あなたはポルトガルへの移住を考えているフリーランスや個人事業主として、D8ビザの申請プロセスで何に注意すべきか分からず不安を感じていませんか?ビザ申請は想像以上に複雑で、ちょっとした準備不足が大きな遅延や出費につながります。ここでは僕が実際にD8ビザ申請で経験した失敗ポイントと、その回避方法について紹介します。
ポルトガルのD8ビザ申請は、多くの移住希望者が途中で諦めてしまうほど難しいプロセスです。海外の掲示板レディットを見ていると、僕と同じような問題に直面している人がたくさんいます。これから申請するあなたには同じ失敗を繰り返してほしくありません。ここからは、具体的な失敗ポイントとその対策を解説していきます。
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銀行口座開設の壁:フリーランスの収入証明が最大の難関
ポルトガルでの銀行口座開設は、D8ビザ申請プロセスの中でも特に高いハードルです。僕が最初に困ったのは、銀行から給与明細を要求されたことでした。フリーランスなので給与明細というものが存在せず、その代わりに1年分の所得税申告書を提出しました。正直、直近3ヶ月の給与明細よりも、公式な税務署発行の申告書の方が信頼性は高いと思います。しかし銀行側からは、「オランダ語なので読めない」という理由だけで受け付けてもらえませんでした。英訳したものを再提出しても連絡が途絶え、手続きを進められなくなってしまいました。口座が開設できなければ申請プロセスもストップします。
さらに、銀行から求められる書類は予想以上に多く、1社目では職業証明・6ヶ月以内の各種書類・納税者番号・携帯番号・家族情報・金融資産額・直近3ヶ月の銀行明細・不動産情報と評価額など細かく要求されました。ところが2社目では驚くほど少ない書類で口座開設できました。実はどちらも最終的には同じミレニアムバンクでしたが、担当エージェントによって求められる書類や手続きの難易度が大きく違っていました。こうした点からも、どのエージェントを通すかによって、口座開設の難易度が大きく左右されるのだと実感しました。

フリーランスにとって収入証明は銀行口座だけでなく、ビザ申請全体の悩みどころです。普通の雇用者と異なり、一般的な給与明細が用意できないので、どの書類が通用するかを事前によく調べておくことが必須です。経験から言うと、所得税申告書はD8ビザ申請時には非常に有効ですが、それでもしばしば給与明細を求められる場面があります。多くのD8ビザ申請者はリモートワーカー(会社員待遇)として話が進む前提があるため、毎月の給与明細の提出を当然のように要求されることが多いです。本当にフリーランスとして働いている場合は、収入証明をいかに用意するかが重要です。
僕は所得税申告書の他にも、コンサルティング契約書を添付しました。契約書には入金予定日や金額が記載されており、銀行明細も合わせて提出しました。このように、フリーランスの場合は収入証明が複雑化しがちなので、証拠書類を事前に整えておくことがとても大切だと痛感しました。
公証・翻訳の無駄な往復で失った時間とお金
公証や翻訳の手続きでは、想定以上に時間もお金も消耗しました。たとえば銀行口座開設の際、パスポートのコピーに対する認証が必要と言われ、現地でオランダの弁護士事務所を探して依頼する羽目に。たったひと言サインをもらうだけで150ユーロ(約3万円)も取られた時は、本当に驚きました。こんな単純な認証のために、大きな出費が発生します。
今振り返れば、はじめからこうした公証や書類認証作業も含めて対応してくれるエージェントを選ぶべきでした。実際、2社目のエージェントはこれらをまとめて請け負ってくれて非常にスムーズでしたが、1社目は公証や翻訳がすべて追加料金となり、想定以上の費用がかかりました。ビザ申請の過程では、ほぼすべての書類で何らかの公証や翻訳が必要になるため、その費用が最終的な総額に大きく影響します。
実際、アメリカから申請していた人は、公証や翻訳、各種手数料を含めてトータル2万ドル(約300万円)かかったと言っていました。僕は半額以下ですみましたが、それでもかなりの出費でした。最初は安価に見えるエージェントでも、書類認証や翻訳がすべて別料金だと一気にコストが膨らむケースが多いです。そのため、エージェント選びの最初の段階、特に初回ミーティングの時点で、公証や翻訳のサービスが料金に含まれているかどうかを必ず確認しましょう。
もし「後から別料金です」と言われてしまえば、その時点では既に手続きが進んでいて後戻りできません。最初の段階で全体のサポート範囲と費用をしっかり把握することが、余計な出費やトラブルを避けるポイントです。
エージェント選びの失敗がすべてを左右する
僕が最初に失敗した一番大きな理由は、エージェント選びを間違えたことでした。現地の事情をしっかり把握していないエージェントや、ビザ申請代行を副業として行っているようなエージェントは、どうしても専門性や経験が足りません。小規模な法律事務所がサービスの一環として申し込みを受けている場合も、費用が高いのに実際は扱った事例が少なく、十分なノウハウを持っていないことが多い印象です。必要書類すら把握できていない弁護士もいましたし、実際、移民局が出す書類の要件は状況によってたびたび変わるので、弁護士でも100%最新情報を追えているか分かりません。だからこそ、移住サポートを専門にしている会社を選ぶのが本当に重要だと思います。
ネットのレビューや口コミ評価もあまり当てになりません。実際、高評価のレビューで紹介されているエージェントに依頼したこともあるのですが、期待通りのサービスは受けられませんでした。よくある5つ星評価のレストランに行って「あれ?」と感じることがあるように、ネット上のレビューは作ろうと思えばいくらでも操作できますし、「口コミサイトで5つ星評価を付けてくれたら割引します」といった方法でレビューを集めているケースもあります。だから、見かけ上の評価だけで判断するのはリスクが高いと感じました。
また、エージェントによってサポートの内容や範囲が全然違うことも身をもって実感しました。最初のエージェントは「家族それぞれ個別で申請してください」とだけ言い、家族全員でおよそ5,000ユーロの初期費用がかかると説明されました。ところが2社目のエージェントは、僕をメイン申請者として後から家族を呼び寄せる方法を提案してくれたり、家族分の書類準備もまとめてサポートしてくれたりと、最初よりずっと手厚い対応でした。最終的には大使館から「家族ごとに申請が必要」と言われたんですが、書類の準備などもサポートしてくれたおかげで、家族全員分の手続きをスムーズに進めることができました。自分の書類を集める途中で自然と家族分も整っていく感覚で、「エージェントによってここまで違うんだ」と痛感しました。
そして、ポルトガル特有の商習慣として、見積もりには含まれていなかった追加費用が後からどんどん発生することにも注意が必要です。最初に聞いた金額が最終的な費用になるとは限らず、手続きを進めるうちに予想外の追加請求が来ることがあります。最初の見積もりや説明だけで安心せず、サポート内容や最終的な費用の全体像を細かく確認しておくことが、トラブル回避のために本当に大切だと強く感じました。
準備不足だった書類が引き起こした遅延
必要書類についての事前準備が足りなかったことも、大きな失敗の一つでした。正直、どの書類が必要か最初から完璧に把握するのは難しいものです。日本国内にD8ビザやD7ビザ専業の弁護士や移住サポート業者があれば便利ですが、そもそも日本人のポルトガル移住例自体が少ないため、ノウハウの蓄積は進んでいません。結果的に利用するのは、Anchorlessのような国際的なサービスになる場合が多いですが、それでも日本人のケースには不慣れなことが多いと感じました。
例えば僕は、オランダに移住する際には日本人の渡航事例が増えていて、オランダの移民弁護士も戸籍謄本の存在を認識し、英語表記で書類リストに記載してくれました。しかし、D8ビザ申請エージェントはほとんどの場合、戸籍謄本まで把握していないことが多く、必要書類一覧を最初から万全に入手するのは不可能に近いと実感しています。
こうした背景もあり、「これは必要かもしれない」と思った書類は、費用が比較的安いものなら、念のため先回りして集めておくのが得策だと強く感じます。万が一使わなくても、追加で取り寄せる手間やタイムロスを考えると、事前準備の安心感は非常に大きいです。
また、賃貸契約書については、ビザが下りる前に契約完了している必要があります。つまり、仮にビザが不承認だった場合も、最低1年間分の家賃を支払い続けるリスクがあります。実際、僕も2024年3月にポルトガルの物件を契約し、実際に渡航したのは10月。半年分の家賃をムダに払い、その間さらにオランダの家賃も発生したため、家計への負担は相当なものでした。

さらに収入証明の難しさも実感しました。フリーランスの場合、毎月売上が変動するため、安定収入を示すための契約書や税申告書の用意が不可欠です。D7やD8ビザでは、直近3ヶ月分の給与明細や、直近半年間の総入金額が要件を満たしている必要があり、双方を揃えておくことが安全策です。僕は最終的に所得税申告書、コンサルティング契約書、入金記録を提出し、さらに資産証明(不動産評価額や証券会社の残高証明書、ポルトガル銀行への送金記録)も補足資料として用意しました。
一方で、最初の申請時はこれらすべてを揃える気力も余裕もなく、書類の多さと銀行口座開設の壁に圧倒されて断念した経緯があります。やはり、念のための書類を先んじて準備する姿勢が、申請全体のスムーズさにつながると感じました。
翻訳・公証の重要性を甘く見ていた代償
ポルトガルの行政手続きは「ビロクラティック」―つまり官僚主義的で手間が多い―とよく言われます。実際、僕がオランダにいたとき出会ったポルトガル人のミュージシャンも、「ビロクラティック」「コラプション(汚職)」と繰り返し嘆いていました。この「ビロクラティック」という言葉は彼だけでなく、複数のポルトガル人から何度も耳にしました。それほどまでに、お役所的な煩雑さや面倒がつきまといます。
どれくらいビロクラティックかというと、日本人の感覚からすると「こんな手順いる?」と思うことも多く、時にそれが面白く感じるレベルです。実際に住むと、もはやひとつの現地エンターテインメントだと思って受け入れる心の余裕が求められるでしょう。
そして、ほぼ全ての書類で「翻訳」や「認証(公証・アポスティーユ)」が求められます。僕自身も、提出した書類のほとんどすべてに公証やアポスティーユを取った記憶があります。特に初回の挑戦時には、ただ銀行口座を開設するだけなのに、パスポートのコピー(しかもデジタルデータ)にまで公証をつけろと言われ、「本当に必要?」と心が折れかけました。ちなみにオランダでビザ申請した際は、そのような手間は一切ありませんでした。
結局、ポルトガルではどの書類にも翻訳+公証(あるいはアポスティーユ)がセットで必要になると考えておいた方が間違いありません。これは避けて通れない現実だからこそ、最初からこういった煩雑な翻訳・認証作業まで全てサポートしてくれるエージェントを選ぶことが重要です。これらが別料金で積算されると、費用も時間も想像以上に膨らむので、ぜひサービス内容をしっかり確認しておきましょう。
書類の有効期限切れという見落としがちな落とし穴
申請には想像以上に時間がかかるものです。ネット上の申請期間の目安はほとんど参考になりません。自分がどの国から申請するか、どのエージェントに当たるか、移民局の予約場所はどこか、こうした要素によって、かかる時間が大幅に変わってしまいます。エージェントも「だいたいこのくらい」とは教えてくれますが、実際にはその想定よりもはるかに長い時間がかかったのが現実です。
そして申請中に最も厄介なのが、各種書類の有効期限切れです。ビザ申請では多くの書類が直近3ヶ月以内発行を求められますが、申請プロセスや書類のやり取りをしているうちに、その3ヶ月がどんどん過ぎてしまいます。例えば、日本から戸籍謄本や出生証明を取り寄せても、いざ提出となる頃には有効期限を超えてしまい、再度同じ書類を新たに取得し直すハメに。特に、ビザがおりてから在留カード取得までにポルトガルへ渡航し、移民局の予約待ちをする場合、ここでも何ヶ月もかかり、その間に追加で新しい書類を用意する必要が何度も出てきます。
こうした無限ループの代表例が航空券です。僕は2024年5月に渡航予定だったので3月に賃貸契約書を作成しましたが、結局実際に渡航できたのは10月。追加書類の手配や手続きの遅れにより5月の航空券は無駄になり、9月分のチケットも「どうせまた変更になるだろう」と捨てる前提で安いチケット(ライアンエアー等)を手配しました。実際、最初の2回分の航空券は見送ることに。オープンチケットを買う手もありますが、通常の航空券より高くつきます。そのため、安いチケットを何枚も買い直す形になり、余計な出費がかさみます。
このように、書類の有効期限や申請期間の長さを甘く見積もっていると、予想外のコストや手間が何度も発生します。申請に必要な期間は、自分が想定している倍以上になるつもりで準備をしておくことをおすすめします。
まとめ:失敗から学んだポルトガル移住の教訓
ここまでポルトガルD8ビザ申請で僕が経験した失敗ポイントについて解説してきました。最後に要点を7つにまとめました。
- フリーランスの収入証明は所得税申告書と契約書、入金記録を組み合わせて準備する。
- 公証・翻訳作業はほぼすべての書類に必要なので、公証翻訳費用が含まれているエージェントを選ぶ。
- エージェント選びがすべてを左右するので、移住専門で実績のあるサービスを選ぶ。
- 必要書類は先回りして集められるものは早めに集めておく。
- ポルトガルの手続きはビロクラティックで予想以上に役所仕事が多い。
- 書類の有効期限は3ヶ月が多く、申請期間は想像の倍かかると思っておく。
- オンラインでのレビューの高さよりも、初回ミーティングでサービス内容を詳しく確認する。
