あなたはポルトガルへの移住を目指している個人事業主やフリーランスとして、ビザ申請の長期化による精神的な負担や予算の不安を感じていませんか?ビザ申請は想像以上に長いプロセスで、その間のメンタル管理が成功の鍵を握ります。ここでは実際にD8ビザを取得した経験から学んだ重要な教訓を紹介します。
ビザ申請は短期間で終わるものではなく、実際には数ヶ月から場合によっては1年以上かかることも珍しくありません。そのため、長いプロセスの中でメンタルを維持することはとても難しいと感じます。特に家族での移住となると、生活拠点を移すという大きな決断と向き合う必要が出てきます。僕自身、最初の申請では諦めてしまい、2度目の挑戦でようやくビザを取得しました。この経験を通じて、どんなことを考え、どのような学びがあったのか、ここから詳しくお話ししていきます。
今回お届けするノウハウはこちら
焦らないことの大切さを痛感した1年間
僕は自身で運営しているオンラインコミュニティで、その時々の気持ちをありのまま投稿しています。2024年は同じことの繰り返しのように感じる1年でもありました。ビザ申請中は常に心が落ち着かず、どこか上の空で日々を過ごし、「このままオランダに住み続けるのか、それともポルトガルで新年を迎えることになるのか?あるいは日本へ戻ることになるのか?」といった先の見えない不安とともに毎日を送っていました。最終的には無事ポルトガルで年越しを迎えましたが、2024年1月にビザ申請の決断をした時点では、翌年自分がどこで暮らしているのかまったく想像できていませんでした。
仮に僕が日本で暮らしていたなら、特に大きなモチベーションは必要なかったと思います。日本人が日本で暮らし続けるというのは、ごく自然なことだからです。でも、当時の僕はオランダにいたため、「なぜ日本に帰らないの?」という問いに明確な理由や決意が必要でした。実際、1〜2年で日本に帰る人も多く、海外生活の大変さを実感して帰国する人がたくさんいます。だからと言って、僕は5年間オランダで暮らしてきたことを我慢していたわけではなく、むしろ自分なりに前向きに頑張って過ごしていました。日本では得られない体験もできて楽しかったです。
しかしヨーロッパで生活するとなると、子どもの学校や自分の仕事など、将来や生活の基盤について考えることが増えます。移住先がはっきり決まっていないと、自分を奮い立たせるのが本当に難しいと感じました。何にエネルギーを注げばいいのか分からず、ずっと宙ぶらりんな感覚が続いていました。妻からは「焦っても仕方ないよ」といつも声をかけてもらっていましたが、それでもどこか落ち着かなくて、なかなか力が入りませんでした。
焦らないための対処法を見つける
僕が実践した対処法は、「なるべく考えすぎないこと」でした。これはポルトガルに来てからもすごく役立っているマインドセットです。つまり「時間が解決してくれる」と割り切ること。審査が終わるまでの間、何度か旅行を挟んで気持ちをリセットし、できるだけ「待っている状態」を意識しないようにしていました。オランダにいるとどうしても焦燥感が強くなってしまいます。日常を普通に送っていても、今やっていることが未来にどう繋がるのかが見えず、モヤモヤが募ってしまいがちでした。そのため、なるべくオランダを離れて旅先で「今この瞬間」を楽しむことを意識していました。
実際には「焦り」といっても2〜3ヶ月くらいのスパンではあるんです。たとえばD8ビザの場合、E-VISAポータルで書類を提出後、次の連絡が来るまで1ヶ月半程度、さらに次のアポイントまでも1ヶ月程度の待ち時間です。ただし、その後の「セカンドステージ」では最初の移民局のアポを取るまで半年以上もかかりました。その後も、書類を提出し移民局でインタビューを受けてから実際にレジデンスカードが手元に届くまでは、2月の面接から12月まで、なんと9ヶ月から10ヶ月もかかりました。
こんな長期間ずっとイライラし続けていたら、心が持ちません。実際レディットを見ると、毎日何十回も移民局に電話して自分の進捗を確認しようとする人たちがたくさんいます。でも電話もなかなか繋がらないので、1日中何百回も掛け続けてようやく繋がった、なんてエピソードもよく目にします。そんな生活、現実的じゃないですよね。
だから「どうせ最終的に在留カードはちゃんと届くだろう」と自分に言い聞かせ、「気にしないで過ごそう」というマインドを徹底しました。僕たち家族は、夏休みに思い切って3ヶ月ほど日本に帰国しました。その間、カードが届いたかどうかを一切気にしませんでした。「時間が解決してくれる」というスタンスを持つことで、自然と家族全体にもそうした落ち着きが生まれました。
複数の選択肢を持つことの重要性
複数のバックアッププランを持つことの大切さを、僕は強く実感しました。2024年時点でオランダにちょうど5年住んでいて、永住権を申請できるタイミングに差し掛かっていました。もし永住権を取得できればEU圏内の移動が自由になるので、ポルトガルのビザがうまくいかなかった場合にはスペイン・バレンシアに暮らすのも良い選択肢だと考えていました。
バレンシアは天気が良くて海もあり、波は小さいもののサーフィン以外の魅力もたくさんあって、ポルトガルかスペインのどちらかで暮らすことを現実的に思い描いていました。正直言って、オランダに残るという案はあまり考えていませんでした。むしろ永住権を取ったら他の国にすぐ移るつもりでいました。
ポルトガルのビザが無事に承認されたらもちろん嬉しいけど、却下される可能性も当然考えていました。そのときの「プランC」は日本に帰国すること。それも僕にとっては決して後ろ向きではなく、むしろラッキーだなくらいに感じていました。SNSを見ていると世界中の人たちが日本に憧れているし、日本で新たな生活を始めるのも素晴らしいよな、と前向きに捉えていました。久しぶりに日本に帰省すると、たとえばセブンイレブンのおにぎりコーナーを見ただけで涙ぐみそうになるくらい、やっぱり日本が大好きです。家族みんな日本が好きなので、最終的にどんなプランもうまくいかなくても「日本に帰れれば最高」という気持ちを常に持っていました。
温暖な気候を求めて:南欧移住の魅力
ちなみに、僕が使ったアンカーレスのサービスではポルトガル、スペイン、イタリアの3カ国がメインの選択肢として用意されていました。これらはいずれも南欧で、気候も温暖だし、スキーやサーフィンの楽しみもある国々です。ポルトガルにもスキー場がありますし、スペインやイタリアもスイスの国境に面しているのでウインタースポーツもできます。イタリアは地中海なのでサーフィンはできませんが、スペインやポルトガルは大西洋側ならサーフィンもできますし、リスボンやポルトならどこでも波を楽しめます。

こうした南欧3カ国が移住先として人気なのは、やはり日差しと自然環境を求めて移動する人が多いからだと思います。わざわざオランダや北欧の寒い国を選びたいという人は少なくて、逆にスウェーデンやフィンランドなど北の出身の人たちが、温暖なポルトガルに移住してくるケースを多く見かけました。
僕もまずヨーロッパに足場を作るためにオランダに渡り、その後に南欧への移住を現実的なステップとして考えていました。どの国も本当に魅力的で、お天気アプリを開くたびにポルトガルもスペインもイタリアも、ギリシャのアテネですら見事に晴天続き。天気が良くて自然も豊か、スキーもサーフィンも楽しめる、そんな理想的な環境が南欧には広がっていると感じます。
予算の現実的な見積もりが必要
実際にどのような費用がかかるのか、明確にまとめてみます。たとえば家賃については、月1000ユーロのお部屋を借りる場合、最低でも半年分(約6000ユーロ)を入居前に支払うことを覚悟する必要があります。すぐに住めるわけではなく、手続きやビザ審査の関係でしばらくはダブルで家賃が発生するケースも珍しくありません。わが家の場合、子どもの学校の都合もあり、オランダとポルトガル両方の家賃をしばらく負担しました。ポルトガル(特にリスボンやポルト)の賃貸相場は、今は1000ユーロ以下の部屋を見つけるのが難しく、2〜3ベッドルームになると、1500ユーロ以上が一般的です。それでも他の西欧諸国、例えばオランダやイギリス、北欧と比べれば比較的リーズナブルと言えるでしょう。
次に、エージェントのサポート料はおよそ2000ユーロが相場です。家賃で6000ユーロを投じることを考えれば、ビザ取得のための要ともいえるエージェント費用2000ユーロは必要経費と考えるべきです。その他、提出書類の用意や認証(アポスティーユ)取得のために、だいたい1000ユーロ程度かかりました。これは各種証明書の取得や、裁判所での手続きごとに1件あたり数十ユーロずつ積み重なるため、総額でそれぐらいになります。
さらに重要なのが、家族でポルトガルへ移住した後の生活費として、1年分の資金をあらかじめ銀行口座に移しておくことです。僕はポルトガルの銀行口座に5万ユーロを送金し、その貯金証明を提出することで問題なく審査を通過できました。加えて、オランダ側でも十分な残高があることを証明する書類を用意しました。このように、家賃の先払い、エージェント費用、各種証明書代、さらに1年分の生活資金の送金など、現実的な予算感覚を持って事前に準備しておくことが、後悔しないためのポイントです。
専門家への依頼は惜しまない
ビザ申請に必要な書類を自分だけで集めるのは非常に大変だということを強調したいと思います。実際、ネットで「D8ビザ 書類」や「requirements」などと検索しても、さまざまなサイトでチェックリストが載っているものの、内容が統一されていなかったり、不要なものが含まれていたり、逆に必要な情報が抜けていたりします。さらに、どこの国・どの大使館で申請するかによって求められる書類が異なるため、一概に「これが正解」と言えないのが現状です。英語はもちろん、日本語の情報も限られており、たとえ情報が見つかっても多くはエージェントやサービスへの誘導が主な目的だったりします。

実際に自分でビザを取得し、その手順について詳しく発信している人はほとんどいません。特にポルトガル移住の場合、日本人の数自体が少ない上、移住に成功した方々はその土地での生活を満喫しているため、細かい体験談などの情報発信が少ない傾向にあります。オランダや他国では多くの日本人移住者が情報共有やサービス化しているのに対し、ポルトガルでは希少です。また、時が経つにつれて情報がどんどん古くなっていくのも注意点です。まさにこの記事自体も、僕が経験した時点からルールや必要書類が変わり続けていると感じます。それは、世界情勢や移民局の方針が随時アップデートされていくからです。
例えば、実際に出てくる要件(リクワイアメント)を見ても、EU国籍を持たないこと、犯罪歴がないこと、ポルトガルの最低賃金の4倍以上の月収(2023年は3040ユーロ、2025年は3480ユーロ)などといった情報が書かれていますが、実際に申請に必要だった書類と比べると情報がかなり省略的です。他にもポルトガルの銀行口座、健康保険(実際は海外旅行保険)、住居証明(賃貸契約書)、申請手数料など細かいものがたくさん必要です。また、例えばD8ビザを申請する際やレジデンスカード取得のために移民局で手数料が発生し、一度きりではなく複数回支払いが発生することもあり、意外と費用も嵩みます。僕自身、各段階ごとに数百ユーロ支払った経験があります。
このようにネット上の要件リストではカバーしきれない多くの実務的なハードルがあります。過去に自分で調べたり経験したことから断言できるのは、必要書類の収集や手続きは想像以上に難解で、それらを専門家に任せるのは「必要経費」と考えるべきだということです。最新の判断基準や情報を持っているエージェントや専門の移民弁護士に相談・依頼することを強くおすすめします。
まとめ:D8ビザ申請の長期戦を乗り切るためのメンタル管理
ここまでポルトガルD8ビザ申請で学んだ重要な教訓について解説してきました。最後に要点を4つにまとめました。
- ビザ申請は半年から1年以上かかるので、時間に解決させるマインドセットで待つ。
- プランA、B、Cと複数の選択肢を用意しておくことでメンタルを保てる。
- 家賃の半年分、エージェント費用、書類費用で1万ユーロ前後の予算が必要である。
- 自力での書類収集は不可能なので必ずエージェントか移民弁護士に依頼する。
