あなたはネットで商品やサービスを販売しているコーチやコンサルタントで、お客様からの売上をもっと増やしたいと考えているかもしれません。ここでは実際にBook Funnelの構成の作り方を解説しながら、一人のお客様から得られる収益を最大化する方法を紹介します。
ネットビジネスにおいて、お客様との出会いを作るためのコストは年々上昇しています。広告費は高騰し、SNSのオーガニックリーチも減少しています。そのため、一人のお客様からできるだけ多くの収益を得ることが、ビジネスの成長に欠かせない要素となっています。Book Funnelは、その課題を解決するための強力な戦略です。もしかしたら「ブックローンチ」という言葉の方が馴染みがある方もいるかもしれません。ここでは、セールスライティングをテーマにした商品群を例に、フロントエンド商品からアップセルまでの具体的な戦略とファネルの考え方を詳しく見ていきましょう。
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実演でわかるBook Funnel:商品ラインナップの作り方
効果的なセールスフローを構築する上で、最初に最も重要なのは「誰に、何を売るのか?」を明確にすることです。まるで精密な照準器のように、ターゲット顧客とそのニーズを正確に捉えなければ、その後のセールス戦略は的外れなものになってしまいます。
ここでは例としてセールスライティングに関する商品群を売ることを考えてみます。その場合、ターゲット顧客は次のような人たちになります。
- 「自分の商品やサービスの魅力を言葉で伝えきれていない」
- 「セールスレターやLPの文章を書いても、なかなか成果が出ない」
- 「もっと効果的な文章で、お客様の心を掴みたい」
こんな風に悩んでいるコーチ、コンサルタント、オンラインコース販売者としましょう。
彼らが本当に求めているのは、単に「文章が上手くなる」ことではありません。彼らの根底にある欲求は「書くことで、より多くの顧客に価値を届け、売上を向上させ、ビジネスを成長させる」ことです。つまり、僕たちの提供価値は、単なるテクニックの伝授ではなく「顧客のビジネス成果に直結する、実践的なセールスライティングスキル」である必要があります。この価値を明確に定義することで、その後の商品設計やセールス戦略の軸が定まります。
商品1:顧客を引き込む魅力的なフロントエンド商品
セールスファネルの最初に来るのが、フロントエンド商品です。これは見込み客に「まずはお試しで」と気軽に手に取ってもらい、提供する価値の一端を体験してもらうための戦略的な商品です。ここでは、480円の書籍『心を掴んで行動させる!セールスライティング超入門』をフロントエンド商品としています。
この安い価格設定には明確な意図があります。セールスライティングに関心はあるものの「いきなり高額な投資は…」と躊躇している層に対して、「これなら試してみよう」と思わせる、心理的なハードルの低い価格設定です。実際にこのフロントエンド商品だけで利益を出すことは考えていません。フロントエンドの役割は、あくまでも顧客との最初の接点を作ることです。対象の人に買ってもらうことです。
書籍の内容も工夫をしてください。なるべくキャッチーで読んでみたいという内容を入れてください。ここではセールスライティングの初心者向けの本を想定しています。その場合、専門用語を極力避け、顧客心理の基本や、すぐに実践できるコピーライティングのテクニックなどを入れます。初心者が無理なく理解できる内容にするといった工夫をします。
書籍の表紙デザインも、「心を掴む」「行動させる」といったキーワードを大きく配置し、ターゲット顧客の目に留まりやすいように工夫されています。さらに「超入門」という言葉を使うことで、初心者でも安心して手に取れることを強調しても良いでしょう。このように、フロントエンド商品は、価格設定から内容、デザインに至るまで、まずは買われるための工夫を盛り込んでください。
商品2:つい買いたくなる!で利益を増やすオーダーバンプ
フロントエンド商品で顧客との最初の接点を作ったら、次はその購買意欲が最も高まっている瞬間に、追加のオファーを行います。これが「オーダーバンプ」の役割です。オーダーバンプは、フロントエンド商品の購入手続きの最終段階、まさに「購入ボタン」を押す直前に表示される追加オファーです。「ついでにこれも買いませんか?」という小さなオファーです。
先ほどの例であればフロントエンド書籍の購入画面で、『即効性UP!刺さるキャッチコピー&行動喚起フレーズ50選』を2,700円でオファーします。英語圏のマーケティングを見ていると、オーダーバンプは20ドルから40ドルくらいの価格帯が一般的です。そのため、ここでも2,700円という買いやすい価格を設定しています。さらに「このページ限定」ということで、割引をしておくとさらに買いやすくなります。
オーダーバンプに設定する商品は、メインの商品を補完するものにすると効果的です。特に良く使われるのがテンプレートです。英語圏ではこれをdone for youと呼びます。done for youというのはテンプレートなどを指す言葉です。「あなたのために9割やっておいたから、あなたは残りの1割を埋めるだけでいいんですよ」という意味です。メインの商品で学んだことを実践しようとする時に、テンプレートはすぐに活用できます。そういった即効性のある商品はオーダーバンプに最適です。
このオーダーバンプの狙いは、フロントエンド書籍で学んだ知識を、すぐに実践に活かしたいと考えている顧客のニーズに応えることです。書籍で基本的な考え方を理解した顧客は、「具体的にどんな言葉を使えばいいんだろう?」という疑問を持つはずです。このフレーズ集は、まさにその疑問に答えるものであり、「今すぐ使える」という即効性が最大の魅力となっています。
商品3:購入した勢いでさらなる価値を提供する「アップセル」
フロントエンド商品を購入してもらったら、次にもっと高額な商品をオファーしましょう。次はその顧客の学習意欲、あるいは課題解決への意欲をさらに高めるための「アップセル商品」をオファーします。アップセルは、フロントエンド商品やオーダーバンプで購入した商品よりも、さらに価値が高く、より深い知識やスキルを提供できる商品です。
例えば、フロントエンド書籍を購入した顧客に対して、『セールスライティング 成果直結型 プレミアム速習講座』を39,800円でオファーします。この商品では動画講座に加えて、個別のライティング添削&相談のミーティングが60分、そして受講生限定コミュニティへの参加権が含まれています。
フロントエンドでは文字という体裁でセールスライティングを解説していましたが、アップセルではさらに分かりやすく動画で解説します。動画というリッチな形式で学ぶことでさらに理解が深まります。また個別のZoomセッションで添削や相談ができるようにすることで、アウトプットの機会も増えます。さらにコミュニティを追加することで、そこでセールスライティングの質問や相談ができます。さらにセールスライティングが上達する可能性が上がるわけです。
このアップセルの目的は、フロントエンド書籍やオーダーバンプで得た知識を、実践レベルにまで引き上げることです。動画講座で体系的に学び、さらに個別添削で自身の文章に対する具体的なフィードバックを得る。それにより顧客は自身の課題をより深く理解し、具体的な改善策を得ることができます。
商品4:アップセルを断った人からも売上をあげる「ダウンセル」
アップセルであるプレミアム速習講座をオファーしても、すべてのお客様がすぐに購入を決断するわけではありません。「価格が少し高いな…」「まずはもう少し手軽に試したいな…」と感じる方も多いものです。そこで重要となるのが「ダウンセル」の存在です。
ダウンセルは、アップセルに興味を示したものの、購入に至らなかった顧客に対して、より低い価格で、しかし依然として価値のある商品を提供する戦略です。これにより、アップセルでは取りこぼしてしまう可能性のある顧客層からも、確実に収益を上げることができます。
例えばプレミアム速習講座(39,800円)の購入を見送った顧客に対して、『セールスライティング 基礎速習講座』を19,800円でオファーします。これは、プレミアム速習講座から、個別ライティング添削&戦略相談、そして受講生限定コミュニティへの参加権を省いた、動画講座に特化したバージョンです。このようにアップセル商品から一部のコンテンツを削除することで、簡単にダウンセル商品を作ることができます。
このダウンセルの狙いは、アップセルには手が届かなかったものの、セールスライティングの基礎を学びたいという意欲を持つ顧客を取り込むことです。個別添削やコミュニティのサポートは魅力的だが、まずは自分のペースで動画を見て学習したい、あるいは予算を抑えたいと考える顧客も少なくありません。そういう人にとって19,800円という価格は、プレミアム速習講座と比較して、より検討しやすい価格帯となります。
商品5:買える人のために用意しておく「2つ目のアップセル商品」
さらにその先の成功を後押しするための、より高価値な「2つ目のアップセル」をオファーします。これは、単なる知識やスキルの提供にとどまらず、顧客のビジネスそのものを変革するような、もっと広範囲をカバーする商品となります。
例えばアップセルやダウンセルを受講した顧客に対して、年間契約「売れるセールスライティング顧問サービス」を年間250万円で提案します。これは、初期のフロントエンド商品とは比較にならない高価格帯ですが、単なる講座の受講とは異なり、顧客のビジネスに専属のセールスライティング専門家が付くという、非常に大きな価値を提供します。
正直このような商品を買える人は、それほど多くはないでしょう。ですが、やはりたまに法人のお客さんとか、成功している個人事業主の方が買ってくれることがあります。アップセル商品というのは、買う人がいなくなるまで追加しておくと良いです。これは僕が10年以上のキャリアの中で学んだことです。売れたらラッキーくらいの感覚で超高額なオファーを設置しておくことをオススメします。
この追加アップセルの目的は、顧客自身でのスキル習得を支援するだけでなく、顧客のビジネス成果を直接的に最大化することにあります。初期戦略コンサルティングから始まり、具体的なセールス文章の作成代行、そして継続的な効果測定と改善提案まで、顧客のビジネスの成長に不可欠なセールスライティングの全てを、年間を通してサポートします。このように高い価値を提供する商品を念のために用意しておく。これもセールスファネルを作る上でとても重要なポイントです。
まとめ:段階的なセールス戦略で収益を最大化する
ここまで、Book Funnelにおける段階的なセールス戦略について解説してきました。最後に要点を5つにまとめました。
- フロントエンド商品は、見込み客に気軽に試してもらうための戦略的な商品である。
- オーダーバンプは、フロントエンド商品の購入直後に、追加購入を促すためのオファーである。
- アップセルは、フロントエンド商品よりも高額で、より深い知識やスキルを提供する商品である。
- ダウンセルは、アップセルを断った顧客に対して、より低い価格で提供する商品である。
- 2つ目のアップセルは、顧客のビジネスを大きく変革するような、より高価値な商品である。