あなたはポルトガル移住を検討しているフリーランスや起業家として、D7とD8のどちらのビザを申請すべきか迷っていませんか?ネット上の情報は古かったり不正確だったりして、判断に困っている状況かもしれません。ここでは僕の実体験を通じて、D8ビザに関するよくある誤解とその真実、そして収入証明について紹介します。
ポルトガルのビザ情報は日々更新されていて、2020年頃の情報と現在では大きく状況が変わっています。特にフリーランスやオンラインビジネスで収入を得ている人にとって、どのビザが適切か、どう収入を証明すべきかは非常に重要な判断ポイントです。ここから僕がD8ビザを選んだ理由と、実際に直面した問題について詳しく解説していきます。
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僕がD8ビザを選んだ3つの理由
僕がD8ビザを選んだ理由はいくつかあります。まず、僕の主な収入源はUdemyやTeachableなどのオンラインコースプラットフォームでの売上でした。これらは信頼できる大手プラットフォームであり、上場企業やAmazon(Kindle印税も含む)など、一般的に社会的信用力も高いです。そのため、こういったプラットフォーム経由の売上やアフィリエイト収入、Kindle印税なども収入証明として認めてもらえるのではと考えていました。しかし、実際にはそれほど単純ではありませんでした。
次に、ビザ申請をサポートしてくれたエージェントにも相談しました。僕が依頼したエージェントは、移民弁護士との面談やアポイントの調整もサービスに含まれていましたが、これはエージェントによって違うようです。僕の場合は幸いにも、D7ビザとD8ビザ両方に詳しい弁護士と直接話すことができ、その助言をもとに最終的な判断をしました。
弁護士からは「あなたの収入証明はD8ビザの方が大使館に説明しやすい」と教えられました。なぜなら、僕の収入にはフリーランス的な要素も多く、これをD7ビザで申請しようとしても大使館側が納得しにくいというのです。ちょうどD8ビザが新しくできたタイミングだったこともあり、「D8ビザの方が早いのでD8ビザで申請した方が良い」とアドバイスされました。実際、申請から取得までは1〜2年かかりましたが、もしD7ビザにしていたらそれ以上の時間がかかっていたかもしれません。今振り返ると、D8ビザを選択して本当によかったと思っています。
よくある誤解1:フリーランスはD7ビザでOK
1つ目の誤解は「フリーランスならD7ビザで問題ない」という点です。僕自身、最初はそう信じていました。2020年前後に最初のポルトガル移住を考えた時、エージェントから「D7ビザで大丈夫ですよ」と案内されました。おそらく当時はD8ビザがまだ制度として整っていなかったのだと思います。
しかし現在では、フリーランスや個人事業主はD8ビザが原則となっています。以前はD7ビザで対応できた時代もありましたが、今ではそのやり方は通用しません。ネット上にはD7ビザについての情報が多く、検索するとD7ビザであるという情報ばかりが出てくるので混乱してしまいがちですが、これらの情報は古くなっている場合が大半です。特に実際にリモートで働くフリーランスや起業家は、申請時には必ずD8ビザを選択することをおすすめします。
よくある誤解2:Udemyやアフィリエイト収入は不労所得として認められる
2つ目の誤解は、「Udemyやアフィリエイト、Kindle印税といったネット収入が不労所得として認められる」という点です。たしかに、これらは一度コンテンツを作ればその後も自動で売れ続けるため、不労所得っぽいイメージがありますよね。noteの販売なども同様です。
ですが現実には、株の配当や不動産の家賃収入のような典型的な不労所得と、オンラインビジネスの収入は区別されています。大使館、そしてさらに本国の移民局(AIMA:アイマ)による審査が行われるのですが、その中でオンライン収入は不労所得としては認めてもらえないケースの方が多いです。
「自分では不労所得だと思うからD7でいけるだろう」という自己判断にはかなりリスクがあります。申請してみないと分からない部分もありますが、もし却下されると時間も費用も大きく失ってしまいます。自己判断で進めるのはリスクが高いため、迷う場合は必ずエージェントや移民弁護士に相談して、事前に判断を仰ぐことを強くおすすめします。
よくある誤解3:D7とD8で収入基準が大きく違う
3つ目の誤解は、D7ビザとD8ビザでは収入基準が大きく異なるという点です。実際には、両ビザとも収入基準に大きな差はありません。つまり、必要な収入額についてはきちんと満たしていれば、どちらでも大きな違いはないと言えます。
ただし、両者の最も大きな違いは「収入の証明方法」にあります。D7ビザの場合は不労所得(例:家賃収入や配当など)を証明する必要があり、D8ビザでは労働・事業による収入(フリーランスやリモートワークなど)を証明する必要があります。たとえ年収が同じでも、その収入の性質によって適したビザが変わります。
重要なのは、いくら稼いだかより、どうやって稼いだかです。自分の収入源がどちらに該当するか、事前にエージェントや専門家に相談して判断することをおすすめします。
よくある誤解4:D8ビザを取得するのは難しい
4つ目の誤解は、D8ビザを取得するのは難易度が高いというものです。実際には、D8ビザの取得自体よりも、その後に行う在留カードの取得のほうがはるかにハードルが高いです。よく「D8ビザを取れば終わり」と思いがちですが、それはあくまで第1ステップに過ぎません。僕自身、この「1段階目・2段階目」という流れを深く理解したのはD8ビザ取得後でした。
ビザ取得後、移民弁護士から「大使館に依頼してアイマ(AIMA:移民局)のアポを取ってください」と案内されました。しかし大使館からは「現在は申請者が非常に多く、あなたのためにアポを手配することはできません」と断られてしまいました。要は、大使館の手を離れた後は自分自身でアイマのアポイントを取らないといけないのです。
僕の場合、オランダ滞在中に何度もアイマ(AIMA:移民局)に電話しましたが、ほとんどは自動音声に繋がるばかりで、人と話せることは稀でした。幸運にも担当者と繋がったとしても「現在は空きがないので、日を改めて連絡してください」と言われてしまう状況でした。
この経験から分かったのは、「ビザ申請よりもその後の各種プロセス(特に在留カード取得)のほうが格段に難しい」という事実です。D8ビザの取得自体をゴールとせず、その後の手続きも十分に見越して準備を進めておくことが非常に大切です。
収入証明の実際:契約書があると圧倒的に有利
ここからは収入証明についてもう少し具体的に説明します。結論として、D8ビザを申請する場合、契約書があると圧倒的に有利です。Udemyなどのオンラインプラットフォーム経由の収入は、その仕組み上、証明が非常に難しいケースが多いです。
契約書があれば収入の相手先(クライアント)が明確に記載されていますが、Udemyのようなプラットフォーム収入では、個別のエンドユーザーと直接契約しているわけではなく、契約相手の具体名も出てきません。そのため、プラットフォームの売上画面のスクリーンショットや明細を提出しても、大使館側から「この収入が本当にあなたのものか」を判断してもらうのが難しくなります。
実際、僕自身はTeachableやClickFunnelsなど自社プラットフォームで多くの収入があり、それで証明をしようと考えていましたが、エージェントや弁護士から「それだけでは証明が難しい」と指摘されました。最終的にコンサルティングの契約書を翻訳し、それを収入証明のメイン書類として提出しました。


こちらは、デジタルノマド向けのビザチェックリスト(2024年時点のもの)です。上部のコメントはエージェントによる追記ですが、リスト自体は公式な書類です。内容は今後アップデートされる可能性がありますが、基本的なポイントは同じです。リスト内の「specific document(特定の書類)」の項目は、申請者本人に必要な書類となります。
さらに、「in case of subordinate work(会社員の場合)」は給与明細を提出するだけで証明が済むため手続きは比較的シンプルです。しかし「in case of independent professional activity(自営業の場合)」となると、「society contract(会社設立契約書)」や「contract of service provision(契約書等)」の提出が明確に求められています。
つまり、契約書が収入証明の要として非常に重要視されています。実際、別ページで「直近3ヶ月の収入証明でも可」と記載はあるものの、それだけでは証明内容に不明瞭な点が残りやすいため、やはり契約書を提出するのがもっとも確実だと説明を受けました。
僕自身も当初はUdemyなどのプラットフォームからの収入だけで大丈夫だと思っていましたが、最終的にはきちんとした契約書がある方が安心という結論です。D8ビザ申請を考えている方は、可能な範囲で、契約書ベースの収入証明を準備することを強く推奨します。
契約書の公証には想像以上のコストがかかる
次に、契約書の公証に関する実体験をお話しします。僕は「いしこん」という石崎力也のコンサルティング名義の業務委託契約書を作成し、これをポルトガルの弁護士に公証してもらいました。公証手続きの際は翻訳もセットで行われますが、この翻訳に誤りがある場合も多いため、必ず自分自身で内容を確認する必要があります。
また、以前利用したエージェントの際はオランダの弁護士にノータライズ(公証)を依頼する必要がありましたが、例えばパスポートのコピー1ページの公証だけでも150ユーロかかりました。経営コンサルティング契約書のようにページ数が多い場合、その見積もりを取ってみたところ、なんと1000ユーロほどになると言われたこともあります。今後、このような公証作業は複数回発生する可能性があり、毎回1000ユーロの出費がかさむことを考えると、かなりの負担になります。
したがって、エージェントを選ぶ際は、翻訳料金や公証料金が最初から含まれているかどうかを必ず確認しましょう。これは前にも強調した大事なポイントですが、コスト面を事前にしっかり把握しておくことが非常に重要です。
まとめ:実体験から学ぶD8ビザ申請の判断ポイント
ここまでD8ビザに関する実体験とよくある誤解について解説してきました。最後に要点を5つにまとめました。
- フリーランスや起業家は現在D8ビザで申請することになり、D7ビザは適用されない。
- Udemyやアフィリエイトなどのオンラインビジネス収入は不労所得として認められない可能性が高い。
- D8ビザ取得は1段階目に過ぎず、在留カード取得というさらに難しいプロセスが待っている。
- 収入証明には契約書があると圧倒的に有利で、プラットフォーム経由の収入は証明が難しい。
- 公証作業には想像以上のコストがかかるため、エージェント選びの際に料金体系を必ず確認する必要がある。
