あなたはネット起業家で、ビジネスを成長させるためにセールスファネルを作りたいと考えているものの、どんなファネルを作ればいいのか迷っているかもしれません。そこで僕は、セールスファネルの方向性を定める方法をお伝えします。それがバリューラダー・ミッションステートメントという考え方です。これはセールスファネルの設計図となり、ブレない販売戦略を構築するための重要な要素です。詳しく解説するので、ぜひ理解しておいてください。
セールスファネルは、見込み客を顧客に転換し、最終的に顧客生涯価値を最大化するための仕組みです。ですが、多くの人が目の前のツールや手法に振り回されて、本来の目的を見失ってしまいがちです。例えば、他人のファネルに影響を受けて方向性がブレたり、ツールの使用に没頭するあまり全体像を見失ったりしてしまいます。そこで重要になるのが、バリューラダー・ミッションステートメントです。これは顧客への最終的な貢献を明確に示した宣言文で、セールスファネルの方向性を定めてくれます。ここではこのステートメントの基礎を理解して、実際に自分のステートメントを作る手順を紹介します。
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セールスファネルとバリューラダーの関係を理解する
セールスファネルとは、見込み顧客を顧客へと転換し、最終的にLTV(顧客生涯価値)を最大化するための仕組みです。例えば、あなたのSNSアカウントを見つけた人が、ブログで詳しい情報を学び、無料のPDFをダウンロードして、最終的に商品を購入する、といった具合に段階を追って購入に導いていきます。これがセールスファネルです。
このセールスファネルで重要なのが、顧客中心主義の考え方です。見込み客が本当に求めているものを深く理解し、それに基づいてセールスファネルを作る。そうやって作られたセールスファネルは、高い成約率と顧客満足度を実現してくれます。僕自身、オンラインコースビジネスで成功できているのは、顧客が本当に求めているものを理解し、それに応える価値を提供できているからだと確信しています。
そしてセールスファネルの基盤となるのが、バリューラダーという考え方です。バリューラダーは、顧客に提供する価値と価格を段階的に上げていくビジネスモデルです。無料コンテンツから始まり、低額商品、中額商品、そして高額商品へと、顧客との信頼関係を徐々に深めながら価値を提供していきます。まずは無料のコンテンツを提供し、それを通じて見込み客との信頼関係を深めます。少しずつ信頼を深めながら、まずは安い商品からオファーしていきます。
安い商品を買って満足してくれたら、次はもう少し高い中価格帯の商品を買ってもらいます。それに満足してもらいリピーターになってもらったら、最終的には個別コンサルやマスターマインドといった高額商品を買ってもらうのです。これがバリューラダーです。セールスファネルは、このバリューラダーをさらに具体化してページ単位に落とし込んだ販売経路といえます。だからこそ、バリューラダーをしっかりと作ることが、セールスファネルの方向性を定めることになります。
VLMSとは?セールスファネルの方向性を決めるための宣言文
ここでバリューラダーを作るために大事な要素を紹介させてください。それがバリューラダー・ミッションステートメント(Value Ladder Mission Statement)です。VLMSとも呼ばれます。自社のバリューラダーが目指す顧客への最終的な貢献を明確に示したステートメント、つまり宣言文章です。これはバリューラダーの方向性をしっかりとアンカリングしておくために明文化したものです。つまり、あなたのビジネスが顧客に対してどのような価値を提供し、どのような結果をもたらすのかを明確に宣言する文章なのです。
このステートメントとセールスファネルには密接な関係があります。このステートメントは、顧客に提供する価値と提供方法を明確化することで、セールスファネルの方向性が定まります。これにより、場当たり的にファネルを作ったりすることを避け、一貫性のある効果的なセールスファネルを構築することができます。
なぜこういうのが必要かというと、人間は常に目移りするものだからです。例えば、デジタルマーケティングの世界でセールスファネルというのはとても魅力的なセールス手法です。そし世の中にはたくさんのセールスファネルが存在します。Eメールファネル、ウェビナーファネル、プロダクトローンチファネル、アプリケーションファネルなど、種類もたくさんあり事例も豊富です。
僕は自分のお客さんのサポートもしていますが、そうすると多くの人が気分でセールスファネルを作ってしまっているのに気がつきます。例えば、「このファネルを作ろう」と決めて取り組んでいたのに、どこかで他人のファネルを見て影響を受けてしまう。どうしてもその新しく目にしたファネルを作りたくなってしまう。そしてだんだんと自分が考えている方向性からズレていってしまうのです。
セールスファネル作りは楽しいです。ClickFunnelsやLeadpagesなどのランディングページエディタなどを使って、オプトインページやセールスページなどを作っていると時間を忘れて没頭してしまいます。MailChimpやConvertKitで自動のステップメールを組んだりZapierをいじるのも楽しいです。その反面、ツールを使った作業に没頭してしまって、ビジネスの全体像を見失ってしまう。こういうパターンを本当にたくさん見てきました。
だからこそセールスファネルの大元となるバリューラダーをしっかり決めておく。これはビジネスの成功に大きく影響する要素だと考えるようになりました。それは顧客との長期的な関係性構築の設計図となり、一貫性のあるセールスファネルの構築を可能にします。また、商品開発やマーケティング施策の方向性を定める指針となり、ビジネスの意思決定をブレずに行うことができます。
バリューラダー・ミッションステートメントの構成要素:3つの要素で顧客への貢献を明確化する
では実際にバリューラダー・ミッションステートメントとはどんなものなのか?見ていきましょう。このステートメントには3つの重要な構成要素があります。
1つ目は「誰に(Who)」です。ターゲット顧客を具体的に記述することで、提供する価値をより明確にすることができます。年齢や性別、職業といった基本的な属性情報だけでなく、ライフスタイルや価値観、興味関心なども考慮に入れます。顧客を深く理解することで、より的確なステートメントとセールスファネルを作成することができます。例えば、Whoは「子育てに悩む、30代の共働き世帯の母親」といった具合です。
2つ目は「どんな結果を(What)」です。顧客が最終的に得られるベネフィットを明確に記述します。ここで重要なのは、表面的な結果だけでなく、顧客が真に求めている深層的な欲求を捉えることです。例えば、「売上を2倍にする」という表面的な目標の背後には、「経済的な不安から解放されたい」「家族により良い生活を提供したい」といった深い欲求が隠れています。具体例を挙げると、「家事時間を半分に削減し、子どもとの質の高い時間を確保しながら、自分の趣味や副業、自己投資の時間を作る」といったものです。
3つ目は「どんな手段で(How)」です。顧客に結果を提供するための手段・方法を記述します。これは単なる商品やサービスの特徴だけでなく、顧客体験全体を設計することを意味します。独自の強みを活かした差別化戦略を明確にすることで、競合との違いを際立たせることができます。例えば、「整理収納メソッドと家事効率化アプリを組み合わせた、家事時短コンサルティングとオンラインコミュニティによるサポート」といった具合です。
これら3つの要素を組み合わせることで、顧客に対する価値提供の全体像が明確になります。例えばステートメントは次のようになります。
「私たちは、子育てに悩む30代の共働き世帯の母親が、整理収納メソッドと家事効率化アプリを組み合わせた家事時短コンサルティングを通じて、家事時間を半分に削減し、子どもとの時間を確保しながら、自分の時間を作ることを支援します」
のようになります。このステートメントがセールスファネルやビジネスにおいて重要な指針となってくれます。
実際のステートメントの事例を紹介します
ステートメントのイメージを持つためにもう少し例を見てみましょう。実際の事例を見ることで、より具体的な理解を深めることができます。まず、セールスファネル構築ツールとして有名なClickFunnelsの事例を見てみましょう。ClickFunnelsのステートメントは「私たちは、ビジョナリーな起業家がセールスファネルを通じて会社を成長させることを支援します」というものです。
このステートメントでは、「誰に」の部分が「ビジョナリーな起業家」、つまり新しい視点やアイデアを持ち、自分のビジネスを成長させたいと考えている人々を指しています。「どんな結果を」は「会社を成長させる」という明確な目標を示し、「どんな手段で」は「セールスファネル」という具体的なツールを提示しています。
次に、僕自身の事例も紹介させてください。僕がこのステートメントを作ったのは、セミナー講師やコーチとして活動する中で、多くの個人事業主の方々が時間の切り売りで疲弊している姿を見てきたからです。年収3000万円以上あっても、常に時間と売上の綱引きになっている。そういう人たちを何とか助けたいと思ったのがきっかけでした。
そこで僕のステートメントは「僕たちは、デジタルコンテンツ販売で年収3000万円以上のネット経営者が、マーケティングオートメーションを活用し、働く時間を1/10にしながら売上を10倍にすることを支援します」というものにしました。
このステートメントでは、「誰に」の部分で具体的な属性(デジタルコンテンツ販売で年収3000万円以上のネット経営者)を明確にしています。「どんな結果を」では、数値目標(働く時間を1/10に、売上を10倍に)を具体的に示し、「どんな手段で」はマーケティングオートメーションという具体的な方法を提示しています。
実際に僕自身、このステートメントに基づいてビジネスを展開します。しかも僕自身がオンラインコースの販売をセールスファネルやツールに任せ、働く時間を大幅に削減することができました。その結果、家族で海外移住をして、平日の朝から週2回のサーフィンを楽しんだり、総合格闘技やギター、1人旅などの趣味を満喫したりできています。だからこそ、同じような人たちを助けたいと思い、このステートメントを作ったという経緯もあります。
ステートメント作成の5つのステップ
では、実践的なバリューラダー・ミッションステートメント作成の手順を5つのステップで解説していきます。まず1つ目は、顧客調査でニーズとウォンツを徹底的に把握することです。可能ならアンケートやインタビュー、顧客との直接の対話を通じて、顧客が抱える課題や理想の状態を深く理解します。例えば、オンラインビジネスオーナーに対して、労働時間や時間管理、売上拡大、自動化に関するアンケートを実施するといった具合です。
2つ目のステップは、理想の顧客像(ペルソナ)を具体的に作成することです。顧客調査で得られた情報を元に、年齢、性別、職業、ライフスタイル、価値観、行動パターンなどを詳細に設定します。例えば、「30代後半の男性、オンラインコーチ、年収2000万円、クライアント対応による時間不足に悩み、売上拡大と自由な時間の獲得を強く希望している」といった具合に、具体的な顧客像を描き出します。
3つ目のステップは、顧客が求める結果・ベネフィットを明確にすることです。ペルソナが抱える課題を解決することで、顧客はどのようなベネフィットを得られるのかを考えます。表面的なニーズだけでなく、深層的な欲求まで掘り下げることが重要です。例えば「オンラインビジネスの自動化により、家族との時間を増やして旅行に時間を使えるようになる」といった具合です。
4つ目のステップは、顧客に結果を提供する独自の手段を明確にすることです。自社の強みや差別化ポイントを活かした、独自の提供方法を検討します。商品やサービスだけでなく、顧客体験全体を設計することが大切です。例えば、マーケティングオートメーションツールの導入支援や、Zoomによる個別コンサルティング、チャットによるサポートなど、具体的な提供手段を明確にします。
最後の5つ目のステップは、バリューラダー・ミッションステートメントを簡潔で分かりやすい言葉で記述することです。ステートメントに使う言葉は、チーム内外の関係者全員が理解し、共感できるようなものを選ぶことが重要です。分かりにくい格好付けだけのステートメントはうまく機能しません。必要に応じて、ステートメントを補足する資料も作成しておくと良いでしょう。
まとめ:バリューラダー・ミッションステートメントで顧客への価値提供を明確化する
ここまでバリューラダー・ミッションステートメントの重要性と作成方法をお伝えしてきました。最後に要点を5つにまとめました。
- バリューラダー・ミッションステートメントは、顧客への価値提供を明確化し、セールスファネルの方向性を定める重要な指針である。
- ステートメントには「誰に(Who)」「どんな結果を(What)」「どんな手段で(How)」の3つの要素が必要である。
- ステートメントを作成することで、場当たり的なファネル作りを避け、一貫性のあるセールスファネルを構築できる。
- ステートメント作成の5つのステップは、顧客調査、ペルソナ作成、ベネフィットの明確化、提供手段の決定、簡潔な記述である。
- ステートメントは、チーム内外の関係者全員が理解し共感できる、分かりやすい言葉で記述することが重要である。