あなたはネットビジネスやコンテンツビジネスを展開するマーケターとして、効率的な見込み客リストの構築方法を探していませんか?ここでは、見込み客のメールアドレスを自動的に集める仕組み「リードファネル」の3つのタイプについて詳しく解説していきます。
オンラインでビジネスを展開する上で、見込み客のメールアドレスを収集することは非常に重要です。しかし、単にメールアドレスを集めるだけでは、効果的なマーケティングにはつながりません。見込み客との関係性を段階的に構築し、最終的な商品購入まで導くための戦略が必要になります。そこでここでは、メールアドレスを自動で集める「リードファネル」の3つのタイプと、それぞれの具体的な事例を紹介していきます。
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顧客をファン化し収益を最大化する「バリューラダー」とは?
バリューラダーとは、商品やサービスの価格と価値を段階的に設定し、顧客を育成していく仕組みのことです。無料コンテンツから高額商品まで、価格帯に応じて段々と提供する価値を高めていきます。同時に顧客との信頼関係を深めていきます。そして関係性が強くなっていくに従って、上の価格帯の商品やサービスを購入してもらうことを目指します。これは、単なる商品の価格設定ではなく、顧客との長期的な関係構築を見据えた戦略的なアプローチです。
バリューラダーは大きく4つの段階で構成されています。最初の段階は、無料コンテンツの提供です。ブログ記事、動画コンテンツ、無料セミナーなどを通じて、顧客との接点を作り、価値観の共有を図ります。この段階では、見込み客に対して有益な情報を惜しみなく提供することで、信頼関係の土台を築いていきます。
次の段階は、3万円までの低価格帯の商品やサービスです。値段の安いeBookやオンライン講座、体験セッション、ミニコースなどがこの価格帯に該当します。低価格に設定することで、購入のハードルを下げ、より多くの見込み客に実際の価値を体験してもらうことができます。この段階での成功は、次のステップへの重要な布石となります。
続いて、3万円から25万円の中価格帯です。ここではビジネスのコアとなる商品やサービスを提供します。10万円から20万円クラスのオンラインコースやグループコンサルティングなどが、この価格帯の代表例です。この段階で提供される価値は、顧客の課題やニーズに対してより本質的なソリューションとなります。
最後は25万円以上の高価格帯です。個別コンサルティングやマスターマインドと呼ばれるプログラムなど、より高度なサービスや個別サポートを提供します。この段階では、顧客一人一人に対してカスタマイズされたサービスを提供します。例えば個別コンサルであればお客さんと一対一で話して、彼らの悩みに応じて直接サポートします。
マスターマインドというのはあなたと距離の近いところで、少人数の仲間と共に学び合い、高度な知識やスキルを習得していくプログラムです。通常、月1回程度の定期的なグループセッションを通じて、メンバー同士が互いの課題や成功体験を共有し、ビジネスの成長を加速させていきます。また、主催者からの直接的なアドバイスや、他の参加者とのネットワーキングによって、より深い学びと実践的な成果を得ることができます。もちろんその分金額も高く、年間400万円みたいなものがザラにあります。
このようなバリューラダーの仕組みを効果的に機能させるためには、適切な入り口の設計が不可欠です。その役割を果たすのが、次に説明する「リードファネル」という仕組みです。
リードファネル:無料オファーで顧客を獲得する
リードファネルは、顧客のメールアドレスを取得して見込み客リストを構築するための重要な仕組みです。特に低価格帯の商品やサービスの販売促進に最適で、バリューラダーの入り口として機能します。リードファネルのポイントは、特定の分野やトピックに興味のある人だけを集めることです。無料のオファーを通じて見込み客との最初の接点を作り、その後の商品販売につなげていくのです。この仕組みは、大きく3つのタイプに分類することができます。
タイプ1:リードファネル(スクイズページファネル)
スクイズページファネルは、2ステップのシンプルな構造を持つリードファネルです。1つ目のステップでは、スクイズページと呼ばれるランディングページを見せます。そこでリードマグネットと呼ばれる魅力的な無料オファーを提供し、見込み客のメールアドレスを取得します。2つ目のステップでは、サンキューページで登録完了の感謝を伝え、次のステップへと誘導します。
リードマグネットとして活用できるコンテンツは様々です。例えば無料のPDFレポートやeBookは、最も一般的なリードファネルの形です。マーケティング戦略や投資入門といった専門知識やノウハウをまとめたレポート、あるいは美容業界のトレンドや最新のダイエット方法といった業界情報を提供するeBookなどが該当します。
また、無料の動画コンテンツも効果的なリードマグネットとなります。料理のレシピ動画やビジネススキルの解説動画など、顧客の興味関心を高める質の高い動画を用意し、それを見るためにメールアドレスを取得します。この場合、動画の視聴後に関連商品のオファーや特別割引を提示するという流れを作っても良いでしょう。
クーポン配布も、見込み客のメールアドレス収集に有効な手法です。商品やサービスの割引クーポンを提供することで、新規顧客の獲得と購買促進を同時に実現することができます。限定コミュニティへの招待も同様です。DiscordグループやLINEへの招待を通じて、仲間意識や帰属意識を高め、顧客ロイヤリティの向上につなげることができます。
世界的に有名なマーケティングソフトウェアを売っているHubspotは、このリードファネルを見事に実践している好例です。彼らは質の高いブログ記事を通じて、様々な形でリードマグネットのダウンロードを促しています。テンプレート、ガイドブック、最新動向レポート、実例PDF、チェックリスト、eBook、スライド資料などです。
また、僕自身もこのリードファネルを長年実践してきました。無料のeBook、ウェビナー、ミニコース、ワークシートなど、様々な形式のリードマグネットを提供し、それぞれの商品テーマに合わせて入り口のコンテンツを作り分けています。ここでリストを取ってそのまま商品をオファーすることもありますし、Eメールシーケンスでじっくり教育して商品をオファーする場合もあります。
タイプ2:アンケートファネル
アンケートファネルは、見込み客に複数の質問をしながらリストを集める方法です。質問を通して見込み客を教育することもできるし、彼らをセグメント化することができます。もちろんアンケートの中でメールアドレスを取ることも可能です。さらに発展的な使い方として、見込み客の選ぶ選択肢に応じて、一人ひとりに最適な商品やサービスを提案するということもできます。
どんなことを質問するか?と疑問に思うかもしれませんが、これはあなたのビジネスや商品によって変わってきます。例を出しましょう。まず顧客属性を把握するために、年齢、性別、職業、居住地域、家族構成などを質問するのも良いです。また興味関心を理解するためには、現在抱えている課題、達成したい目標、趣味や好きなこと、普段利用しているサービスなどを尋ねます。そして購買に関する情報として、商品やサービスへの投資可能な予算、購入を検討している時期、過去に利用した類似サービスの経験などについて質問するということも可能です。
トレーニングとダイエットの商品を販売しているJeremy Ethierは、このアンケートファネルを積極的に活用している好例です。彼は全てのトラフィックをアンケートファネルに流しています。彼のメルマガのリンクをクリックすると毎回必ずこのアンケートファネルに飛びます。ここでは約10分程度のアンケートで見込み客の現状、ボディメイクの目標、過去の経験などを丁寧にヒアリングしています。そして、ヒアリング結果に基づいて、その人にパーソナライズされた商品を提案しています。
質問の中には次のようなものがあります。
- ダイエットなのか?筋肉をつけたいのか?
- 性別
- 身長、体重、体脂肪率
- 下の名前
- トレーニング歴
- トレーニングが続かない理由(時間、モチベーション、ケガ、他のプログラムに目移りする)
- どの部位の脂肪を落としたいか?
- どの部位の筋肉をつけたいか?
- ボディメイクに取り組む理由は?
- どのくらい運動や栄養の知識があるか?
このアンケートファネルが面白いのは、ところどころに見込み客を教育する要素が入っている点です。例えば「今あまり食事に気を使えていません」と選ぶと、「安心してください。多くの人が正しい食事に悩んでいます。私たちはそこをうまくサポートできると考えています」という気の利いた回答が返ってきます。
回答の合間にちょこちょこ、実際に体が変わったお客さんの比較写真なども入っています。質問をしながら、見込み客のニーズを把握しつつ、教育を行っている。すごく面白いファネルです。
もちろん、メールアドレスも取得しています。途中の質問で「アンケート結果をメールでも送るのでメールアドレスを教えてください」という風に自然な流れでリスト取りが行われています。
そしてアンケートの最後には、質問を通じて集めた情報を基に、見込み客にオススメの商品が提案されます。「あなたのためにパーソナライズされた商品はこれですよ」という具合です。実際には男女別に4つずつ用意している商品ラインナップの中から、最適なものをオファーしているようです。
(引用:https://www.suntory-kenko.com/sp/contents/ad/50/ent/dha_span_dhmu22/)
サントリーのセサミンのアンケートも、似たような例として挙げられます。アンケートを通じて潜在顧客とのエンゲージメントを作り、商品販売につなげる形を取っています。EPAやDHAの特徴について質問しながら教育する仕掛けを組み込んでいるのが特徴です。
タイプ3:サミットファネル
サミットファネルは、無料のオンラインサミットを通じて価値ある情報を提供し、見込み客を獲得する手法です。ライブ配信を行い、その後に期間限定でリプレイ視聴期間を設けることで、顧客の行動を促します。録画版リプレイの視聴権やサミットのテーマに関連する商品の販売で収益化を図ったり、獲得したリストを今後の商品オファーに活用したりします。
(引用https://eight-event.8card.net/climbers/2024/climbers/)
具体的なやり方としては、特定のテーマに関する専門家による講演が一般的です。質の高いコンテンツで顧客満足度を高めるとともに、専門家の権威性を活用して商品やサービスの信頼性を向上させることができます。「無料カンファレンス」などと検索すると、多くの実例を見つけることができます。
(引用:https://generativeai-summit-1.peatix.com/)
例えば、「生成AIサミット」では、生成AIをビジネスに活用している専門家を招いて、生成AIのメリットや実際の業務での活用方法を解説しています。また、名刺アプリのEightで有名なSansanでは、定期的にビジネスサミットを開催し、元サッカー日本代表の小野選手やテレビプロデューサーの佐久間さん、ホリエモンなどを招いて集客を行っています。
複数の専門家によるインタビュー動画も、サミットファネルの効果的なコンテンツとなります。多様な視点や成功事例を共有し、インタビュー動画の一部を無料公開することで視聴者登録を促進します。また、少人数制のワークショップ形式で実践的なスキルやテクニックを学ぶ機会を提供し、高額なコンサルティングやコーチングプログラムへの誘導を図ることもできます。
まとめ:リードファネルで興味の強い見込み客リストを構築する
ここまでリードファネルの3つのタイプについて詳しく解説してきました。最後に要点を3つにまとめました。
- リードファネルはメールアドレスを取得して見込み客リストを構築する重要な仕組みで、スクイズページファネル、アンケートファネル、サミットファネルの3つのタイプがある。
- それぞれのタイプには特徴があり、ビジネスの性質や目的に応じて使い分けることが重要である。
- リードファネルはバリューラダーの入り口として機能し、その後の商品販売やカスタマージャーニーの設計に大きく影響する。