料お試し期間の設定など、リスクを下げる方法は色々あります。重要なのは「この購入で損をすることはない」と顧客に確信させることです。そうすることで、最後の一歩を踏み出せない顧客の背中を押すことができます。

まとめ:商品を売る人からオファーを提案する人へ

ここまでオファーの作り方と、顧客の感情を動かす方法について解説してきました。最後に要点を3つにまとめました。

  • 顧客はフィーチャーではなくベネフィットを買う。商品の特徴ではなく、それによって得られる理想の未来を語ることが重要である。
  • 人は感情で購入を決断し、論理で正当化する。論理的な説明よりも、感情を揺さぶる物語を語る必要がある。
  • 魅力的なオファーは、ベネフィット、緊急性・希少性、社会的証明、リスクリバーサルの4つのエンジンで構成される。

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