あなたはネットでデジタル商品を売る個人事業主として、商品の値付けに悩んでいませんか?安く売って顧客を増やすべきか、それとも価値を高めて高く売るべきか。1人ではなかなか悩んでしまう部分だと思います。ここでは、低価格戦略と高付加価値戦略のメリット・デメリットを比較しながら、最適な戦略の選び方をお伝えします。
個人でビジネスをしていく上で、価格設定は多くの人が悩む部分です。特にオンラインコースなどのデジタル商品の場合は、紙の本といった物理的なモノと比べて、一般的な価格が決まっていないことが多いです。だからこそ自分の商品をいくらに設定したらいいのか?最初は安くした方がいいのか?それともプレミアムな価格帯の商品を増やした方がいいのか?と迷ってしまっていることでしょう。そこでここでは、低価格と高付加価値のそれぞれが有効なケースを比較しつつ、実際にどちらが良いのかを一緒に考えていくことにしましょう。
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価格を下げるか?値下げせずに価値を高めるか?という2つの戦略
低価格戦略は、文字通り価格を下げることで顧客を惹きつける方法です。一方でその対局に存在するのが高付加価値戦略です。高付加価値戦略は、安売りではなく提供する商品やサービスの価値を高めることで顧客の心を掴む戦略です。どちらの戦略も一長一短があり、ビジネスの状況によって適切な選択は変わってきます。
ここで覚えておいてほしいのは、顧客は常に「価値」を求めているということです。確かに、安い価格は魅力的です。でも顧客が本当に求めているのは、支払う金額に見合った、またはそれ以上の価値なのです。だから、単に安ければいいというわけではありません。価格が安くても、得られる価値が低ければ、顧客は満足できない。この事実はまず理解しておいてください。
低価格戦略は、短期的な集客には効果的かもしれません。9800円より100円の商品の方が気軽に買いやすいですよね。でも、長期的に見ると利益を圧迫したり、ブランド価値を下げたりするリスクがあります。一方、高付加価値戦略は顧客のロイヤリティを高め、持続的な成長を促す可能性が高いのです。それでは、それぞれの戦略の特徴を見ていきましょう。
戦略#1:低価格戦略は即効性があるが短期的
価格を下げる低価格戦略は、一見シンプルで効果的に見えます。確かに誰でもできて、即効性のある方法の一つです。でも、安易な値下げはビジネスに深刻なダメージを与える可能性があることを、しっかり理解しておく必要があります。
低価格戦略には、いくつかのメリットがあります。まず、顧客獲得のハードルが下がります。安い価格は多くの人の目を引くので、新規顧客を獲得しやすくなります。また、短期的には売上が増加する可能性も高いでしょう。競合他社に対して、価格で優位に立てるのも魅力的に感じるかもしれません。
しかし、これらのメリットは往々にして一時的なものに過ぎません。長期的に見ると、低価格戦略には多くのデメリットがあります。まず、最も大きな問題は利益率の低下です。価格を下げれば、当然ながら1回の販売で得られる利益は減ってしまいます。売上が増えても、利益が減ってしまっては意味がありません。
さらに一度下げた価格を元に戻すのは非常に難しいです。これは価格を下げるときにあまり意識されない点です。例えば9800円で売っていたオンラインコースを100円にしたとします。すると見込み客はその100円という数字に慣れてしまいます。
その後、価格を少し上げようと2980円にした場合、100円の数字に慣れている顧客はもう買う気にならないのです。だからこそ価格を下げる前には、よくよくこのことを考えておく必要があります。
次に低価格戦略の場合、価格競争に陥るリスクがあります。競合他社も価格を下げてくれば、さらなる値下げを強いられる可能性があります。こうなると、際限のない価格競争に巻き込まれます。最終的にはスパイラル状に価格が落ちていき、各社の限界点ギリギリまで利益率が下がってしまいます。
また、安い価格はブランドイメージの低下にもつながります。「安かろう悪かろう」というイメージを顧客に与えてしまう可能性があるのです。特に個人の場合、「あの人は安い商品を売っている人」というイメージが付きます。こうなると高額な商品を出すのは難しくなります。また余りに価格が安すぎると、商品やサービスの品質を「大丈夫かな?」と疑われるかもしれません。
さらに価格だけで顧客を獲得した場合、長期的な顧客関係を築くのは難しいというのは知っておいてほしいです。なぜなら、より安い商品やサービスが現れた瞬間に、顧客は簡単に離れていってしまうからです。もちろん安い価格に惹かれて購入し、その後であなたの商品の価値に気づいてくれることもあります。ですが僕の経験上も、安い価格に惹かれて購入した人は、短期的なお客さんで終わることが多かったです。
これらの理由から、僕は低価格戦略を推奨しません。特に僕のような小規模なチームや、個人事業主やフリーランスの方には向いていないと考えています。なぜなら、個人で事業をしている場合、大企業のようにコストを大幅に削減するのは難しいからです。
低価格戦略は、短期的な視点に偏りがちです。確かに、一時的な売上増加は魅力的に感じるかもしれません。でも、持続可能なビジネスを築くには、もっと長期的な視点が必要なのです。では、価格を下げる以外に、どのような戦略があるのでしょうか?次は、高付加価値戦略について見ていきましょう。
戦略#2:高付加価値戦略は時間は掛かるが長期的な成功に欠かせない
高付加価値戦略は、顧客に価格以上の満足を提供することで、選ばれる存在になることを目指します。この戦略は、長期的な視点で顧客との信頼関係を築き、持続的なビジネスの成長を実現する方法です。
高付加価値戦略には、多くのメリットがあります。まず何より、顧客満足度が向上します。顧客が期待以上の価値を感じれば、それは高い満足度につながります。満足度が高まれば、当然リピート購入率も上がります。一度だけの顧客ではなく、何度も購入してくれる常連客を増やすことができるのです。
さらに、満足した顧客は口コミで他の人にも推薦してくれる可能性が高くなります。僕のお客さんでもよく他人に口コミをしてくださる方がいます。例えば、ある会員制のビジネスコミュニティに出入りしているTさんは、僕のコンサルティングのお客さんでした。Tさんはそのコミュニティでいつも僕のコンサルの良さを話してくれたらしいのです。
その事実を知ったのは、Gさんというお客さんが僕のコンサルに来てくれた時でした。「石崎力也のコンサルのことをどこで知りましたか?」と聞いてみると、なんとそのコミュニティでTさんから教えてもらったそうなのです。僕の年間コンサルは決して安い価格ではありません。ですが、コンサルを通してクライアントに高い価値を提供できているからこそ、このような口コミが生まれたんだと思っています。
もしお客さんの口コミが増えれば、新規顧客獲得のコストを抑えつつ、自然と顧客を増やせる可能性があります。実は僕が使っているオンラインスクールプラットフォームのTeachableも同じようなことを考えています。オンラインスクールでコンテンツを買ってもらう。そしてお客さんにファンになってもらう。そうしたらその次は、お客さんに商品をアフィリエイトしてもらう。特に広告予算の限られた個人事業主やフリーランスにとって、大きなメリットになります。
これがデジタル商品のクリエイターとしてビジネスを伸ばす鍵だと、Teachableは考えているようです。これはTeachableの限られたメンバーだけが参加できるTeachable Mastermindというクローズドなコミュニティの中で、クリエイター向けの教育として語られていたトピックでした。Teachableは実際にプラットフォームの中で、商品をアフィリエイトする機能を実装しています。
また、高付加価値戦略は、ブランドロイヤルティの向上にもつながります。顧客があなたの商品やサービスに高い価値を感じれば、競合他社に簡単に乗り換えることは少なくなるはずです。これは、価格競争から脱却する手段にもなります。つまり他社が安売りをしても、あなたの顧客は簡単には離れていかないのです。
そして、何より重要なのは、高い利益率を維持できることです。高付加価値戦略では買ってもらうために無理に価格を下げる必要がありません。価格を下げずに顧客に高い価値を提供できれば、それだけ利益を確保しやすくなります。これは、ビジネスの持続可能性を高める上で非常に重要なポイントです。
このように、高付加価値戦略は、顧客との長期的な関係構築を重視し、ビジネスの安定的な成長を促進します。特に個人事業主やフリーランスの方には、この戦略がおすすめです。なぜなら、個人の強みを活かして、唯一無二の価値を提供できるからです。
両者を比較!低価格と高付加価値の2つの戦略が有効なケースとは?
では、低価格戦略と高付加価値戦略、どちらを選ぶべきなのでしょうか?ここでは、それぞれの戦略が有効なケースを比較検討し、最適な戦略の選び方について考えていきます。
まず、低価格戦略が有効なケースを見てみましょう。市場競争が激しく、価格が重要な要素となっている場合は、低価格戦略が効果を発揮する可能性があります。例えば、同じような商品やサービスが多数存在し、顧客が主に価格で選択している市場では、低価格戦略が有効かもしれません。消耗品や生活用品については、そのような傾向があります。
また、短期的な売上増加を優先したい場合も、低価格戦略を選択する理由になるでしょう。例えば、在庫の処分や新規顧客の獲得を急ぐ場合などです。ただし、これはあくまで一時的な措置であり、長期的な戦略としては適していません。
そして、コスト削減によって低価格を実現できる場合も、低価格戦略が有効です。例えば、商品を作るプロセスがものすごく効率化されていたり、仕入れコストが低い場合、競合他社よりも安い価格で提供できる場合などです。ただし、個人事業主やフリーランスの場合、大規模なコスト削減は難しいので、この方法はなかなか難しいと思います。
一方、高付加価値戦略が有効なケースも見ていきましょう。まず、顧客との長期的な関係構築を目指したい場合は、高付加価値戦略が適しています。顧客に高い価値を提供し続けることで、リピート率を高め、安定した顧客基盤を作ることができます。
また、ブランドイメージを高めたい場合も、高付加価値戦略が効果的です。高品質な商品やサービス、優れた顧客体験を提供することで、ブランドの価値を高められます。これは、長期的なビジネス成功につながる重要な要素です。
そして、高い利益率を維持したい場合も、高付加価値戦略が有効です。価格を下げずに顧客に高い価値を提供できれば、利益率を維持しやすくなります。これは、ビジネスの持続可能性を高める上で非常に重要なポイントです。
個人事業主やフリーランスなら高付加価値戦略がおすすめ
さて、では2つの戦略のうち、結局どちらが良いのでしょうか。僕の経験から言えば、特に個人事業主やフリーランスの方には、高付加価値戦略をおすすめします。なぜなら、個人で事業をしている場合、大企業のように大規模なコスト削減は難しいからです。それに、個人の場合は自分のパーソナリティを活かして、唯一無二の価値を提供できるという強みがあります。
例えば、僕の場合でいえばブログやYouTubeで自分のライフスタイルを発信しています。海外在住とか、毎月旅行しているとか、平日からサーフィンや総合格闘技の練習をしているとか、そういう話題を積極的に出しています。もちろん、これは自分のオンラインコースビジネスが軌道に乗って、時間的な自由が生まれたから実現出来ているわけです。
そういった発信を見て「石崎さんのライフスタイルに憧れるから」とか「石崎さんのオンラインコースだから」という理由で購入してくれる方がたくさんいます。ありがたいことです。これは価格ではなく、僕という個人が提供する価値に惹かれてくれているわけです。もちろんライフスタイルだけではなく、自分の提供するコンテンツの価値が多くの人に受け入れられているのだとは思います。
ですが、個人の場合そういったインフルエンサー的な影響力と、コンテンツの価値を組み合わせることができるのです。また個人の場合、安易に価格を下げてしまうと、時給が下がってしまい、苦しいビジネスモデルになってしまう可能性が高いのです。それよりも、個人としてのブランディングなどを通して価値を高める方が、持続可能なビジネスを築きやすいのです。
ただし、低価格戦略を完全に否定するわけではありません。状況に応じて使い分けることが重要です。例えば、新規顧客獲得のためのキャンペーンとして、一時的に価格を下げるのは効果的かもしれません。または、複数の商品やサービスを提供している場合、フロント商品として安価な商品を用意し、そこから価値の高い商品にアップセルしていく戦略も考えられます。
この場合は、どちらかというとフロント商品のみを安く設定し、アップセルするバックエンド商品は高額にすることが多いです。そのため、多くの場合で高付加価値戦略を取ることになると思います。ただ僕個人としてはあまり安売りの方向に行くのはオススメできないなと考えています。
重要なのは、顧客にとっての「価値」を常に意識することです。価格を下げるにしても、価値を高めるにしても、最終的に顧客が感じる価値が重要なのです。顧客が「この価格でこれだけの価値が得られるなら、お得だ」と感じてくれるようなオファーを作ることが、ビジネス成功の鍵となります。
最後に常に顧客の期待を超えることを意識してください。例えば、約束した以上のサービスを提供したり、予想外の特典をつけたりすることで、顧客に「想像以上の価値があった」と感じてもらえるはずです。
高付加価値戦略は、一朝一夕では結果が出ないかもしれません。しかし長期的に見れば、顧客との信頼関係を築き、持続可能なビジネスを作り上げることができます。特に個人事業主やフリーランスの方には、この戦略がフィットするはずです。
まとめ:個人事業主には高付加価値戦略がおすすめ
ここまでデジタル商品の価格戦略について解説してきました。最後に要点を4つにまとめました。
- 低価格戦略は短期的な効果はあるが、長期的には利益率の低下やブランドイメージの低下などのデメリットがある。
- 高付加価値戦略は顧客満足度の向上、リピート率の上昇、ブランドロイヤルティの向上などのメリットがある。
- 個人事業主やフリーランスには、大規模なコスト削減が難しいため、高付加価値戦略がおすすめである。
- 個人の場合、自分のパーソナリティを活かして唯一無二の価値を提供できる強みがある。