あなたはポルトガルD8ビザの申請を考えているフリーランスや起業家として、ビザ取得までの全体像を把握したいと思っていませんか?多くの人が「大使館でビザを取得すれば終わり」と考えがちですが、実はその先にも重要なプロセスが続きます。ここでは、ファーストステージ(大使館でのビザ取得)とセカンドステージ(現地での在留カード取得)という2段階構成の申請全体フローについて、実体験をもとに詳しく解説します。
僕自身、ポルトガルに渡って初めて「大使館でビザが下りても、これは全体の半分にすぎない」と実感しました。大使館からD8ビザの承認通知をもらったあと、すぐにAIMAでの手続き(アポイント取得)が必要だと案内されます。ここからは、この申請全体の流れや各工程の期間、さらにセカンドステージで求められる書類について、詳しくお話ししていきます。
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ファーストステージは大使館でのビザ取得まで
まずはファーストステージについてお話しします。ここで言うファーストステージとは、大使館を通じてビザを取得するまでのプロセスです。海外の掲示板Reddit(日本で言う2ちゃんねるのような海外掲示板)でも「ファーストステージ」と呼ばれているのは、この段階が単にゴールではなく、終えた後に「セカンドステージ」と呼ばれる別の大きな手続きが控えているからです。もし二つ目のステージが簡単であれば、わざわざ区別する意味もないでしょう。しかし実際はセカンドステージもかなり大変なので、多くの人がこのように段階を分けています。
なお、D8ビザの審査では最終的な承認判断はポルトガル大使館自体ではなく、大使館が提出した書類をデータや実物のままポルトガル本国の中央当局に送り、そこで本審査が行われる仕組みです。大使館の役割は申請受付が主ですが、初期のスクリーニング機能も果たしています。たとえば収入要件などの条件を満たしていなければ、大使館段階で弾かれ、予約すら取れないこともあります。
ネット上で「大使館との予約が取れればビザ取得の確率は高い」とよく言われますが、これはあながち間違いではありません。大使館側も忙しいので、ある程度条件を満たしそうな人だけに予約を入れてもらえるためです。ですが、ここで話しているのはあくまでファーストステージ(大使館での審査)に限った話。これを乗り越えた後に、もう一段階の重要なステップ、セカンドステージが待っています。
eVisaポータルからの申請が基本になっている
今ではD7やD8ビザの申請はeVisaポータル経由が標準になっています。僕もエージェントから「書類をプリントして大使館に持っていってください」と言われ、その通り紙の書類を用意して大使館に行きましたが、「eVisaポータルから提出してください」と案内され、受け付けてもらえませんでした。結果的に紙で提出した手間はすべて無駄になってしまいました。
その後、改めてeVisaポータルから書類を提出しましたが、ここから1〜2ヶ月ほど審査がかかり、「この日にアポがありますので来てください」といった通知が来るのを待つことになります。ただ、そもそも最初のアポを取るのが非常に難しく、オンラインの予約プラットフォームしか方法がなく、予約枠もすぐに埋まってしまうのでなかなか希望通りには進みませんでした。どうしてもアポが取れない場合は、直接電話をしてみるしかないとも言われました。

僕の場合、1月24日に最初のアポを取れる前提で計画していたのですが、結果的にその日にはアポが取れず、実際にはもっと後になってしまいました。こうして計画通りに進まないケースは多く、最初の関門となる大使館とのアポイントすら取れないという現実に直面する人がかなりいると感じています。
ファーストステージのタイムライン:2024年3月から10月
2024年3月25日、日本大使館で警察証明書を受け取りました。これは2023年末に大使館と予約をし、指紋採取の手続きを進めた結果です。指紋を提出し「無犯罪証明が必要」と伝えたところ、1月にアポイントが設定され、約2ヶ月後「警察証明が日本から届きました」と連絡が来て、ようやく受け取ることができました。警察証明がないと他の必要書類を出すことができないため、これが実質的なスタート地点でした。なお、日本にいる場合は現地の(たとえば市区町村や都道府県が管轄する)大きな警察署などで比較的スムーズに取得できるはずです。
その後、4月22日に大使館と予約が取れ、全ての必要書類をプリントアウトして持参するよう指示されたので、その通りに準備しました。しかし実際に大使館に行くと「eVisaポータルから提出してください」と言われ、紙では受け付けてもらえませんでした。急いで書類をデジタルデータ化し、4月26日にeVisaポータル経由で申請を行いました。
そこから約1ヶ月半後、大使館よりメールが届き、6月14日に追加書類の提出を指示されました。この時点で「自分がビザを取得してから家族を呼べばいい」と思い、自分一人分だけを申請していたのですが、このメールで「家族全員分を個別に申請してください」と案内されました。そこで、6月14日に追加書類を提出し、6月18日にはeVisaポータルから家族分の申請も行いました。僕の場合は6人家族なので、6人分のメールアドレスとアカウントを用意し、それぞれ個別に申請をした形です。
さらに1ヶ月後、大使館から再び追加書類提出の依頼とともに、7月30日のアポイントが設定されました。いつ連絡が来るか分からず、申請中はなかなか旅行にも行けない状況でした。7月30日の大使館アポでは家族分の書類をそれぞれ提出。個別審査のため、同じ書類を家族ごと(つまり僕以外の家族の人数分である5部)プリントアウトし、持参する必要がありました。
その後、8月30日にビザ承認の通知が来て、9月3日に自分のビザを受領。AIMAへの予約手続きもこの時指示されました。家族分のビザ承認はその1ヶ月後の10月4日に下り、全員分が揃った形です。こうして実際にファーストステージは約半年かかりました。最初からeVisaポータルで申請できていれば、もう少し早く進めた可能性もあります。以上が、おおよそのファーストステージのスケジュールです。
追加書類の指示メールで求められたもの
初回はeVisaポータルから書類を提出しました。4月26日に申請し、6月5日に大使館からメールで連絡がありました。その内容は「6月14日に大使館に来館し、必要な追加書類を持参してください」というもので、具体的に下記の書類提出を求められました。
- オランダの犯罪経歴証明書
- 日本の犯罪経歴証明書
(上記2つはいずれもアポスティーユ認証が必須)

アポスティーユとは、弁護士によるノータライズ(認証)とは異なり、国が公式に「この証明書は本物です」と保証するための認証手続きです。オランダの書類は比較的簡単にアポスティーユ取得ができましたが、日本の犯罪証明書についてはアポスティーユ取得ができなかった記憶があります。大使館でもその手続きはできなかったと思います。
また、KVK登録証明書(オランダ商工会議所に自分のビジネスが登録されている証明)も必要でしたが、これはオランダ在住者向けのもので、日本在住の場合は他の書類で代替になる可能性があります。
さらに、医療旅行保険の証明書も提出を求められました。僕がオランダで加入していた保険は海外もカバーしていましたが、それでは不十分とのことで、別途ポルトガル滞在期間をカバーする1年分の旅行保険に加入しました。
加えて重要なポイントとして、すべての書類はポルトガル語または英語への翻訳が必須です。また、配偶者や子どもも一人ずつ個別に申請する必要があることも通知されました。僕は当初自分だけが手続きすれば良いと思っていましたが、家族分もそれぞれ準備が必要だったのです。
セカンドステージはAIMAでの在留カード取得まで
次に、セカンドステージであるAIMAでの在留カード(レジデンスパーミット)取得について解説します。これは、ポルトガルに実際に移住してから在留カードを手に入れるまでのプロセスです。レジデンスパーミットがなければ銀行口座の開設や各種保険の加入、いわゆる国民健康保険のようなサービスにもアクセスできません。つまり、D8ビザの許可が下りても、それは移住の半分が終わったにすぎないということです。繰り返しになりますが、ビザ承認後はできるだけ早くAIMAの予約を取る必要があります。
ただし現在のAIMAは申請が殺到していて、予約がなかなか取れません。もともとSEFという名称だった組織がAIMAに変更されましたが、スタッフ自体は同じで配置換えだけのようです。そのうえAIMA内部では労働環境が悪化し、スタッフの離職も増えていると聞きます。その結果、移民申請の増加と人手不足が重なり、運営がひっ迫している状態です。僕自身も予約が全く取れず、AIMAの深刻なスタッフ不足と連絡の困難さを痛感しました。
セカンドステージのタイムライン:2024年10月から2025年11月
セカンドステージの実際の流れとして、まず2024年10月15日にオランダ・アイントホーフェンからポルトへ移動しました。すでにポルトで賃貸契約も済ませていましたが、AIMAの予約がまったく取れず、オランダ滞在中からポルトガル在住の弁護士に依頼し、アポ取りをお願いしました。費用は1人200ユーロで、家族分あわせて1200ユーロ支払い。結局、弁護士のおかげかどうかは分かりませんが、2025年1月8日にAIMAから突然アポイントメントメールが届きました。ただ、正直なところこの依頼が本当に効果があったのかは今も疑問です。
2月14日にはAIMAリスボンオフィスでインタビューを受け、必要書類を提出しました。ここでもファーストステージで準備したものとほぼ同じ内容の書類をもう一度提出することになりました。「同じ書類を何度も出すの?」と疑問を感じましたが、ポルトガルの手続きではよくあることらしいので、そのまま指示通り対応しました。
その後、2025年6月にはより良い物件が見つかりポルト市内で引っ越しをしました。引越しの際は、CTT(ポルトガル版の郵便局)で転送手続きを必ず行います。これは非常に重要で、もし転送届を出していなければ11月時点で在留カードを受け取れていなかったはずです。AIMAは電話連絡も困難なため、「住所が変わった」という情報伝達手段として郵便局の転送サービスは必須でした。
手続きが長引く中、もう気長に待つしかないと判断し、2025年7〜9月の3ヶ月間は夏休みとして家族で韓国や日本、フィリピンへ帰省・旅行。帰国後の9月4日や10日あたりにポルトガルへ戻り、滞在先のポストをチェックしても、まだ在留カードは届いていませんでした。「まだ来てないな…」と少し不安になりましたが、その後も待ち続け、ついに11月28日に在留カードが到着。ようやく全プロセスが終わり、「長かったけれど、やっとここまで来たな」としみじみ感じました。

ちなみに、2025年1月8日にAIMAから届いたアポイントメントメールがこちらです。
セカンドステージで必要な書類リスト
セカンドステージで必要な書類について、僕の経験をふまえて整理します。
まず「レントコントラクト(賃貸契約書)」です。これはファーストステージでもデジタル・紙の両方で提出していますが、セカンドステージでも改めてプリントアウトして持参する必要がありました。
次に「エンプロイメントデクラレーション(就労証明書)」ですが、これは自分が働いていることの証明です。証明方法はいくつかありますが、僕はコンサルティング契約書を翻訳して公証し、提出しました。ファーストステージで使った書類をそのまま使えます。
また、「ポルトガルの銀行口座開設証明」も必要です。これもファーストステージですでに準備していたので、そのまま提出しました。
「NISS(社会保障番号)」がすでにある場合は提出を求められます。僕はこの時点では持っていなかったので提出しませんでしたが、もし配偶者もあれば必要になります。
加えて、配偶者の父母(義父・義母)のファーストネームとラストネームも記載して提出を求められました。
子どもに関しては、「スクールレジストレーションプルーフ(学校登録証明)」が必要で、現地の学校で発行してもらいました。
また、全員分の「NIF(納税者番号)」も必須です。僕自身はオランダ滞在中にNIFを取得し、その後ポルトガルに来てから家族全員分も揃えました。子どもにも必要です。
さらに「バースサーティフィケート(出生証明書)」、つまり僕も含めた全員分の出生証明も必要です。日本人の場合は戸籍謄本で代用できます。
「マリッジサーティフィケート(結婚証明書)」、そして全員分の「パスポート」も忘れずに準備が必要です。
これらの書類は、すでに持っているものを必ず持参してください。もし新たに要求される書類や、追加書類の指示がAIMAから届いた場合、あとで追加提出も可能ではありますが、AIMAとのアポを再度取るのは非常に難しくなっています。追加提出を求められてから再度アポイントを取るのは現実的にかなり負担なので、できる限り最初から十分に準備し、一発で手続きを完了させることを強くおすすめします。
なお、AIMAの面談の場所は必ずしも自分の住んでいる都市になるとは限らず、僕の場合はポルト在住でしたがリスボンで指定されました。国内移動は比較的楽ですが、不要な追加面談を避けるためにも、最初から万全の準備をして臨みましょう。
ファーストステージでは大使館が丁寧に書類指示をくれますが、セカンドステージはAIMAが担当となり追加書類依頼がすぐに来るとは限りません。僕としては、追加書類の要求を避けられるようにできる限りの準備をしておくことを強くおすすめします。
まとめ:2段階で合計1年半の長期戦を覚悟する
ここまで申請の全体フローについて解説してきました。最後に要点を5つにまとめました。
- ファーストステージ(大使館でのビザ取得)とセカンドステージ(AIMAでの在留カード取得)があり、D8ビザ取得は移住プロセスの半分に過ぎない。
- ファーストステージは約半年かかり、eVisaポータルからの申請が基本で、追加書類の提出や家族の個別申請が必要になる。
- セカンドステージは約1年かかり、AIMAはパンク状態で予約が非常に取りにくい。
- セカンドステージではファーストステージと同じような書類を再度提出する必要がある。
- セカンドインタビューは一発で通すことが重要で、追加書類を求められないよう徹底的に準備すべきである。
